平成25年1月29日
金融庁
ヤフー株式会社株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の決定について
金融庁は、証券取引等監視委員会から、ヤフー(株)株式に係る相場操縦の検査結果に基づく課徴金納付命令の勧告を受け、平成24年12月13日に審判手続開始の決定(平成24年度(判)第35号金融商品取引法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)178条1項14号に掲げる事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から金商法185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、下記のとおり
決定(PDF:168KB)を行いました。
記
1決定の内容
被審人に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。
(1)納付すべき課徴金の額金6571万円
(2)納付期限平成25年3月29日
2課徴金に係る金商法178条1項14号に掲げる事実
被審人(タイガー・アジア・パートナーズ・エルエルシー)は、アメリカ合衆国デラウェア州法に基づくリミテッド・パートナーシップ形態のヘッジファンドであるAファンドに出資するとともに、ジェネラル・パートナーとしてAファンドに出資された資産の運用権限を有する、同州法に基づき設立されたリミテッド・ライアビリティ・カンパニーであり、Bは、被審人の業務執行社員及びケイマン諸島会社法に基づく株式会社形態のヘッジファンドであるCファンドとの間で締結した投資一任契約に基づいてCファンドに出資された資産の運用権限を有するD社の業務執行社員として、Aファンド及びCファンドの資産運用を統括している者であるが、Bらにおいて、被審人及びD社の業務に関し、東京証券取引所市場第一部に上場されているヤフー株式会社の株式につき、株価の上昇を期し、別表記載のとおり、平成21年3月17日午後0時30分頃から同日午後3時頃までの間、東京都中央区日本橋兜町2番1号所在の株式会社東京証券取引所等において、同株式の売買等を誘引する目的をもって、Aファンド及びCファンドの名義を用いて、E証券会社ほか3社の証券会社を介し、直前約定値より高値の上限価格を提示した買付けの計らい注文を複数の証券会社に分散して発注する方法により、手口分散の情を知らない各証券会社をして当該発注を競合させて同株式の株価を2万4310円から2万5340円まで引き上げるなどし、合計3万2960株の買付け等を行い、そのうち、被審人の計算において、Aファンド名義での1万4172株の買付け等によって、これに応じてAファンドにおける事業期間の純損益が各出資者に割り当てられるところの出資割合である4.82パーセント相当を取引するなどし、もって、同市場における同株式の相場を変動させるべき一連の売買等をしたものである。
証券会社 | 買付委託株数 | 買付株数 | ||
---|---|---|---|---|
合計 | Aファンド名義 | Cファンド名義 | ||
E証券会社 | 20000株 | 20000株 | 8600株 | 11400株 |
F証券会社 | 40000株 | 10624株 | 4568株 | 6056株 |
G証券会社 | 2000株 | 2000株 | 860株 | 1140株 |
H証券会社 | 3000株 | 336株 | 144株 | 192株 |
合計 | 65000株 | 32960株 | 14172株 | 18788株 |
3課徴金の計算の基礎
金商法174条の2第1項の規定により、当該違反行為に係る課徴金の額は、
(1)当該違反行為に係る有価証券の売買対当数量に係るものについて、自己の計算による当該有価証券の売付け等の価額から、自己の計算による当該有価証券の買付け等の価額を控除した額
及び
(2)当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等又は買付け等の数量が、当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等又は売付け等の数量を超える場合、当該超える数量に係る有価証券の売付け等の価額から当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券の買付け等についての金商法130条に規定する最低の価格のうち最も低い価格に当該超える数量を乗じて得た額を控除した額、又は当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券の売付け等についての金商法130条に規定する最高の価格のうち最も高い価格に当該超える数量を乗じて得た額から当該超える数量に係る有価証券の買付け等の価額を控除した額
の合計として算定。
別表に掲げる事実につき
(1)当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量は、0株であり、当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量は、実際の買付け等の数量14,172株(Aファンド名義による。)に被審人のAファンドに対する出資割合4.82パーセントを乗じて得られる683.0904株に、金商法174条の2第8項並びに金融商品取引法施行令33条の13第1号及び2号の規定により、違反行為の開始時にその時における価格(24,310円)で有価証券の買付け等を自己の計算においてしたものとみなされる違反行為の開始時に所有又は約定している当該有価証券の買付け等の数量315,601株(Aファンド名義による。)に同じく4.82パーセントを乗じて得られる15,211.9682株を加えた15,895.0586株であることから、
イ当該違反行為に係る有価証券の売買対当数量(0株)に係るものについて、自己の計算による当該有価証券の売付け等の価額から、自己の計算による当該有価証券の買付け等の価額を控除した額
及び
ロ当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量(15,895.0586株)が、当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量(0株)を超えていることから、
当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券の売付け等についての金商法130条に規定する最高の価格のうち最も高い価格(28,470円)に当該超える数量(15,895.0586株)を乗じて得た額から、当該超える数量に係る有価証券の買付け等の価額を控除した額
(28,470円×15,895.0586株)
-[(イ)違反行為期間中の買付け等に係る金額{(実際の買付け分[24,390円×339株+24,400円×339株+24,410円×46株+24,420円×20株+24,500円×246株+24,550円×604株+24,570円×231株+24,580円×102株+24,590円×63株+24,650円×11株+24,660円×11株+24,680円×26株+24,690円×84株+24,700円×78株+24,710円×80株+24,720円×116株+24,730円×282株+24,740円×70株+24,750円×585株+24,760円×930株+24,770円×528株+24,780円×425株+24,790円×387株+24,800円×871株+24,810円×407株+24,820円×531株+24,830円×362株+24,840円×1,090株+24,850円×626株+24,860円×732株+24,870円×225株+24,880円×502株+24,890円×32株+24,900円×308株+24,910円×54株+24,920円×292株+24,930円×384株+24,940円×211株+24,950円×186株+24,960円×162株+24,970円×1,664株+24,980円×1,053株+24,990円×1,604株+25,000円×2,556株+25,040円×5株+25,050円×41株+25,060円×21株+25,070円×212株+25,080円×21株+25,100円×15株+25,110円×65株+25,120円×144株+25,130円×4株+25,140円×46株+25,150円×169株+25,160円×261株+25,170円×151株+25,180円×163株+25,190円×259株+25,200円×261株+25,210円×1株+25,220円×440株+25,230円×134株+25,240円×1株+25,290円×73株+25,300円×394株]+エクイティ・スワップ取引分[24,948.50円×10,624株])×Aファンドの名義で行われた取引の割合43パーセント}
+(ロ)違反行為の開始時に所有又は約定している有価証券の買付け等に係る金額{実際の所有分(24,310円×70,442株)+エクイティ・スワップ取引分(24,310円×245,159株)}]
×被審人のAファンドに対する出資割合4.82パーセント
=65,712,699.599156円
の合計額65,712,699.599156円となる。
(2)金商法176条2項の規定により1万円未満の端数を切り捨て、65,710,000円となる。
お問い合わせ先
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局総務課審判手続室(内線2398、2404)