平成15年3月20日
金   融   庁
 
株式会社三菱東京フィナンシャル・グループ、株式会社東京三菱銀行、三菱信託銀行株式会社の産業活力再生特別措置法に基づく事業再構築計画の認定について




.認定計画の概要

 株式会社三菱東京フィナンシャル・グループ、株式会社東京三菱銀行、三菱信託銀行株式会社から、平成15年3月18日付で提出された「事業再構築計画」について、産業活力再生特別措置法第3条第1項の規定に基づき審査した結果、同法第2条第2項第1号に規定する事業構造変更及び同項第2号に規定する事業革新を行う者として同法に定める認定要件を満たすと認められるため、3月20日付で事業再構築計画の認定を行った。
 今回認定した申請者の事業再構築計画では、増資により「攻めの経営」に向けた資本基盤を強化し、商業銀行の中核的な収益の源泉である優良資産の増強を図り、加えてリテール業務、国際業務、信託業務などの発展・育成、効率化のためのIT投資を積極的に実施すること等により、グローバルな市場で競争力を発揮し,統合当初からの目標である「お客様にとって頼りがいのある、質の高い総合金融サービス・グループの確立」を目指していくとしている。
 本件の認定により、租税特別措置法第80条第2項の規定が適用され、増資にかかる登録免許税の軽減の特例を受けることが可能となる。


.認定事業再構築の実施時期

 開始時期 平成15年3月 〜 終了時期 平成17年3月


.申請者の概要
 
 株式会社三菱東京フィナンシャル・グループ
   資本金   11,465億円
   代表者   三木 繁光
   本店所在地 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号
 株式会社東京三菱銀行
   資本金   7,859億円
   代表者   三木 繁光
   本店所在地 東京都千代田区丸の内二丁目7番1号
 三菱信託銀行株式会社
   資本金   3,051億円
   代表者   内海 暎郎
   本店所在地 東京都千代田区永田町二丁目11番1号
   
問い合わせ先
金融庁 TEL 03−3506−6000(代表)
監督局銀行第一課
        長楽、安達(内3324)


(様式第三)

認定事業再構築計画の内容の公表


.認定年月日  平成15年3月20日

 
.認定事業者名   株式会社三菱東京フィナンシャル・グループ
   株式会社東京三菱銀行
   三菱信託銀行株式会社


.認定事業再構築計画の目標
 

(1

)事業再構築に係る事業の目標
 
 環境認識
 わが国経済が低迷を続けデフレ圧力が継続する中、不良債権の増加と株価の下落によって邦銀を取り巻く経営環境は厳しさを増している。金融再生プログラムにより新しい金融システムの枠組みが示されたように、わが国の構造改革を支える強固な金融システムの構築が喫緊の課題である。
 こうしたなかで、三菱東京フィナンシャル・グループは、「貸おこし」に象徴される「攻めの経営」により中核的事業を拡大する基盤とするために、普通株の公募増資による資本増強を行うこととした。


 目標
 銀行に対する金融仲介機能の活性化が求められる中、当グループは、お客さまへの円滑な資金供給機能を果たすために、増資により「攻めの経営」に向けた資本基盤を強化する。
 まず、商業銀行の中核的な収益の源泉である優良資産の増強を図り、加えてリテール業務、国際業務、信託業務などの発展・育成、効率化のためのIT投資を積極的に実施する。
 また普通株の公募による増資等を通じて、国内外市場の信認を獲得すると共に、如何なる経営環境の変化にも耐えられるリスクバッファーを拡充し、経営基盤を確固たるものとする。
 これらを通じ、グローバルな市場で競争力を発揮し、統合当初からの目標である、お客さまにとって頼りがいのある、質の高い総合金融サービス・グループの確立を目指して行く。

(2

)生産性向上を示す数値目標
 平成16年度に平成13年度との比較において、連結自己資本当期利益率を17%ポイント向上させる。


.認定事業再構築計画の内容
 

(1

)事業再構築に係る事業の内容
 
 中核的事業
 個人取引、中堅・中小企業取引、大企業取引(含む海外・非日系取引)、投資銀行業務、資産運用・管理業務、トレジャリー業務


 選定理由
 当グループは、多角的金融サービスを提供することを通じて、内外のお客さまと社会の繁栄に貢献すると共に、社会的・経済的な企業価値を創造することを目指しており、上記の各分野において提供するサービスの向上、収益力増強、効率化を図る所存である。

(2

)事業再構築を行う場所
  株式会社三菱東京フィナンシャル・グループ: 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号
  株式会社東京三菱銀行: 東京都千代田区丸の内二丁目7番1号
  三菱信託銀行株式会社: 東京都千代田区永田町二丁目11番1号

(3

)事業再構築を実施するための措置の内容
 別表のとおり


.事業再構築の開始及び終了時期
 
 開始時期 平成15年3月 〜 終了時期 平成17年3月


.事業再構築に伴う労務に関する事項
 

(1)

事業再構築の開始時期の従業員数
 
平成15年3月末見込み 20,630人程度
 東京三菱銀行 15,200人程度
 三菱信託銀行 5,430人程度

(2)

事業再構築の終了時期の従業員数
 
平成17年3月末計画  18,000〜18,500人程度
 東京三菱銀行 13,000〜13,500人程度
 三菱信託銀行 5,000人程度

(3)

事業再構築に充てる予定の従業員数
 
平成17年3月末計画 18,000〜18,500人程度
 東京三菱銀行 13,000〜13,500人程度
 三菱信託銀行 5,000人程度

(4)

(3)中、新規雇用される従業員数
 
 東京三菱銀行 900人程度
 三菱信託銀行 330人程度

(5)

事業再構築に伴い出向又は解雇される従業員数   なし
 
(注) 従業員数には、嘱託、臨時雇員、インターナショナルトレーニー及び海外現地採用者は含んでいない。


(別表)
事業再構築の措置の内容
 
措 置 事 項 実施する措置の内容及びその実施する時期 期待する支援措置
事業構造変更
  資本の相当程度の増加による中核的事業の開始、拡大又は能率の向上
銀行に対する金融仲介機能の活性化が求められる中、当グループは増資により「攻めの経営」に向けた資本基盤を強化し、まず、商業銀行の中核的な収益の源泉である優良資産の増強を図る。
さらに、リテール業務、国際業務、信託業務などの発展・育成、効率化のためのIT投資を積極的に実施する。また普通株の公募による増資等を通じて、国内外市場の信認を獲得すると共に、如何なる経営環境の変化にも耐えられるリスクバッファーを拡充し、経営基盤を確固たるものとする。
これらを通じ、グローバルな市場で競争力を発揮し、お客さまにとって頼りがいのある、質の高い総合金融サービス・グループの確立を目指して行く。

株式会社三菱東京フィナンシャル・グループ及び株式会社東京三菱銀行、三菱信託銀行株式会社が以下の通り実施する増資
 

(1)

株式会社三菱東京フィナンシャル・グループ
 
増加前の資本の額 1兆1,465億円
増加する額   1,148億円(最大)
増資の方法 公募増資及び
第三者割当増資

(2)

株式会社東京三菱銀行
 
増加前の資本の額 7,859億円
増加する額  892億円(最大)
増資の方法 第三者割当増資

(3)

三菱信託銀行株式会社
 
増加前の資本の額 3,051億円
増加する額  191億円
増資の方法 第三者割当増資
租税特別措置法第80条
勧告等によってする登記の税率の軽減
事業革新
  第2条第2項第2号ハ
今回の増資により強化される資本基盤をもとに、多角的で高付加価値なサービスを提供するとともに、IT技術の活用を軸とした利便性の向上とローコストオペレーション化を推進、総合金融サービスを発展させ、「新たな役務の提供」を実現する。
多角的金融サービスの提供
 
信託代理店制度や協働の仕組みを活用し、不動産・年金・証券代行取引を推進する。
銀行・信託・証券など、共同店舗を拡大する。
三菱証券を軸に投資銀行業務を強化する。(M&A業務・証券化業務に加えデリバティブ業務の移植により当グループ・中核投資銀行としての位置付けを明確化)
IT技術の活用
 
個人のお客さま向けダイレクトバンキングの機能拡充や法人のお客さま向けインターネットバンキングの基盤整備・機能拡充など、デリバリーチャネルを革新する。
受託財産運用・管理システムおよび証券代行システムの機能拡充により、高付加価値サービスを効率的に提供する。
海外拠点システムインフラを強化する。
グローバルCMSの機能を拡充する。
国内経営情報システムにより生産性向上を図る。
営業店システムを高度化する。
以上の施策により、「役務提供の著しい効率化」を実現する
具体的な数値基準は以下による。平成16年度(17/3期)に平成13年度(14/3期)との比較において、グループ銀行単体合算ベースの「業務粗利益1円当たり経費」を19%低減させる。