広報コーナー 第20号
 
 
〈平成14年度新規採用者入庁式の模様4月1日(月)〉

 4月1日、金融庁では、26名のフレッシュな新職員を迎え入庁式が行われた。長官から採用者一人ひとりに辞令が交付され、採用者代表から力強い宣誓書の読み上げが行われた。その後、長官から(a)社会人としての自覚を持つこと、(b)金融のプロとして自分が担当する分野に精通すること、(c)金融庁という組織の一員であることを自覚すること、(d)豊かな人間性と優れた人格を持つように心がけることなど、ご自身の経験を踏まえた訓示が行われた。
 新規採用者は、それぞれの研修を受けた後、各部署において、金融システムの安定化に向けた力を発揮してもらうことになる。

 
<ペイオフ解禁について>

 従来、臨時異例の措置として、預金等全額保護の特例措置が講じられてきたが、4月1日、預金保険の適用が流動性預金を除き原則に戻り、元本1,000万円までとその利息に移行する、いわゆるペイオフ解禁を迎えることとなった。
 柳澤大臣は記者会見を行い、預金者に改めて十分な理解を求めるとともに新しい制度下での関係者の心構えについて談話を発表した。
 談話の中で、金融庁の検査・監督と金融機関の経営努力の結果、各金融機関は健全性の基準を満たした財務状況で本日を迎えた旨の認識を示し、預金者は自らの判断と責任において、金融機関を選択することとなる一方、金融機関は預金者の信頼を得られるよう一層真剣に経営に取り組む必要があり、その意味で、金融機関の経営者の責務は重大であり、経営者の一層の奮起を促したいと呼びかけた。
 また、金融庁としても、適切な監督等を行うことを通じ、日本銀行と緊密に連携しながら、金融システムの安定の確保に万全を期すとともに、今後、万一、金融危機のおそれがあると判断される場合には、法令に基づき資本増強を含むあらゆる措置を講ずる旨表明した。
 談話は以下のとおり
平成14年4月1日
金融担当大臣談話
−−ペイオフ解禁について−−


.新年度の始まりに当たる本日から、預金保険の適用が、流動性預金を除き原則に戻り、元本1,000万円までとその利息に移行する(いわゆるペイオフ解禁)。ペイオフ解禁は、構造改革のための重要な政策として行われるものであり、預金者、金融機関、そして金融行政にとって、新たな時代への出発点となる。


.平成8年度から平成12年度までの5年の間、金融危機対応のための臨時異例の措置として、預金等全額保護の特例措置が講じられた。当該措置は、12年4月の都道府県所管の協同組織金融機関の国への移管を考慮して、13年度も継続された。
 金融行政においては、この間、
 
 ・ 金融機関の経営・財務状況に関するディスクロージャーの充実
 ・ 金融危機対応のための恒久的なセーフティネットの整備(14年度で15兆円の政府保証枠を用意)
 ・ ペイオフ解禁についての預金者への積極的な広報の推進
等、ペイオフ解禁に向けた環境整備を進めてきた。


.これまで、金融庁においては、金融システムの安定性が損われることがないよう、的確な検査・監督を通じ金融機関の健全性の確保に努めるとともに、各金融機関においても各般の経営改善努力が行われてきた。これらの結果、各金融機関は健全性の基準を満たした財務状況をもって本日を迎えたところである。


.ペイオフ解禁に伴い、預金者は自らの判断と責任において金融機関を選択することとなる一方、金融機関は、そうした預金者の信頼を得られるよう、緊張感をもって一層真剣に経営に取り組む必要がある。その意味で、金融機関の経営者の責務は重大であり、経営者の一層の奮起を促したい。
 金融庁としても、引き続き、金融機関に対し、的確な検査を実施するとともに、必要に応じ早期是正措置を機動的に発動するなど適切な監督等を行うことを通じ、日本銀行とも緊密に連携しつつ、金融システムの安定の確保に万全を期す考えである。


.なお、今後、万一、金融危機のおそれがあると判断される場合には、法令に基づき資本増強を含むあらゆる措置を講じる考えである。
以上

 
<銀行等における保険商品の窓口販売について>


.はじめに
 銀行等(全ての預金受入金融機関。以下同じ。)における保険商品の窓口販売(以下、「窓販」という。)は、平成9年の保険審議会報告、平成12年の保険業法改正を受けて、昨年(平成13年)4月1日から、住宅ローン関連の長期火災保険・債務返済支援保険・信用生命保険(住宅ローン関連の信用生命保険については、窓販を行う銀行等の子会社・兄弟会社である保険会社の商品に限定。)、海外旅行傷害保険について実施されている。
 昨年4月の窓販解禁時において、窓販の対象商品の拡大等については、窓販の実施状況をみながら更に検討を行い、平成13年度中に改めて結論を得ることとされていたところである。今回、窓販の実施状況等を踏まえ検討を行った結果、銀行等における保険商品の窓口販売について、以下の措置を行うこととした。


.具体的内容
 
(1)  対象商品の拡大等
 今回の見直しに当たっては、利用者利便の向上と販売チャネル間の競争促進の観点から、できるだけ幅広く対象商品を拡大するとの基本姿勢に立ちつつ、それに加え、銀行等の影響力を行使した販売などに伴う契約者保護上の問題等に留意して検討したところ、以下の商品を窓販の対象商品に加えることとした。
 
 
今回窓販の対象に加える商品
 
生保: 個人年金保険(定額、変額とも)、財形保険
損保: 年金払積立傷害保険、財形傷害保険

 上記に加え、既に解禁されている住宅ローン関連の信用生命保険については、現在、窓販を行う銀行等の子会社・兄弟会社である生命保険会社の商品に限定されているが、この規制を撤廃することとした。
 また、既に解禁されている住宅ローン関連の長期火災保険・債務返済支援保険・信用生命保険については、その対象物件が専用住宅であるものに限られているが、これに店舗併用住宅を加えることとした。

(2)

 弊害防止措置等の充実
 
 弊害防止措置について
 昨年4月の窓販解禁に当たって、保険契約者保護の観点から、(a)抱き合わせ販売その他の影響力を行使した販売の禁止、(b)顧客の非公開情報の流用防止措置、(c)預金等との誤認防止措置の3点についての規定を整備したところである。
 今回の見直しに当たり、銀行等の影響力を用いた募集の問題等が引き続き強く指摘されていることを踏まえ、上記(a)の措置の実効性を高めるために、銀行等が保険商品を販売する際に、保険商品を購入しないことが他の取引に影響を及ぼさないことについて、顧客に対して説明することを義務付けることとする。
 それに加え、上記(c)の措置と関連し、今回変額個人年金保険が解禁されることに対応して、銀行等が変額個人年金保険を販売する際に、「融資を受けて保険料に充てた場合、当該商品が元本割れすると、借入金だけが残るおそれがある」ことについて、顧客に対して説明することを義務付けることとする。
 また、銀行等が住宅ローン関連の信用生命保険を販売する際に、住宅ローンの返済に困ったときの相談窓口(当該銀行等の内部及び外部の相談窓口)について、顧客に対して説明することを義務付けることとする。
 さらに、窓販を行う銀行等においては、銀行等の内部において、保険募集に関してマニュアルを策定して研修を実施するとともに内部検査を行うなど、適切な保険募集体制を整えることを求めることとする。
 トラブル処理体制整備
 銀行等による窓販を通じてトラブルが発生した場合に、現在のところ、銀行等は生損保協会の紛争処理の場への参加が任意となっているが、その参加の義務付けを図ることとする。


.実施時期
 所定の手続きを経た後、平成14年10月1日からの実施を予定している。

 
銀行等における保険商品の窓口販売について(14年3月19日金融審議会金融分科会第二部会資料)
金融審議会金融分科会第二部会(第10回)議事要旨(平成14年3月19日開催)

 
<主な出来事>(3月)
     
1日(金) 株式会社イトーヨーカ堂及び株式会社セブン−イレブン・ジャパンの産業活力再生特別措置法に基づく事業再構築計画の変更認可
石岡信用金庫及び大分商銀信用組合に対する金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分
4日(月) 小樽商工信用組合に係る管理を命ずる処分の取消し
日本型金融システムと行政の将来ビジョン懇話会開催(第6回)
5日(火) 「承継銀行の設立決定」を発表
「担保附社債信託法施行細則等の一部を改正する内閣府令案」等(「銀行法等の一部を改正する法律」及び「商法等の一部を改正する法律」の施行に伴う金融関係府省令の整備等)の公表(パブリックコメント)
外国損害保険会社への免許
6日(水) 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令案」の公表(パブリックコメント)
7日(木) 年度末金融の円滑化に関する意見交換会開催
学生のための霞ヶ関探訪実施
8日(金) 「中部銀行について」金融担当大臣談話を公表
「中部銀行の検査結果」を公表
企業会計審議会第二部会開催(第26回)
11日(月) 金融税制に関する研究会開催(平成14年第2回)
12日(火) 「社債等登録法施行令等の一部を改正する政令案」に対するパブリックコメントの結果公表
13日(水) 顧問会議開催(第24回)
15日(金) 事務ガイドライン(第一分冊:預金取扱い金融機関関係)の一部改正
「タリバーン関係者等と関連すると疑われる取引の届出について(追加要請その6)」の発出
神奈川県青果信用組合に対する管理の終了期限の延長
暁信用組合に対する金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分
18日(月) 新潟商銀信用組合、沖縄信用金庫、春江信用組合、常滑信用組合及び中津川信用組合に係る管理を命ずる処分の取消し
19日(火) (株)日本承継銀行への銀行業の免許
金融審議会金融分科会第二部会開催(第10回)
20日(水) クレディスイスファーストボストン証券会社東京支店に対する行政処分
岡三証券株式会社に対する行政処分
KBC証券会社東京支店に対する行政処分
メリルリンチ日本証券株式会社に対する行政処分
22日(金) みずほHDの経営健全化計画の見直しを公表
25日(月) 銀行持株会社(株式会社九州親和ホールディングス)の設立認可
「保険業法施行規則等の一部を改正する内閣府令案」に対するパブリックコメントの結果公表
神奈川県青果信用組合、大阪第一信用金庫、関西西宮信用金庫、中津信用金庫、佐賀関信用金庫、せいか信用組合及び大日光信用組合に係る管理を命ずる処分の取消し
事務ガイドライン(「金融監督に当たっての留意事項について(第二分冊:保険会社関係」)の一部改正
26日(火) 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令案」に対するパブリックコメントの結果公表
27日(水) 保険持株会社((株)ミレアホールディングス)の設立認可
東京海上火災保険株式会社及び日動火災海上保険株式会社の産業活力再生特別措置法に基づく事業再構築計画の認定
安田火災海上保険株式会社及び第一ライフ損害保険株式会社の産業活力再生特別措置法に基づく事業再構築計画の認定
金融トラブル連絡調整協議会開催(第11回)
28日(木) 「担保附社債信託法施行細則等の一部を改正する内閣府令案」に対するパブリックコメントの結果公表
「短期社債等の振替に関する法律の施行に伴う企業内容等の開示に関する内閣府令及び証券取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令の一部を改正する命令案」に対するパブリックコメントの結果公表
企業会計審議会第二部会開催(第27回)
顧問会議開催(第25回)
株式会社日本承継銀行が株式会社石川銀行及び株式会社中部銀行の営業の譲受け等を行うべき旨の決定
名古屋証券取引所の組織変更の認可
29日(金) 企業会計審議会固定資産部会開催(第21回)
企業会計審議会第一部会開催(第18回)
投資一任契約に係る業務の認可
公認会計士の懲戒処分の公表
株式会社親和銀行及び株式会社九州銀行の産業活力再生特別措置法に基づく事業再構築計画の認定
「証券会社の行為規制等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」の公表(パブリックコメント)


 
参考資料
ペイオフ凍結期間中(平成8年6月〜平成14年3月末)の破綻金融機関