p1   コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方 1 項目  全体 コメントの概要  表記上「…が望ましい」のような曖昧な表現ではなく、事業者には努力義務があることの意識を強くするために「が必要」という表現にすべきである。 金融庁の考え方  「・・・が望ましい」という表現について、その考え方を明確にするために、以下の記載を追記いたします。  「第1.4 留意点  対応指針で「望ましい」と記載している内容は、事業者がそれに従わない場合であっても、法に反すると判断されることはないが、障害者基本法の基本的な理念及び法の目的を踏まえ、できるだけ取り組むことが望まれることを意味する。」 2 項目  全体 コメントの概要  違反を繰り返す事業者には、差別解消法に基づいて指導や勧告がなされ得ることを、明記してください。 金融庁の考え方  ご指摘を踏まえ、本対応指針に新たに追記する第1.4留意点において、以下のとおり記載します。  「事業者における障害者差別解消に向けた取組は、本対応指針を参考にして、各事業者により自主的に取組が行われることが期待される。しかしながら、事業者による自主的な取組のみによっては、その適切な履行が確保されず、例えば、事業者が法に反した取扱いを繰り返し、自主的な改善を期待することが困難である場合など、特に必要があると認められるときは、法第12条等の規定により、事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができることとされている。」 3 項目  第1 本対応指針の趣旨 2 法の基本的な考え方 コメントの概要  障害者基本法に則った障害の定義が記載されているが、「障害」の定義は漏れのないように広く解釈されるよう示す必要があり、過去の障がい、将来の障がいや性同一性障がいなどが含まれることを明記すべきである。 金融庁の考え方  本対応指針は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律に基づき策定するものであり、「障害者」の定義についても、同法第2条第1号と同様としております。過去の障害等が含まれるかについては、個別の事案ごとに判断する必要があると考えます。 4 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 1 障害を理由とする不当な差別的取扱い (1) 障害を理由とする不当な差別的取扱いの基本的な考え方 コメントの概要  生命保険や医療保険の被保険者選択において、障害の程度によっては申込みの引受けをお断りすることがある。保険契約者間の保険料負担の公平性を維持するため被保険者選択を行うという保険商品の特性上致し方ない取扱いと考えるが、この被保険者の選択において、障害があることのみを理由に申込みの引受けをお断りすることは「対応指針(案)第2 1(1)」に記載される「正当な理由」に含まれるか。 金融庁の考え方  保険引受(危険選択)に当たっては、保険契約者間の公平性の確保及び保険制度の健全性の維持等の観点に鑑み、個別の事案ごとに、申込者の障害等の種類・程度等も勘案の上、総合的・客観的に検討の上、引受可否について判断することが必要と考えます。このような具体的検討を行わず、単に障害を理由として、保険引受を拒否することは、正当な理由に基づかない不当な差別的取扱いに該当しうると考えます。 5 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 1 障害を理由とする不当な差別的取扱い (1) 障害を理由とする不当な差別的取扱いの基本的な考え方 コメントの概要  「不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、問題となる事業について本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。」との記載が、障害を理由とする不当な差別的取扱いの定義であることが明らかでないため、定義を明確にすべきである。  不当な差別的取扱いには、直接差別のみならず関連差別が含まれることがわかるよう、これを「障害又は障害に関連する事由を理由とする区別、排除又は制限その他の異なる取扱いであって、正当化されないもの」と定義すべきである。 金融庁の考え方  ご指摘の記載は、障害者差別解消法における不当な差別的取扱いの基本的な考え方を示している箇所であり、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」(平成27年2月24日閣議決定)に即したものとしております。どのような措置が不当な差別的取扱いに該当するかについては、かかる基本的な考え方を踏まえて、個別の事案ごとに判断する必要があると考えます。 6 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 1 障害を理由とする不当な差別的取扱い (1) 障害を理由とする不当な差別的取扱いの基本的な考え方 コメントの概要  貸金業者向けの総合的な監督指針(U-2-10禁止行為)では、「資金需要者等が身体的・精神的な障害等により契約の内容が理解困難なことを認識しながら、契約を締結すること」を不正または不当な行為として禁止している。これは、本件対応指針にて障害を理由とする不当な差別的取扱いとして定める「正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する」の「正当な理由」になりえるか。 金融庁の考え方  ご指摘の貸金業者向けの総合的な監督指針の規定は、顧客保護の観点から、顧客が契約の内容を理解することが困難であることを認識しながら、契約を締結することを禁止している趣旨であり、そのような場合に顧客との契約締結を控えることは、そもそも障害を理由とした不当な差別的取扱いに該当しないと考えられます。ただし、たとえば、障害者の家族や介助者等のコミュニケーションを支援する者が存する場合に当該支援者を通じて本人に契約内容を理解してもらう等、顧客に契約内容を理解してもらうための努力をすることなく、単に障害を理由として拒否するような場合は不当な差別的取扱いとなりうるものと考えます。 p2 7 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 1 障害を理由とする不当な差別的取扱い (2) 正当な理由の判断の視点 コメントの概要  障害者から理解を得られない場合に、相談窓口が事業者と障害者の間に入ることで、調整・歩み寄りを図る必要があると考えるため、「事業者は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。理解を得られない場合は、相談窓口と調整を図ること。」の下線部の記述を追記していただきたい。 (作業者注 下線部の記述は、「理解を得られない場合は、相談窓口と調整を図ること。」) 金融庁の考え方  相談窓口は障害者等からの相談に的確に対応できることが必要ですが、調整・問題解決機能を含め、相談窓口にどのような機能を担わせるかは各事業者において検討すべき事項であると考えます。  なお、当庁・各財務(支)局における相談窓口においては、他機関の紹介や論点の整理などのアドバイスを行うなどの必要な対応を取って参ります。 8 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 1 障害を理由とする不当な差別的取扱い (2) 正当な理由の判断の視点 コメントの概要  対応指針案においては、「正当な理由」の判断要素の具体例として、安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止等を挙げている。しかし、公平な利益衡量のため、例示されている相手方の権利利益だけでなく「差別が禁止されることによって確保される障害者の権利や利益」も考慮要素に掲げるべきである。また、差別が正当化されるためには、合理的配慮を尽くすことを前提とした上で、不当な差別的取扱いとすることで相手方又は第三者の権利利益を侵害する結果となることが客観的かつ明白な場合に限ることを明記すべきである。  また、障がい又は障がいに関連する事由を理由とする異なる取扱いは原則として差別であり、行為者の目的ややむを得ない事情は行為者の側しか立証できないことから、正当化事由の立証責任が行為者の側にあることを示すべきである。  さらに正当な理由を拡大解釈して法の趣旨を没却してはならないことを明記すべきであり、「不当な差別的取扱いを禁止する法の趣旨に十分留意」との文言では抽象的であるため、経済産業省対応指針案のように、「正当な理由に相当するか否かについて」の後に、「具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈する等して、法の趣旨を損なうことなく」という文言を入れるべきである。 金融庁の考え方  正当な理由に相当するかの判断に当たっては、本対応指針第2.1(2)において、「個別の事案ごとに、障害者、事業者、第三者の権利利益・・・の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要」としており、差別が禁止されることによって確保される障害者の権利・利益についても考慮要素とすべきことを前提としております。また、総合的・客観的な判断を行う必要があることも、上記記載のとおりです。  正当化事由があることについては、基本的に、事業者側が必要に応じて主張・立証していくこととなると思われますが、いずれにしても、その責任の分配については個別の事案ごとに判断する必要があると考えます。  なお、正当な理由を拡大解釈してはならないことについては、「不当な差別的取扱いを禁止する法の趣旨に十分留意しつつ」としていたところですが、その趣旨をより明確にするべく、以下のとおり修正します。 「正当な理由に相当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに・・・」 9 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 1 障害を理由とする不当な差別的取扱い (2) 正当な理由の判断の視点 コメントの概要  経済産業省や文部科学省や厚生労働省福祉事業者向けの指針(案)にあるように、この指針で定める事項や例示として記されているものに関しては、差別解消法(さらには障害者権利条約や障害者基本法)の目的・趣旨に沿って、具体的な状況に応じて、柔軟で積極的な対応が期待されていること、「正当な理由」を拡大解釈することなく、との記述を追加して下さい。さらには、違反を繰り返す事業者には、差別解消法に基づいて指導や勧告がなされ得ることも、明記していただきたい。 金融庁の考え方  正当な理由を拡大解釈してはならないことについては、「不当な差別的取扱いを禁止する法の趣旨に十分留意しつつ」としていたところですが、その趣旨をより明確にするべく、以下のとおり修正します。  「正当な理由に相当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに・・・」 10 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 2 合理的配慮 (1) 合理的配慮の基本的な考え方 コメントの概要  「必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること」との記述は、不必要な限定を招きかねないため、「業務に必要とされる範囲で、提供されるべきであること」とすべきである。  また、「事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばない」とする記述は、「過重な負担」となるかどうかという例外事由の中で判断すべきことであり、対応指針案第2の2(4)の考慮要素の一つとして、その箇所に移すべきである。 金融庁の考え方  ご指摘の記載は、いずれも、障害者差別解消法における合理的配慮の基本的な考え方を示している箇所であり、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」(平成27年2月24日閣議決定)に即したものとしております。  なお、合理的配慮の提供に関し、「必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること」の解釈において、不必要に過大な限定を施すことは、障害者差別解消法の趣旨に反し許されないものと考えます。 11 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 2 合理的配慮 (1) 合理的配慮の基本的な考え方 コメントの概要  「合理的配慮は、事業者の事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること」とされているが、本来的業務の範囲を厳格に解釈して、合理的配慮を提供すべき場面を限定すべきではない。 金融庁の考え方  「本来の業務」の範囲を不当に厳格に捉えて、合理的配慮を提供すべき場面を限定すべきでないことは、ご意見のとおりと考えます。 p3 12 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 2 合理的配慮 (1) 合理的配慮の基本的な考え方 コメントの概要  障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律は、合理的配慮概念を定義しておらず、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針、対応指針案においても示されていない。対応指針においては、合理的配慮の定義として、「事業者が行うべき、社会的障壁の除去の実施のための必要かつ合理的な現状の変更及び調整で、過重な負担を伴わないもの」と明記すべきである。 金融庁の考え方  合理的配慮については、本対応指針第2.2(1)において、「事業者は、法第8条第2項の規定のとおり、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)をするように努めなければならない。」旨を記載しております。 13 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 2 合理的配慮 (1) 合理的配慮の基本的な考え方 コメントの概要  障害者が必要とするコミュニケーション手段の準備があって、初めて双方の建設的対話ができることから、「代替措置の選択も含め、障害者が必要とするコミュニケーション手段(手話通訳者・要約筆記者等、通訳を介するものを含む)を用意したうえで、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。」の下線部の記述を追記していただきたい。 (作業者注 下線部の記述は、「障害者が必要とするコミュニケーション手段(手話通訳者・要約筆記者等、通訳を介するものを含む)を用意したうえで、」) 金融庁の考え方  ご意見を踏まえ、第2.2(2)意思の表明について、以下のとおり修正します。  「障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(手話通訳者、要約筆記者、盲ろう通訳者等を介するものを含む。)により行われる。」  なお、事業者においてコミュニケーションを支援する者(手話通訳者や要約筆記者等)を用意することは、本対応指針第2.2(3)に示しているとおり、合理的配慮を的確に行うための環境の整備として実施に努めるべき事項と考えられますが、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段は多様であり、この点を踏まえて、(別紙)「意思疎通の配慮の具体例」において、様々なコミュニケーション手段を示しているところです。 14 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 2 合理的配慮 (2) 意思の表明 コメントの概要  障害者が適切に意思の表明ができるようにするためには、コミュニケーション方法の配慮だけでなく、コミュニケーションを支援する者についても明記する必要があると考えるため、「現に社会的障壁の除去を必要としている旨の障害者からの意思の表明は、〜障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(手話通訳・要約筆記等、通訳を介するものを含む。)により行われる。障害者による意思の表明を可能にするために、事業者においてコミュニケーションを支援する者(手話通訳者・要約筆記者等)を用意すること。」、「なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、介助者等を伴っていない場合など、〜法の趣旨を鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するためにコミュニケーションを支援する者(手話通訳者・要約筆記者を含む)を用意する等により建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。」の下線部の記述を追記していただきたい。 (作業者注 下線部の記述は、「手話通訳・要約筆記等、」「障害者による意思の表明を可能にするために、事業者においてコミュニケーションを支援する者(手話通訳者・要約筆記者等)を用意すること。」「コミュニケーションを支援する者(手話通訳者・要約筆記者を含む)を用意する等により」) 金融庁の考え方  ご意見を踏まえ、第2.2(2)意思の表明について、以下のとおり修正します。  「障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(手話通訳者、要約筆記者、盲ろう通訳者等を介するものを含む。)により行われる。」  なお、事業者においてコミュニケーションを支援する者(手話通訳者や要約筆記者等)を用意することは、本対応指針第2.2(3)に示しているとおり、合理的配慮を的確に行うための環境の整備として実施に努めるべき事項と考えられますが、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段は多様であり、この点を踏まえて、(別紙)「意思疎通の配慮の具体例」において、様々なコミュニケーション手段を示しているところです。 15 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 2 合理的配慮 (2) 意思の表明 コメントの概要  障害者が適切に意思の表明ができるようにするためには、コミュニケーション方法の配慮だけでなく、コミュニケーションを支援する者についても明記する必要があると考えることから、「障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(手話通訳者・要約筆記者等、通訳を介するものを含む。)により行われる。」の下線部の記述を追記していただきたい。 (作業者注 下線部の記述は、「手話通訳者・要約筆記者等、」) 金融庁の考え方  ご意見を踏まえ、第2.2(2)意思の表明について、以下のとおり修正します。  「障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(手話通訳者、要約筆記者、盲ろう通訳者等を介するものを含む。)により行われる。」  なお、事業者においてコミュニケーションを支援する者(手話通訳者や要約筆記者等)を用意することは、本対応指針第2.2(3)に示しているとおり、合理的配慮を的確に行うための環境の整備として実施に努めるべき事項と考えられますが、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段は多様であり、この点を踏まえて、「意思疎通の配慮の具体例」において、様々なコミュニケーション手段を示しているところです。 16 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 2 合理的配慮 (2) 意思の表明 コメントの概要  意思の表明について、「現に社会的障壁の除去を必要としている旨の障害者からの意思の表明は、 具体的場面において、言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、 実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者 が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)」とされているが、(通訳を介するもの)を(言語通訳・手話通訳・要約筆記者・盲ろう通訳等を介するもの)とすべきである。 金融庁の考え方  ご意見を踏まえ、第2.2(2)意思の表明について、以下のとおり修正します。  「障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(手話通訳者、要約筆記者、盲ろう通訳者等を介するものを含む。)により行われる。」  なお、事業者においてコミュニケーションを支援する者(手話通訳者や要約筆記者等)を用意することは、本対応指針第2.2(3)に示しているとおり、合理的配慮を的確に行うための環境の整備として実施に努めるべき事項と考えられますが、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段は多様であり、この点を踏まえて、「意思疎通の配慮の具体例」において、様々なコミュニケーション手段を示しているところです。 p4 17 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 2 合理的配慮 (2) 意思の表明 コメントの概要  権利条約では、「障害者の意思の表明」は合理的配慮義務の発生要件とされていない。そこで、差別解消法第8条第2項に規定する「意思の表明」は合理的配慮義務の発生要件ではないと解釈されるべきである。差別解消法はかかる規定により、相手方において障がいの有無や一見しただけではどういった配慮が必要かわからないといった事情を考慮し、合理的配慮の実現に向けたプロセス開始の要件を例示したものに過ぎない旨、記載すべきである。そして、意思の表明は、黙示のものでもよく、仮に何らかの意思の表明がない場合でも相手方において障がいの存在や合理的配慮の必要性を認識し得た場合には、合理的配慮に向けた手続に入ることになることを明記すべきである。 金融庁の考え方  合理的配慮の基本的な考え方については、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」(平成27年2月24日閣議決定)に即したものとしております。  その上で、本対応指針第2.(2)において、「意思の表明が困難な障害者が、家族、介助者等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。」としており、意思の表明が必ずしも明示的なものに限られないことを示しております。 18 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 2 合理的配慮 (2) 意思の表明 コメントの概要  「意思の表明」は、本人からの意思の表明だけでなく、家族や支援者等が本人を補佐して意思の表明をする場合にも認められることは対応指針案で示されたとおりである。しかし、本人に意思を確認すべきところ、本人を見ずにそばにいる家族や付添者に意向を尋ねるという場面がままある。このような対応の仕方は、障がいのある人を、一人の人格を持った独立の主体として扱わない処遇であり、慎むべきである。 また、家族や付添者の代弁が本人の真意に沿っているかどうかについても、十分に注意する必要がある。このように「意思の表明」は合理的配慮の実現プロセスの要件であるとともに、その解釈はできるだけ柔軟に行われるべきだが、他方で障がいのある人本人の真意から離れたところで意思解釈がなされることがないように注意しなければならない旨、記載すべきである。  また、障がいのある人が求める合理的配慮の内容は、障がいの種別・態様や状況によって変わるものであるから、その実現に向けたプロセスについても、対応指針において詳しく示されるべきである。提供されるべき合理的配慮の内容は、障がいのある人と相手方の間で協議し、障がいのある人の意向を可能な限り尊重した上で確定されることが望ましい。明示又は黙示の「意思の表明」は、合理的配慮に向けた実現プロセスの内容の一つである。合理的配慮として行いうるものが複数存在する場合は、原則として、障がいのある人の希望に沿ったものとすることが必要だが、相手方が負う負担との関係で、双方の利益と負担を考慮して決定されていくこととなる。こうした話し合いに、障がいのある人が支援者を同席させて補佐を受けたい場合は、これが認められる必要がある。相手方が過重な負担を主張する場合は、過重な負担の内容や根拠について、資料を示して、障がいのある人に十分に説明すべきである旨記載すべきである。 金融庁の考え方  ご意見を踏まえ、以下の一文を追記いたします。 「コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。この場合、表明された意思の解釈に当たっては、障害者本人の真意から離れたものとなることのないよう留意が必要である。」  合理的配慮の提供に向けた実現過程において、障害者の希望に沿った適切な配慮が行われるよう、障害者及び事業者間での協議が行われるべきことに関しては、本対応指針第2.2(1)において、「双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるもの」である旨を示しております。かかる対話の場にコミュニケーションを支援する者が同席することは、意思の表明に際して支援者が本人を補佐することを念頭に置いている以上、当然に認められるものと考えます。  なお、事業者が過重な負担に当たると考える場合には、本対応指針第2.2(4)において、「障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい」としているところであり、事業者の側から資料を示した説明を行うことも、このような理解を得るための方策の一つと考えられますが、これに限られるものではなく、個別の事案ごとに適切な対応が取られることが必要と考えます。 19 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 2 合理的配慮 (2) 意思の表明 コメントの概要  当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合に、建設的対話等による自主的な働きかけは不可欠であると考えられることから、「自主的な取組に努めることが望ましい」を「自主的に取り組むものとする。」に見直すべき。 金融庁の考え方  ご指摘の点に関しては、bPのとおり、第1.4 留意点の記載を追記し、「望ましい」という表現について、その考え方を明確にしました。 20 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 2 合理的配慮 (3) 事前的改善措置との関係 コメントの概要  その都度の合理的配慮はしなくてもよいという誤解を生じうるので、「その都度の合理的配慮に加え」といった表現に変更すべきである。 金融庁の考え方  ご指摘を踏まえ、以下のとおり修正いたします。  「合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合や障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮に加え、事前的改善措置を考慮に入れることにより、・・・・」 p5 21 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 2 合理的配慮 (4) 過重な負担の考え方 コメントの概要  障害者から理解を得られない場合に、相談窓口が事業者と障害者の間に入ることで、調整・歩み寄りを図る必要があると考えるため、「事業者は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。理解を得られない場合は、相談窓口と調整を図ること。」の下線部の記述を追記していただきたい。 (作業者注 下線部の記述は、「理解を得られない場合は、相談窓口と調整を図ること。」) 金融庁の考え方  相談窓口は障害者等からの相談に的確に対応できることが必要ですが、調整・問題解決機能を含め、相談窓口にどのような機能を担わせるかは各事業者において検討すべき事項であると考えます。  なお、当庁・各財務(支)局における相談窓口においては、他機関の紹介や論点の整理などのアドバイスを行うなどの必要な対応を取って参ります。 22 項目  第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 2 合理的配慮 (4) 過重な負担の考え方 コメントの概要  「過重な負担」の判断要素としての経済的財政的コストの面では、相手方の属性(個人か、団体か、公的機関か)、業務の内容、業務の公共性、不特定性、事業規模、その規模から見た負担の割合、技術的困難の度合い等が、判断の要素として考慮されるべきである。また、事務遂行に及ぼす影響の面では、合理的配慮の提供により、業務遂行に著しい支障が生じるのか、提供される機会やサービス等の本質が損なわれるかどうかが判断されなければならない。対応指針においては、これらの要素につき障がいのある人の側から資料を収集して立証するのは困難であり、相手方の側に証拠資料が集中していると思われることから、「過重な負担」についての立証責任は相手方にあることを示すべきである。  さらに、「過重な負担」の抗弁が、拡大解釈されることは絶対にあってはならない。「過重な負担」の抗弁が認められるには、単に抽象的に「困難である」「負担が大きい」といった主張では足りず、技術やコスト等に関する具体的な根拠資料を示して、負担が実際に「過重」といえることを示さなければならないことを明確にすべきである。  併せて、過重な負担を拡大解釈して法の趣旨を没却してはならないことを明記するべきであり、「合理的配慮の提供に努めるべきとする法の趣旨に十分留意」との文言では抽象的であるため、経済産業省対応指針案のように、「過重な負担については」の後に、「具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈する等して、法の趣旨を損なうことなく」という文言を入れるべきである。 金融庁の考え方  過重な負担の判断においては、ご指摘のような点も含め、対応指針に掲げた要素等を考慮し、個別の事案ごとに、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要と考えます。その上で、過重な負担に該当することについては、基本的に、事業者側が必要に応じて主張・立証していくこととなると思われますが、いずれにしても、その責任の分配については個別の事案ごとに判断する必要があると考えます。  なお、事業者が過重な負担に当たると考える場合には、本対応指針第2.2(4)において、「障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい」としているところであり、事業者の側から資料を示した説明を行うことも、このような理解を得るための方策の一つと考えられますが、これに限られるものではなく、個別の事案ごとに適切な対応が取られることが必要と考えます。  過重な負担を拡大解釈してはならないことについては、「合理的配慮の提供に努めるべきとする法の趣旨に十分留意しつつ」としていたところですが、その趣旨をより明確にするべく、以下のとおり修正します。 「過重な負担については、事業者において、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに・・・」 23 項目  第4 事業者における相談体制の整備 コメントの概要  聴覚障がい者にとって、クレジットカード、銀行キャッシュカード、保険契約、ATM故障時等に係る問合わせ手段が電話対応のみでは不便であるため、通訳者による代理電話やFAX・メール等による対応をして頂きたい。 金融庁の考え方  事業者においては、障害者及びその家族その他の関係者からの相談に的確に対応するための体制を整備することが重要であり、相談時における配慮として、対面のほか、電話、FAX、電子メールなど、障害特性や事業者の業務・事務特性、ビジネスモデル等に応じた多様な手段を用意するよう努める必要があると考えます。 24 項目  第4 事業者における相談体制の整備 コメントの概要  相談の実効性を担保するには障害特性に応じた多様な手段の確保及び必要な研修を受けた人員の配置等が不可欠であることから、「ビジネスモデル等に応じた多様な手段を用意しておくことが望ましい。」を「ビジネスモデル等に応じた多様な手段を用意しておくものとする。」、「障害者等からの相談対応等に必要な研修を受けた人員を配置することが望ましい。」を「人員を配置するものとする。」に見直すべき。 金融庁の考え方  ご指摘の点に関しては、bPのとおり、第1.4 留意点の記載を追記し、「望ましい」という表現について、その考え方を明確にしました。 25 項目  第4 事業者における相談体制の整備 コメントの概要  事業者として相談の多様な手段の確保をする必要があると考えるため、「ホームページ等を活用し、〜、ビジネスモデル等に応じた多様な手段を用意しておくことが望ましい。」の「望ましい」を削除していただきたい。 金融庁の考え方  ご指摘の点に関しては、bPのとおり、第1.4 留意点の記載を追記し、「望ましい」という表現について、その考え方を明確にしました。 p6 26 項目  第4 事業者における相談体制の整備 (別紙) 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 2 合理的配慮の具体例 〔意思疎通の配慮の具体例〕 コメントの概要  顧客対応の面では聴覚障害者に対する対応は現状では筆談しか対応されず、手話については挨拶程度の手話でしか対応されていない。これはある意味仕方の無いことかも知れないが、手話通訳者の設置や遠隔手話通訳サービスなどを利用することで十分対応が可能であるにも関わらず金融業界はこのことを考慮していない。筆談対応することのみが合理的配慮とされるなら聴覚障害者に対する差別は解消されないままである。そして、聴覚障害者の顧客に対してのセミナーなども開催されることはほぼ皆無である。様々な顧客相手の業種であるのに銀行も証券会社も、信託銀行も、生命保険会社も、損害保険会社も「聴覚障害者対応のセミナー」を開いてくれることは少ない。銀行のATM問題でも然り、現在も聴覚障害者にとってはトラブル時の対応は電話しかなく、つらい思いをしている。 金融庁の考え方  本対応指針で示している「合理的な配慮の具体例」は、あくまで例示であり、記載されている具体例に限られるものではなく、筆談対応することのみが合理的配慮に当たると考えているものではありません。 27 項目  第4 事業者における相談体制の整備 コメントの概要  相談への対応にあたり、「既存の顧客相談窓口等の活用を含め・・」とあります。これでは、本当に障害者及びその家族等の相談に的確に対応できるのでしょうか?障害の特性についての理解及び客観性の確保がなければ、的確な対応ができないのではないかと、大変、危惧と不安感を感じているため、下記の文章を加えていただきたい。  「なお相談窓口の整備の際、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等への的確な対応を推進するため、障害当事者団体等からの委員で構成する第三者委員会の設置及び障害の特性に関する専門知識を有する担当者の配置や職員研修等により、窓口担当者の専門性と客観性を確保することが重要である。」  また、「・・実際の相談事例については当該事業者において順次蓄積し・・・」の表現について、相談者の個人情報やプライバシーはどうなるのかと、相談に二の足を踏みかねないため、「・・実際の相談事例については個人情報の保護に留意しつつ、当該事業者において順次蓄積し・・・」と変更していただきたい。 金融庁の考え方  ご意見前半部分については、ご指摘のとおり、相談体制の整備に当たっては、障害者及びその家族等の相談に的確に対応できることが必要であり、既存の窓口等では不十分である場合には、事業者において、別途、適切な相談窓口の整備が行われることが必要と考えます。なお、相談窓口の担当者に関しては、本対応指針第4において、「相談窓口の実効性を確保するために、障害者等からの相談対応等に必要な研修を受けた人員を配置することが望ましい」旨を記載しております。  ご意見後半部分については、ご指摘を踏まえ、以下のとおり修正します。 「・・・実際の相談事例については、相談者の個人情報の保護に留意しつつ、当該事業者において順次蓄積し・・・」 28 項目  第4 事業者における相談体制の整備 コメントの概要  障害の特性についての理解がなければ、障害者及びその家族等の相談に適切な対応ができないと考えるため、「事業者においては、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するため、既存の顧客相談窓口等の活用や窓口の開設により相談窓口を整備することが重要である。なお、相談窓口には障害の特性に関する専門知識を有する障害当事者を含む外部有識者を入れる。」の下線部の記述を追記していただきたい。 (作業者注 下線部の記述は、「なお、相談窓口には障害の特性に関する専門知識を有する障害当事者を含む外部有識者を入れる。」) 金融庁の考え方  事業者における相談窓口の整備に当たっては、障害者等からの相談に的確に対応できることが必要であり、ご指摘のように、相談窓口に外部有識者を入れることもそのための有効な方策の一つと考えられますが、必ずしもそれに限られるものではなく、各事業者において検討すべき事項であると考えます。 p7 29 項目  第4 事業者における相談体制の整備 コメントの概要  相談体制においては、差別を受ける痛みを最も理解するのは障がい当事者であることから、可能な限り、障がい当事者が相談にあたるピアカウンセリング的手法を用いるべきことを記載すべきである。また、コミュニケーションに障がいがある人は合理的配慮がなければ相談自体ができないため、相談過程でコミュニケーション支援が受けられるよう体制を整備するとともに、当事者が望む者の同行や付添いが認められるべきことを記載すべきである。 金融庁の考え方  事業者における相談窓口の整備に当たっては、障害者等からの相談に的確に対応できることが必要であり、ご指摘のように、障害当事者が相談窓口担当者として相談に当たることもそのための有効な方策の一つと考えられますが、必ずしもそれに限られるものではなく、各事業者において検討すべき事項であると考えます。  なお、相談過程でコミュニケーション支援が受けられるような体制の整備に関しては、本対応指針第4において、 「相談時における配慮として・・・障害特性・・・に応じた多様な手段を用意しておくことが望ましい」旨を記載しております。  また、同行や付添いに関しては、必要なコミュニケーション支援を行う者は、「障害者及びその家族その他の関係者」に含まれるものと考えます。 30 項目  第4 事業者における相談体制の整備 コメントの概要  障害者と担当者の間で解決が難しい案件は相談窓口を中心に調整し、解決に当たれるよう明文化が必要なため、「相談窓口は、合理的配慮の提供及び過重な負担についての説明等の際、障害者からの理解が得られない場合は、障害当事者団体に意見を求めたり相談する等、建設的な解決に努める。」を追記していただきたい。 金融庁の考え方  相談窓口は障害者等からの相談に的確に対応できることが必要ですが、調整・問題解決機能を含め、相談窓口にどのような機能を担わせるかは各事業者において検討すべき事項であると考えます。 31 項目  第4 事業者における相談体制の整備 コメントの概要  「ホームページ等を活用し〜望ましい。」の一文の中の、「多様な手段を用意しておくことが望ましい」のところを「多様な手段を用意し、回答を行う旨を明記しておくことが望ましい」というように、回答ありきの相談窓口であることを記載していただきたい(現状は、金融機関の顧客相談窓口に相談を行っても回答すらないため)。 金融庁の考え方  障害者等からの相談に的確に対応するための相談窓口の整備が求められていることからすれば、相談者に対する回答が行われるべきことは当然のことと考えます。  なお、万が一、ご意見のような顧客相談窓口に相談を行っても回答すらない金融機関がある場合には、当庁にも情報提供いただきたく存じます。当庁としても、個別の状況に即して、是正に向けた適切な対応を行ってまいります。 32 項目  第5 事業者における研修・啓発 コメントの概要  事業者は、日々のサービス提供にあたり差別が起きないような職員研修を行い、差別解消法の趣旨を職員に周知徹底しなければならない。事業者内の相談担当者には、適切な助言や関係調整ができるよう十分な研修を行う必要がある。その研修においては、具体的な事例を題材にグループワークやディスカッションを実施したり、様々な障がい種別の当事者から直接話を聞く機会を作り、生活実態に即した差別解消策や問題認識を共有することが望ましい。そのため、こうした研修は、障がいや差別に対する理解を十分に深められるような内容のものでなければならず、定期的・継続的に行われる必要があり、啓発はポスターやリーフレット等が常に目につくよう、日常的に行われるべきである旨記載すべきである。 金融庁の考え方  貴重なご意見として承り、本対応指針運用上の参考にさせていただきます。なお、本対応指針第5において、従業員に対する継続的な研修の実施が重要であることを明記しています。 33 項目  第5 事業者における研修・啓発 コメントの概要  法の趣旨を踏まえれば、従業員への研修を通じて障害への理解を促進することや、障害者への対応を適切なものにすることは不可欠であることから、「研修等の企画に当たっては、〜従業員が障害者に対する適切な対応を習得できる効果的なものとなるよう検討することが望ましい。」を「効果的なものとなるよう検討するものとする。」に見直すべき。 金融庁の考え方  ご指摘の点に関しては、bPのとおり、第1.4 留意点の記載を追記し、「望ましい」という表現について、その考え方を明確にしました。 34 項目  第5 事業者における研修・啓発 コメントの概要  相談窓口はあらゆるルートで分かりやすく周知する必要があることから、「事業者においても、金融庁の相談窓口について障害者及び関係者に分かりやすい形で周知すること。」を加筆すべきである。 金融庁の考え方  ご指摘のとおり、障害者等からの相談に対応するための窓口は、様々なルートで、分かりやすく顧客に対して周知することが必要と考えますが、具体的な周知方法は、各事業者がそれぞれの業務・事務特性やビジネスモデル等に鑑みて検討するのが相当と考えます。 p8 35 項目  第5 事業者における研修・啓発 コメントの概要  職員等関係者に対する障害特性理解のための障害別の研修会等を必ず実施することを要望する。研修会開催計画については内容や回数を明文化することに加えて実施の際は障害当事者を交えた研修会として開催する必要性がある。また使用するマニュアルは障害者団体や当事者の監修のもと当事者が納得できるものにすることを望む。例えば、視覚障害者については移動支援を必ず盛り込むなど当事者の必然性が反映されたものであることが必須である。 金融庁の考え方  障害者に対して適切に対応するためには事業者における研修や啓発が重要と考えておりますが、具体的にどのような頻度・内容で研修を実施するかについては、頂戴したご意見も参考に、各事業者において、最も適切な方法により行われるべきと考えます。なお、本対応指針第5において、従業員に対する継続的な研修の実施が重要であることを明記しています。 36 項目  第6 金融庁所管事業分野における相談窓口 コメントの概要  対応指針案に記載する公的な窓口が、差別解消法に基づく相談に特化した窓口であることが望ましいが、既存の窓口を利用する場合であっても、相談に対応する職員の研修を充実させ、適切な助言や関係調整ができるよう整備すべきであると明記すべきである。また、相談事例の蓄積・分析と今後の対応への活用が必要である。さらに、将来的には、当事者双方の主張を踏まえた紛争解決にあたる裁判外紛争解決機関が設置されるべきであることを記載すべきである。 金融庁の考え方  貴重なご意見として承り、本対応指針運用上の参考にさせていただきます。なお、金融庁における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領第7条において、当庁職員に対し、「必要な研修・啓発を行う」、「障害の特性を理解させるとともに、障害者へ適切に対応するために必要なマニュアル等により、意識の啓発を図る」旨を規定しております。 37 項目  第6 金融庁所管事業分野における相談窓口 コメントの概要  障害者等からの事業者の対応等に関する相談については、金融庁においては金融サービス利用者相談室に指定していますが、監督局総務課と検査局総務課、法令等遵守調査室を受付窓口にしていただきたい。 金融庁の考え方  事業者の対応等に関する相談については、窓口である金融サービス利用者相談室において一元的に受け付け、障害者等からの相談についても同様に取り扱うこととしております。 38 項目  (別紙)障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 1 不当な差別的取扱いに当たりうる具体例 コメントの概要  具体例における「障がいあることのみを理由として」「身体障害者補助犬を連れていることや車いすを利用していることのみを理由として」との文言は、差別的取扱いの理由が障害があること又はこれに関連する事由を含め複数存在する場合は差別にあたらないかのような誤解を与える記載であるため、「のみ」との限定を外すべきである。 金融庁の考え方  ご指摘を踏まえ、「不当な差別的取扱いに当たりうる具体例」における「障害があることのみを理由として」との記載を、「障害を理由として」との記載に修正します。 39 項目  (別紙) 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 1 不当な差別的取扱いに当たりうる具体例 コメントの概要  介助者(付き添いの者)にばかり顔を向けたり話しかけたりして、障害者本人に正対しない、話しかけないことは差別に当たりうることを追加していただきたい。最近は少なくなりましたが、金融機関等に限らず、様々な事業者の社員・従業員が、(特に車いすの場合に)障害者本人を無能力者のように捉え、介助者にのみ話しかけることが、時おりあります。明確な差別として明記すべきである。 金融庁の考え方  金融機関等における障害者への対応に関する貴重なご意見として承り、本対応指針運用上の参考とさせていただきます。 40 項目  (別紙) 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 1 不当な差別的取扱いに当たりうる具体例 コメントの概要  随伴症状と呼ばれる意図しない頭・手・足の動きや顔の表情の変化が伴うことがありますが、健常者には不自然に感じられたり、不安な感情を呼び起こすかもしれません。そのことにも理解を示していただきたい。「障害そのものだけでなく、障害があることによってやむなく起きる事象について上記の対応をする。例えば障害があることによってやむなく起きる不自然な言動や表情を理由にして上記の対応をすることは、不当な差別的取扱いである。」をこの段落の最後に追加していただきたい。 金融庁の考え方  障害に付随して起こる随伴症状を理由とする場合も、「障害を理由として」に含むものと考えます。 p9 41 項目  (別紙)障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 1 不当な差別的取扱いに当たりうる具体例 コメントの概要  ダウン症候群である障害者が、保険会社から、生命保険(終身)の加入を拒否された。ダウン症だからといって拒否するのは不当であり、疾病における自己負担の問題や看護介護の問題で経済的精神的な困難に陥ることも予想される。三大疾患及び高度先端医療技術を必要とされる疾患については、生命保険に加入されていないと追加加入することができず、疾患者は莫大な費用を出費することとなる。もはや加入拒否は疾患者の生きる権利を奪っているのは明白である。このため、生命保険加入拒否を不当な差別的扱いとして記載すること。 金融庁の考え方  保険引受(危険選択)に当たっては、保険契約者間の公平性の確保及び保険制度の健全性の維持等の観点に鑑み、個別の事案ごとに、申込者の障害等の種類・程度等も勘案の上、総合的・客観的に検討の上、引受可否について判断することが必要と考えます。このような具体的検討を行わず、単に障害を理由として、保険引受を拒否することは、正当な理由に基づかない不当な差別的取扱いに該当しうると考えます。  この点については、不当な差別的取扱いに当たりうる具体例として、「障害を理由として、商品の提供を拒否する」としているとおりです。 42 項目  (別紙) 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 2 合理的配慮の具体例 〔意思疎通の配慮の具体例〕 コメントの概要  問合せ等に際し、音声によるもの(フリーダイヤル又は問合せ先は電話番号しか明記されていない)がほとんどであるのが現状であるが、音声及び音声に代わる問合せ方法の両方を兼ね備え、対応することを、具体例として示すべきと考えるため、「問合せ等に際し、電話・FAX番号やメールアドレスを明記したり、インターネット画面への入力など、視覚障害者や聴覚障害者等のいずれも対応できるようにする。また、聴覚障害者が預金通帳やキャッシュカードの紛失などの緊急時に、手話通訳者・家族・知人等による電話通訳もしくは代理電話で問合せる等、いずれの場合も対応できるようにする。」を追記していただきたい。 金融庁の考え方  ご指摘のような対応に関しては、物理的環境への配慮の具体例として、「情報提供や取引、相談・質問・苦情受付等の手段を、非対面の手段を含めて複数用意し、障害のある顧客が利用しやすい手段を選択できるようにする」旨を記載しております。 43 項目  (別紙) 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 2 合理的配慮の具体例 〔意思疎通の配慮の具体例〕 コメントの概要  知的障害・発達障害を持つ人の苦手なことである配慮であることが分かるほうが、事業者にはイメージが付きやすいと思うため、「明確に、分かりやすい言葉で、〜」の冒頭に「知的障害・発達障害を持つ顧客に対しては)を追加していただきたい。さらに、「嫌味などは通じないことや、額面どおりの意味を取りがちなこと、あいまいな表現も避ける」という文章を追加していただきたい。 金融庁の考え方  明確に、分かりやすい言葉で説明するなどの配慮が必要であることは、知的障害・発達障害を持つ方に限られるものではないと考えますので、あえて限定すべきでないと考えます。  また、ご意見を踏まえ、具体例について以下のとおり修正します。 「説明に当たっては、・・・二重否定表現を用いないなど、あいまいな表現を避け、分かりやすい表現で説明を行う。」 44 項目  (別紙) 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 2 合理的配慮の具体例 〔意思疎通の配慮の具体例〕 コメントの概要  「書類の内容や取引の性質等に照らして特段の問題が無いと認められる場合に、自筆が困難な障害者からの要望を受けて、本人の意思確認を適切に実施したうえで、代筆対応する。」とあるが、貸金業者向けの総合的な監督指針(U-2-13-1 返済能力調査)では、「借入申込書に借入希望額、既往借入額、年収額等の項目を顧客自身に記入させること等により、顧客の借入の意思を確認」することとされている。この場合においても、前述した対応指針の代筆対応に係る要件を満たした場合は、代筆対応が認められると解してよいか。また、代筆対応が認められる場合に満たすべき条件等はあるか。(代筆者の資格、意思確認の方法等) 金融庁の考え方  借入申込書のように顧客の支払義務の前提となる書類の場合には、より慎重に顧客の意思確認を行う必要があると考えられ、障害者の家族等の同席の下で作成されるのが一般的であると思われますが、顧客の借入の意思を適切に確認することができる場合には、代筆対応を取ることも認められるものと考えます。代筆者の資格や意思確認の方法等について、統一的な条件などはありませんが、借入意思の確認等において、慎重に対応することが必要と考えます。 45 項目  (別紙) 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 2 合理的配慮の具体例 〔意思疎通の配慮の具体例〕 コメントの概要  代筆対応が明記されているのは評価できます。自筆が困難な障害者とされていますが、肢体障害だけではなく、弱視をはじめとした視覚障害者も代筆対応が必要です。他の障害種別でも必要なケースがあると思われます。その点が含意された表現にできないでしょうか。 金融庁の考え方  「自筆が困難な障害者」は、特定の障害種別に限定されるものではなく、視覚障害者もこれに含まれうると考えます。 46 項目  (別紙) 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 2 合理的配慮の具体例 〔意思疎通の配慮の具体例〕 コメントの概要  吃音のある人は、時間制限などを設定されるとそれを意識しさらに悪化することがあります。そのことにも理解を示していただきたい。「吃音や失語症など意思疎通が不得意な者に対し、時間制限を設けない。」を追加していただきたい。 金融庁の考え方  ご指摘を踏まえ、以下のとおり修正いたします。  「明確に、分かりやすい言葉で、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、対応時間の制限などを設けることなく、内容が理解されたことを確認しながら応対するなど顧客に合わせた配慮をする。」 p10 47 項目  (別紙) 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 2 合理的配慮の具体例 〔意思疎通の配慮の具体例〕 コメントの概要  吃音者は、発話するときに吃ってしまうことにより言いたいことを伝えられない、上手く発話できないが故に時間がかかってしまうといった特性があるため、障害特性に応じた具体的対応例に発話の障害である吃音(きつおん・どもり)をもっと詳細に記述してほしい。 金融庁の考え方  ご指摘を踏まえ、「合理的配慮の具体例」における意思疎通の配慮の具体例として、以下を追記します。  「○(吃音症等の発話に障害のある顧客に対しては、)障害特性を理解した上で、顧客が言い終えるまでゆっくりと待つ、発話以外のコミュニケーション方法も選択できるようにする。」 48 項目  (別紙) 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 2 合理的配慮の具体例 〔物理的環境への配慮の具体例〕 コメントの概要  カウンターが高い場合の車いす障害者への配慮も明記すべきである。 金融庁の考え方  ご指摘を踏まえ、「合理的配慮の具体例」における物理的環境への配慮の具体例として、以下を追記します。  「○ 車椅子利用者にとってカウンターが高い場合に、カウンター越しの対応ではなく、他のテーブルに移る等して、適切にコミュニケーションを行う。」 49 項目  (別紙) 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 2 合理的配慮の具体例 〔物理的環境への配慮の具体例〕 コメントの概要  物理的環境への配慮として、「電光表示板、磁気誘導ループなどの補聴装置の設置、音声ガイドの設置」を加えるべきである。 金融庁の考え方  電光表示板、電光ボード、磁気誘導ループなどの補聴装置、音声ガイドの設置等は、本対応指針第2.2(3)にも示しているとおり、合理的配慮を的確に行うための環境の整備として実施に努めるべき事項と考えられます。 50 項目  (別紙) 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 2 合理的配慮の具体例 〔物理的環境への配慮の具体例〕 コメントの概要  聴覚障害者は、館内放送や緊急放送を聞くことができず状況が分からないため、聞こえる人も聞こえない人も、子どもから大人まで誰もが分かる方法で対応するべきと考えるため、「館内放送や天災や事故などの緊急情報を聞くことが難しい障害者に対し、電光ボードや電光掲示板などを活用し、館内の目につきやすい場所に分かりやすい表現で掲示する。」を追記していただきたい。 金融庁の考え方  電光表示板、電光ボード、磁気誘導ループなどの補聴装置、音声ガイドの設置等は、本対応指針第2.2(3)にも示しているとおり、合理的配慮を的確に行うための環境の整備として実施に努めるべき事項と考えられます。 51 項目  (別紙) 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 2 合理的配慮の具体例 〔ルール・慣行の柔軟な変更の具体例〕 コメントの概要  「順番を待つことが苦手な障害者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続き順を入れ替える。」について、確かに発達障害者の中には順番を待つことに非常にイライラしたりする方もいますが、それは障害特性というよりは、「順番を守る」ことを学習しそこねた結果(未学習の結果)というべきものです(発達障害児者でも多くは学童期あたりまでには学習できるものです)。「順番の入れ替え」については、これを国レベルで推奨すべき合理的配慮としてしまうことにより、未学習のある当事者において「自分は発達障害だから優先されるべき」といった誤学習にもつながりかねず、いきすぎた配慮の要求や、自治体窓口や民間でのトラブルへの波及、ひいては訴訟等の増加等なども懸念されます。  窓口対応などにおいては手続き順などを入れ替えてしまったほうがスムースに行くといった面はあるかとは思いますが、社会と当事者の先々のためにも、この項目における「順番の入れ替え」部分については削除あるいは発達障害者の除外を明記していただきたい。 金融庁の考え方  ご指摘のような考え方もあると思われる一方、多様な障害者がいる中で、具体的場面や状況に応じて、手続き順を入れ替えるということも合理的配慮の一つとして考えられますので、以下のとおり修正します。  「○ 周囲の者の理解を得た上で、手続順を入れ替える。」 52 項目  (別紙) 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 2 合理的配慮の具体例 〔ルール・慣行の柔軟な変更の具体例〕 コメントの概要  下記を加えていただきたい。  「聴覚に障害のある顧客から、意思疎通を援助するもの(手話通訳等)の同席を求められた場合、その同席を認める」 金融庁の考え方  ご意見を踏まえ、「意思疎通の配慮の具体例」として、以下を追記いたします。  「○ 顧客の要望がある場合に、意思疎通を援助する者(手話通訳等)の同席を認める。」 p11 53 項目  (別紙) 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 2 合理的配慮の具体例 〔ルール・慣行の柔軟な変更の具体例〕 コメントの概要  事業者として、多様な手段の確保をする必要があると考えるため、また、聴覚障害者の場合、音声情報が入らず、視覚をとおして、資料と手話もしくは文字通訳を見るため、見える範囲に収まる必要があることから、以下の記述を追記していただきたい。  「説明会等で使用する資料や、受付および会場内の案内・説明等は、点字、拡大文字、音声読み上げ機能、ルビ付与、分かりやすい表現への置換え、手話、筆談など障害特性に応じた多様なコミュニケーション手段を可能な範囲で用意して対応する。」  「スクリーンや板書、教材、手話通訳者等がよく見えるように、スクリーンや手話通訳者等に近い席を確保する。」 金融庁の考え方  ご意見を踏まえ、「意思疎通の配慮の具体例」として、以下を追記いたします。  「○ 説明会等で使用する資料や、受付および会場内の案内・説明等について、点字、拡大文字、音声読み上げ機能、ルビ付与、分かりやすい表現への置換え、手話、筆談など障害特性に応じた多様なコミュニケーション手段を、可能な範囲で用意して対応する。」  また、「ルール・慣行の柔軟な変更の具体例」として、以下を追記いたします。  「○ スクリーンや板書、手話通訳者等がよく見えるように、スクリーンや手話通訳者等に近い席を確保する。」 54 項目  (別紙) 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 2 合理的配慮の具体例 〔ルール・慣行の柔軟な変更の具体例〕 コメントの概要  吃音のある人にとって大勢の人の中で話すことに大きなストレスを受けます。言葉がさらに出にくくなることがあります。比較的静かな環境で説明ができるようにしていただきたいと思います。「コミュニケーションに障害がある人が、窓口で込み入った話をすることが必要になった時、大勢の人の視線に触れないよう、別室で対応する」を追加していただきたい。 金融庁の考え方  ご指摘を踏まえ、以下のとおり修正します。  「他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、不随意の発声や吃音等がある場合において、当該障害者が了承した場合には、障害の特性や施設の状況に応じて別室を準備する。」 55 項目  (別紙) 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 コメントの概要  別紙「具体例」に記載されている事例はあくまでも参考例であり、全て一律に設備の設置や内規の策定が義務付けられるということではなく、実情にそった対応が求められるという理解でよいか。 金融庁の考え方  ご理解のとおりですが、障害者差別解消法の趣旨に則った適切な対応をすることが求められます。 56 項目  (別紙) 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 コメントの概要  聴覚障害者が金融サービスを利用する上で困る事は、カード紛失や解約の際の手続きです。電話による手続きは、本人確認ができないとの理由で拒否されることがあります。その場合は、直接窓口に行くか、文書でのやり取りを紹介されますが、そこに行きつくまでの手続きや必要な情報の入手が、電話が利用できないことによって、叶わないことが多いです。必要な手続きが行えるようするために、FAXでのやりとり、インターネットやメールでのやり取りができるようにすることが必要な合理的配慮となります。また、手話通訳、要約筆記者の配置、補聴援助システムの利用することでやり取りすることもできます。それらを拒否することも、差別にあたるので、差別に含まれるという文言を入れてください。 金融庁の考え方  ご指摘の点に関しては、本対応指針第4において、「相談時における配慮として、対面のほか、電話、FAX、電子メールなど、障害特性や事業者の業務・事務特性、ビジネスモデル等に応じた多様な手段を用意しておくことが望ましい。」旨規定しているほか、合理的配慮の具体例において、「情報提供や取引、相談・質問・苦情受付等の手段を、非対面の手段を含めて複数用意し、障害のある顧客が利用しやすい手段を選択できるようにする。」旨規定しております。  なお、手話通訳や要約筆記者の配置等の点については、No.13等に対する回答をご参照ください。 57 項目  その他 コメントの概要  障害者や高齢者に元本保証の無いリスクの高い商品の販売や契約をさせる際、契約書に不利な条件が「小さい文字」で記載されている。説明がなかった等があったとして、「文字を大きくすれば」「後から説明すれば」問題は解決されたのかといえば、そうではありません。リスクの高い商品の販売、契約をさせることが問題なのであって、利用者保護のための規制や指導と、違法行為に対してより重い罰則を与えることが求められています。高齢者詐欺、高齢者の消費者トラブル、高齢者に対する虐待が、社会問題になっています。合理的配慮の不提供ではなく、高齢者は視力と聴力、判断力が低下している等の「障害」を利用した事件がおきています。違法行為の過程で、障害者差別が発生している可能性が高いことを留意したうえで「検査」「監督」をしていただきたい。その場合、障害者差別を解消しても、非違行為の解決になりません。法令等遵守がもっとも重要であり金融機関の違法行為に対して、処分が公正にされることが、結果的に障害者差別の解消につながります。法令等遵守体制のない組織において、障害者差別の解消はされることはありません。 金融庁の考え方  貴重なご意見として承り、今後の金融行政運営上の参考にさせていただきます。 p12 58 項目  その他 コメントの概要  事業者における一定の配慮と、対応マニュアル作成には意義を考える。 また、金融庁等の行政におけるその対応方法等の集積にも意義があると考える。(対応方法について、その方法が容易に分かるようになっていれば事業者にとって役立ち、混乱が少なくなるであろうから。) しかしながら、金融は場合によっては一刻を争う事態というのもあり得るものであり、その様な場合に危機回避が障害者に対する対応を理由に出来ないという事態になってはならないとも考える。(ここで、障害者の中にはクレーマー的な人間が混じっている事は注意しておくべきである。これは一般の顧客と同じであるが、しかし障害者においてはそこで独特の形態を持つ事が往々にしてある。) 総じて、対応マニュアル等については作成を行い行政はそれを支援すべきであると考えるが、これらの配慮によって公益性が害されないようにすべきであると考える。 金融庁の考え方  貴重なご意見として承り、今後の金融行政運営上の参考にさせていただきます。 59 項目  その他 コメントの概要  障害者の特性理解を強化促進するため具体例や事例集はより一層内容を充実する必要がある。具体例や事例は常に変化するため追加・更新しやすくするため「別紙」とすべきである。その他、障害当事者間の情報共有のためWEBサイトの有効活用を促進し事例の即時掲載や障害当事者等から例示を収集する仕組みを設けることなどを要望する。 金融庁の考え方  本対応指針において、障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例については別紙としております。  事例の即時掲載や障害当事者等から例示を収集する仕組みの導入につきましては、貴重なご意見として承り、今後の本指針運用上の参考とさせていただきます。 60 項目  その他 コメントの概要  金融庁所管事業はとても重要な事業であると思います。金融庁所管事業の施設を利用する人々の中には社会的障壁を持った人がいます。もう少し詳しくわかりやすい対応指針案にならないでしょうか?  例として厚生労働省関係の対応指針案「障害者差別解消法に基づく衛生事業者向けの対応指針(案)」、「障害者差別解消法に基づく医療事業者向けの対応指針(案)」、「障害者差別解消法に基づく福祉事業者向けの対応指針(案)」の以上3つがイラストや対応事例や参考ホームページが記載されていてわかりやすいと思いました。  対応指針の内容が全体的に不足しているように感じる。他の対応指針を参考にしてほしい。修正加筆をしてほしい。 金融庁の考え方  貴重なご意見有り難うございます。他省庁の対応指針案も参考に、本パブリックコメントに基づき広くご意見を募った上で本対応指針を策定させていただきました。  なお、事業者における、障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例については、本指針の別紙のとおりですが、今後、内閣府が合理的配慮等の具体例データ集を公表予定であり、これも併せて参照するのが有益と考えます。 61 項目  その他 コメントの概要  厚生労働省3つの対応指針案を参考にして読み手がわかりやすいように、参考文献や情報が記述してあるホームページURLリンク集を金融庁所管事業の対応指針にも盛り込んでほしい。 金融庁の考え方  貴重なご意見有り難うございます。他省庁の対応指針案も参考に、本パブリックコメントに基づき広くご意見を募った上で本対応指針を策定させていただきました。  なお、事業者における、障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例については、本指針の別紙のとおりですが、今後、内閣府が合理的配慮等の具体例データ集を公表予定であり、これも併せて参照するのが有益と考えます。 62 項目  その他 コメントの概要  各省庁において実施された今回の障害当事者団体からのヒアリングは、回数・時間・内容のいずれにおいて極めて不十分で当事者の声を確認出来たとは到底考えられず当初の目的を達していない。施行に向けた各省庁の取組においては、障害者団体の声を十分に反映できる体制・方法に改善されることを強く要望する。 金融庁の考え方  貴重なご意見として承り、本指針の施行に向けた取組みの参考にさせていただきます。 p13 63 項目  その他 コメントの概要  対応要領・対応指針等はじめとして今後提供されるすべての情報について視覚障害者のための情報補償に配慮し、点字(墨字ページ参照付)、音声、拡大文字、電子データ(テキスト、WEB)を必ず提供すべきである。 金融庁の考え方  貴重なご意見として承り、今後の金融行政運用上の参考にさせていただきます。なお、当庁における対応については、対応要領(別紙) 第6 「合理的配慮の具体例」における合理的配慮に当たり得る意思疎通の配慮の具体例として、「会議資料等について、必要に応じ点字、拡大文字等を使用する。」、「障害のある委員に会議資料等を事前送付する際、必要に応じ読み上げソフトに対応できるよう電子データ(テキスト形式)等で提供する。」旨を記載しております。  また、金融庁ウェブサイトは、ウェブサイト掲載内容の読上げ、フォントサイズの変更、色指定等ができるウェブ・アクセシビリティ支援ツールを平成18年4月1日より導入し、ウェブ利用者に対し無償配布しております。 64 項目  その他 コメントの概要  施行後も継続的に様々な事例を蓄積し施行3年後には必ず障害当事者を交えた議論を行い問題点の改善をすべきである。 金融庁の考え方  貴重なご意見として承り、今後の本指針運用上の参考にさせていただきます。 65 項目  その他 コメントの概要  WEBサイトによる情報提供はウェブアクセシビリティに関する日本工業規格「JIS X 8341-3:2010」に準拠することを要望する。 金融庁の考え方  貴重なご意見として承り、今後の金融行政運営上の参考にさせていただきます。