平成10年7月31日
                                                     金 融 監 督 庁                    
                                                                                
一連の贈収賄事件に係る金融機関に対する行政上の措置について    
                                
           ───金融監督庁長官談話   ───                   
                                                                                
                                                                                
                                                                                
1.一連の贈収賄事件に関しては、銀行10行(第一勧業銀行、さくら銀行、富士銀行、東京
  三菱銀行、あさひ銀行、三和銀行、住友銀行、北海道拓殖銀行、日本興業銀行、日本長期
  信用銀行)及び証券会社5社(野村証券、日興証券、大和証券、山一証券、さくら証券)
  の役職員が収賄側の起訴事実において贈賄容疑として挙がったところである。
  このうち、破綻金融機関(北海道拓殖銀行及び山一証券)を除く各金融機関から、銀行法
 第24条の規定等に基づき、当該起訴事実に関し、金融機関が組織としてどのような違法な
 いし不適切な行為を行っていたか、あるいは内部管理体制等に問題があったか、等につい
 て報告を求めていたところ、これまでに全ての金融機関から報告書が提出された。
                                                                                 
2.これらの報告書について、当庁において精査した結果は、以下のとおりである。
  (1) 各金融機関とも、過去からの慣例による接待が日常化し、遵法精神が希薄化してい
   た点や、内部管理体制等に問題があった点は認めている。
  (2)  更に、第一勧業銀行、東京三菱銀行、あさひ銀行、三和銀行、住友銀行、日本興業
   銀行の各行においては、検査情報等の非公開情報を入手し、受検準備のために活用す
   る等、一定の組織的な対応が認められた。しかし、上記の6行においても、これによ
   り、仮装・隠蔽をする等、検査忌避等に該当するような違法行為は認めていない。      
  (3)  但し、三和銀行に関しては、他行の検査結果(検査示達書等)を入手したり、短期
   金利の誘導レンジに関する情報を日本銀行から入手し、市場取引を行う際の参考情報
   として活用する等、極めて不適切な行為が認められた。

3.当庁としては、このような報告結果等を踏まえ、必要に応じ行政手続法に基づく弁明の
  機会の提供を行った上で、本日付けで、以下のような内容の行政処分等を実施した。
  (1)  さくら銀行、富士銀行、日本長期信用銀行、野村証券、日興証券、大和証券、さく
   ら証券に対する行政処分等
    銀行法第26条等に基づく業務改善命令(証券会社の場合は業務改善指示)を発出し、
   内部管理体制の強化等(再発防止策の策定・実施、コンプライアンス体制の充実・強
   化、経費支出面でのチェックの強化等)及びその改善状況の報告を命じる。
  (2)  第一勧業銀行、東京三菱銀行、あさひ銀行、住友銀行、日本興業銀行に対する行政
   処分
    銀行法第26条等に基づく業務改善命令を発出し、内部管理体制の強化等(再発防止
   策の策定・実施、コンプライアンス体制の充実・強化、経費支出面でのチェックの強
   化等)を内容とする業務改善計画を策定させ、その実施状況について、当庁が必要と
   認める間、6か月ごとに報告させる。併せて、同命令において、第三者である弁護士
   等で構成される業務監査委員会を行内に設置し、当該業務改善計画の策定や実施状況
   の報告にあたり、事前に、その意見を聴き、監査を受けることとする。                  
  (3) 三和銀行に対する行政処分                                                                            
      上記2)の処分を課すとともに、これに加え、内部管理体制の強化等に専念させる観
   点から、銀行法第26条に基づく処分として、平成10年8月3日より平成11年8月2日
   までの間、金融システム改革において可能となった新たな業務のうち、証券投資信託
   の受益証券の窓口販売及び持株会社の活用について、行わせないこととする。                                                                            

4.当庁としては、各金融機関が内部管理体制の強化等に務め、信頼の回復に全力を尽くす
 ことを強く期待する。また、当庁においても、これを機会に、綱紀保持の重要性を改めて
 自覚するとともに、明確なルールに基づく透明な金融行政の遂行に努めてまいりたい。
                                          
                                                                                
                                                                                



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