平成14年1月31日
金融庁
「資金洗浄対策の観点から監視を強化すべき取引について」の発出について
1. 平成13年12月5日、FATF(Financial Action Task Force on Money Laundering:金融活動作業部会(注1))加盟国は、ナウル共和国が同年11月30日までにマネー・ローンダリング対策法の適切な改正が行われなかったため、対抗措置を実施することとした(注2)。
(注1) FATF:1989年のアルシュ・サミット経済宣言を受けて設立された政府間機関。マネー・ローンダリング対策を国際的に推進することを目的としている。現在、日本を含む29の国と地域及び2つの国際機関が加盟している。
(注2) ナウル共和国は平成12年6月に資金洗浄対策に非協力的な国・地域に認定されたため、平成13年8月28日にマネー・ローンダリング対策法を施行した。しかし、FATF9月会合で同法にいくつかの不十分な点があることが判明したため、FATFはナウル共和国が同年11月30日までに同法の適切な改正を行わない場合に対抗措置を適用することを決定した。
2. FATFの決定を受け、当庁は、本日付けで、関係金融機関の資金洗浄対策担当責任者宛要請文書「資金洗浄対策の観点から監視を強化すべき取引について」(別添)を関係金融業界団体に手交して加盟金融機関への周知徹底方を依頼した。なお、要請文書は当庁ホームページ※上にも掲載している。
* http://www.fsa.go.jp/fiu/fiu.html
本件についての問い合わせ先
金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
総務企画局総務課 特定金融情報室 情報係(内線3278)
金総第114号
平成14年1月31日
関係金融機関
資金洗浄対策担当責任者 殿
金融庁総務企画局
特定金融情報管理官
大久保 良夫
資金洗浄対策の観点から監視を強化すべき取引について(要請)
当庁は、FATF*1が特定した非協力的な国・地域(非協力国)に係る取引については、疑わしい取引の届出に関して特別の注意を払うよう貴殿に要請を行っているところである。*2
FATFは平成13年9月に開催した全体会合において、非協力国のうちナウル共和国について、同年8月28日付で資金洗浄対策法を成立させたが、同法には幾つかの欠点がみられ、主要な問題に対処していないため、同年11月末までに適当な法改正を行わなければ対抗措置を発動するよう決定した。その後、同国は上記期限までに法改正を行わなかった。
当庁としては、国際的な資金洗浄対策の強化を進めるFATFの決定に従い、ナウルについては、疑わしい取引に該当するか否かを判断する際の参考として公表している「疑わしい取引の参考事例」*3における「資金洗浄対策に消極的な国」に該当するものとして取り扱うこととした。当庁は、ナウルに係る取引については、特別な注意を払うことに加え、取引の相手方の本人確認、資金の源泉、取引目的等の審査を厳格に行い、「疑わしい取引の参考事例」に照らして疑義があると認める取引*4については、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」(平成11年法律第136号)第54条に基づく疑わしい取引の届出を行うよう要請する。
*1 | Financial Action Task Force on Money Laundering |
*2 | ・3 FATF及び金融庁ホームページ参照。 http://www.oecd.org/fatf/FATDocs_en.htm#Non-Cooperative http://www.fsa.go.jp/fiu/fiu.html |
*4 | 本要請は、ナウルに係る取引をすべて届出するように要請しているものではない。 |