平成15年6月5日
金   融   庁
財   務   省
 

「保険業法の一部を改正する法律の施行に伴う保険業法施行令の一部を改正する政令(案)及び保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令(案)」に対する意見募集の結果について

 
 金融庁及び財務省では、標記府令案等について、5月9日(金)から5月26日(月)にかけて公表し、広く意見の募集を行いました。御意見を御提出いただいた皆様には、政令案等の検討に御協力いただきありがとうございました。

 本件に関して、お寄せいただいた主なコメントの概要及びそれに対する金融庁及び財務省の考え方は下記のとおりです。

 

(内容についての照会先)
金融庁 TEL:03−3506−6000(代)
    総務企画局信用課保険企画室
   (内線3571又は3569)

 


コメントの概要とコメントに対する金融庁の考え方

 

I .意見、要望事項
 
1.生保のセーフティネット関係
コメントの概要 コメントに対する考え方
(政府の補助について)
 仮に、今後、業界の新たな負担枠であ
る1000億円を超える対応が必要となった
場合には、政府補助枠(4000億円)から
迅速かつ確実に財政支出が行われるよう
対処願いたい。


 政府補助の必要性については、業界負
担が1000億円を超えた時点で業界の負担
能力等を改めて検討した上で、政府とし
て予算措置を講じ、国会のご審議をお願
いするものでありますが、その際には、
生命保険業界を取り巻く厳しい環境等も
考慮した上で、適切な対応を行っていき
たいと考えています。
(今後の機構の見直しについて)
 3年後に予定されている機構の見直し
時に、これ以上、業界(契約者)に追加
負担を求めることがなきよう、「補償水
準」、「税法上の取扱い」、「拠出方法
」等の観点から保護機構のあり方そのも
のについての見直し議論を直ちに開始す
べき。


 見直しの検討においては、金融庁と外
資系保険会社を含む全ての関係者との意
見交換の機会を設定する等、審議・決定
プロセスの透明性の向上を望む。


 今般の新たなセーフティネットが平成
17年度までに破綻した会社に限り適用さ
れる特例措置であることに鑑み、平成17
年度までに、平成18年度以降の生命保険
のセーフティネットのあり方について金
融審議会等において幅広く検討すること
としています。


 生保のセーフティネットの見直しに当
たっては、これまでも関係者等と幅広く
意見交換等を行ってきたところであり、
今後とも幅広く意見交換等を行っていき
たいと考えています。
 
2.業務の代理又は事務の代行関係
コメントの概要 コメントに対する考え方
(保険業法施行規則第51条、第51条の2、
第141条及び第141条の2関係)
 保険会社による信託業務の代理に関し
ても、保険業法施行規則及び金融機関の
信託業務の兼営等に関する法律施行規則
に必要な手当てが行われることによって、
早期に実現していただくよう要望する。




 保険会社がいわゆる協調融資の幹事業
務を行う場合にあっては、当該業務を行
うための体制が個別取引毎に異ならず、
また非幹事となる者も一定の範囲の者で
あるという取引の特性に応じた認可申請
手続きとすべき。




 信託業の在り方については、現在、金
融審議会第二部会の信託に関するWGに
おいて幅広く議論がなされているところ
であり、保険会社による信託業務の代理
については、これをも踏まえて検討する
必要があると考えています。


 いわゆる協調融資の幹事業務に係る認
可については、保険業法施行規則第51条
の2第2項及び第141条の2第2項に示さ
れた審査基準に照らして判断することに
なりますが、認可申請手続きについては、
ご指摘の協調融資の特性を踏まえ、事務
ガイドラインの改正により対応を図りた
いと考えています。
 
3.生命保険募集人及び損害保険代理店の登録関係
コメントの概要 コメントに対する考え方
 さらなる登録・届出内容の簡素化、実
務に則した運営に向けた事務ガイドライ
ン等の見直し、届出申請の電子手続化、
登録内容の電子的管理体制の構築などに
つき、その実現に向けた検討を一層進め
て頂きたい。
 生命保険募集人等の登録及び届出手続
きについては、保険契約者等の保護の観
点から、実効性を確保していく必要があ
りますが、その中で効率化できるものに
ついては前向きに検討を進めてまいりま
す。
 
4.その他
コメントの概要 コメントに対する考え方
(保険業法施行規則第32条の16関係)
 第2項の「連結損益計算書類」は「連
結損益計算書」と改めるべき。


 ご指摘も踏まえて「連結損益計算書」
に修正します。
(保険業法施行規則第32条の19関係)
 第2項第7号の「関連会社」の定義を
「保険業法施行令第2条の3第3項に規
定する関連法人等をいう。」に改めるべ
き。
 商法施行規則を踏まえ、保険業法施行
令第2条の3第3項や保険業法施行規則
第59条第2項、同規則第210条の10第2項
などの「関連法人等」を「関連会社」に
改めるべき。


 保険業法において「関連法人等」とは、
保険業法施行令第2条の3第3項及び同
法施行規則第14条第2項に規定されるも
のであり、商法施行規則又は(連結)財
務諸表等規則にいういわゆる持分法適用
会社に相当するものです。

 
II .確認事項
 
1.生保のセーフティネット関係
コメントの概要 コメントに対する考え方
(保険業法施行令第37条の4関連)
 改正案の機構の借入限度額4600億円は、
本来的には4000億円であることを確認し
たい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 借入限度額4600億円は時限的な措置で
あり、今後3年の間にセーフティネット
のあり方を検討する中で当該条項につい
て見直しを行っていくことを確認したい。


 現在の生命保険契約者保護機構の定款
では、その附則において特定会員(平成
15年3月31日までに破綻した生命保険会
社)の資金援助に要した費用に係る負担
金の納付が終了するまでの間、年間負担
額の上限は460億円となっており、実際に
毎年度460億円を負担していることから、
借入限度額はその10倍の4600億円となっ
ています。一方、同定款の本則では、年
間負担額の上限は400億円となっているこ
とから、本則上の借入限度額は4000億円
となると考えていますが、今回政令上46
00億円と規定するのは、定款の附則の規
定に対応するものです。


 平成18年度以降における生保のセーフ
ティネットのあり方について今後検討す
る中で、借入限度額のあり方についても
検討されることになると考えています。
(保険業法施行令附則第13条関連)
 この附則規定は、特定会員及び特別会
員に係る資金援助等に要した費用に係る
借入金額を読むための時限措置であり、
平成18年4月以降の破綻会社に係る資金
援助等に要した費用に係る借入について
適用するものではないこと、及び当該条
項についても今後3年の間にセーフティ
ネットのあり方の検討の中で見直しを行
っていくことを確認したい。






 特別会員に係る資金援助等に要した費
用に係る機構の借入については、5000億
円であることを確認したい。


 保険業法施行令附則第13条においては、
平成15年度から17年度までの破綻に対応
したセーフティネットが追加的に整備さ
れたことを踏まえ、特定会員及び特別会
員に係る資金援助に対応するための借入
限度額として、当分の間、9600億円と規
定することとしています。また、平成18
年度以降におけるセーフティネットのあ
り方について今後検討する中で、借入限
度額のあり方についても検討されること
になると考えています。


 平成15年度から17年度までの破綻に対
応するため、5000億円の規模のセーフテ
ィネットを追加的に整備したところであ
り、特別会員に係る特定業務に対応する
生命保険契約者保護機構の借入れもこの
範囲内で行われるものと考えています。
 
2.業務の代理又は事務の代行関係
コメントの概要 コメントに対する考え方
(保険業法施行規則第51条及び第141条関
係)
 保険業法施行規則第51条第3号の「そ
の他金融業を行う者」とはどのような範
囲の者を言うか。農協や貸金業を営む者
は入ると考えるがどうか。










 保険業法施行規則(案)第51条第4号
により、保険会社は付随業務として、投
資顧問業者とその顧客との間で、投資顧
問業及び投資一任契約に係る業務に関す
る書面又は報告書の授受の事務代行がで
きることとなるが、当該業務に関連して、
当該業務を行う保険会社の顧客から投資
顧問業者を採用したいとの要望がある場
合に、勧誘行為をせず単に書類の授受等
により当該顧客を投資顧問業者に紹介す
る行為についても、付随業務として認め
られることを確認したい。


 投資顧問業者が外部委託できる業務の
範囲を明確にしていただきたい。その範
囲において、今回の措置により投資顧問
業者が保険会社に委託できる業務内容に、
どのようなものが含まれるかを具体的に
明らかにしていただきたい。




 投資顧問業者が保険会社にその業務の
一部を委託した場合、投資顧問業者に課
せられている顧客に対する説明責任およ
び守秘義務は免除されるのか、また、保
険会社の受託者責任や守秘義務等につい
て、どのような整理がなされているのか
説明いただきたい。




 「金融業を行う者」には、銀行、長期
信用銀行、信用金庫(連合会)、信用協
同組合(連合会)、労働金庫(連合会)、
農業協同組合(連合会)、貸金業の登録
を受けた者等が入ります。なお、保険会
社が資金の貸付けの代理又は資金の貸付
けに係る事務の代行を行う際には認可が
必要となります。


 勧誘行為や契約の締結等については投
資顧問業者が自ら行う必要がありますが、
書類の授受等により投資顧問業者に顧客
を紹介する行為については、保険会社の
付随業務として認められます。なお、保
険会社が当該業務を行う際には認可が必
要となります。












 投資顧問業者が外部委託できる業務の
範囲については個々に判断が必要ですが、
今回の措置に伴い、投資顧問業又は投資
一任契約に係る業務に関する書面又は報
告書の授受の事務の代行及び上述の顧客
の紹介については、投資顧問業者が保険
会社に委託できることになります。


 保険会社が行う業務は、書面の授受の
事務の代行等に限られることから、顧客
への説明責任は、あくまで投資顧問業者
に課せられていると考えます。
 また、守秘義務の観点から、書面の授
受の事務の代行を保険会社へ業務委託す
る投資顧問業者は、あらかじめ、その顧
客の承諾が必要であると考えます。
 また、保険会社と投資顧問業者の本委
託業務に係る責任関係等について、あら
かじめ両者で定めておくことが必要と考
えます。
 
3.保険会社の資産別運用比率規制関係
コメントの概要 コメントに対する考え方
(保険業法施行規則第48条及び第140条関
係)
 外国通貨建商品の対応資産は、特別勘
定に類似するものではなく、一般勘定の
一部であって、適正に経理を区分して管
理しているものが対象となることを確認
したい。


 外国通貨建商品の対応資産が円に投資
されても、通貨スワップなどで当該外国
通貨換算額が確定していなければ、外貨
建資産の規制を受けるという理解でよい
か確認したい。




 本取扱いは、外国通貨建保険契約に係
る資産のうち、他の資産と経理が区分さ
れているものに限り対象となります。






 外国通貨建保険契約に係る資産が円建
資産に投資され、また、通貨スワップ等
により、当該外国通貨換算額が確定して
いない場合には、外貨建資産運用制限の
対象となります。