平成23年1月26日
金融庁

株式会社インターアクション役員による内部者取引に対する課徴金納付命令の決定について

金融庁は、証券取引等監視委員会から、(株)インターアクション役員による内部者取引の検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告新しいウィンドウで開きますを受け、平成22年7月9日に審判手続開始の決定(平成22年度(判)第13号金融商品取引法違反審判事件)を行い、以後、審判官3名により審判手続が行われてきましたが、今般、審判官から金融商品取引法第185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、本日、下記のとおり決定(PDF:186KB)を行いました。

決定の内容

  • (1)納付すべき課徴金の額金345万円

  • (2)納付期限平成23年3月28日

  • (3)課徴金に係る金融商品取引法第178条第1項第16号に掲げる事実

    被審人は、その発行する株式が東京証券取引所マザーズ市場に上場されている(株)インターアクション(以下「インターアクション」という。)の取締役であったものであるが、同人は、平成21年5月25日、その職務に関し、同社の属する企業集団の平成20年6月1日から平成21年5月31日までの会計期間の売上高、経常損失及び当期純損失(以下「売上高等」という。)について、平成21年1月9日に公表がされた、売上高802百万円、経常損失389百万円、当期純損失256百万円との直近の予想値に比較して、同社が新たに算出した売上高等の予想値において、投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとして内閣府令で定める基準に該当する差異が生じた事実を知り、法定の除外事由がないのに、新たに算出した予想値が売上高702百万円、経常損失652百万円、当期純損失1028百万円として公表がされた同年7月10日より前の同年5月27日から同年7月6日までの間、自己の計算において、インターアクションの株式合計240株を売付価額912万2850円で売り付けたものである。

  • (4)課徴金の計算の基礎

    金融商品取引法(以下「金商法」という。)第175条第1項第1号に基づき、課徴金の額は、

    (売付価格)×(売付株数)

    -(重要事実が公表された後2週間における最も低い価格)×(売付株数)

    となる。

    したがって、重要事実の公表後2週間における最も低い株価は、平成21年7月14日の23,600円であることから、課徴金の計算は次のとおりとなる。

    (31,500円×10株+32,000円×20株+32,100円×8株+32,500円×10株

    +32,600円×8株+32,650円×1株+32,750円×1株+33,500円×10株

    +34,500円×10株+36,000円×10株+36,500円×10株+37,000円×10株

    +37,500円×10株+38,000円×2株+38,800円×7株+38,950円×3株

    +39,200円×10株+41,000円×30株+43,000円×3株+43,200円×67株)

    -(23,600円×240株)

    =3,458,850円

    ここで、金商法第176条第2項の規定により、1万円未満の端数を切り捨てるため、納付すべき課徴金の額は、345万円となる。

本件の経緯

平成22年7月9日

証券取引等監視委員会が課徴金納付命令の勧告
金融庁が審判手続開始決定

7月23日

被審人が答弁書を提出

11月11日

第1回審判期日開催(同日、審判手続の終結)

本件審判事件の争点

本件の争点は、以下の2点である。

  • (1)被審人は、平成21年5月25日の時点において、インターアクションの取締役であったか否か(以下「争点1」という。)。

  • (2)被審人は、平成21年5月25日、インターアクションの属する企業集団の平成20年6月1日から平成21年5月31日までの会計期間の売上高等について、平成21年1月9日に公表がされた売上高等の直近の予想値に比較して、同社が新たに算出した売上高等の予想値において差異が生じた事実を知ったか否か(以下「争点2」という。)。

被審人の主張及び審判体の判断概要

  • (1)争点1について

    • 被審人の主張

      平成20年12月15日の取締役会でインターアクションの取締役を辞任し、平成21年2月20日の取締役会で辞任を改めて確認した。

    • 審判官の判断

      以下の状況から、被審人は、平成19年8月23日から平成21年8月26日までの間、インターアクションの取締役の地位にあったというべきである。

      • (イ)被審人は平成19年8月23日にインターアクションの取締役に就任し、平成21年8月26日に取締役を退任したことが同社の商業登記簿に記録されており、平成19年8月23日から平成21年8月26日までの間、被審人はインターアクションの取締役であったことが推定される。

      • (ロ)平成21年5月25日の同社の取締役会議事録には出席者として被審人の氏名が記載され、被審人の役職名として「取締役」が付されていること、平成21年5月度取締役会資料中、討議事項として「A取締役※への貸付金の期限及び返済原資の確認について」との記載があることなど、インターアクションの商業登記簿の記載と整合する事実関係が認められる。

      また、被審人の主張について、被審人の取締役辞任に関する陳述は、辞任届の提出の有無の点で一貫したものではなく、また、辞任届の記載内容の点に関する陳述も曖昧であり、上記被審人の主張を認めるに足りない。被審人は、 (イ)の推定を覆すに足りる証拠を何ら提出しておらず、被審人の主張は採用できない。

      よって、被審人は、平成21年5月25日の時点において、インターアクションの取締役であったと認められる。

      ※ 討議事項に記載されている「A」は、被審人の姓。

  • (2)争点2について

    • 被審人の主張

      平成21年5月25日の時点では、インターアクションの取締役ではなかったのであり、平成21年5月25日の取締役会は、インターアクションの取締役としてではなく、インターアクションとは別の会社の役員として、同社の所有不動産を、被審人のインターアクションに対する債務の代物弁済に供することの確認のために出席したものであって、代物弁済以外の事実についての認識はない。

    • 審判官の判断

      以下の状況から、被審人は、平成21年5月25日の取締役会の開始から終了まで退席することなく議事に参加していたと認めることができる。そして、被審人は、その取締役会において、連結業績予想値の下方修正の説明を受け、本件直近予想値の内容と、新たに算出した連結業績予想値の内容を知ったとみるのが相当である。

      • (イ)平成21年5月25日の取締役会において、インターアクションの平成21年5月期の連結業績予想値について、本件直近予想値から下方修正する内容となる二案(以下それぞれ「案1」又は「案2」という。)が報告され、いずれの案を採用しても、本件直近予想値を修正するという公表が避けられない旨の説明がなされた。この平成21年5月期の連結業績予想値の下方修正の説明に際して、取締役会の出席者に配布された資料には、本件直近予想値の基礎となった具体的な数値とともに、新たな予想値として案1及び案2の具体的な数値が記載されていた。案1は、案2に比較して、売上高等の各数値において、本件直近予想値との差異がより小さかったが、それでも当該差異は、投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとして有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第51条で定める基準に該当するものであった。

        インターアクションの平成21年5月期の連結業績予想値の下方修正に関する報告、説明に対し、取締役会の出席者からは特段の意見は出されず、平成21年5月の売上実績等を加味して、速やかに本件直近予想値を下方修正する旨の公表をすることが確認された。

        そして、インターアクションは、当該確認を踏まえ、案2に近い方針に基づき、平成21年7月10日午後4時ころ、修正された連結業績予想値を公表した。

        以上の事実関係によると、インターアクションの平成21年5月期の連結業績予想値については、平成21年5月25日、取締役会という業務執行を決定する機関において、業績予想の具体的な数値が報告され、本件直近予想値を下方修正する旨の公表が了承されたというべきであって、新たな予想値が算出されたと認めることができる。

      • (ロ)被審人は平成21年5月25日午後1時30分から開催された取締役会に出席したこと、同日の取締役会の開始から終了まで、取締役会の出席者のうち退席した者はいなかったことが認められる。

      また、被審人の主張について、平成21年5月25日の取締役会に関する被審人の審判廷での陳述内容は、取締役会に出席していた時間は記憶にない、取締役会の開始、終了時刻は覚えていないなどという曖昧なものであり、信用することはできない。

      よって、被審人は、平成21年5月25日、インターアクションが属する企業集団の平成21年5月期の売上高等について、本件直近予想値に比較して、同社が新たに算出した予想値において差異が生じた事実を知ったと認めることができる。

  • (3)結論

    以上によると、被審人は、インターアクションの取締役として、その職務に関し、同社の平成21年5月期の連結業績予想値を下方修正することとなった事実を知りながら、連結業績予想値を下方修正する旨の公表前に、本件売付けを行ったと認められるのであって、金商法第178条第1項第16号に該当する事実があると認めることができる。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局総務課審判手続室(内線2398、2404)

サイトマップ

ページの先頭に戻る