平成15年3月11日
金   融   庁
 
株式会社三井住友フィナンシャルグループ、株式会社三井住友銀行、株式会社わかしお銀行の産業活力再生特別措置法に基づく事業再構築計画の認定について




.認定計画の概要

 株式会社三井住友銀行から、平成15年2月25日付けで提出された「事業再構築計画」について、産業活力再生特別措置法第3条第1項の規定に基づき審査した結果、同法第2条第2項第1号に規定する事業構造変更及び同項第2号に規定する事業革新を行う者として同法に定める認定要件を満たすと認められるため、3月11日付で事業再構築計画の認定を行った。
 今回認定した申請者の事業再構築計画では、中小企業向けを中心とする金融機能を大幅に増強し、高度な収益力、財務体力を備えることを実現、もって「複合金融グループ」としての更なる飛躍を図ることとしている。
 本件の認定により、合併、増資にかかる登録免許税の軽減の特例を受けることが可能となる。


.事業再構築の実施時期

 開始時期 平成15年3月 〜 終了時期 平成18年2月


.申請者の概要
 


 株式会社三井住友フィナンシャルグループ
 
   資本金  1兆0,752億円
   代表者  西川 善文
   本店所在地  東京都千代田区有楽町1丁目1番2号


 株式会社三井住友銀行
 
   資本金  9,080億円
   代表者  西川 善文
   本店所在地  東京都千代田区有楽町1丁目1番2号


 株式会社わかしお銀行
 
   資本金  208億円
   代表者  市川 博康
   本店所在地  東京都千代田区神田神保町1丁目21番地1
   
問い合わせ先
金融庁 TEL 03−3506−6000(代表)
監督局銀行第一課
 西尾(内3395)、新屋敷(内3388)


(様式第三)

認定事業再構築計画の内容の公表


.認定年月日  平成15年3月11日


.認定事業者名 株式会社三井住友フィナンシャルグループ、株式会社三井住友銀行、
         株式会社わかしお銀行


.事業再構築の目標
 
(1)  事業再構築に係る事業の目標
 
 環境認識
 経済・金融のグローバル化、金融サービス分野における規制緩和の進展、顧客の金融ニーズの多様化等に伴い、業界、業種等の壁を越えた、国際的な金融機関の競争が激化している。さらに、わが国経済においては、景気の後退及び株式市況の低迷が長期化しており、銀行経営を廻る環境は一段と厳しいものとなっている。
 また、近年、社会全般に亘り未曾有の構造改革が進む中、地域の経済活動・消費生活にも大きな変化が生じてきている。こうした変化を新たなビジネスチャンスと捉えるとともに、昨今の厳しい経済環境の下において、中小企業等への円滑な金融サービスの提供が金融機関としての最重要課題となっている。


 目標
 こうした環境の下、三井住友フィナンシャルグループ傘下の三井住友銀行とわかしお銀行は、平成15年3月17日を期日として合併を実施する。
 また、三井住友フィナンシャルグループでは平成15年3月12日に優先株式を発行し資本増強を行う。三井住友銀行は平成15年3月13日に、わかしお銀行は平成15年3月13日および14日に、それぞれ第三者割当増資により普通株式を発行し、三井住友フィナンシャルグループは優先株式の発行代わり金およびその他余剰資金によりそれを引受する。
 新銀行(以下、新・三井住友銀行)では、わかしお銀行が、これまで首都圏に基盤をおいて築いてきた「都市型コミュニティバンク」としてのビジネスモデルに、三井住友銀行が保有するブランド力、高度な金融サービス開発力、全国規模のネットワーク及び事務・システム等の経営インフラを融合することを通じ、従来以上に高い付加価値と顧客利便性を併せ持った中小企業及び個人向け金融サービスの提供の実現を図る。
 また、合併に際しては、合併差益を活用して、現在、三井住友銀行が持つ有価証券の含み損について大規模な財務処理を実施する。当該財務処理により、有価証券含み損を解消した後、政策投資株式の積極的な売却を進める方針である。これら一連の施策実施により、株式価格変動リスクの大幅な圧縮を達成する。
 さらに、前述のとおり三井住友フィナンシャルグループの資本増強に加えて、新・三井住友銀行の資本増強を実施し、財務基盤を大幅に強化し、経営の安定性を向上することにより、合併により構築を図る事業活動の実現をより確実なものとする計画である。
 これらにより、中小企業向けを中心とする金融機能の大幅な増強を図り、高度な収益力、財務体力を備えることを実現し、もって「複合金融グループ」としてさらなる飛躍を図ることを目標とする。

(2)

 生産性の向上を示す数値目標
 平成17年度における自己資本当期利益比率を、平成13年度との比較において、23.7%ポイント上昇させる。


.事業再構築の内容
 
(1)  事業再構築に係る事業の内容
 
 中核的事業
 個人業務、内外企業取引、その他の金融サービス事業


 選定理由
 わかしお銀行では、これまで首都圏に基盤を置く都市型コミュニティバンクとしてスモールビジネス、個人向けの地域密着型金融サービスに経営資源を集中し、高い専門性とローコストオペレーションのノウハウを強みとする独自のビジネスモデルを構築してきた。
 一方、三井住友銀行においては、統合の第二ステージとして持株会社体制への移行等による複合金融グループとしてプラットフォーム整備を完了するとともに、戦略面では個人・中小企業向け貸出を中心に資金供給機能の一層の拡充を最も重要な経営課題としてきた。
 新・三井住友銀行では、わかしお銀行が築き上げてきた独自のビジネスモデルに、三井住友銀行の高度な金融サービス開発力、全国規模のネットワークを融合させると共に、事務・システム等の経営インフラを統合のうえ、増資により大幅に強化される財務基盤をもって、従来以上に高い付加価値と顧客利便性を併せ持った個人・中小企業向けの金融サービスの充実・拡大を図るものとした。

(2)

 事業再構築を行う場所
 
 株式会社三井住友フィナンシャルグループ :東京都千代田区有楽町一丁目1番2号
 株式会社三井住友銀行 :東京都千代田区有楽町一丁目1番2号
 株式会社わかしお銀行 :東京都千代田区神田神保町二丁目21番地1

(3)

 事業再構築を実施するための措置の内容
 別表のとおり

(4)

 事業再構築の開始時期および終了時期
 開始時期 平成15年3月〜終了時期 平成18年2月


.事業再構築に伴う労務に関する事項
 
(1)  事業再構築の開始時期の従業員数
 <平成15年3月末(見込)>24,000人程度

(2)

 事業再構築に伴い出向又は解雇される従業員数
 出向及び解雇の予定なし。

 



(別表)

事業再構築の措置の内容
 
措 置 事 項 実施する措置の内容及びその実施する時期 期待する支援措置
事業構造変更
  合併による中核的事業の開始、拡大又は能率の向上
(1) 合併する会社の概要
 
名 称: 株式会社三井住友銀行
住 所: 千代田区有楽町1丁目1番2号
代表者: 頭取 西川善文
資本金: 9,080億円
 
名 称: 株式会社わかしお銀行
住 所: 千代田区神田神保町2丁目21番地1
代表者: 取締役頭取 市川博康
資本金: 208億円
 
(2) 合併新会社の概要
 
名 称: 株式会社三井住友銀行
住 所: 千代田区有楽町1丁目1番2号
代表者: 頭取 西川善文
資本金: 5,600億円
合併比率: 株式会社三井住友銀行の普通株式1株について株式会社わかしお銀行の株式0.007株を割当てる。
株式会社三井住友銀行の優先株式1株について株式会社わかしお銀行の株式0.001株を割当てる。
租税特別措置法第80条勧告等によってする登記の税率の軽減
資本の相当程度の増加による中核的事業の拡大又は能率の向上
(1) 三井住友フィナンシャルグループが、優先株式を発行することにより資本増強を行い、同社が当該株式発行の代わり金等により三井住友銀行およびわかしお銀行の普通株式の第三者割当増資を引受し、もって、新・三井住友銀行の資本を増強する。

(2)

優先株式の発行により増加する資本金
 
優先株式の発行により資本金が増加する会社
 
 名 称: 株式会社三井住友フィナンシャルグループ
 住 所: 千代田区有楽町1丁目1番2号
 代表者: 取締役社長 西川善文
発行価額の総額:3,450億円
増加前の資本金:1兆752億円
増加する資本金の額:1,725億円
増加後の資本金:1兆2,477億円
増資の方法:優先株式発行
増資の時期:平成15年3月12日

(3)

普通株式の発行により増加する資本金
 
普通株式の発行により資本金が増加する会社
 
 名 称: 株式会社三井住友銀行
 住 所: 千代田区有楽町1丁目1番2号
 代表者: 頭取 西川善文
発行価額の総額:3,000億円
増加前の資本金:9,080億円
増加する資本金の額:1,500億円
増加後の資本金:1兆580億円
増資の方法:普通株式発行
増資の時期:平成15年3月13日

(4)

普通株式の発行により増加する資本金
 
普通株式の発行により資本金が増加する会社
 
 名 称: 株式会社わかしお銀行
 住 所: 千代田区神田神保町2丁目21番地1
 代表者: 頭取 市川博康
発行価額の総額:1,200億円
増加前の資本金:208億円
増加する資本金の額:600億円
増加後の資本金:808億円
増資の方法:普通株式発行
増資の時期:平成15年3月13・14日
事業革新
  第二条第2項第二号ハ


新・三井住友銀行では、現在の三井住友銀行の組織体制をベースに、わかしお銀行の営業店舗およびその業務の推進・管理機能を引き継ぐ「コミュニティバンキング本部」を設置。


コミュニティバンキング本部では、これまで、わかしお銀行で実施してきたローコストオペレーションおよび地域に密着したスモールビジネス、個人向け業務で培ったノウハウを、投資銀行部門が行う高度な金融商品サービス力等と融合させることにより更に発展させ、「役務の新たな提供方式」を実現する。


わかしお銀行が有していた本社機能や市場業務機能については、各々、新・三井住友銀行の本社部門と市場営業部門に集約する。更に、事務・システム等の経営インフラを融合させ「役務提供の著しい効率化」を実現する。


合併に伴う一連の施策を通じて株式変動リスクの大幅な圧縮を実現し、加えて、優先株式の発行等による資本増強により、財務基盤の大幅な強化を図る。


以上の施策の実施により積極的な貸出先開拓等により中小企業向けを中心とした貸出金をはじめとする金融機能の一層の増強を行い、高度な収益力、財務体力を備えることを図り、もって収益性・効率性を高め事業革新を実現する。


具体的な数値基準として、平成17年度における業務収益1単位当りの経費を、平成13年度との比較において6%低減させる。