浜中金融庁次長記者会見の概要

(平成12年12月21日(木)17時00分~17時20分)

【質疑応答】

問)

次長の方から何かありますか。

答)

特に長々とご説明申し上げませんが、今日、金融審議会の総会が開かれまして、第一部会の報告が総会に上げられまして、皆様ご案内の通りの報告書が出たということでございまして、お蔭さまで非常に短い期間でございましたが、精力的なご検討を頂きましたので、これで来年以降、通常国会へ法案を準備するという、我々の次なる段階、作業に移るという段階に至ったということだけを申し上げときます。内容は、皆さんご承知だと思うので省略させて頂きます。

問)

今お話が出た金融審なんですが、例えば経営危機の対応のところで50%未満の株主に対して、何らかの協力を要請することを…、協力が要請できるような仕組みを検討すべきだとか、あと5%超から20%未満の株主も実質的な影響力があれば主要株主になるとか、やや例外的な規定のようなものが盛り込まれていて、金融当局の裁量がかなり効く、参入に対して裁量が効いてしまうのではないかという見方も出ていて、そこら辺は次長はどうお考えになるのかということと、それに関連し(イトー)ヨーカ堂の方が免許の申請をしていて、その審査状況が今どうなっているのかお聞かせ願えますか。

答)

今、前半でご質問頂いた金融審議会の報告の件でございますけれども、もう一度繰り返すようで恐縮でございますけれども、今回の報告は異業種による銀行業参入の動き、あるいはインターネット専業銀行の設立等、銀行業における新しい動きに対して、銀行経営の健全性確保等の観点を踏まえつつ、的確に対応したいということで報告を頂いて、まとめて頂いたわけでございますので、私どもと致しましては、相当程度、具体的な方向性をお示し頂いていると、こういうふうに受け止めている次第でございます。一方、今ご質問頂きました何カ所かにご質問された方の言葉で言えば、やや抽象的に書いてあるところもあることは当然でございますが、先程も申し上げましたように、これから立法の作業に入っていくということでございまして、かなりこれまで手懸けてこなかったと申しましょうか、今日的な意味で新しい問題が提起されたということで、我々考え方を深めていく、審議会でのご議論をお願いをしたと、そういうことでございますので、またおそらくやや技術的になりますが、法制局等へ我々の担当者が伺って、法制面での詰めを要するという点もございますので、そういう点があるいは今ご指摘頂いたようなところになっているのかなあと、こう思うところもあるわけでございますが、一方、例えば今ご指摘の中に50%超の場合だけでなく、50%以下の主要株主についてまで支援を求めると、支援を求めるということはどうかというご趣旨の質問だったかと思いますが、報告書をよくお読み頂ければありがたいわけでございますが、そういう場合も、50%以下の場合も原則として特段の措置は求めないが、銀行と実質的に一体となって経営が行われるような場合には、何らかの協力を求めることについて検討することが適当であるということで、ある意味では非常に限定的に求めることについて検討すると、検討するという趣旨は先程申し上げましたが、これから法令的な審査が始まりますので、そういう意味合いで受け止めて頂きますと、銀行と実質的に一体となって経営が行われているようなという形に非常に限って考えを出していると、そして何度かお話申し上げたかと思いますが、例えばこういう観点での進んだ例として、イギリスではよくコンフォートレターというのがあるということをご紹介してきたことがあるかと思いますし、これは審議会の中でも、そういうものを日本でも考えたらどうか、適当である、あるいは難しいといろいろご議論頂いたところでございますが、報告書の中でも「例えば、英国ではコンフォートレターという手法で一定の株主に対しあらかじめ支援の意思の確認を求めているところ。また、銀行の破綻はセーフティネットの存在により、預金者全体の負担やさらには公的な負担に結びつく可能性があることに留意する必要がある。」ということで、コンフォートレターようなものが全く同じものができるかどうか、これにつきましては更に法令的に検討していかなければいけないと思っていますが、仮にそういうことが可能である場合であっても、なぜ可能かと、それにつきましてはセーフティネットとか、預金者の負担とか、公的な負担と、そういう点に着目して、今申し上げているような新しい仕組みと申しましょうか、仕掛けができるものかどうか一度検討しなさいと、こういうふうな趣旨でございますので、私どもとしてはむしろいろいろ要件と申しましょうか、制約と申しましょうか、そういうことをかなり報告の中に書き込まれた、書き込んで頂いた、また書き込むことが適切であるというふうに私どもも考え、こういう報告書をまとめて頂いたと、こういう次第でございます。

それから、後半の方で、個別具体の免許申請の審査につきましてご質問頂きましたが、確かに時間がかかっている点もございますが、審査の方は着々と進んでいるところでございまして、ただ、今回の、この銀行さんのお考え、銀行予定者というんでしょうか、免許申請をしておられる、現段階では予備審査でございますが、考え方が大変言わば規模が大きいと申しましょうか、全国のATM等を大変大量に設置して、おそらく関係先もかなりおありになるのではないかと思います。そういう点もございますので言わばそういう諸条件が整うのを今双方努力していると、こういう段階でございまして、何か格別の障害とか、どうこうということではなく、まさに物理的に時間が必要な作業を今鋭意やらせて頂いていると、こういう状況でございます。

問)

株価がかなり下落傾向にあるわけですけれども、この場合、金融機関への影響、株安が金融機関に与える影響はかなり大きいという見方がありますが、次長はどのように見てらっしゃるのか、お聞かせ願えますか。

答)

株価水準とか、株価の方向とかということは当局者は発言を控えると、あるいは株価のことは株価に聞けというんですか、マーケットに聞けということでございますので、ただ、今ご質問頂いた点は銀行経営にどういうふうに影響が出てくるだろうかということでございますので、非常に限られた意味でお答えを申し上げるということになりますが、お答え申し上げると申し上げるものの、よく考えてみますと、各銀行さんが保有している株式が当然あるわけですが、その株式の内訳等も様々でございますので、何と言うんでしょうか、TOPIXとか、日経平均とか、その動きがそのまま言わば各銀行の財務状況に影響を与えるということでないということなんで、なかなか一般論が申し上げにくい、またおそらくいろいろな投資家と同じく銀行も売ったり、買ったりするということがあるということから致しますと、その持っている、保有している株式の内容というのでしょうか、それも極端に言えば、日々変わっていくということになりますので、そういう意味でもなかなか難しいわけでございますが、従いまして、そういうふうに具体的にお答えするというよりは、むしろ私ども常々金融機関の皆さんのお集まりの会合等に呼んで頂いたりして意見交換をしているわけでございますが、そういう席では今後金融機関における時価会計の導入ということを考えますと、保有有価証券の価格変動リスク、これをよくお考え頂き、経営をして頂く必要がある、あるいは当然のことながら、それに伴うところの自己資本の充実が必要であると、こういう点を常々申し上げているところでございますので、今大分TOPIX等が変動しているようでございますので、我々も金融機関の経営に、今申し上げましたような金融機関側におけるいろいろなご努力等を期待しつつ、一方において金融機関の経営の健全性を確保するような努力をして参りたいと、そういうふうにまた一層金融機関の経営者にご努力を頂くように、そういう意見交換の場等があれば、そういう場でお願いするということに相成るのではないかなあと、こんなふうに思っている次第でございます。

問)

今日発表があったんですが、韓国の金融監督委員会と金融庁が金融監督面で協力関係を強化するということで合意したとの発表があったのですが、これに関連して、先週破綻しました関西興銀、東京商銀の破綻処理なども、そういった場では検討課題になるというふうに考えてらっしゃいますか。

答)

本日、今ご質問頂いたプレス・リリースというのを発表させて頂きましたので、内容はご承知かと思いますが、実はもっと早くこういうプレス・リリースにこぎ着けるべく努力してきたわけでございますが、前後致しますが、昨年の10月に日韓閣僚懇談会が開かれました。そこで今後日韓の金融当局間で協力関係を発展させていこうということで約1年間に渡りまして、両監督当局間で共同研究というんでしょうか、(共同研究)をやって参りました。そして、今回このプレス・リリースというものが発表できる段階まで至ったということでございまして、もう少しご説明申し上げますと、日韓で今回こういうふうにプレス・リリースの発表に至ったんで、大変私たち、1年間という時間を頂きましたが、そういうところにこぎ着けたということで良かったと思っているわけでございますけれども、皆様方の中によくご承知の方でアメリカのSEC(証券取引委員会)とか、フランスの監督当局とか、いろいろ私どもの出張者がそういうところに行ったり、あるいは先方さんから担当者が来ているということで時々ご質問を受ける、そういう監督当局間での協力関係がどうなっているかという意味で申し上げますと、まさにそういうところとも協力関係を一層密にしているわけでございますし、また今回そういう意味で日韓もそれに加わると、こういう意味合いでございますので、またバーゼル銀行監督委員会の考え方と致しましては、各国の金融監督当局、相互に情報交換をするとか、意見交換をするとか、そういうことを言わば奨励しているところでございますので、金融監督庁時代もそうでございますが、金融庁が7月に発足して以降、国際的な面の協力関係を一層強化していかなければいけないということで、この分野をやってきているわけでございますので、そういう意味で日韓がもう一つ加わったというふうに位置付けして頂きたいと思います。具体的にどういうことをするか、これはおそらく年に1、2度ハイレベルの定期協議の場を開くとか、そういう形で今後更に具体化していくべきところでございますので、今日のところは、むしろ協力関係を発展していこうという、そういう両金融監督間の意見の合意をみた、そういう趣旨であるというふうにお受け止め頂きたいと思います。

問)

第一回の会合は、来年前半となっていますが、もう少しその例えば今年度中にも出来るとか、そういった見通しみたいなものはございますか。

答)

これは、まだ私報告を受けていませんが、今回プレス・リリースにこぎ着けましたので、双方の間でですね、それなりに話が煮詰まっているというふうに思いますが、私どもは来年1月に中央省庁改革あり、その後、通常国会を予定されていると、また韓国の方におきましても、いろいろそういう私どもと多分同じような事情のスケジュールがあると思いますので、もう少しスケジュールが具体化したところで、努力目標としてはなるべく早くやろうと、こういう趣旨でまとまっているというふうにお受け止め頂きたいと思います。まだ具体的には決まっておりません。

問)

先程の株価の件ですが、現時点では金融システム関係への波及とか、そういったことまでは気にする必要はないということでよろしいでしょうか。

答)

何と申しましょうか、株価というものが常に変動しているところでございますので、変動しているというところに対しては、よく注意深く見守っていくべきでございますが、それぞれの銀行ごとに影響等もまた様々だと思いますので、先程申し上げましたように、言わば株価の指数というのが下がるということと、銀行のポートフォリオとの関係が一対一の関係で、直ちに変動するものではないということから、私ども大変注意深く見守っていきたいと思いますし、見守っていくべきでございますが、今ご質問頂いた趣旨では、お答えは差し控えさせて頂きたいと思います。

問)

ここまで株価が下落してくると、水準は別にして下落しますと、また金融機関の持ち合い株の解消の歯止めをかけなさいという動きが出てくるのではないかと、求める声が高まるのはではないかと予想されるのですけれども、この持ち合い株の解消に関しては、相沢さんがこの間の会合で要請された以降、特にあれ以降、何かお考えはありますか。

答)

今、まさにご質問の中にございましたが、中小企業の年末金融の円滑化ということで、民間金融機関の代表者の方々にお集まり頂いた際に、今ご質問頂いたような点につきまして、相沢委員長自らの言葉でご発言頂いておりまして、私ども現時点でそれに更に付け加えなければいけないというふうに思っておりません。外国人の株式売り等がいろいろ別途、一つのファクターになっているとか、週によってまたなっていないとか、そういう点もいろいろございますので、なかなか何と言うのでしょうか、株式市場の動きについて一般的にお答えするのが大変難しい、週ごとにこの主役が変わったり、いろいろあろうかと思いますので、これ以上は、私どもの立場からお答え申し上げないということでご理解頂ければと思います。

(以上)

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