別添1

「金融検査マニュアル検討会」第7回会合議事要旨

 

1.日  時:1998年11月18日(水) 14時00分〜16時45分
 

2.場所:中央合同庁舎第4号館共用第3特別会議室
 

3.議事概要:
  
前回会合における説明とレポートを踏まえた信用リスク管理のあり方等についての審
 議が行われ、その後、服部委員のレポートを踏まえた流動性リスク管理のあり方につい
 ての審議が行われた。

  審議の概要については以下の通り。

(コンプライアンス検査と告発の関係)

 ○ コンプライアンス検査で法令違反の告発が困難である一番の理由は、告発にかかる
  ルールが明確化されていないことである。検査部門、監督部門のいずれにも外国の当
  局にあるような体制が整備されていないことが問題ではないか。
 

(信用リスク管理のあり方)

 ○ 信用リスク管理態勢の整備の状況について、職責分離が行われているかどうかを確
  認する必要がある。償却・引当についても実施部署と検証部署の分離といった体制の
  構築を義務付けるべきではないか。

 ○ 償却・引当については、決算担当部門の影響を排除し、利益操作が行われないよう
  にするため、金融機関において明確なルール作りとその厳正な運用が行われるべきで
  はないか。

 ○ 相互牽制機能の確保及び、信用格付の導入とこれに基づく信用リスクの計量化につ
  いては双方重要である。しかし、これらをミニマムスタンダードとしてしまうと金融
  機関にかなりの負担を強いることになるのではないか。

 ○ 信用リスクの計量化については、ミニマムスタンダードは無理としてもベストプラ
  クティスとしての位置付けでマニュアルに盛り込む必要がある。またこの場合、必要
  な人的資源を投入することを明確に盛り込むべきではないか。

 ○ 信用リスク管理には価値判断が入るため、市場リスク管理と同様に職責分離が必要
  ではないか。
 

(資産査定基準)

 ○ そもそも資産査定は償却・引当のために行われるべきものであり、その点をマニュ
  アルに明確に盛り込む必要があるのではないか。むしろ、回収可能性をより強調した
  分類を考えていくべきではないか。

 ○ 関連ノンバンクや金融支援先の査定については、「破綻懸念先」の定義が問題であ
  るが、自己査定において再建を前提とした支援先であるにも関わらず「破綻」懸念先
  と区分することには心理的抵抗がある。

 ○ 現在では、メインバンクが支えるから破綻はあり得ないとは言い切れなくなってき
  ているのではないか。金融機関自身の体力も考慮すべきであるが、金融機関の支援意
  思だけをもって債務者区分を決定するのではなく、債務者の実態をよくみて判断すべ
  きではないのか。

 ○ 金融機関が支援しているという概念については、あくまで回収可能性に基づいて評
  価されるべきものであり、その評価について審査担当部門と外部監査との間で意見が
  相違した場合は、外部監査の意見を尊重するといった調整方法を明示的にマニュアル
  に盛り込むべきではないか。
 

(償却・引当基準)

 ○ 償却・引当基準については、現在各金融機関において様々な方法がとられているが、
  当局が基本的考え方なり哲学を明確にすべきではないか。

 ○ 現在の検査官の陣容を考慮し、検査の効率性確保の観点から引当率にかかる立証責
  任は金融機関にあるということを前提に、当局から引当率のメルクマールを出すこと
  が必要ではないか。

 ○ 貸倒引当金の引当率についてはそもそも個別金融機関の貸倒実績率等に基づくもの
  である以上、個別金融機関における資産のポートフォリオの違いを考慮した場合、引
  当率を一律に示すというのは理論的におかしい。また、一度引当率の基準を公表すれ
  ばそれが独り歩きをすることになる危険性があるのではないか。

 ○ 当局が引当率について何らかの基準を示すとしても、それを強制的な引当率とする
  ことは問題であり、あくまで検査官の目安であるとの位置付けを明確にする必要があ
  るのではないか。

 ○ 正常先債権や要注意先債権にかかる業種別等のグルーピングによるきめ細かな引当
  を促すことについては、金融機関の信用リスクを計るために当然必要なことである。
  ただし、具体的なグルーピングの方法について、マニュアルにどう規定するかは今後
  議論する必要があるのではないか。

 ○ BISの信用リスクの算定方法については、今後更に重要視されることとなると思
  われるので、信用リスクの算定方法の検証について何らかの形でマニュアルに盛り込
  むことはできないか。
 

(連結財務諸表との関係)

 ○ 金融機関については平成11年3月期より連結財務諸表が導入されるが、信用リス
  ク管理のマニュアルも、それを前提として考えていく必要があるのではないか。

 ○ 平成11年3月期より連結財務諸表について施行、ディスクローズが義務付けられ
  るが、引き続き金融機関単体として決算を行い、公表する義務は残るので、全てを連
  結ベースで議論するわけにはいかないのではないか。

 ○ 金融検査マニュアルは、12月までにその成果を公表しなくてはいけないので、当
  面、金融機関単体を対象としたマニュアルを作成し、連結の定義が明らかになった段
  階で見直しを行っていけばよいのではないか。
 

(流動性リスク管理のあり方)

 ○ 資金繰りのモニタリングにかかる指標について、定量的基準を定めるべきかどうか
  検討すべきではないか。
 

 (注)本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。


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