浜中金融庁次長記者会見の概要

(平成12年10月26日(木)17時02分~17時21分)

【質疑応答】

問)

次長の方から何かありますか。

答)

PTSにつきまして本日指針を公表させて頂きまして、これをパブリックコメントに付するということで、パブリックコメントを頂いた上で府令の改正、あるいはそれに伴いますガイドラインの改定等を予定しておりますわけでございます。やや繰り返しになりますが、証券会社で私設の電子取引市場の開設をしたいという動きがございます。これを私設取引システムという意味でPTSとアルファベットで略号で言っているわけですが、このようなシステムが開設されますと市場間の競争が活発になり有価証券市場全体の効率性が向上される。さらにまた流動性の低い有価証券についての流通市場が整備されていくことになる。こういうことを通じまして、投資者の利便性の向上に寄与するとこういうふうに考えている次第です。一方こうした新し形態の証券取引、証券業でございますので、公正な取引の確保、投資者保護の観点、それから従来の、敢えて申し上げますが、伝統的な証券業において行われているものと違う取引でございますから、その伝統的な証券業が想定していなかったような、さまざまな問題が出てくるというふうに予想致しまして、従って、今回金融庁として投資者保護等の観点も踏まえまして、有価証券取引の電子化に資する環境整備を進めると、こういう見地も加え、私設取引システムPTSの開設に係る一定の指針ルール案を策定し、パブリックコメントに付することとした次第でございますので、内容をご覧の上、関係業界の皆様あるいは、国民の皆様からのパブリックコメントをお待ちしたいと、こういうことでございますので、よろしくお願い致します。以上です。

問)

まず、信用組合ですけれども、集中検査が始まってほぼ4カ月ということですが、公的資金の申請とか…今信用組合の現状を改めてお伺いしたいのですが。

答)

いうまでもなく、信用組合は、これまで中小企業あるいは個人分野を専門とする金融機関として、わが国経済の中で大変重要な役割を果たしてきているところでございます。今後とも、その存在意義は変わることはないというふうに考えているところでございます。一方、信用組合の個々の経営状況を見させて頂きますと、様々でございますが、総じて規模が小さい、あるいは経営基盤が脆弱なところが少なくないとこういう状況でございます。また、今後時価会計が導入されていく、あるいはペイオフの解禁もそれほど遠くない、こういうふうな現状、こういう今の厳しい環境の中でですね、各信用組合におかれて将来を展望した、将来を見据えた経営の効率化等を自主的・主体的に取り組んで頂くことが大変重要、また十分な資本基盤も確保して頂きたいと、こういうふうに考えている次第でございます。国に信用組合の監督権限が移行されて以降、今申し上げましたような趣旨で監督してきているところでございますし、検査も進めてきているところとこういうところでございます。組合数にいたしますと、検査ですが、本年7月以降で155組合の検査を実施している、こういうところになっておるわけでございます。昨年実施致しました7組合を足しますと162組合に対して検査を実施している、こういうところでございます。今、資本の増強等につきましてのお尋ねがご質問の際にもございましたが、一部でそのような報道があるということも承知しております。また私どもとしては、今年の6月に早期健全化法等の改正、あるいは優先出資に係る法律の改正等をお願いして成立をみているわけでございますので、一つ一つの組合につきましてですね、どこの組合さんが資本注入の申請をされたかどうかという、それは個別具体的な問題でございますけれども、信用組合の皆様方から申請があれば、審査をさせて頂き、要すれば再生委員会の方にもまた相談をさせて頂くとこういう姿勢であると申し上げておきます。

問)

本日の自民党の金問調でも聞かれましたが、保険のソルベンシー・マージンの話ですけれども、それについて取組方針を改めてお聞かせ願いますか。

答)

ソルベンシー・マージン比率につきましては、かなり複雑な保険の経理、保険数理に通じておりませんとですね、なかなか判り難い面もあるわけでございますが、例えば今年の2月には保険会社が劣後債務をとったという場合の算入限度をどう考えるかと、若干算入額の厳格化を行ったとかですね、あるいはご記憶にあろうかと思いますが、生命保険会社、損害保険会社間のダブルギアリングを否認するというような改正、改善を行ってきたところでございます。申すまでもなく、ソルベンシー・マージン比率がですね、経営の健全性を表す大事な指標でございますので、引き続き、そういう重要な指標であるようにですね、その見直しの努力を重ねていきたいし、これまでもやってきたとこだというところでございます。最近ございました、残念ながら破綻に至ったケースの場合ですね、早期是正措置等の発動することもなく、そういう破綻のケースに至ったわけでございますが、あの当時、私どもと致しましてはモニタリングも実施しておりましたし、またその都度、保険業法に基づく報告徴求もしてきたところでございますが、皆様ご承知のような、そういうような推移でございましたので、引き続きこの分野の勉強を重ねていきたいと、こういうふうに思っている次第でございまして、まさに過去の事例に則してよく勉強すると、そういうことで勉強をさせて頂きたいと思っているところでございます。

問)

一部でイトーヨーカ堂の銀行の申請の話が出ていましたけれども、今現状どういうふうになっているのかお伺いできますでしょうか。

答)

一部(報道)機関により、イトーヨーカ堂さんの方から銀行業の免許申請があるのではないかという報道がなされているということは承知いたしております。一方では具体的にまだそのような段階にも至っていないと承知しておりますが、この点につきましても、皆様に何度かお話申し上げているかと思いますが、異業種の銀行業への参入のガイドライン、運営上の指針を作って以来、各種のお問い合わせを頂いたり、いろんな形の私どもの方に教えて欲しいというような趣旨のお話もございます。イトーヨーカ堂さんもその中に入っているというふうに理解いたしておりますが、まだ具体的には、先般免許を出しましたジャパンネット銀行さん以外にはないわけではございますが、幾つかそういうふうにお問い合わせもございますので、仮に申請に至るということであれば、私どもとしては迅速に審査をして参りたいと、こういう考え方でございます。

問)

信用組合の公的資金の申請に関わって、各財務局と個別信組が申請に向けて内々のと言うか、正式申請に向けてのご相談をされているというケースがあるというご報告は受けていますか。

答)

具体的には財務局において信用組合の監督あるいは検査を行っているということでございますし、ちょっと思い起こして頂くと、7月から検査に入りましたが、4~7月の間に私どももいろんな意味で勉強させていただきましたし、信用組合の理事長さんはじめ幹部の皆さんとのヒアリングと申しますか意見交換会を開かせていただいたと、そういうとこから始まりまして今日も各財務局においていろんな意味で相談に応ずる、あるいはアドバイスをして欲しいという時には、仮に公的資金の注入の話でございますれば、法律であるとか再生委員会で作っていただいた基準とか、そういうことにつきましては財務局職員はちゃんとと申しましょうか、一生懸命と申しましょうか、そういうご希望の方々に対して説明するようにというふうに指示を出しておりますので、実際そういうふうに相談に乗るなりさせていただいているというふうに思っております。

問)

厚生年金の代行返上の話ですが、金融庁の考え方というのを教えていただけますでしょうか。

答)

今まさにご質問頂いたのは、代行返上というのですか、この問題そのものは厚生省が今ご検討されているというか取り組んでおられるというところでございますので、私どもの方からあまり先走ってコメントするのも如何かと思いますが、ご質問に誘発されたということで敢えてお答え申し上げれば、厚生年金の基金が50何兆円あって、4割ぐらいが株式に運用されているのではないかというふうに伺っております。そういうことからいたしますと、かなりの金額にのぼるということでもございますので、仮に代行返上というようなことがある場合には、いろいろな影響も…ある意味で私は理論的にお答え申し上げているわけですが、あり得るということになりますので、私どもも厚生省におけるような検討をよくフォローするとともに、どういうことが実際適当であるのか、適切であるのか、仮に厚生省ともお話する機会があれば私どものそういう考え方もお話してみたいと、こんなふうに思っている次第でございますが、基本的には年金制度全体の問題でございますので、私どもの方から出しゃばってと申しますか、早まってご意見を申し上げるということは、とりあえずはいたしておりません。

問)

信用組合検査の関連で、今年の1月から導入された検査部長宛の意見申出制度についてなのですが、これは現在どのような状況なのですか。適用された例などは何件ぐらいあるんですか。

答)

ちょっとすいません、信用組合に限って私は過去の実例等についてちょっと調べてきておりませんでしたが、現状どういうふうなことで努力しているかという点で申し上げますと、検査に入りますということを通告して、そして検査に入って…まあ1週間、2週間か何日間かかけて検査をして、それで皆さんがよく言われる検査の立入が終わったか終わらないかと、こういうことになって、その後、財務局に戻ってきていろんな審査をした上で検査結果を通知すると、こういうことになります。非常に重要なのは、従って立入検査等の最終局面で理事長さんであるとか、ご責任ある方々と主任検査官の間でよくディスカッションをするようにと、信用組合の検査は国が今回初めて行うところでございますから、受検される組合のご協力と我々検査する者が真剣に内容を見させて頂いて検査をしていくと、この間の協力関係がなければなかなか検査というのはうまくいきません。従って、よく言われます検査の立入の最終日において理事長さん等々とお話し合いをさせていただきますので、その時間を十分とってそこでご疑問があればそれに対してお答えを努力してするようにというふうにさせているところでございますので、仮に何ら検査部長宛に何か検査上の問題についてお話があるということであれば、それはもちろんそれで私どももそういう制度を作っておりますから、それによって対応させていただきますけれども、基本的には現場において当局側と検査をお受けになる方の間の協力関係を構築するようにということで今鋭意努力しているということでご理解頂きたいと思います。

問)

結局、現状の数なんかは分からないのですか。

答)

信用組合ですか、ちょっと手元にないので、後でまた係の方からお話させていただきます。

問)

それから、この過程において監査法人との意見交換もきちっとやるようにという話があったんですが、それは着実にやられているんでしょうか。

答)

はい、組合の規模如何によって監査法人が入っておられるところと、監査法人が入っていないところがございますが、監査法人が入っているところにつきましては、今ご質問頂いたように、良くそういう機会を捉えてディスカッションをするようにというふうに言っております。

(以上)

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