浜中金融庁次長記者会見の概要

(平成12年11月9日(木)17時01分~17時29分)

【質疑応答】

問)

次長の方から何かありますか。

答)

特にございません。

問)

破綻手続きに関して、予定利率を引き下げる制度改正に関連して、相沢大臣の方が金融庁にそういった制度改正の検討を指示したということを仰られて、昨日から自民党もその問題について検討を始めたようですけれども、自民党との調整を含めて、もう検討に着手したのか、どういったふうに検討を進めて行くのか、この点についてお聞かせください。

答)

ただ今ご質問の中にもございましたけれども、昨日自民党の金融問題調査会・財政部会の合同会議において、保険についての予定利率の引き下げに係るこういう問題につきまして、検討してはどうかという問題提起がなされたところでございます。そして、ご質問の中にもございましたが、かねてより大臣から逆ざや問題等につきまして、勉強していく必要があるという趣旨のお話が私どもにもございまして、私どもも幅広くかつ掘り下げて勉強していかなければいけないと、こういうふうに思っている次第でございます。ただ、今お話の中でどういうふうに進んでいるのかという趣旨のお尋ねでございましたけれども、まさにその議論をしていくという趣旨の問題提起が行われた、あるいは大臣のお言葉を借りますと、大臣は一石を投じたとも仰っておられます。そういう意味で私どもも早急に体制を整えて、勉強して参りたいと、こういう言わば入り口であるということで、良くご理解を賜りたいと思います。

前後致しますけれども、保険会社…、とりわけ生命保険会社の場合には、低金利が長く続いたということに伴う逆ざやの発生とか、不良債権の発生、あるいは株式市場の低迷による有価証券の含み損の発生などの大変厳しい環境にあるところでございます。一方いわゆる既保険者、既契約者に対する予定利率の引き下げにつきましては、現行法におきましては、つまり保険業法または更生特例法に基づく破綻をした保険会社についてのみ認められるとこういうことになっております。皆さんご案内のように平成7年以前の保険業法では、行政命令による対応とか、あるいは相互会社における定款の定めのところによる保険金の削減を可能とする規定がございましたが、これは今日においては現行法では削除されているところでございますので、大変難しいと言いましょうか、幅広くかつ掘り下げて検討すべき内容でございますので、私どもも検討する必要があると思いますので、各方面におきますご検討が進む、そういうことも睨みながら検討を進めて行きたいと思っております。なお、業界のご意見がまとまるとすれば、それも大変参考になろうかというふうに思いますが、業界の中におかれてもこういう方向で是非考えて欲しいというご要望をされるような向きもございますが、他方において大変本件は難しい問題であるので、慎重に考えるべきであるというところもあるようでございます、従いまして各方面での議論の進展等を見ながら、また私どもとしても鋭意勉強を進めていくと、こういうことであろうかと思います。いずれまた自民党の金問調とか、あるいは与党3党による検討等も行われ、私どももそういう場にお呼び頂くことがあれば、私どもなりの勉強の成果等もご報告すると、こんなふうなことで進んでいくことになるというふうに思われますが、将来のことは何とも申し上げられませんので、とりあえず今そういう段階であるということでご理解頂きたいと思います。

問)

昨日の金融審議会の中間整理の会見で、異業種参入に関する保険業法の改まさに対して、ややワーキング・グループの方は改まさに前向きな一方、部会長の方は業法改正はまだ難しいのではないかというご見解を述べられたのですけれども、この辺はどういうふうになっているのか、説明して頂けないでしょうか。

答)

昨日、金融審議会の第一部会が開かれました。そこはこれまでワーキング・グループでいろいろな議論を重ねて頂きましたので、言わば中間整理を部会においてご報告すると、こういう位置付けでございました。従いまして皆様方にもご説明申し上げたかと思いますが、異業種参入に伴う銀行法等の整備・他業禁止の緩和等に関するワーキング・グループにおける意見等(中間整理)ということで、部会の皆様にワーキングでの議論をご紹介したと、ご報告したと、こういうことでございます。そして、今ご質問の中にもございましたが、このワーキングの皆様方の中間整理という中にはお手許に資料があろうかと思いますが、「異業種参入に関連する制度的手当てについては、保険分野でも喫緊の課題であるので、銀行との相違にも留意しつつ、同様の観点から検討すべきである。」と、こういうふうにされているところでございまして、この点が実は大変重要でございまして、間接金融機関として、銀行業と保険業が非常に似通っている面と、そして保険はまた保険としての独自の分野がございますので、その差にも留意しなければいけないということがこの中間整理の中で言われているわけでございます。議論の圧倒的な部分、時間的に申し上げまして、銀行業について議論しておりましたので、そしてまた本件スタートの時点から異業種の銀行業への参入ということで議論が始まったという経緯から致しましても、銀行業中心にどうしても議論が推移して参りましたので、とりあえずは私どもまず銀行法につきましてご検討頂きたいとこういうふうに思っていたところでございますが、保険の分野につきましても今読み上げましたような言わば相違、同様の点もあるが差もあるという点を踏まえて検討すべきである、これがまさに正直なところでございます。この後更にまたワーキング・グループで何回かご議論をお願いをして、おそらく12月の初めになりましょうか、その頃になればもう一度部会を開いて頂くということになりますので、多分今ご指摘頂いたような点も含め、一層議論が進められていくと、そういう中で自ずからの結論と申しましょうか、部会としての考え方が定まってくると、こういうことでないかと思います。また、これから今申し上げましたスケジュールで皆様方に議論をして頂くということでもございますので、こうなるでしょうとか、こうしたいということを今の時点で私の方から申し上げるのは、また適当でもないと思いますので、そういうことで今しばらくワーキングの皆様方、あるいは部会の皆様方には12月頃にもう一度ご議論頂くということで考え方の整理、集約が行われていくということを期待致しております。

問)

KSDの問題に絡みまして、金融庁としては確か勧誘業務だったと思うのですが、信金業界に対してヒアリングするというような報道が一部に出ていますが、この点に関して教えてください。

答)

KSDの問題につきましては、国会等におきましても大分ご審議が進めらているところでございますが、確かご質問の中には勧誘をしているとか、あるいは信用金庫さん、あるいは信用組合さんということにもなるのかも分かりませんが、他業に関わるようなことであるかどうかというようなご質問が多かったと記憶しておりますが、質問の中でもお答え申し上げましたが、個別具体的な判断と申しましょうか、そういうことが必要になりますので、あまり抽象的、一般的にお答えすることも難しい、如何なものかということで、信用金庫さんの方の協会の方に実態調査をして頂けないか、その実態はどういうものであるかということをお聞きしたいというふうに考えておりましたところ、信用金庫さんの場合であれば、全国信用金庫協会、信用組合さんの場合には全国信用組合中央協会というそれぞれ協会がありまして、それぞれの業界におかれて自主的に傘下の金融機関に対して、アンケート調査をお始め頂いているというふうに理解しているところでございます。従いまして言わばそれぞれの協会による調査を今お待ちをしているというところでございます。

問)

今週の初めにイトーヨーカ堂銀行が予備免許の申請を金融庁に出されたのですが、それの今後の審査のポイントと、免許はいつおりるのかとか、その見通しみたいなものをお聞かせ願えますでしょうか。

答)

大変恐縮ですが、審査のポイントというご質問もパブリック・コメント等を経て作らせて頂きました指針がございますので、こういうものに則してやって参ると、もちろん基本と致しましては銀行法第4条の財産的基礎、収支の見込み、銀行業務を的確、公正、効率的に遂行していく体制、こういうものがどういうふうに整っているかという、銀行法第4条に基づくところでございますが、これによってやらせて頂く、審査させて頂くということに尽きるわけでございますので、まさに今受け取りまして審査を開始したというところでございますので、それ以外のポイントという…ご質問のポイントの意味が大変恐縮ですがよく分かりませんが、そういうことに尽きるかと思います。

また、どのくらい時間がかかるかということでございますが、正直言ってどの位時間がかかるかよく分かりませんが、私どもとしてはなるべく迅速にすべきものと、こういう気持ちで審査をやらせて頂こうと、こういうふうに思っております。

問)

保険業法の改正というのは、金融庁としては、銀行改正と併せてやりたいというご意思はあるのですか。

答)

まさに金融審議会でご議論を頂いて、その間に各方面の議論も頂きまして、意見が集約できれば、それに応じて私ども考えていきたい。そういう意味では保険業法の改正について、今ひとかけらも考えていないかという趣旨であれば、ご意見が集約されるのをお待ちして状況によっては銀行法のみならず、保険業法もお願いをするということはあり得ると考えておりますが、先程も申し上げましたように結論を先取りして申し上げるよりは、12月初旬には次の段階の意見のとりまとめがあると思っておりますので、それをお待ちしたいと思っております。

問)

信用組合で関西興銀というところに検査の立入に入って間もなく一年が経つのですが、検査結果通知も監督部の行政も含めて、まだ結論が出ていないと思いますけれども、 これはちょっと非常に長いと思いますが、長引くことの背景といいますか、あるいは金融当局側の目的等があってのことでしょうか。

答)

私ども、大変正直に申し上げまして、淡々と仕事を進めさせて頂いておりますので、何かそういうこと以外の要素があるかのようなご質問を頂いたのですが、まさに淡々と仕事を進めさせて頂いております。

ただ、今ご質問の中にあったことをちょっとパラフレーズして申し上げますと、信用組合さんではございますが、かなり規模が大きい信用組合ということでございますので、それなりに時間を頂く必要もあるし、また大きい金融機関でございますから掘り下げて勉強しておく必要もあるというふうに考えておりますが、検査結果通知後、どのように私どもの仕事が進んでいくかということにつきましては、皆様もよくご承知だと思いますので、今その必要な報告徴求等をしつつ、内容を精査していると、こういう段階であるというふうに受け止めて頂ければと思います。

問)

意見相違先がかなりあったということなのですが、なるべく金融機関側と検査担当者というのは何度も話し合っているということで、そういうことで時間がかかったのかなと思うのですが、その点は如何でしょう。

答)

実際今ご質問頂きましたように、金融検査の場合には検査を行う我々と申しますか、金融庁なり財務局の担当者と検査をお受けになる金融機関、この間の協力関係が必要でございますので、しかも大きい金融機関になればですね、一つ一つの細かい点につきましても丁寧に議論をしていかなければならないということで、それなりの時間がかかるのは事実でございますが、もう既に検査結果は通知しているわけでございますので、今は言わば検査結果通知後のそういう報告徴求等を行い内容を確認しているという、そういう段階だと、検査ということで今ご質問を頂きましたが、検査結果の通知はもう終わっているということで、しかし内容を言わば金融機関側と我々でもって、正しい事実の認識に立つべく報告徴求を行っている段階と、こういうふうに理解して頂ければ、両者で努力している段階と、そういうふうに受け止めて頂いても結構でございます。

問)

北朝鮮・在日朝鮮系の信用組合の場合は受け皿があったりして、わりと対応が決まっていたと思いますが、そうした受け皿がないということが理由になって延びているということではないのですか。

答)

一つ一つの組合につきまして検査をして、それに従って適切な処理を行っていくと、これに尽きるわけでございまして、そこを今やっているということでございます。一方、今ご質問の中に受け皿云々がございましたが、受け皿につきまして、また関係の皆様で議論が行われているようでございますが、これがうまく集約されていくかどうか、それはそれとして別の問題として私どもは関心を持って見守っているところでございます。

問)

保険の関係なのですけれども、千代田生命や協栄生命の破綻が続いて、その後、生保業界の中では次はどこが危ないというような噂がかなり業界の中で広がったということで、金融庁が業界に対して注意を促したという話をあるところから聞いたのですけれども、それは実際どういった場所で、いつ頃、どういったレベルといいますか、協会に対してやったのか、あるいは個社に対してやったのか、その辺を詳しく事実関係を教えて欲しいのですけれども。

答)

私どもは特に注意とかそういう格別のことをしているわけではございませんが、今ご質問の中にございましたように、ご心配されている方々も多いわけでございますので、そういう意味のですね、こういう状況において、保険の関係者の皆様方がいわゆる伝聞等が広まるということのないように、とりわけ経営者の皆様方が注意して頂くということは、保険の契約者の皆様のこともお考えいただければ当然のことだと思いますので、常々そういうふうに申し上げておりますが、格別今ご指摘のあった1、2の破綻を契機にどうこうということはなく、一般的にお願いしているということでご理解を頂きたいと思います。また、長官がつい先立っての記者会見で申し上げました通り、今のところ私どもとして格別に、例えば200%の水準がどうこうということでの情報は私どもにございませんので、何か逆に今私がそういう答弁を申し上げたことがそういうことにつながらないように、良くお聞き取り頂ければと思います。

問)

一般的に申し上げているというのは、どういった形で申し上げているのですか。

答)

例えば、銀行協会とも月に1回とかですね会合がございますし、生命保険協会、損害保険協会の皆様とも1~2カ月に1回は私どもの幹部と業界の皆様とお会いする会合がございます。多分先月も今月もあるということで、かなり機会がございますので、そういういろいろな機会をとらえて私どもの認識なり、また業界の皆様方のこういうことに係る認識等も意見交換の中で聞かせて頂く、教えて頂いているというこういう関係でございます。

問)

先月の会合でもそういったことは一般論として仰ったわけですか。

答)

常々申し上げておりますので、個別のケースに則してどうこうということではないと、但し書きでも付けさせていただければ、先月でも今月でもということでお考え頂いて結構でございます。

問)

保険業法の改正の問題なのですけれども、大正生命の破綻の時にああいう投資集団が進入できてしまったのが、制度が届出制になっているからというご説明があったのに、一番早期の来年の通常国会の法改正で業法改正の手当てをしない、もっと積極的になれないというのは、技術的な理由ということなのでしょうか。

答)

私どもは先程お話申し上げましたように、そういうことを考えていないということを今申し上げるということよりは、むしろ頭の片隅にあるわけでございますが、今回の第一部会でのご議論を頂く際には異業種の銀行への参入という観点で幾つかのテーマを議論していくという中にあって、この主要株主の問題が出てくると、そして、主要株主の問題になれば、当然に間接金融機関としての保険、銀行の類似性等がございますので、類似性にも着目しつつ、かつ保険が独自であるということにも着目して考えるべきであるという中間とりまとめが出ておりますので、これが大変正直なところでございます。これを更に12月までご議論頂いて、あるいは今ご質問頂いた方のような形での意見の集約ができれば、私どもも喜んでやっていきたいと、こんなふうに思っている次第でございます。繰り返して恐縮ですが、今仰られた保険会社の破綻の時以来、そういう問題意識は私どもは持ち続けております。

問)

予定利率ですけれども、勉強していくというのは、どういう場でなのでしょうか。

答)

大臣のお話が私どもにあって、また大臣自ら、自民党の方の金問調ですか、金融問題調査会・財政部会とか、そういう方向にお働きかけ頂いておりますので、言わば私どもが何か審議会等を開いてというよりは、今各方面でもってご議論が始まったというところでございますので、私どももそれなりに勉強した上で、あるいは自民党の金問調なり、あるいは与党のそういう検討の場なり、その他にもいろいろな場でご検討が進められ、私どもの意見とか過去の経緯とかいろいろそういうことを報告せよということであれば、私どもは積極的にそういうところにも加わりながら、私たちも勉強しながらやっていくと、そんなふうな進み方になるのかなと思いますが、私どもがどういう場でどういうふうに決めるというよりは、自民党でお取り上げになるのであれば、例えば金融問題調査会の会長さんはじめ、幹部の皆様がどんなふうなことでお取り上げ頂くか、ちょっとそういう受け身的なところもございますので、私の方からどことどこの場でどういうふうに取り上げるということをお話申し上げることができないという意味で、ちょっとご理解頂きたいのですが。私どもも私どもなりに勉強していくつもりです。

(以上)

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