保険業法の一部を改正する法律案要綱

最近における保険業を取り巻く経済社会情勢の変化に対応し、保険業に対する信頼性を維持するため、生命保険契約者保護のための資金援助制度の整備を行うとともに、保険会社の経営手段の多様化等を図るため、保険相互会社への委員会等設置会社制度の導入、保険会社の業務範囲の見直しその他所要の措置を講ずる必要があるため、次により保険業法の一部を改正することとする。

  • 生命保険契約者保護のための資金援助制度

    政府は、生命保険契約者保護機構が、平成15年4月1日から平成18年3月31日までに業務及び財産の管理を命ずる処分等を受けた会員に係る資金援助等に要した費用を、当該生命保険契約者保護機構の会員が納付する負担金のみで賄うとしたならば、会員の財務の状況を著しく悪化させることにより保険業に対する信頼性の維持が困難となり、ひいては国民生活又は金融市場に不測の混乱を生じさせるおそれがあると認める場合には、予算で定める金額の範囲内において、当該生命保険契約者保護機構に対し、補助することができる旨の規定を設けるとともに、利益が生じた場合における国庫への納付についての規定を設けることとする。 (保険業法附則第1条の2の13、第1条の2の14関係)
  • 経営手段の多様化のための措置等

    • 1. 委員会等設置相互会社等

      • (1)委員会等設置相互会社

        株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(以下「商法特例法」という。)における委員会等設置会社についての規定を準用すること等により、社外取締役等からなる三委員会(指名委員会、監査委員会及び報酬委員会)及び業務執行を担当する執行役を置く委員会等設置相互会社についての規定を設けることとする。

        (保険業法第52条の3~第52条の6関係)

      • (2)重要財産委員会

        商法特例法における重要財産委員会についての規定を準用すること等により、重要な財産の処分等を決定する重要財産委員会についての規定を設けることとする。

        (保険業法第52条の2関係)

    • 2. 相互会社の株式会社への組織変更

      • (1)基金の償却

        相互会社が組織変更に際して組織変更後の株式会社の増資を行う場合、基金に係る債権が現物出資の目的として給付された場合におけるその給付された額については、基金の償却をする必要がないこととする。

        (保険業法第88条関係)

      • (2)新会社の資本及び取締役等のてん補責任

        組織変更時における組織変更後の株式会社に現に存する純資産額が、社員に割り当てた組織変更後の株式会社の株式の発行価額の総額に不足する場合、組織変更の決議の当時の相互会社の取締役等が組織変更後の株式会社に対し連帯してその不足額を支払う義務は、株主総会の特別決議がある場合に限り、免除することができることとする。

        (保険業法第90条関係)

      • (3)組織変更時の株式の発行

        相互会社が組織変更に際して組織変更後の株式会社の増資を行う場合、商法の会社設立の規定に代えて、新株の発行に関する規定を準用することとする。

        (保険業法第92条の2関係)

      • (4)株式交換等に際して発行する完全親会社の株式の割当て

        相互会社が組織変更に際して組織変更後の株式会社の増資とともに株式交換又は株式移転(以下「株式交換等」という。)を行う場合、当該増資に係る払込み又は現物出資の給付をした株式の引受人は、完全親会社が当該株式交換等に際して発行する株式の割当てを受けることとする。

        (保険業法第92条の6、第92条の7、第92条の9関係)

    • 3. 付随業務の範囲

      保険会社の付随業務について、他の金融業を行う者の業務の代理又は事務の代行(内閣府令で定めるものに限る。)を行うことができることとする。

      (保険業法第98条関係)

    • 4. 中間業務報告書

      保険会社は、業務及び財産の状況を記載した中間業務報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならないこととするとともに、当該保険会社が子会社等を有する場合には、当該保険会社及び当該子会社等の業務及び財産の状況を連結した中間業務報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならないこととする。

      (保険業法第110条関係)

    • 5. 生命保険募集人の登録等

      • (1)生命保険募集人及び損害保険代理店の登録を受けようとする者が提出する登録申請書の記載事項について、「住所」を「生年月日」に変更することとする。

        (保険業法第277条関係)

      • (2)損害保険代理店及び保険仲立人がその役員又は使用人に保険募集を行わせようとするときに届け出る事項について、「住所」を「生年月日」に変更することとする。

        (保険業法第302条関係)

  • 罰則

    所要の罰則規定の整備を行うこととする。

    (保険業法第322条~第334条関係)

  • その他

    • 1. 施行期日

      この法律は、公布の日から起算して1月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、上記二5.は、平成15年9月1日から施行する。

    • 2. 経過措置等
      • (1)経過措置に関する規定を設けることとする。

      • (2)その他所要の規定の整備を行うこととする。

    • 3. 検討

      政府は、この法律の施行後3年以内に、保険契約者等の保護のための特別の措置等に係る制度等の実施状況、保険会社の経営の健全性の状況等を勘案し、この法律による改正後の保険契約者等の保護のための制度について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて保険業に対する信頼性の維持を図るために必要な措置を講ずるものとする。

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