平成26年7月8日
金融庁

監査法人の処分について

金融庁は、平成26年6月13日、公認会計士・監査審査会から、同審査会が清和監査法人に対して行った検査の結果に基づき、公認会計士法第41条の2の規定による当該監査法人に対する行政処分その他の措置を講ずるよう勧告新しいウィンドウで開きますを受けました。

同勧告を踏まえ、金融庁は本日、下記のとおり、当該監査法人に対して公認会計士法第34条の21第2項第3号に基づく処分を行いました。

1.処分の概要

  • (1)処分の対象

    清和監査法人

  • (2)処分の内容

    • 業務改善命令(業務管理体制の改善)
    • 1年間の業務の一部の停止命令(契約の新規の締結に関する業務の停止)
      (平成26年7月10日から平成27年7月9日まで)
  • (3)処分理由

    清和監査法人については、別紙のとおり、運営が著しく不当と認められるため。

2.業務改善命令の内容

  • (1)理事長をはじめとする監査法人の社員は、自身の責任を自覚し、社員として求められる職責を果たすとともに、品質管理を重視し、被監査会社の主張を批判的に検討する風土を醸成すること。

  • (2)品質管理のシステムが有効に機能するよう品質管理態勢を整備すること(新規受嘱に際するリスク評価態勢の整備、監査実施者の経験・能力等に見合った教育・訓練の実施、業務執行社員による監査調書の査閲を通じた適切な監査手続の指示、監督及び指導の実施並びに実効性のある定期的な検証の実施を含む。)。

  • (3)監査の基準に準拠した監査手続を実施するための態勢を強化すること(会計上の見積りや継続企業の前提など職業的専門家としての判断を伴う重要な項目における深度ある監査手続の実施、関連当事者取引における取引の実態を踏まえた検討、内部統制監査における不備の適切な評価など、検査において指摘された事項の改善を含む。)。

  • (4)被監査会社のリスクを踏まえた批判的な審査を実施し、監査上の重要な問題点を指摘できる態勢を整備すること。

  • (5)公認会計士・監査審査会及び日本公認会計士協会から指摘を受けた不備に関して、形式的な対応にとどまることなく、それらの不備と同種の問題点の有無について、検証し対応するよう適切な指示及び効果の検証を実施する態勢を整備すること。

  • (6)上記(1)から(5)に関する業務の改善計画について、平成26年8月8日までに提出し、直ちに実行すること。

  • (7)上記(6)の報告後、当該業務の改善計画の実施完了までの間、平成26年12月末日を第1回目とし、以後、6ヶ月ごとに計画の進捗・実施及び改善状況を取りまとめ、翌月15日までに報告すること。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総務企画局企業開示課(内線3654、3679)

(別紙)

清和監査法人の運営は、下記のとおり著しく不当なものと認められる。

  • 当該監査法人の理事長は、公認会計士・監査審査会及び日本公認会計士協会から重大な指摘を繰り返し受けているにもかかわらず、法人の品質管理に重要な問題があることを自覚せず、公認会計士・監査審査会等の指摘に対して形式的な対応を品質管理担当責任者及び監査実施者に指示するのみで、具体的な対応を担当者任せにし、改善活動を十分に実施していないなど、理事長として行うべき行動をとっておらず、その職責を果たしていない。

    また、理事長は、法人の業務運営に際し、品質管理を軽視しており、その姿勢が法人全体に浸透している。他の代表社員と社員は、自身の責任を自覚することなく、監査法人の社員として求められる職責を果たしていない。

    さらに、理事長は、主導して業務の拡大を目指しており、一般的に監査リスクが高い被監査会社であっても、反社会的勢力とのかかわりがなく、存続できると判断できさえすれば、受嘱するという方針を採っている。このほか、監査業務の品質や職業倫理の遵守状況について社員の評価に反映させていない一方、営業面での成果を社員の評価と報酬に反映させるなど、社員に対して営業を奨励している。これらの結果、社員全体が営業を重視する傾向にあるとともに、品質管理を軽視している。

    加えて、当該監査法人においては、被監査会社の主張を批判的な検討を行うことなく受け入れる風土が醸成されている。

  • このような状況から、当該監査法人の品質管理については、新規契約の締結において前任監査人からの引継ぎ等により識別した問題点を当該監査法人内において十分に共有・検討せずに受嘱するなど、新規受嘱に際してのリスク評価の態勢が整備されていない。また、当該監査法人においては、職員の入退所の頻度が高く、監査実施者の実務経験が少ないと考えられる状況にあるが、監査実施者の経験・能力等に見合った教育・訓練を実施していない。さらに、業務執行社員は、監査調書の査閲を通じた適切な監査手続の指示、監督及び指導を実施していない。加えて、当該監査法人は、実施した監査手続の妥当性について、批判的に検証するなどの実効性のある定期的な検証を実施していない。

    このように、当該監査法人は、品質管理のシステムが機能しておらず、品質管理態勢は極めて不十分かつ不適切である。

  • 監査業務の実施については、監査リスクが高いとされている監査業務が多く存在しているが、業務執行社員は、被監査会社のリスクを適切に評価し、これに応じた監査計画を策定する能力が不足しているほか、被監査会社の主張を批判的な検討を行うことなく受け入れている。

    このため、監査チームは、被監査会社についての適切なリスク評価を行っておらず、実施している監査手続が形式的なものとなっており、会計上の見積りや継続企業の前提など職業的専門家としての判断を伴う重要な項目における深度ある監査手続の実施、関連当事者取引における取引の実態を踏まえた検討、内部統制監査における不備の適切な評価を行っていないなど、十分かつ適切な監査証拠を入手していない。

    このように、当該監査法人が行った監査手続においては、監査の基準に準拠した監査手続が行われていない監査業務が広範に認められる。

  • 審査については、当該監査法人は、一人の審査実施者に審査体制の整備及び運用を一任し、その有効性を評価していないほか、重要な審査案件が発生した場合に慎重な審査を行う体制が構築されていない。

    このため、当該監査法人においては、被監査会社のリスクを踏まえ、実施した監査手続の適切性を確かめる批判的な審査が実施されておらず、監査上の重要な問題点を指摘できていないなど、審査の態勢は極めて不十分である。

  • 公認会計士・監査審査会及び日本公認会計士協会からの指摘への対応については、重大な指摘を繰り返し受けているにもかかわらず、当該監査法人の理事長は、法人の品質管理に重要な問題があることを自覚していないことから、指摘事項をそのまま記載したチェックリストの配付等、形式的な対応を指示しているだけであり、同種の問題点の有無について、検証し対応するよう適切な指示及び効果の検証を行っていないなど、実効性のある改善活動に取り組んでいない。この結果、今回の審査会検査において、過去に公認会計士・監査審査会及び日本公認会計士協会から繰り返し指摘を受けた不備と同種の重要な不備が多数検出されており、当該監査法人の品質管理レビュー等の指摘への改善に向けた取組み状況は極めて不十分である。

以上

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