平成15年6月27日
 
株式会社りそなホールディングス、株式会社りそな銀行の産業活力再生特別措置法に基づく事業再構築計画の認定について
 

.認定計画の概要
 株式会社りそなホールディングス、株式会社りそな銀行から、平成15年6月23日付で提出された「事業再構築計画」について、産業活力再生特別措置法第3条第1項の規定に基づき審査した結果、同法第2条第2項第1号に規定する事業構造変更及び同項第2号に規定する事業革新を行う者として同法に定める認定要件を満たすと認められるため、6月27日付で事業再構築計画の認定を行った。
 今回認定した申請者の事業再構築計画では、預金保険機構に対する第三者割当増資により、財務基盤の安定化を図るとともに、資産の健全化、収益構造の健全化、ガバナンス体制の再構築に取組むことにより、企業価値の最大化に努め、顧客の信頼を確保し、地域に根差した銀行グループとして、国内の中堅・中小企業や個人顧客向けの業務を強化することとしている。
 本件の認定により、増資にかかる登録免許税の軽減の特例を受けることが可能となる。



.事業再構築の実施時期
 開始時期 平成15年6月〜終了時期 平成17年3月



.申請者の概要
  株式会社りそなホールディングス
   資本金 7204億円
   代表者 川田 憲治
   本店所在地 大阪市中央区備後町二丁目2番1号
  株式会社りそな銀行
   資本金 4431億円
   代表者 野村 正朗
   本店所在地 大阪市中央区備後町二丁目2番1号

 
問い合わせ先
金融庁 TEL 03−3506−6000(代表)
監督局銀行第一課銀行第三係 (内3753)

(様式第三)


認定事業再構築計画の内容の公表

 

.認定年月日  平成15年6月27日



.認定事業者名


 株式会社りそなホールディングス

 株式会社りそな銀行



.事業再構築の目標

 

(1)

 事業再構築に係る事業の目標

 

 環境認識
 我が国金融界は、景気低迷に伴う貸出先の業況悪化や倒産、地価下落による担保価値の低下、株価下落等の厳しい経済環境の中、不良債権や株式等のリスク資産の早期圧縮を進めるとともに、収益を増強し、自己資本を充実させることで、金融機能の円滑化に努めていく必要がある。
 また、経済環境の変化に対するリスク耐久力のある経営基盤を確立するため、各金融機関は経営資源を集中的に投入する事業領域を明確にするとともに、経営目標の着実な達成に向けて強固なガバナンス体制を確立することで、競争力を強化していくことが重要であると考えている。



 目標
 預金保険機構に対する第三者割当増資により、財務基盤の安定化を図るとともに、以下のとおり資産の健全化、収益構造の健全化、ガバナンス体制の再構築に取組むことにより、企業価値の最大化に努め、お客様の信頼を確保し、地域に根差した銀行グループとして、国内の中堅・中小企業や個人のお客様向けの業務を強化する。

 

 資産の健全化のため、不良債権等を管理会計上分離し、早期再生処理や正常債権化等に努めていくとともに、大口与信管理の強化や与信リスクの小口分散化などを通じて与信リスク管理の厳格化を進めることで、りそな銀行の不良債権比率を大幅に低下させる。また、保有株式についても、大幅な圧縮を進める。

 収益構造の健全化のため、経費構造の改革に取組むことで経費率を低下させる一方で、中小企業等向け貸出比率の向上や適正利鞘の確保等により、資金利益の増強等を図っていく。

 責任ある経営体制の確立に向けて、外部からの人材登用等によりグループの経営陣を刷新するとともに、りそなホールディングスとりそな銀行を委員会等設置会社へ移行させ、また、グループ内の機能集約を進めるなど、ガバナンス体制を抜本的に再構築する。


(2)


 生産性の向上を示す数値目標
 平成16年度に平成14年度との比較において、りそな銀行の自己資本当期純利益率を125%ポイント向上させる。



.事業再構築の内容

 

(1)

 事業再構築に係る事業の内容

 

 中核的事業
 国内の中堅・中小企業、個人取引を主体とした銀行業務および信託業務



 選定理由
 「選択と集中」の徹底による生産性の向上を図るため、地域経済を支える中小企業や個人等への資金供給の円滑化および産業再生に特化し、地域経済活性化への貢献を果たしていく。



 事業再構築に係わる事業の内容

 

(イ

) 事業構造の変更
 りそなグループは、役職員の総力をあげて、ガバナンス、資産内容、収益構造、業務運営など、経営のあらゆる面を変革していく。
 りそな銀行は、預金保険法第102条第1項の第1号措置の適用を受け、預金保険機構に対して総額1兆9,600億円の第三者割当増資を行うことで、財務基盤を強化する。その後、管理会計上の勘定分離や与信リスク管理の厳格化等を進めることで、不良債権処理を加速し、金融再生法基準による不良債権比率を平成15年3月末の9.98%から平成17年3月末に5%台へ引き下げることを目指す。同時に、地域に根差した金融機関として、中核的事業である国内の中堅・中小企業、個人取引への貸出金を増強するための体制を整備・強化し、中小企業等向け貸出比率を平成15年3月末の76.6%から平成17年3月末に80%以上とすることを目指す。
 また、りそな銀行の上記資本増強後に、りそなホールディングスが完全親会社となり、りそな銀行が完全子会社となる株式交換を実施する。これにより、りそなホールディングスを通じたガバナンス体制の一元化を図るとともに、りそなホールディングスと各傘下銀行本部間の役割分担の見直し・明確化を図ることで、中核的事業の推進体制の効率化を図る。
 これらを通じて、企業価値を最大化し、お客様にとって本当に価値のある新たな金融グループとして生まれ変わることを目指す。


(ロ


) 事業革新
 上記の増資により強化される財務基盤をもとに、以下の施策を実施し、新たな金融サービスの提供を実現する。

 

 法人新規専担拠点や住宅ローンセンターの再編成など効率的な推進体制を確立するとともに、スコアリング審査を活用した商品など顧客ニーズを捉えた商品の提供等を通じて、中小企業向け貸出及び個人向けローンを増強する。

 グループの有する機能・顧客基盤等を活用し、年金信託や不動産業務、遺言信託、投資信託、保険等の広範な金融サービスを提供する。

 年収水準の引下げや店舗統廃合の加速、遊休不動産の早期処分、子会社・関連会社の抜本的な統合・整理等を通じて、人件費・物件費ともに抜本的な経費構造の変革を図ることで、ローコストでの金融サービスの提供を実現する。

 外部からの人材登用等による経営陣の刷新を行い、委員会等設置会社への移行を進めるなど、ガバナンス体制の抜本的な再構築により、経営革新を強力かつスピード感をもって推し進める。

 以上の施策により、「役務(金融サービス)提供の著しい効率化」を実現し、平成17年3月期に平成15年3月期との比較において、りそな銀行の「業務粗利益1円当たりの経費」を17%低減させる。


(2)


 事業再構築を行う場所

 

 株式会社りそなホールディングス

 :大阪市中央区備後町二丁目2番1号

 株式会社りそな銀行

 :大阪市中央区備後町二丁目2番1号


(3)


 事業再構築を実施するための措置の内容
 別表のとおり


(4)


 事業再構築の開始時期および終了時期
 開始時期 平成15年6月〜終了時期 平成17年3月



.事業再構築に伴う労務に関する事項

 
(1)  事業再構築の開始時期の従業員数
    平成15年3月末実績
  グループ合算 19,307人  
  うち、りそな銀行 12,467人  
 
(2)  事業再構築の終了時期の従業員数
    平成17年3月末計画
  グループ合算 16,800人 程度
  うち、りそな銀行 10,600人 程度
 
(3)  事業再構築に充てる予定の従業員数
    平成17年3月末計画
  グループ合算 16,800人 程度
  うちりそな銀行 10,600人 程度
 
(4)  (3)中、新規採用される従業員数
    りそな銀行 800人 程度
 
(5)  事業再構築に伴い出向又は解雇される従業員数
    予定なし


(別表)
事業再構築の措置の内容
 
措 置 事 項 実施する措置の内容及びその実施する時期 期待する支援措置
事業の構造の変更
  資本の相当程度の増加による中核的事業の開始、拡大又は能率の向上
 当グループは、役職員の総力をあげて、ガバナンス、資産内容、収益構造、業務運営など、経営のあらゆる面を変革していく。
 我が国産業の活力の再生に向けて、不良債権の早期の再生処理や正常債権化等を図るとともに、産業活力の源泉である中小企業等への円滑な資金供給を果たしていくため、りそな銀行が、預金保険機構による株式の引受けを受けることにより、財務基盤を強化する。
 これらを通じて、当グループの企業価値を最大化し、お客様にとって本当に価値のある新たな金融グループとして生まれ変わることを目指す。


りそな銀行の資本の相当程度の増加
 
 増加前の資本金 :4,431億円
 増加する資本金の額 :9,800億円
 増資の方法 :第三者割当増資
 資本金の減少額 :3,713億円
 資本準備金の減少額 :1,543億円
 利益準備金の減少額 : 570億円
租税特別措置法第80条の2認定事業再構築計画等に基づき行う登記の税率の軽減
株式交換による中核的事業の開始、拡大又は能率の向上
 りそな銀行の上記資本増強後に、りそなホールディングスが完全親会社となり、りそな銀行が完全子会社となる株式交換を実施する。
 これにより、りそなホールディングスを通じたガバナンス体制の一元化を図るとともに、持株会社と各傘下銀行間の役割分担の見直し・明確化を図り、中核的事業の推進体制の能率を向上させる。


りそなホールディングスが完全親会社となり、りそな銀行が完全子会社となる株式交換
 
株式会社りそなホールディングス
住 所:大阪市中央区備後町2丁目2番1号
代表者:川田憲治
株式交換前の資本金:7,204億円
株式交換により増加する資本金:9,800億円
株式会社りそな銀行
住 所:大阪市中央区備後町2丁目2番1号
代表者:野村正朗
資本金:1兆4,231億円
株式交換比率:りそな銀行株式1株につきりそなホールディングス株式0.22株を割り当てる。
租税特別措置法第80条の2認定事業再構築計画等に基づき行う登記の税率の軽減
事業革新
  第2条第2項第2号ハ
 今回の増資により強化される財務基盤をもとに、中小企業向け貸出等の増強、シナジー効果の発揮、経費構造の変革に向けた施策を実施し、併せてガバナンス体制の再構築を通じて経営革新を図ることで、新たな金融サービスの提供を実現する
 中小企業向け貸出等の増強
 効率的な推進体制の確立、顧客ニーズを捉えた商品の提供等を通じ、中小企業向け貸出及び個人向けローンを増強する
 
 法人新規専担拠点や住宅ローンセンターの再編成・人員増強
 スコアリング審査を活用した商品の推進強化
 クレジットライン制度の拡大
 シナジー効果の発揮等
グループの有する機能・顧客基盤等を活用し、広範な金融サービスを提供する
 
 旧あさひ銀行店舗における年金信託の受託推進強化
 不動産業務や遺言信託に関する顧客ニーズに円滑にお応えできる体制の整備
 投資信託や保険の販売体制の強化
 経費構造の変革
 抜本的な経費構造の変革を図ることで、ローコストでの金融サービスの提供を実現する
 
 年収水準の引下げ、退職金・年金制度の見直し等を通じた人件費の削減
 店舗統廃合の加速や遊休不動産の早期処分等による物件費の削減
 子会社・関連会社の抜本的な統合・整理
 ガバナンス体制の再構築
ガバナンス体制の抜本的な再構築により、経営革新を強力かつスピード感をもって推し進める
 
 外部からの人材登用等による経営陣の刷新
 委員会等設置会社への移行
 以上の施策により、「役務(金融サービス)提供の著しい効率化」を実現する。
 具体的な数値基準としては、平成17年3月期に平成15年3月期との比較において、りそな銀行の「業務粗利益1円当たりの経費」を17%低減させる予定。
租税特別措置法第80条の2認定事業再構築計画等に基づき行う登記の税率の軽減