平成16年1月29日
金融庁

証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(案)、証券仲介業者に関する内閣府令(案)、外国証券取引所に関する内閣府令(案)、証券取引法第百六十一条の二に規定する取引及びその保証金に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)、農業協同組合及び農業協同組合連合会の信用事業に関する命令等の一部を改正する命令(案)および事務ガイドライン(案)に対するパブリックコメントの結果について

金融庁では、証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(案)、証券仲介業者に関する内閣府令(案)、外国証券取引所に関する内閣府令(案)、証券取引法第百六十一条の二に規定する取引及びその保証金に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)、農業協同組合及び農業協同組合連合会の信用事業に関する命令等の一部を改正する内閣府令(案)、事務ガイドライン(案)について、平成15年12月19日(金)から平成16年1月9日(金)にかけて公表し、広く意見の募集を行いました。ご意見をご提出いただいた皆様には、改正案の検討にご協力いただきありがとうございました。

本件に関してお寄せいただいた主なコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方は以下のとおりです。

【内容についての照会先】

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(政令および内閣府令等)(内線3621)
監督局証券課(事務ガイドライン)(内線3722)


コメントの概要とコメントに対する金融庁の考え方

証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令

コメントの概要 コメントに対する考え方
 証券会社の最低資本の額を五千万円に引き下げると、証券会社の財務基盤が脆弱になってしまう可能性があるため、必要はないのではないか。  最低資本の額の引き下げについては、多様な業者の参入を促進するとの観点から、平成14年12月16日の金融審議会の報告に基づき、措置することとしたものです。
 証券会社の財務基盤については、最低資本金規制のほか、自己資本規制比率に関する規制がかけられており、その保有するリスクに応じた純資産等が求められることとなっています。さらに、証券会社には顧客資産の分別保管義務がかけられており、投資家保護上問題のない仕組みとなっています。
 なお、証券会社の信頼性の確保については、株主の適格性についてチェックを行う主要株主制度を同時に創設しました。
 証券会社等の主要株主規制については、グループ企業のうち証券会社等の議決権の20%以上を保有している企業があると、グループのほかの企業にも主要株主規制がかかることがあり、過剰規制ではないか。  証券会社等の主要株主規制は、過去の法令違反の有無等の外形的な要件に照らして不適格者でない旨の届出を求めるという必要最小限のものであり、過剰な規制とは考えていません。
 例えば、以下の場合には、証券会社等の主要株主としての届出書の提出義務はいずれの者に生じるのか。
 A持ち株会社(保有議決権なし)、Aの子会社であるB(保有議決権10%)、Aの子会社であるC(保有議決権5%)の状態で、Bが新たに議決権を取得し、その保有議決権が20%となった場合
 現行法の下ではB及びCに対し届出義務が生じますが、届出者の範囲については、その適格性をチェックする主要株主の範囲との整合性等の観点から今後検討することとします。
 改正後の証券取引法等において、「主要株主となったときは、遅滞なく、対象議決権保有届出書と添付書類を内閣総理大臣に提出しなければならない」とあるが、議決権の保有割合の算定や届出書の作成など事務手続きに時間を要するため、提出期限については余裕を持ったものとしてほしい。  「遅滞なく提出すること」とあるとおり、提出義務が生じた場合には、出来る限り速やかに手続きを行っていただく必要があります。
 投資信託委託業者が投資信託の設定により保有する議決権は、保有する議決権より除いてよいか。  投資信託委託業者については、当該議決権の行使について指図を行うことができる権限を有するのであれば、対象議決権を保有するものとされます。(証券取引法第28条の4第4項第1号)
 証券取引所および金融先物取引所の総株主の議決権の50%を超えて保有する特定保有者が50%以下を保有することとなる場合、届出は必要ないとの理解でよいか。  貴見のとおりで差し支えありません。
 証券取引所および金融先物取引所の総株主の議決権の5%を超えて保有する対象議決権保有者が5%以下を保有することとなる場合、届出は必要ないとの理解でよいか。  貴見のとおりで差し支えありません。
 認可投資顧問業者である信託銀行の場合、自己が受託している投資信託財産については投資信託委託業者から運用の指図権限の全部又は一部の委託を受けられないことになっているが、このような規制をかける必要はないのではないか。  主として有価証券で運用を行う証券投資信託においては、幅広く一般投資者から資金を集めるスキームであることから、運用者である投資信託委託業者に専業義務を求めていること、委託者と受託者の抑制機能により投資者保護を図ってきたことに照らせば、自己が受託している投資信託財産について、認可投資顧問業者である信託銀行が投信法に基づく、主として有価証券に対する投資の運用指図を担うことは適当ではないと考えます。
 投資顧問業者の利害関係人の範囲については禁止行為の対象とされている範囲に限定するべきではないか。
 また、利害関係人の範囲は投資信託及び投資法人に関する法律で規定されている利害関係人の範囲と同じにするべきではないか。
 法第22条に規定する利害関係人との取引に係る行為規制については、投資顧問業者とその利害関係人(当該業者の過半数の議決権を所有していることその他の当該業者との密接な関係を有する者として政令で定める者)との間における不適正行為を禁止することを目的としています。現在同条において掲げられている者は利害関係人である証券会社、投資信託委託業者等に限られているものの、投資者の保護や取引の公正等の観点から規制対象となる行為を内閣府令で定めているため、利害関係人はこの範囲のみに限定すべきではないと考えます。
 また、投資信託委託業者は株式会社であることが認可の要件になっており、その一方投資顧問業者は株式会社に限定していないことから異なる範囲の利害関係人が規定されているところであり、必ずしも投資信託委託業者の利害関係人と同じにする必要はないものと考えます。
 投資顧問業者は「利害関係人である法人」について業務方法書に記載することとなっているが、その範囲が膨大であること等からその捕捉、変更の届出が大変な負担になっている。業務方法書に記載、変更の届出を行う範囲を禁止行為で規定する「利害関係人である証券会社等又は登録金融機関」に改正していただきたい。  利害関係人の届出の範囲については、いただいたご意見を参考に検討したいと思います。
 「主要株主」規制施行時点で既に「主要株主」に該当している者も新たに投資顧問業法第29条の2の届出が必要かどうか確認したい。  証券取引法等の一部を改正する法律の施行時点で主要株主に該当する者は届出が必要となります。
 主要株主の届出が必要であり、認可投資顧問業者の所在地が東京、主要株主が地方に所在する場合、その届出の実務を認可投資顧問業者の役職員が代行することは可能か確認したい。  一般に他人に事務代行をさせることは可能ですが、届出義務は主要株主にあることに留意する必要があります。
 例えば投資顧問業法第27条「子会社」、同法施行令第14条の3第4項「被支配会社」、同法施行令第8条及び第10条「関係子法人」等、同一乃至類似の対象に関する標記が異なっており、混乱を招きやすいことからわかりやすく整理すべきである。  法令上、定義をそれぞれ明確にしているため、手続きに応じて条文、標記を見ていただければ対象となるものが分かると認識しております。
 投資一任業務を営む証券会社及び信託銀行が自己売買を行った場合に開示を要する取引の範囲については同一に扱われているが、信託銀行の自己売買の頻度は投資顧問業者が行うものと同様と考えられることから投資一任業務のみを営む投資顧問業者の開示範囲と同じにすべきではないのか。  信託銀行は証券会社と同様、日々大量に自己売買を行っており、投資顧問業者とその頻度、規模において異なるものと考えています。したがって信託銀行が投資一任業務を営む場合にはその開示範囲を証券会社と同じにすることが適当であると考えます。
 認可投資顧問業者が証券仲介業を行う場合において、認められる業務の範囲はどの程度か確認いただきたい。例えば、外国籍投資信託の募集を行う場合、当該商品の説明、勧誘を顧客ないし、見込み顧客に行うことができるのか。  認可投資顧問業者が証券仲介業を兼業することは法令上認められているところであり、証券仲介業の登録、兼業の認可を得たうえで証券仲介業者として行い得る範囲については当該業務を営むことは可能です。したがって外国籍投資信託の募集を行う場合、当該商品の説明、勧誘を顧客ないし、見込み顧客に行うことも可能となります。
 投資顧問業法では、助言業務と投資一任業務についてそれぞれに行為規制をしている。そのため、実質的に同じ内容の届出をそれぞれに求められ、事務負担が大きいので改善をお願いしたい。  例えば、投資判断者に関する届出については登録拒否事由への該当の有無を審査していますが、認可投資顧問業者では投資判断者が相応の知識経験を有するかどうかも審査することにしており、更に認可後もその人的構成要件が維持されているかどうか審査する必要があるなどその目的が異なることから、それぞれ提出していただく必要があると考えています。

証券仲介業者に関する内閣府令

コメントの概要 コメントに対する考え方
 証券仲介業に関する内閣府令(以下「証券仲介業府令」という。)第9条第1号について、本規定は所属証券会社等が1社のみの場合には適用されないと理解するが、その場合においても手数料の明示が不要というわけではなく、一般論として、手数料の明示や説明は必要であるとの理解でよいか。  所属証券会社等が2社以上ある場合には、証券仲介業者の報酬体系などによっては証券仲介業者と顧客の間に利益相反が生じる蓋然性が高いこと等から、手数料等の明示義務を規定したものです。証券仲介業者は、顧客に対する誠実義務(法第66条の8)を負うことから、顧客の要望等の状況に則して手数料等の説明等を行うことが適切であると考えます。
 証券仲介業府令第9条第1号について、顧客が口座を有さない所属証券会社等の手数料についても明示する必要があるのか。  顧客が口座を有さない所属証券会社等の手数料についても明示する必要があると考えます。
 証券仲介業府令第9条第1号について、各社により手数料体系が異なる株式取引については、必ずそれぞれの手数料を明示した上で取引しなければならないのか。  それぞれの手数料が異なる場合には、明示が必要であると考えます。
 証券仲介業府令第9条第1号について、債券の相対取引については手数料は一般的には手数料は存在しないため、そのような場合は明示は不要との理解でよいか。  相対取引であっても、同じ商品について取引価格(手数料込みの価格)が異なれば、手数料が異なる場合に含まれることを内閣府令において明確化することとします。
 証券仲介業府令第15条第6号又は第7号については、同一の顧客に対する説明を証券仲介業者と証券会社の両者がそれぞれ行う必要はあるのか。  証券仲介業府令第15条第6号の説明については、証券仲介業者が所属証券会社等から委託を受けて勧誘を行う場合は、証券仲介業者に説明義務が生じ、顧客に対する説明は証券仲介業者が行うこととなります。
 証券仲介業府令第15条第7号の説明については、証券仲介業者が単に勧誘を行っているだけであり、「取得をさせようとする行為」までは行っていないと認められるときは、当該規定による説明義務は生じないものと考えます。(その場合には、所属証券会社等が「取得をさせようとする行為」を行っていると認められ、当該説明義務は、所属証券会社等にかかることとなります。)
 なお、証券仲介業者が説明を行うこととなる場合であっても、所属証券会社等は、証券仲介業者を監督する立場から、当該証券仲介業者による説明が適切に行なわれているか否かにつき状況を把握し、必要があれば是正を求める等の措置を行う必要があります(行為規制府令第10条第12号)。
 この点については、事務ガイドラインにおいて取扱いを明確化します。
 証券仲介業府令第15条第9号および証券会社の行為規制等に関する内閣府令第10条第15号において、証券仲介業者が証券仲介行為を行うにあたって証券会社に提供する必要がある情報と、当該行為による顧客の取引についての情報についてのみ適用除外とされているが、顧客の属性について管理するための情報や、証券会社による証券仲介業者に対する検査等に必要な情報などについては所属証券会社等に対し提供することを可能としてほしい。  「証券仲介業者が法令を遵守するために所属証券会社等に提供する必要があると認められる情報」については、顧客の書面による同意がなくても提供できるようにすることとします。なお、証券会社が上記により提供された情報を使って勧誘を行う行為は禁止されます。(証券会社の行為規制等に関する内閣府令第10条第15号)
 証券仲介業者と所属証券会社等が親子関係にある場合、その間の情報の授受について、証券仲介行為に係るものなどについても、書面同意が必要となるのか。  証券仲介業者と所属証券会社等の間で顧客の書面による同意なく提供できる情報については、証券仲介業者と所属証券会社等が親子関係にある場合であっても同様の取扱いとなるように措置することとします。
 公認会計士事務所が証券仲介業者となった場合、顧客に関する非公開情報を入手したとしても、当該会計士事務所の中にその非公開情報が留まっており、当該非公開情報を利用して証券仲介業に係る勧誘を行わない限りは、証券仲介業部門と会計士部門等の間での情報の提供や受領は禁止されていないという理解でよいか。  有価証券の発行者に関する非公開情報や顧客の有価証券の売買等に関する情報の管理が不公正な取引の防止上不十分な状況であれば、法令違反となることに留意していただく必要があります。(証券仲介業府令第15条第3号)
 所属証券会社等の従業員が証券仲介業者の営業所内に席を設けて常駐し、当該証券仲介業者を支援する目的で営業活動もしくは内部管理活動を行うケースを想定した場合、当該「常駐」は可能であると理解してよいか。
 また、かかる常駐に関して誤認防止措置は必要か。
 法令上の規制はありません。ただし、証券仲介業者と所属証券会社等との間における顧客情報の授受に関する規制等に留意する必要があります。
 なお、証券仲介業者の営業所において、所属証券会社等の外務員が証券業の全部又は一部を行う場合、当該営業所を証券会社の営業所として登録する必要が生じる場合があります。
 親子関係のない証券仲介業者と所属証券会社等との間において、当該所属証券会社等から当該証券仲介業者へ従業員を出向させることについて法令上制約がないと理解してよいか。  法令上の規制はありません。
 証券仲介業者が所属証券会社等の店舗において間借りをして営業することは可能か。  法令上の規制はありませんが、当該事務所の証券仲介業者の営業所等としての登録義務、証券仲介業者の標識掲示義務、証券仲介業者と所属証券会社等との間における顧客情報の授受に関する規制等があることや、所属証券会社等が登録金融機関である場合には誤認防止措置を講じる必要があることに留意する必要があります。(証券取引法第66条の7)
 営業所又は事務所(以下「営業所等」という。)の変更について、所在地や変更年月日を届け出ることになっているが、証券仲介業を行う無人の営業所についても同様の届出を行う必要があるのか。  無人の営業所については、その統括する営業所又は数の変更のみを届出事項とすることとします。

証券会社の行為規制等に関する内閣府令

コメントの概要 コメントに対する考え方
 証券会社の行為規制等に関する内閣府令第10条において、証券仲介業者は金銭等の受渡が出来ないこととなっているが、顧客にとって、不便ではないか。  証券仲介業者については、投資家保護の観点から、証券仲介業者による金銭の授受を禁止しています。

事務ガイドライン

コメントの概要 コメントに対する考え方
 3-4-7(1)マル1及びマル2の「証券仲介業者に対して求める具体的取扱方法を定める」とは、所属証券会社等において社内規則等を策定することを想定しているのか。  証券仲介業者に対して求めるべき取扱方法に関する規定を、所属証券会社等において整備する必要があります。
 その際の具体的な内容については、現行事務ガイドラインにより証券会社に要請されているのと同程度の内容を確保するのに必要と認められる基準を策定する必要があると考えます。
 3-4-7(2)マル2の趣旨は「投資勧誘実態の把握は所属証券会社等が行うものであり、所属証券会社等が、投資勧誘実態の把握に係る具体的な方法を定め、それを証券仲介業者に周知し、徹底させるとともに、所属証券会社等が必要に応じてその実効性を確保する体制を構築するよう努める。」との理解でよいか。  照会にある箇所は、所属証券会社が、証券仲介業者を監督する立場、及び顧客との契約の当事者となる立場にあることから、証券仲介業者による投資勧誘実態について把握する必要ある旨を記述したものです。
 したがって、貴見のとおり、所属証券会社等が、投資勧誘実態の把握に係る具体的な方法を定め、それを証券仲介業者に周知し、徹底させるとともに、所属証券会社等が必要に応じてその実効性を確保する体制を構築するよう努める必要があります。
 事故の発生状況等に係る「類型」については特に一律的な類型化が求められているものではなく、例えば証券仲介業者の取扱商品又は業務を基にした類型化も認められるとの理解でよいか。  類型化の方法については、投資家保護の観点から支障がないものであれば、証券仲介業者の取扱商品等も踏まえた類型化を行うことも問題ないと考えます。
 9-2-2(1)マル2により、「いずれの類型にも該当しない場合、又はいずれの類型に該当するか明確でない場合」についても損失補てんを行う所属証券会社等(1社)を特定することになるが、実際に当該所属証券会社等(1社)が顧客に損失補てんを行った後において、当該所属証券会社等を含む複数の所属証券会社等の間で当該損失補てんについて応分な負担をすることは法令上問題ないと理解してよいか。  問題ないと考えます。

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