広報コーナー 第23号
     
 
 森前長官・高木新長官会見〈平成14年7月12日(金)〉
 
<人事異動について>

 去る7月12日、金融庁幹部の人事異動があり、森昭治前長官が退任し、監督局長から高木祥吉新長官が就任しました。
 新旧長官の記者会見において、森前長官から「金融再生委員会事務局長に就任してから一日も心休まることなく、懸命に仕事をやってきました。金融危機は乗り越えても、まだ盤石とまでは来ておりません。また、4月1日にペイオフが一部解禁され、金融機関においては収益力強化の正念場を迎えており、今回の異動で人心を一新し組織の活性化を図り、高木新長官の下で金融庁が求心力をもって金融行政を進めていくことを信じています。長い間ありがとうございました。」と3年半を思い出しながら退任に当たっての挨拶がありました。
 引き続き挨拶をした高木新長官は、「『FSAの精神』、フォワードルッキング(Forward-looking)、スピーディー(Speedy)、アグレッシブ(Aggressive)、にいろいろな課題に対して前向きで積極的に、また迅速に、更に果敢に取り組んでいきたいと考えております。また、森前長官からも話がありましたが、今回の人事異動を契機に、大臣と一体となって「新しい金融庁」という気持ちで金融分野の構造改革に取り組んでいきたいと考えております。」と就任に当たっての決意を述べました。

金融庁幹部(7月12日発令、局長以上)
 長  官   高木 祥吉
 総務企画局長 藤原 隆
 検査局長 佐藤 隆文
 監督局長 五味 廣文
 証券取引等監視委員会事務局長

 
新原 芳明
<地域金融機関を中心とした合併等を促進する施策について>


.はじめに
 金融庁では、4月12日に発表した「より強固な金融システムの構築に向けて」において、今後の我が国金融システムをより強固なものとするため、主として地域金融機関を念頭において、合併促進を中心とした施策を早急に検討することを発表し、その後検討を進めて参りました。
 今般、検討状況の中間的な取りまとめとして7月10日に「地域金融機関を中心とした合併等を促進する施策について」を発表し、施策の基本的考え方や枠組みを示しました。


.基本的考え方
 
(1)  我が国の金融機関においては、依然として厳しい経済環境の下で、預金者の信頼を得るため、中長期的な財務の健全性がより確かなものとなるよう、更なる収益性の向上に対して真摯に取り組むことが重要な経営課題となっています。
(2)  このような状況の下、近年進みつつある金融機関の合併等による組織再編は、選択と集中のための経営資源の再配分等の契機となり得るものであり、収益性・健全性の更なる強化等を図るための有力な手段となるものです。
(3)  こうした点を踏まえ、組織再編によるメリットを追求し得る余地が大きいと考えられる地域金融機関を中心として、合併等を支援する施策を講ずることとしました。
(4)  本施策を通じた収益性・健全性の更なる強化は、金融システムをより強固なものとしていくとともに、リスクテイク能力の充実等を通じた中小企業金融等における融資機会の拡大にもつながり得るものであり、ひいては実体経済の活性化に結びついていくことも期待されます。


.施策の枠組み
 上記の基本的な認識の下、各金融機関が将来を展望してそれぞれの経営戦略を定めるに当たって、合併等が一つの有力な選択肢となり、ひいては地域経済の活性化につながるような環境条件を整備するため、以下のような具体的な政策対応を行うこととしました。
 

(注

)合併等とは、合併の他、営業(事業)譲渡、子会社化、持株会社を通じたグループ化等も含むものとしています。
 

(1)

 合併等の円滑化のための環境整備
 合併等を進めるに当たっての制度的な制約となっている事項(法令上の手続等)について、規制緩和の観点から見直すこと等としています。

(2)

 収益性・健全性の強化を通じ金融システムをより強固なものとするための施策
 時限的な特例措置として、(1)システム統合など、合併等に際してのコストを軽減するための方策、(2)経営戦略の実現に必要な自己資本の充実のための方策について検討することとしています。
 ただし、収益性・健全性の更なる強化を目指した自助努力を前提とし、支援措置の内容に応じ、合併等を行う金融機関が経営状態の向上等に対してコミットメントを行うことを要件とする方向で検討することを基本とします。

(3)

 その他
 合併等の趣旨が預金の移動により損なわれることのないよう、預金保険上の経過措置について検討することとしています。


.今後の取り進め方
 以上の素案を基に、今後、関係各方面のご意見を踏まえ、地域金融機関を中心とした合併等を促進する施策についての成案を取りまとめることとしています。


【参考資料】
 
「より強固な金融システムの構築に向けた施策」(平成14年4月12日)
「地域金融機関を中心とした合併等を促進する施策について」(平成14年7月10日)

 
<「日本型金融システムと行政の将来ビジョン懇話会」報告書について>


.懇話会設置の趣旨
 「日本型金融システムと行政の将来ビジョン懇話会」は、不良債権処理をはじめ、現下の喫緊の課題につき広範な意見交換を行い、その上で幅広い視点から中長期的に、今後日本の金融システムが国民生活や企業経営において果たすべき役割等につき、包括的な将来像を展望し、併せて、こうした将来像の下で、金融・資本市場行政が国民ニーズにどう的確に対応していくべきかを検討するとの趣旨で、柳澤金融担当大臣の私的懇話会として設置されました。


.開催状況
 
  第1回(平成13年10月1日) 柳澤大臣より設置の趣旨及び問題意識の披瀝、自由討議
第2回(平成13年10月24日) 中島委員レポート(不良債権問題について)
川本委員レポート(銀行経営自立のための収益力強化の方向性)
第3回(平成13年11月19日) 淵田委員レポート(わが国金融の構造改革と将来ビジョン)
吉野委員レポート(郵貯・財投改革と日本の金融システム)
第4回(平成13年12月14日) 山上委員レポート(日本とアジア諸国の相互依存の深化と『日本型金融システム』の在り方)
川北委員レポート(専門性の高い金融仲介機能の確立のために)
第5回(平成14年2月4日) 刈屋委員レポート(金融システムのあり方への視点−機能的アプローチ)
論点整理
第6回(平成14年3月4日) 堺屋委員レポート(時代は変わった)
第7回(平成14年4月3日) 米国における金融サービスアクセス方策について
金融行政組織について
第8回(平成14年5月20日) 証券市場改革と今後の課題について
将来ビジョンの骨子案について
第9回(平成14年6月20日) 将来ビジョン(案)について
第10回(平成14年7月3日) 将来ビジョン(案)について


.懇話会報告書のとりまとめと今後の対応
 これまでの会合で各委員から出された意見等に基づき、懇話会としての報告書を7月12日に公表しました。また、去る6月25日に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」においては、金融の将来像を展望する観点から、「中期ビジョン」のとりまとめについて盛り込まれたところであり、今後、懇話会の報告を基礎として、金融審議会に諮りつつ、金融庁として「中期ビジョン」を早急にとりまとめることを予定しています。

・金融システムと行政の将来ビジョン(サマリー)
 
〈蝋山座長から柳澤大臣へ報告書を手交〉

 
<主な出来事>(6月)
     
3日(月) 「平成13年度金融庁公益法人に対する立入検査の実施状況について」の公表
「金融庁ホームページ新着情報メール配信サービス」の開始
長島信用金庫に係る管理を命ずる処分の取消し
「上場会社等の役員及び主要株主の当該上場会社等の特定有価証券等の売買に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)」に対するパブリック・コメントの結果の公表
7日(金) 東京中央信用組合に対する管理の終了期限の延長
10日(月) 相互信用金庫、佐伯信用金庫並びに東京富士信用組合に係る管理を命ずる処分の取消し
11日(火) 大同ライフ投信株式会社及び株式会社インスパイア投資顧問に対する投資一任契約に係る業務の認可
14日(金) 「証券取引法第百六十一条の二に規定する取引及びその保証金に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)の概要」に対するパブリック・コメントの結果の公表
ドレスナー・クラインオート・ワッサースタイン証券会社東京支店に対する行政処分
東京信用組合に対する管理の終了期限の延長
「金融庁ニュースレター」の創刊
17日(月) コスモ証券株式会社に対する行政処分
船橋信用金庫、宮城県中央信用組合、都民信用組合、池袋信用組合、紀南信用組合並びに関西興銀に関する管理を命ずる処分の取消し
金融トラブル連絡調整協議会開催(第14回)
金融トラブル連絡調整協議会の今後の取組みの公表
18日(火) イー・トレード証券株式会社に対する行政処分
19日(水) みずほフィナンシャル・グループに対する行政処分(みずほホールディングス、みずほ銀行、みずほコーポレート銀行)
20日(木) 日本型金融システムと行政の将来ビジョン懇話会開催(第9回)
21日(金) 金融早分かりQ&Aに「主要行の14年3月期決算ついて」を追加
「投資信託委託業者・投資顧問業者に係る検査マニュアル(案)」に対するご意見等の公表
「保険業法施行規則及び銀行法施行規則等の一部を改正する内閣府令等(案)」の公表(パブリック・コメント)
「投資信託委託業者・投資法人・投資顧問業者に係る検査マニュアル」通達の発出
24日(月) 馬頭信用組合、小川信用組合、黒磯信用組合、栃木中央信用組合並びに千葉商銀信用組合に係る管理を命ずる処分の取消し
25日(火) 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」(「基本方針第2弾」)(金融庁関連部分)の公表
26日(水) 「金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律施行令案」「金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律施行規則案」の公表(パブリック・コメント)
金融早分かりQ&Aに「金融商品販売法の概要」を追加
27日(木) バークレイズ・キャピタル証券会社東京支店に対する行政処分
28日(金) 「金融検査マニュアル別冊・中小企業融資編等の作成、整備について」に対する意見等の公表
金融税制に関する研究会「今後の金融税制のあり方について」の取りまとめの公表
ミンゲッティ・フィナンツィアーリア・エッセ・ピー・ア東京支店に対する銀行業の営業免許
アールエス・アセット・マネジメント株式会社に対する投資信託委託業者の認可