平成15年4月4日
金融庁

特別支援金融機関における「管理会計上の勘定分離」について

金融再生プログラムを踏まえ、特別支援後の金融機関における「管理会計上の勘定分離」について、「基本的な考え方」を以下のとおり整理するとともに、あわせて「標準的な手法」を別紙のとおり策定した。

(参考) 金融再生プログラム「1.(3)(イ)マル2適切な管理方法」
「特別支援を受けることとなった金融機関においては、新勘定と再生勘定に管理会計上分離し、適切に管理する。」

1. 管理会計上の勘定分離の目的

特別支援後の経営体制(新経営体制)とそれまでの経営体制(旧経営体制)の責任の明確化、特に、新経営体制による経営の成果を的確に把握するとともに、貸出債権等の適切な管理を通じて、特別支援金融機関の経営の再生を図ることを目的とする。このような観点から、特別支援を受ける原因にもなった不良債権等の資産に対応する部分を「再生勘定」、その他の部分を「新勘定」に、管理会計上分離するものである。

2. 各勘定に対する新経営体制の責任

特別支援後の金融機関の経営責任は、全て新経営体制が負うこととなるが、各勘定に対する責任としては、「再生勘定」においては、不良債権の早期処理等の観点から各資産について適切な管理を行い、また、「新勘定」においては、他の金融機関と同じく適正な収益の確保等の経営責任を果たすことが求められる。

具体的には、次のような観点から、新経営体制の責任をチェックしていくことになる。

・ 再生勘定 新経営体制は、不良債権等について「適切な管理」をしているか。例えば、不良債権の早期処理等の観点から、「個々の資産や債務者に対する対処方針等を早期に決定し、正常債権化することも含め、的確に管理・処分しているか」等。
・ 新勘定 新経営体制は、「適正な収益」をあげているか。例えば、単なる黒字の確保ではなく、「調達コストや信用コスト及び資本コスト等も加味した上で、適正な収益を確保しているか」等。

3. 各勘定に計上される資産等

(1) 再生勘定

再生勘定には、特別支援を受ける原因となった不良債権等の資産が計上される。具体的には、「要管理先以下に対する貸出債権」がメインとなるが、その他にも、新経営体制が継続して保有していく意思のない有価証券や不動産等の資産も対象となる。

損益項目としては、これらの資産の管理・処分等に関連する収益費用が計上される。

(2) 新勘定

新勘定には、再生勘定に計上された資産を除き、全ての資産・負債・資本が計上される。具体的には、現金預け金、正常債権、事業用不動産(店舗等)といった資産は全て対象となる。

損益項目としては、これらの資産・負債・資本を稼動させて得られる収益及びそのために通常必要とされる費用等が計上される。

なお、対外的に発生する費用等の支払は全て新勘定から行い、そのうち再生勘定に係る費用については新勘定から再生勘定へ付替の形で経理処理を行う。

(イメージ図)

(イメージ図)

4. 基本的な手続きの流れ

(1) デューデリジェンスの実施

旧経営体制と新経営体制の責任を明確に区分するため、勘定分離を行う前段階として、新経営体制によるデューデリジェンスを実施する。

(2) デューデリジェンスを実施後の勘定分離

デューデリジェンスの結果を踏まえ、上記の目的等に沿って新勘定と再生勘定に管理会計上分離し、それぞれ管理運営していく。

(3) 勘定分離の終結

再生期間(例えば、3~5年)の終了後は、勘定分離を終結する。

以上

【問い合わせ先】

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
監督局銀行第1課


(別紙) PDF特別支援金融機関における「管理会計上の勘定分離」に係る標準的な手法について(PDF:96KB)

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