浜中金融庁次長記者会見の概要

(平成13年1月5日(金)17時02分~17時18分)

【質疑応答】

問)

次長、2年半どうもお疲れ様でございました。最初に2年半を振り返って次長の方からお願いします。

答)

皆様ご案内かと存じますけれども、本日で退官をさせて頂くことになりました。大変皆様にお世話になりまして、まず最初に御礼を申し上げたいと思います。前からこういう機会を設けて頂いて、お話をさせて頂いてきました。特に金融監督庁発足の際に、私ども新たな形で国民の皆さんに皆さんを通じて、金融政策…、金融監督政策と言いましょうか、金融行政と申しましょうか、こういうことにつきまして、国民の皆様の一層のご理解、ご支援を頂きたい、そういうことで私達としましても、かなりの回数にのぼるかと思いますが、記者会見をさせて頂いて、私どもの方からお願い、お話申し上げることもあれば、皆様からご質問を頂き、質疑をするという形で、いろんな形で私たちの新しい政策につきましてのご理解を頂く、ご支援を頂く、こういう機会を設けて頂きまして、やってこれたということにつきまして、大変有り難く思っておりますし、お蔭さまで全国のいろいろな方からお便りを頂いたり、大変有り難く思っている次第でございます。引き続き金融は大変重要な局面に入っているかと思います。2年半前の金融国会で(故)小渕(元)総理が日本初の金融恐慌を起こさないということを公約されまして、私ども、その実現に努力をしてきたというところでございます。例えば大手行で言えば、4つのグループが結成されるなど、新しい方向が少しずつできてきておりますし、今年中には4つのグループが揃って、それぞれ相互に競争し合うと、そういう意味で日本の金融のマーケットが一層コンペティティブになると言うんでしょうか、そういう状況になっていくという方向が明らかだと思いますし、また地銀とか、第二地銀についても申し上げたいんですが、信用金庫、信用組合等につきましても検査をし、いろいろな措置を講じて参りました。業界の皆さんも大変ご努力頂いて、一層金融システムが安定する方向に向かっているかと思います。そういうことで道半ばと言えば、道半ばでございますけれども、それなりの効果が上がってきたと、それはもちろん金融監督庁、金融庁というよりは金融機関の皆さん、そして、その金融機関との取引をされている国民の皆さんのそういう方向へのお力添えと申しましょうか、それがあってのことであり、我々もその一員として、今申し上げたような方向に努力することができたということで、大変有り難く思っている次第であります。とりあえず冒頭に以上申し上げます。

問)

金融監督庁の発足当時、これまでの行政の反省から明確なルールに基づくチェック型行政ということで実行されてきたんですが、金融国会から始めまして、その中でそういった行政の目指すべきもので一番発揮されたケースはどんなものなのか、最後ですので個別具体的なお話も含めて頂くとともに、先程道半ばと仰いましたが、金融システムの安定、まだ完全とは言えないようですが、残された課題についてお願い致します。

答)

言わば一つ一つの出来事が、大変重要な重みのある出来事が連続でございましたので、どれをどうというふうに申し上げるのが大変難しい一方で、今申し上げたことからお分かり頂けるような、大変そういう国民生活、あるいは経済活動にと言うんでしょうか、多大な影響を与えるということの、そういう出来事でございましたので、大変な緊張感を持って、この2年半やらせて頂きましたので、正確にお答えするなら、そのいずれもが大変印象に残っておりますし、どれ一つというよりは、一つ一つが全て重要だったというふうに理解を致しているところでございます。お蔭さまで今さっき金融システムが2年半前の状況に比べるならば、あるいは3年前ぐらいの状況に比べるならば、大分安定してきたということを申し上げましたが、私にお付き合い頂きました皆様であれば、よくお分かり頂けるかと思いますが、金融というのは、言わば信頼、信用でございますので、大変な努力をして築きあげていく、それを維持していくと、そういう意味で道半ばというのは不正確かも分かりません。金融業として、あるいは金融監督政策等に関わるものとして、信用、信頼というものを大変大事にしていくという意味で、ある意味では永遠と申しましょうか、ずっと続けて考えていかなければいけない、そういう大きな課題と申しましょうか、業としての使命と申しましょうか、そういうものがあるんではないかというふうに考えている次第でございます。

問)

次長ご自身、入省された時は想像していらっしゃらない状態だと思いますが、財政と金融の分離という中で、金融庁の方として、財政と金融の分離というのは、行政のあり方としてやって良かったと思われるのかということと、その分離以降、大蔵本省の職務と金融庁の職務とで一番何が変わったと自分でお感じになられますでしょうか。

答)

直接にお答えするのが難しい大きなご質問でございますけれども、財政には当然財政の役割があり、金融には金融の役割があり、昔からやや講学的ではございますけれども、学問としては財政金融政策という大学の講義なんかもあったことが記憶されますので、この二つはそれぞれの役割があると同時に大変共通している課題であるというふうに考えております。一方では金融監督庁、金融庁として、本件をどういうふうに考えるかと申しますと、今ご質問の中にありましたように、透明な、あるいは公正なルールに基づく行政、あるいはアカウンタビリティと言うのでしょうか、そういう問題、あるいは市場の規律というのですか、マーケットメカニズムを用いるという市場のそこから自ずから出てくる規律、あるいは金融機関、金融機関経営者の自己責任、そういうものを金融監督庁発足の時に、そういう方向に進むべきであるということをお話申し上げて、それを実行してきたと。外国の我々の同業の者とよく議論を致しましても、彼らは英語でよくそういう考え方をミッション・ステートメントといういうふうに呼んでいるわけでございます。例えば、イギリスのFSAであれば、同じ様にルールに基づく行政であるとか、幾つかの原則が立てられていると。私たちもそういう意味では、国際的に考えても通用するようなレベルの行政を実現させると、そういうことに些かでも貢献できたかなということは、大変有り難いいいチャンスを頂いたと、こういうふうに思っておりますが、これも先程申し上げた話と同じで、どこかで完成したということではなく、引き続き努力していく邁進していくそういう課題であると、そんなふうに考えている次第でございます。

問)

退官後の第二の人生は、どういう感じで歩まれるのですか。

答)

しばらく休養させて頂きたいと思っております。

問)

再就職先のオファーというのはあるのですか。

答)

いずれそういうことがあると有り難いなとも思っておりますが、現時点においてございません。

問)

全くないのですか。

答)

はい。

問)

先程までの繰り返しになるかもしれませんけれども、今後の金融庁に寄せる期待というのを簡潔に仰って頂けますか。

答)

この2年半はどちらかと言うと、先程ちょっとご紹介致しましたような日本発の金融恐慌という言葉も、ちょっと皆さん少し忘れかけたくらいかなということを考えますと、確か(故)小渕(元)総理が使われた言葉だったかと思いますが、あるいは金融トータルプランですか、そういう議論をしていた頃に出てきた言葉かと思います。いわば集中治療室に入って、治療をしなければいけないような大変難しい時期だったということになるかと思いますが、お陰さまで少しづつ体力が回復してきた。体力が回復してきたということになれば、またそれに応じた診断なり、これからの施策というのでしょうか、新しいものが生まれてくると、そういうふうに考えてみるのがいいんじゃないのかなと、こんなふうに思う次第でございます。そういうことから致しますと、引き続きそれぞれの金融機関が体力を蓄えると申しましょうか、そういう形でマーケットの存在、マーケットの中の一員である金融機関がしっかりして、与信なり受信なりについての活動が、いわば元気のいいものになって、マーケット全体が活性化していくと、こういうふうに持っていくというのがこれからの課題ということになるのではないかなと思います。

問)

昔話になって恐縮ですが、金融国会の最中に、長銀の処理が始まり、まさに国会でも世論でも明快に処理した方が良いという意見と、金融システムの安定という意見と、賛否両論、矛盾された中での行政決断だったかと思いますけれども、そこら辺の決断に至るまでのことは次長のご決断で、その思いとか悩みとかございましたでしょうか。

答)

確かに今個別の銀行の名前が出ましたが、その銀行の生い立ちとか、国民経済の中での働きということを考えますと、大変胸が痛むと申しましょうか、重要な役割を果たしてきた金融機関であれば尚更のこと、そういう思いが強いわけでございますが、今お話頂いた点で大変重要だと思っておりますのは、個別のケースということでございますが、その中で今、システミックリスクのご指摘を頂いたわけでございます。一つ一つの出来事がシステム全体にどういうふうに波及していくかというところが、まさに重要なポイントでございまして、どういうケースであれ、どのケースも皆同じ様にそういう問題を抱えていると、小さな金融機関、規模が大きい場合であっても、おそらくその地域社会に与える影響は大きいと、こういうふうに考えてみると、その一つ一つがシステミックリスクにつながらないように、どういうふうに考えいくかとそういうことがやはり重要だということは、今お挙げになりました個別ケースを通じても痛感を致したところでございます。

問)

お疲れ様でございました。

答)

どうも大変お世話になりました。

(以上)

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