平成12年3月21日
金 融 監 督 庁
 

第107回自動車損害賠償責任保険審議会及び第9回懇談会議事概要について

 
 第107回自動車損害賠償責任保険審議会及び第9回懇談会(平成12年2月9日(水)開催)の議事概要は、別紙のとおり。
 

担当者:金融監督庁監督部保険監督課 重藤、加藤

連絡先:電話(代表)3506−6000 内線3375、3431

 本議事概要は暫定版であるため、今後修正がありえます。


第107回自動車損害賠償責任保険審議会及び第9回懇談会議事概要
 

.日  時   平成12年2月9日(水) 10時00分〜12時20分

 

.場  所   中央合同庁舎第四号館第三特別会議室

  

.議  題 
 
(審議会)
 
(1)  自賠責保険の収支等に関する検証結果等について
 
(2)  その他

(懇談会)
 
(1)  自賠責保険の保険料について
 
(2)  保険金限度額について
 
(3)  死亡無責事故等について
 
(4)  政府再保険制度について

 

.議事概要
 
(審議会)
 
(1)  まず、自賠責保険の収支等に関する検証結果等について、事務局より、資料に沿って説明がなされた。
 
(2)  次いで、
 
 自動車損害賠償責任共済規定の一部変更について、農水省の委員から、
 
 郵便局における民間バイク自賠責保険の取扱いについて、大蔵省の委員から、

それぞれ説明があった。
 

(懇談会)
 
 各議題に関し、委員から出された意見等の概要は以下の通り。

(1)  自賠責保険の保険料について
 
 これまでも累積運用益を何年かかけて還元することとして、保険料の引下げを行ってきているが、特会の運用益は引き続き積み上がっている。このように巨額の運用益が積み上がっていくという仕組みを変えるべきであり、この際、思い切った保険料の引下げを行うべき。
 
 各年度に発生する収支残は早期に保険料の引下げに還元すべき側面があるが、累積運用益については、これまで30年にわたって積み上げられてきたものであること、保険料の激変を緩和するためのバッファーの必要性、車検のタイミングとの関係で保険料引下げの恩恵を受ける者と受けない者とが出てくるといった点に鑑みると、一定の期間をかけて保険料に還元していくべき。
 
 保険料は1回引き上げてまた引き上げるというのは現実的には難しいのではないかと考えられるので、むしろ、運用益を如何に有効に使うかということを考えるべき。
 
 運用益をどの程度有しているのが好ましいのかといった点も含め、どういう考え方で保険料の水準を決めていくのか、整理をすべき。
 
 保険料の水準を考える際には、運用益をどういう形でどの程度活用するのが望ましいのかも合わせて考える必要がある。
 
 現在の保険料の水準はユーザーにとってかなり安くなっており、現時点で保険料の引下げを行う必要はないのではないか。
 
(2)  保険金限度額について
 
 重度の後遺障害の方に介護費用を支払う制度を創設すべき。その際、介護により多額の出費を余儀なくされている方への直接的な補償に結びつけるため、現行の保険金額とは別枠で介護費用を支給すべき。また、基本補償として、対象は後遺障害1級3・4号、即ち常時介護を要する方とし、限度額は任意保険の加入状況等を勘案し500万円としてはどうか。
 
 被害者の側からみると、介護費用は一時金ではなく、定期金払いとする方がよいのではないか。
 
 介護費用の支給方法については、一刻も早く紛争を処理したいと考える被害者・加害者の感情、任意保険における介護料の支給方法では、殆どが一時金を選択していること、事務処理コスト等を考えると、一時金の方がよいのではないか。
 
 介護費用支給の対象には後遺障害2級の随時介護を要する者も含むべきではないか。また、1級3・4号の者に対する任意保険の介護費用の平均支払額が約2,000万円である現状を鑑みると、自賠責保険の守備範囲として500万円はどう考えるべきなのか。
 
 強制保険である自賠責保険は最低限の補償を行い、その上に任意保険が乗っているという2階建て制度の趣旨から考えても、新たに別枠を作るのはどうか。最低限の補償の範囲というのが、ずるずると拡大することになりかねないのでないか。
 
(3)  死亡無責事故等について
 
 (運輸省の委員からの説明)死亡無責事故等の被害者の中には、道路状況や脇道からの飛び出し等の不測の要因によって事故を起こしてしまったようなケースもある。それらの中には、賠償責任保険である自賠責保険や政府保障事業では救済の対象にならないものの、何らかの保障をすべきケースもあるのではないか。
 
 そもそも車というものは、一定程度危険な乗り物であり、ドライバーは、そうした覚悟の上で運転しなくてはならないのであり、犯罪の被害者や自然災害の被害者とは異なる。車を利用している者の大半は任意保険等に加入しており、そうした自助努力や他の社会保障制度との関係から、自動車事故のみ保障を手厚くするのはどうか。
 
(4)  政府再保険制度について
 
 保険会社の体力の向上、自然災害等と異なり集積リスクの考えにくい自動車保険の性質、「民で出来るものは民で行う」という行革・規制緩和の観点等に鑑みれば、政府再保険制度は不要。
 
 被害者保護のためのシステムは再保険以外にもありえる。運輸大臣懇談会報告書には5つの条件が提示されているが、これらについて検討を進めるべき。
 
 政府再保険制度の廃止する場合の、保険金の支払いのチェック、不服審査の方法等を、具体的に提示することが必要。
 
 より適正な保険金支払のため、有無責の判定及び後遺障害の等級認定に係る自算会の再審査会の機能を独立させて、新たな審査機構を設立すべきではないか。過少払いの防止についても、現在、損保業界と自算会で事務処理の流れを改定しているところ。
 
 再保険について議論する場合は交通事故被害者に配慮すべき。また、再保険制度創設時の考えは、第一に本来国が行うべきことを、再保険という形で最大限活用したものであり、被害者保護が本来の目的であることを留意すべき。

 

.次回の自動車損害賠償責任保険審議会・懇談会の日時は未定。
 

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