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平成19年8月10日
金融庁

平成19検査事務年度検査基本方針及び検査基本計画について

金融庁では、「平成19検査事務年度検査基本方針及び検査基本計画」を別紙のとおり策定しましたので公表いたします。

お問い合わせ先

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
検査局総務課(内線2535、2533)


平成19年8月10日
金融庁

平成19検査事務年度検査基本方針及び検査基本計画

I  検査基本方針

金融庁においては、利用者満足度が高く、地域経済に貢献し、国際的にも魅力のある金融・資本市場の実現とともに、透明で信頼される金融行政の確立を目指している。検査においてはこれらを念頭に、「金融検査に関する基本指針」の適切な運用等により、金融機関との双方向の議論を重視して検査を行うほか、改訂金融検査マニュアル及び金融検査評定制度の定着に努めているところである。

平成19検査事務年度においては、金融商品取引法の施行やバーゼルIIの実施等の規制環境の変化、金融商品や取引の高度化・複雑化、販売チャネルの拡大といった金融環境の変化に留意しつつ、金融機関の業務の健全かつ適切な運営を確保するとともに、よりレベルの高い内部管理態勢の構築に資するよう、以下の基本方針に基づき適正かつ実効性ある検査の実施に努めることとする。

  • 検査運営の基本的考え方

    • (1)銀行法等が求める金融機関の業務の健全性及び適切性を確保する観点から、本年2月に全面改訂された金融検査マニュアルをはじめとする各種マニュアルを適正に運用し、各金融機関の経営管理(ガバナンス)態勢、法令等遵守態勢、顧客保護等管理態勢、各種リスク管理態勢の的確な検証に努める。

    • (2)個々の金融機関の業務、リスク特性、財務内容、内部監査の有効性等に加え、内外の金融動向等を十分分析し、検証範囲、投入人員等に一層のメリハリをつけるなど、重点的・機動的な検査を推進する。

    • (3)金融機関の自主的・持続的な経営改善に向けての取組みを促進する観点から、来年1月に全面的な本格施行となる金融検査評定制度について、その趣旨・目的に沿った運用となるよう、適切な評価の確保等に引き続き取組む。

    • (4)金融検査の透明性、予測可能性を向上させるため、「改訂金融検査マニュアルに関するFAQ」「金融検査指摘事例集」の公表等の各種施策を充実する。また、オンサイト検査モニターを希望制から原則全件実施に改めるなど、金融機関との間の率直な意思疎通を図る。

    • (5)検査の実効性・有効性を高めるため、検査部局と監督部局、金融庁と財務局との間の緊密な連携を図るとともに、専門的・実践的な研修やe-ラーニング等を通じて検査能力の一層の向上に努める。

  • 検査重点事項

    金融機関を取り巻く現下の情勢にかんがみ、以下の事項を重点として検査を行う。

    特に、金融環境が変化する中、個々の金融機関は全体の収益目標及びそれに向けたリスクテイクや人的・物的資源配分の戦略等を明確にした戦略目標を定めることが強く求められている。そして、この戦略目標を踏まえ、主体的かつ個性的なリスク管理を行うことが求められる。

    このため、金融機関の経営陣においては、一層自らの経営管理(ガバナンス)態勢の整備を図る必要があるが、検査においても、法令等遵守態勢及びリスクカテゴリー毎の主体的な内部管理態勢の整備状況に配意するとともに、金融機関全体を貫く経営管理(ガバナンス)態勢が有効に機能しているかという点に重点を置いて検証する。

    • (1)リスク特性及び金融環境の変化を踏まえたリスク管理態勢等の構築

      伝統的なコーポレートファイナンスが減少する一方で、プロジェクトファイナンスやファンド向け融資に代表される多様な形態での貸出が増加するとともに、持ち直しの動きはあるものの引き続き預貸率が伸び悩む中で、多様な形態での有価証券等の運用が増加している。これらの金融環境の変化を踏まえ、金融商品・取引の実態やリスク特性を十分に分析・把握した上で、統合的なリスク管理態勢を始め、適切なリスク管理態勢等を整備・構築することが重要である点にかんがみ、以下の点を検証する。

      • 貸出形態の複雑化等を踏まえた態勢の整備

        リスクテイク能力の回復を背景に、各金融機関はプロジェクトファイナンス、M&Aファイナンス、不動産ファンド等のファンド向け融資や特別目的会社(SPC)を活用した複雑な形態による貸出等を増加させている。こうした新しい形態の貸出のリスク特性は多様かつ複雑なものとなっているため、個々のプロジェクトや取引の特性を十分に踏まえた適切な審査態勢及びリスク管理態勢が整備されているかについて検証する。

        また、近年、貸出全体に占める割合が増加している住宅ローンについては、金融機関自らが保有するポートフォリオの構成及び金利動向を踏まえたリスク管理を行っているかという点にも配意して検証する。

      • 運用商品の多様化等を踏まえた態勢の整備

        各金融機関は有価証券等による運用を増加させているが、国債、社債、上場株式等の伝統的な商品に加えて、住宅ローン担保証券(RMBS)等の証券化商品、仕組債、各種ファンド持分やクレジットデリバティブ商品等への投資を増加させている。

        このような証券化商品等はグローバルに絡み合う様々なリスク要因を内包しており、国内のみならず海外の金融市場等の変動により、投資を行った金融機関の経営に影響を及ぼす可能性があるものである。こうした観点から、運用に際し、金融機関自身が個々の商品・取引の特性を十分把握し、商品性に応じた適切な会計処理及びリスク量の把握等を行うことができる態勢を構築しているか、資産負債管理(ALM)の整備状況も含め検証する。

      • 業務委託先の適切な管理

        金融機関の業務の外部委託の増加や委託業務の多様化を踏まえ、委託業務のモニタリング態勢など委託業務に係る管理態勢について、必要に応じ業務委託先に対する検査を実施し検証する。

    • (2)実効性のある利用者保護の実現

      金融商品取引法の施行により、適合性原則等の利用者保護に関する法規制の枠組みが強化され、各金融機関においては、より実効性のある顧客保護等管理態勢が求められることとなる。また、販売チャネルの拡大・複線化に伴い、利用者保護への取組みについては、商品開発から販売後の事後処理までを一連のものとして捉えた上で機能するものとなっていることが重要である。こうした観点から、改訂金融検査マニュアル及び保険検査マニュアルにおける顧客保護等管理態勢のチェックリストに沿って、金融機関が実効性ある利用者保護の実現に向けた主体的な内部管理態勢を構築しているかについて検証する。なお、その際には、検査情報受付窓口及び金融サービス利用者相談室に寄せられた情報を引き続き積極的に分析し、活用する。

      • 説明責任の履行に向けた態勢の整備

        仕組預金、変額年金保険商品及び投資信託商品等のリスク商品の一般個人預貯金者等への販売が拡大していることを踏まえ、顧客が各種金融商品の有する様々なリスクを理解した上で取引できるような顧客への説明態勢が構築されているか検証する。また、先端金融技術を組み合わせた貸出商品や私募債引受等、伝統的な貸出とはリスク内容の異なる信用供与が増加していることを踏まえ、貸出先等に対する優越的地位を利用し不利益を与えるような取引を防止する態勢が構築されているかなどについて検証する。

        また、金融機関の一定のリスク情報が利用者に提供されることは、市場規律の確保、利用者保護の観点から重要であることにかんがみ、金融機関の情報開示(ディスクロージャー)の適切性について検証する。

      • 相談・苦情等への対応

        相談・苦情等への対応が不十分である事例が依然数多く見られる現状を踏まえ、顧客対応や経営陣等への報告が適時・適切に行われているか、また、相談・苦情等の原因・背景の十分な分析や再発防止のための検討・対応が迅速かつ適切になされているかなど、相談・苦情等への対応の適切性について検証する。

      • 金融取引の安全確保への取組み

        近年ATMシステムを巡る犯罪が多発するとともに、インターネットバンキングに関連する金融犯罪も発生していることを踏まえ、各金融機関の業務特性に応じ、ATMシステムやインターネットバンキングを不正に利用した金融犯罪に対する情報セキュリティ対策の向上に向けた態勢整備の状況について検証する。

    • (3)金融取引のグローバル化への適切な対処

      • コングロマリット及び国際化への対応

        金融のコングロマリット化に対応し、必要に応じ証券取引等監視委員会とも連携し、グループレベルでの統合的なリスク管理態勢について検証する。また、海外における業務が活発化している現状を踏まえ、国際業務統括部門による海外営業拠点の管理態勢の適切性等について検証することとし、その際、海外当局、特にアジアの当局との連携をこれまで以上に強化する。

      • 反マネーローンダリングへの適切な取組み

        金融機関の反マネーローンダリングへの取組みの徹底が国際的にも重要な課題となっている中で、国内拠点における態勢の整備状況及び海外拠点における反マネーローンダリングへの取組みに関する国際業務統括部門の管理態勢について検証する。また、本人確認を要する対象の拡大や犯罪収益移転防止法の施行等規制環境の変化への対応が適切になされているかといった観点からも検証する。

    • (4)地域金融を巡る構造の変化への対応

      地域金融を巡る構造が大きく変化していく中、地域経済の活性化・地域再生のために、地域金融機関の果たす役割が一層期待されることにかんがみ、環境変化に的確に対応し、各地域金融機関において適切なリスク管理態勢の構築等が行われているかについて検証する。

      • 中小企業等の事業再生や地域再生への取組み

        地域金融機関が中小企業の事業再生をはじめとする地域密着型金融に積極的に取組むことが、地域再生にとって極めて重要であることから、引き続き金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕を踏まえ、地域金融機関が中小企業等と密度の高いコミュニケーションを通じて、その経営実態を適切に把握することなどにより、適切な信用リスク管理態勢の構築につながるような自主的かつ持続的な取組みに努めているか評価・検証する。

      • 不動産担保・個人保証に過度に依存しない融資への取組み

        地域密着型金融の推進に際し、不動産担保・個人保証に過度に依存せず、事業価値を見極める融資手法を徹底することが重要であるとの観点から、改訂金融検査マニュアルによって動産・債権担保の取扱いが明確化されたことを踏まえ、各金融機関の取組みを検証する。

  • 業態別着眼事項

    上記の検査重点事項を踏まえ、金融商品取引法、信託業法及び貸金業法等の制度改正や郵政民営化にも的確に対応しつつ、各業態について、以下の事項を重点として検査を行う。

    • (1)預金等受入金融機関

      預金等受入金融機関については、顧客に対する説明責任の履行状況等の利用者保護に対する取組みの検証を行うほか、個別の金融機関の財務内容や資産運用の状況に応じ、大口与信管理態勢をはじめとする信用リスク管理態勢や市場リスク管理態勢の検証を行うなど、規模及び特性に応じた検査を行う。なお、バーゼルIIの実施を踏まえ、信用リスクに係る内部格付制度の運用状況の適切性等について検証し、能動的にリスク管理を行うための態勢の整備状況について検証するほか、国際業務を適切に行うための管理態勢や、多様化する業務内容に応じた利益相反を防止するための態勢整備の状況についても検証する。

      銀行等代理業者については、その参入状況を踏まえ、必要に応じ検査を実施する。

    • (2)信託銀行等

      信託銀行等の信託業務については、個人投資家向けの小口化商品や富裕層向け商品の取扱実績が増加するなど商品性が多様化する中、顧客が個々の商品の有する様々なリスクを理解した上で取引できるよう、その説明態勢を検証する。また、信託検査マニュアルに基づき、信託の引受審査態勢の整備状況を検証するほか、利益相反行為の防止など財産運用を適切に行う態勢の整備状況等について検証する。

    • (3)保険会社

      保険会社については、契約概要や注意喚起情報による商品説明や意向確認書面による契約者等のニーズを踏まえた保険募集を行っているかなど、銀行等の募集代理店を含めた保険募集管理態勢の整備状況について検証するほか、保険金等の支払管理態勢の整備状況についても引き続き検証する。また、保険引受リスクや商品特性に応じた区分経理及び責任準備金の管理態勢について検証するとともに、各種ファンド商品等、多様化した運用手段に係るリスク管理態勢の適切性についても検証する。

    • (4)外資系金融機関

      外資系金融機関については、上記の業態別の事項を踏まえつつ、我が国の法令等を遵守する態勢の整備状況について検証するとともに、規模、特性、グループ展開等に照らして、実効性のある経営管理態勢を整備しているか検証する。また、プライベートバンキング業務やデリバティブを内包した商品の販売が、顧客保護等の観点から適切な管理態勢の下で実施されているか検証する。

    • (5)貸金業者等

      貸金業者については、各種行為規制(過剰貸付、取立て行為規制、金利規制等)の遵守状況について検証するとともに、公布後1年以内に実施される改正貸金業法の施行後は法令等遵守態勢についても検証する。

      前払式証票発行者については、発行保証金の供託状況等について検証する。

    • (6)政策金融機関

      政策金融機関については、政策金融改革の進展を考慮しつつ、各機関の特性も踏まえ、民間金融機関に適用している改訂金融検査マニュアル等を用いて検査を実施する。

(以上)

II  検査基本計画

II 検査基本計画

(注1)上記検査実施予定数は見込みであり、実施件数は変動することがあり得る。

(注2)銀行持株会社は銀行に、保険持株会社は保険会社に含めている。