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1 共通事項
 

1−1  検査終了後のフォローアップ
 平成10年3月31日に金融検査部長より発出された「新しい金融検査に関する基本事項について」(蔵検第140号)による新検査方式の導入に伴い、検査終了後のフォローアップを以下のとおり行うものとする。
 
(1)  検査結果通知書の交付日と同日付けで、相手保険会社に対し、当該通知書おいて指摘された事項についての事実認識、発生原因分析、改善策、その他をとりまとめた報告書を1ヵ月以内(必要に応じて項目ごとに短縮するものとする。)に提出することを法第128条に基づき求める。(別紙ひな型参照。)
 
(2)  上記報告書については、提出された段階で、保険会社から十分なヒアリングを行うこととする。また、ヒアリングにあたっては、検査部検査班及び審査業務課とも密な連携を図るものとし、検査班の主任検査官若しくはこれに準ずる者及び検査結果通知書の審査を担当した課長補佐若しくはこれに準ずる者の出席を原則として確保するものとする。
 
(3)  検査結果又は法第128条に基づく報告書の内容等により、次回検査までの間定期的なフォローアップが必要であると認められる場合には追加的に法第128条に基づく報告を求め、また、自主的な改善努力に委ねたのでは当該保険会社の健全性の確保に支障を来すと認められる場合には、法第132条に基づき業務改善を求める。

 


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1−2  ソルベンシー・マージン比率等について
 ソルベンシー・マージン比率の正確性等については、規則第86条、第87条、161条、第162条及び第190条の規定に基づき、保険会社の資本、基金、準備金等及び通常の予測を超える危険に相当する額の計算方法等を定める件(平成8年大蔵省告示第50号。以下、1−2において「告示」という。)の趣旨を十分に踏まえ、以下の点に留意してチェックするものとし、問題がある場合にはその内容を通知し、注意を喚起するものとする。
 
−2−1 届出書の記載内容のチェック

 規則第85条第1項第17号(又は同第166条第1項第5号)に規定する劣後特約付金銭消費貸借(以下「劣後ローン」という。)による借入れ及び劣後特約付社債(以下「劣後債」という。)の発行の届出があった場合において、これらが保険金等の支払能力の充実に資するものとして適格であるかについて確認するためには、以下の点に留意するものとする。

(1)  少なくとも破産及び会社更生といった劣後状態が生じた場合には、劣後債権者の支払いの請求権の効力が一旦停止し、上位債権者が全額の支払いを受けることを条件に劣後債権者の支払い請求権の効力を発生する、という条件付債権として法律構成することにより、結果的に上位債権者を優先させる契約内容である旨の記載があるか。
 
(2)  上位債権者に不利となる変更、劣後特約に反する支払いを無効とする契約内容である旨の記載があるか。
 
(3)  債務者の任意(オプション)による償還については、当局の事前承認が必要であるとする契約内容である旨の記載があるか。
 
−2−2 資本の安定性・適格性等のチェック
 
(1)  告示第1条第7項に定める「ステップ・アップ金利が過大なものである」かどうかは以下の条件に照らして判断するものとする。
 
マル1  契約時から5年を経過する日までの期間において、ステップ・アップ金利を上乗せしていないこと。
 
マル2  『「150ベーシス・ポイント」から「当初の金利のベースとなるインデックスとステップアップ後の金利のベースとなるインデックスとの間のスワップ・スプレッド」を控除した値』ないしは『「当初の信用スプレッドの50%」から「当初の金利のベースとなるインデックスとステップアップ後の金利のベースとなるインデックスとの間のスワップ・スプレッド」を控除した値』以下となっているか。
 
マル3  スワップ・スプレッドは、届出日ではなく価格決定時における当初参照証券・金利とステップアップ後の参照証券・金利との値付けの差により計算されるものであるが、これが確実に上記マル2の範囲内となるよう計画されたものとなっているか。
 
(注)  但し、平成10年6月9日以降に発行、借入れ又は契約更改が行われたものについてチェックすることとする。
 
(2)  資本等の調達を行った保険会社が、劣後ローン等の貸手等に対して迂回融資等により、その原資となる貸付を行っていないか。
 
−2−3 「意図的な保有」控除のためのチェック

 告示第1条の2においてソルベンシー・マージン総額から「控除項目」として控除しなければならない場合を、「他の保険会社の保険金等の支払能力の充実の状況を示す比率の向上のため、意図的に当該他の保険会社の株式その他の資本調達手段を保有している」場合(以下「意図的な保有」という。)と規定している。この「意図的な保有」については、当面、具体的に以下のような場合を指すこととするが、これに該当しているか。

(1)  生命保険会社
 
マル1  平成11年4月1日以降、我が国の生命保険会社が借手となる劣後ローンの供与若しくは劣後債の引受けを行っている場合、又は平成12年2月4日以降、我が国の損害保険会社が借手となる劣後ローンの供与若しくは劣後債の引受けを行っている場合
 
 この場合については、資本増強協力目的によるものとみなし、すべて「意図的な保有」に該当する。
 
マル2  平成11年4月1日以降、我が国の生命保険会社の株式その他の資本調達手段(劣後ローン及び劣後債を除く。)を、又は平成12年2月4日以降、我が国の損害保険会社の株式その他の資本調達手段(劣後ローン及び劣後債を除く。)を、経営再建・支援・資本増強協力目的として、新たに引き受ける場合
 
 なお、前述の経営再建・支援・資本増強協力目的以外の場合で、純投資目的等により流通市場等から調達する発行済の株式その他の資本調達手段の保有、及び証券子会社によるマーケット・メイキング等のための一時的保有は、「意図的な保有」には該当しない。
 
(2)  損害保険会社
 
マル1  平成11年4月1日以降、我が国の損害保険会社が借手となる劣後ローンの供与若しくは劣後債の引受けを行っている場合、又は平成12年2月4日以降、我が国の生命保険会社が借手となる劣後ローンの供与若しくは劣後債の引受けを行っている場合
 
 この場合については、資本増強協力目的によるものとみなし、すべて「意図的な保有」に該当する。
 
マル2  平成11年4月1日以降、我が国の損害保険会社の株式その他の資本調達手段(劣後ローン及び劣後債を除く。)を、又は平成12年2月4日以降、我が国の生命保険会社の株式その他の資本調達手段(劣後ローン及び劣後債を除く。)を、経営再建・支援・資本増強協力目的として、新たに引き受ける場合
 
 なお、前述の経営再建・支援・資本増強協力目的以外の場合で、純投資目的等により流通市場等から調達する発行済の株式その他の資本調達手段の保有、及び証券子会社によるマーケット・メイキング等のための一時的保有は、「意図的な保有」には該当しない。
 
(注)

 (1)及び(2)について、「意図的な保有」のうち、「第三者に対する貸付け等を通じて意図的に当該第三者に保有させていると認められる場合」についてのチェックについても、平成11年4月1日以降に資金の払込みが行われた資本等の調達について行うものとする。
 

−2−4 ソルベンシー・マージン比率の計算に際してのチェック
 
(1)  資産の流動化が行われた場合には、法形式上の譲渡に該当する場合であっても、リスクの移転が譲受者に完全に行われている等、実質的な譲渡が行われているか。
 
(2)  意図的な保有に該当する場合には、貸手保険会社のソルベンシー・マージン総額から当該保有相当額を控除することとなるが、適正な控除が行われているか。
 
(3)  告示第1条第3項第5号における「これに準ずるものの額」とは、基金の償却に充てることを目的として資本の部に計上される任意積立金の額(その決算期に積み立てる額を含む。)を指すこととするが、これに該当しているか。
 
(4)  告示第2条第6項第1号及び第2号における「意図的に取引を行っていると認められる場合における当該行っている取引」について、適正な控除が行われているか。
 
(注 )例えば、年度末時点での取引残高が当該年度の各月末時点での取引残高の平均値を大きく上回っている場合や、年度末時点での現物資産の保有残高に対するオフバランス取引の取引残高の割合(以下、カバー率という。)が当該年度の各月末時点でのカバー率の平均値を大きく上回っている場合等において、その理由等を聴取することとする。
 
−2−5 期限前償還等の届出受理に際してのチェック

 規則第85条第1項第18号(又は同第166条第1項第6号)に規定する劣後ローンの期限前弁済若しくは劣後債の期限前償還にかかる届出又は規則第85条第1項第19号若しくは第20号に規定する自己の株式の消却にかかる届出を受理しようとする時は、告示の趣旨を十分に踏まえるとともに、当該届出保険会社における期限前弁済若しくは期限前償還又は株式消却後のソルベンシー・マージン比率がなお十分な水準を維持しているかどうか、特に留意するものとする。

 

1−3  保険会社の健全性に関し報告を求める場合及び業務改善を求める場合の着眼点
 保険会社に対し経営の健全性及び業務の適切性を確保するため必要な場合には、法第128条に基づく報告又は資料の提出を求めることができる。また、保険会社の経営状態によっては、法第132条等に基づく業務改善等の命令を行うことが必要となる。
 以下において、保険会社を監督するための、着眼点を整理した。
 
−3−1 経営姿勢
 
(1)  自己責任原則に基づいた経営姿勢の確立
 
マル1  自己責任原則に基づいた経営姿勢の確立のために明確な方針が決定されているか。
 
マル2  経営情報の適切な開示のためどのような措置が講じられているか。
 
マル3  経営判断の結果等についての責任を明確にするための方策がとられているか。
 
(2)  公共性を認識した健全経営の徹底
 
マル1  法令遵守のための規定整備がなされているか。
 
マル2  職員等に対する研修等人材育成のためにどのような措置が講じられているか。
 
マル3  財産的基礎の充実のためどのような措置が講じられているか。
 
マル4  保険契約者等の保護を図るためどのような措置が講じられているか。
 
マル5  資産運用に当たって安全、有利な運用を行うためどのような措置が講じられているか。
 
マル6  相互牽制機能の発揮のためどのような措置が講じられているか。
 
マル7  適正な資金配分のための措置が講じられているか。
 
−3−2 経営管理
 
(1)  経営の健全性の確保
 
マル1  経営の健全性の確保のため具体的な措置が講じられているか。
 
マル2  基礎書類(法第4条第2項第2号から第4号までに掲げる書類)において保険会社に裁量の余地が残るものとなっている商品については、審査基準(法第5条第1項第3号及び第4号並びに規則第11条第1号から第5号まで、第12条第1号から第3号まで及び第4号イからハまでの基準をいう。)の各事項その他の法令に沿った保険契約の内容及び保険料となるよう社内体制(保険契約の締結及び保険募集を含む。)が整備されているか。また、外国保険会社等においても、上記に準じ、同様の措置が講じられているか。
 
マル3  保障機能、貯蓄機能、資産運用機能、金融仲介機能等の充実のための措置が講じられているか。
 
マル4  経営の効率化のための措置が講じられているか。
 
マル5  子会社、海外現地法人に対する管理を適正に行うための措置が講じられているか。
 
マル6  リスク管理体制の確立のための措置が講じられているか。
 
(2)  事務所(営業店を含む。以下同じ。)の管理指導の適正化
 
マル1  事務所の管理指導を行うための措置が講じられているか。
 
マル2  営業職員の採用及び募集代理店の委託、保険販売等において過大な計画等を排除するための措置が講じられているか。
 
マル3  募集活動が適正に行われるための措置が講じられているか。また、適正な募集が行われているか。
 
マル4  事務所の考課に内部管理面の評価が考慮されているか。
 
マル5  営業職員、募集代理店等に対する教育、指導を行う体制が整備されているか。
 
(3)  内部検査の充実
 
マル1  本部の経営方針、法令、内部規定等に準拠した内部検査を行うための措置が講じられているか。
 
マル2  内部検査の実施に必要な要員が確保されているか。
 
マル3  検査精度を高めるための措置が講じられているか。
 
マル4  海外事務所を含めた検査において、周期、検査項目等が適正に定められているか。
 また、少なくとも年1回の検査が実施されているか。
 
マル5  検査結果を経営層へ報告する体制がとられているか。
 
マル6  検査結果が事務所等の考課に反映されるための措置が講じられているか。
 
マル7  コンピューターシステムに関連する組織、責任及び権限を定めた規定の整備状況、コンピューターセンターの安全対策の状況、コンピューター操作面の安全対策の状況等が検査項目とされているか。
 
(4)  審査管理体制の充実強化
 
マル1  資産運用に当たって、自己責任原則に基づく責任体制を確立するための措置が講じられているか。審査能力、リスク管理の向上を図るための措置が講じられているか。
 
マル2  与信に当たり、審査管理を充実するための措置が講じられているか。
 
マル3  同一の者に対する信用の供与等法令の規定を遵守するための措置が講じられているか。
 
マル4  保険契約獲得のための手段として資産運用が行われていないか。
 
マル5  有価証券投資に当たって、フロントオフィスとバックオフィスとの内部牽制が図られているか。
 また、管理体制を充実するための措置が講じられているか。
 
マル6  不動産の取得について、地価の高騰を助長する等の取引を排除する措置が講じられているか。
 
マル7  土地の有効利用のための措置が講じられているか。
 
マル8  投機的土地取引、不急な土地取引等を排除する措置が講じられているか。
 
(5)  適正な経理処理
 
マル1  商法、企業会計原則等に準拠した経理処理が行われているか。
 
マル2  保険経理の透明性、保険契約者間の公平性を確保するための措置が講じられているか。
 
マル3  資産負債の総合的な管理を行うための措置が講じられているか。
 
(6)  資産の自己査定のあり方
 
マル1  資産内容の健全性を的確に把握するための措置が講じられているか。
 
マル2  自己査定基準を策定し自らの資産を検討・分析し回収の危険性又は価値の毀損の度合いに応じて分類区分(以下、「自己査定」という。)を行っているか。
 
マル3  自己査定基準の策定に当たっては、商法等関係法令に準拠し、経営陣の積極的な関与の下で正式の社内手続を経て、文書により規定化されているか。資産査定の具体的な基準、自己査定の実施部門が明記されているか。基準の合理性、明確性について説明が可能か。
 
マル4  自己査定の責任部門が明確化されているか。当該部門は貸付承認部門と独立した部門であるなど相互牽制機能が確保されているか。
 
マル5  自己査定結果について、検査部門等の内部監査部門が監査を行う体制となっているか。自己査定部門へ精通者が確保されているか。
 
マル6  自己査定が基準通りに行われているか。
 
マル7  自己査定結果の経営陣への報告が適宜行われる事務フローとなっているか。経営陣は報告を理解し自社の資産内容を正確に把握しているか。
 
マル8  自己査定結果を踏まえた、償却引当方針は明確か。外部監査人との連携は十分か。
 
マル9  公認会計士協会実務指針に則った償却・引当が行われているか。
 
マル10  海外の政治経済情勢等に起因して、特定の国又は地域に関連して特に生ずることが見込まれる貸倒損失(以下「カントリー・リスク」という。)の評価に係る合理的な基準が整備されているか。
 
マル11  カントリー・リスクの評価結果を踏まえた、特定海外債権引当勘定への引当方針は明確か。引当方針に則った引当が行われているか。外部監査人との連携は十分か。
 
マル12  カントリー・リスクの評価基準は、以下のような事実等が発生している国又は地域の政府、その他対象国に住所又は居所を有する自然人若しくは対象国に主たる事務所を有する法人に対する信用供与を適正に評価できる内容となっているか。
 
(イ)  当該国の政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業(以下「政府等」という。)に対する民間保険会社の貸付金(以下「政府等向け民間貸付金」という。)の元本又は利息の支払いが1ヵ月以上延滞していること。
 
(ロ)  政府等向け民間貸付金について、決算期末前5年内に、債務返済の繰延べ、主要債権銀行間一律の方式による再融資、その他これらに準ずる措置(以下「債務返済の繰延べ等」という。)に関する契約が締結されていること。
 
(ハ)  政府等向け民間貸付金について、債務返済の繰延べ等の要請を受け、契約締結に至らないまま1ヵ月以上経過していること。
 
(ニ)  政府等向け民間貸付金について、前各号に掲げる事実が近い将来に発生することが見込まれること。
 
(ホ)  当該国に住所又は居所を有する自然人若しくは当該国に主たる事務所を有する法人に対する民間保険会社の貸付金について、(イ)から(ハ)に類する事実が発生していること又は近い将来に発生することが見込まれること。
 
(ヘ)  その他、カントリー・リスクの評価に影響を及ぼすことが見込まれる事象。
 
(7)  市場関連リスク管理のあり方
 
マル1  市場関連リスク管理のための体制が構築されているか。
 
マル2  経営戦略に応じたリスク管理の基本方針が明確に決定されているか。基本方針には、管理すべきリスクの所在、リスク量の限度設定の基本的な考え方、リスク管理のための組織、権限規定、リスク管理手続が定められているか。また、定期的な見直しが制度化されているか。
 
マル3  市場関連リスクに関する経営陣の認識の程度はどうか。リスクの所在、自社の日々のリスク量を把握しているか。また、それらが取締役会等の意思決定機関に定期的に報告されているか。報告の結果がどのように活用されているか。
 
マル4  部門間の相互牽制機能が発揮されるよう取引実施部門(フロントオフィス)と後方事務部門(バックオフィス)の分離等が行われているか。
 
マル5  リスク管理を担当する部門が他の部門から独立し、十分な専門能力を有する人員が配置されているか。
 
マル6  リスク管理手続の設定、運営について検証するための内部検査が行われているか。
 
マル7  会社全体(会社グループ全体)が保有する各種のリスクを定期的に測定し、定期的に経営陣へ報告されているか。リスクの測定方法は取引の特性、業務の手法及び規模に応じ、管理すべきリスク要因を把握できる精緻さとなっているか。また、経営陣への報告内容は、各種リスク要因を総合的に把握した上で経営判断に利用しうるものとなっているか。
 
マル8  リスク限度額の設定について、財産的基礎を勘案したものとなっているか。限度額遵守のためのマニュアルやロスカットルールの設定等が行われているか。
 
マル9  海外現地法人での市場関連リスクについて、親会社と同様の管理体制となっているか。
 
(8)  事業費管理の徹底・強化
 
マル1  経費節減のための措置が講じられているか。
 
マル2  経営の効率化と保険契約者等の利益の向上を目的とした措置となっているか。
 
(9)  各種法令の遵守
 
マル1  各種法令を遵守するための体制がとられているか。
 
マル2  法令担当者を選任しているか。担当者は専門能力を有する者を配置しているか。
 
−3−3 不祥事件等の発生時の対応
 
(1)  不祥事件発生時の本部への連絡体制が確立されているか。
 
(2)  事実関係の真相究明及び監督者を含めた責任の追及が厳正に行われているか。
 
(3)  経営者の責任の明確化が図られているか。
 
(4)  司法当局に対する通報等は適正に行われているか。また、規定は整備されているか。
 
(5)  不祥事件の調査、解明に当たって、事件と関係しない部門が担当することとなっているか。
 
(6)  証券取引所が定める適時開示基準に該当する場合を目安とした開示基準が規定されているか。
 
−3−4 相談・苦情処理体制の充実・強化
 
(1)  本社及び事務所の相談・苦情処理体制が確立されているか。
 
(2)  担当者の配置等適正なものとなっているか。
 
(3)  窓口の充実、強化を図るための措置が講じられているか。
 
−3−5 資産運用
 
(1)  法令等の遵守
 
マル1  保険業法等の規制を遵守するための措置が講じられているか。
 
マル2  内部規定(稟議規定を含む。)は適正に策定されているか。
 
マル3  運用全般にかかるリスク量が把握できる体制となっているか。
 
マル4  資産運用での責任体制は明確になっているか。
 
(2)  商品有価証券
 適正な経理を行うための規定が整備されているか。
 
(3)  証券先物取引
 
マル1  リスク管理を行うための措置が講じられているか。
 
マル2  適時にリスク量が把握できる体制となっているか。
 
マル3  リスク管理は財産的基礎から適正なものとなっているか。
 
(4)  債券の空売り及び貸借
 
マル1  リスク管理を行うための措置が講じられているか。
 
マル2  適時にリスク量が把握できる体制となっているか。
 
マル3  リスク管理は財産的基礎から適正なものとなっているか。
 
マル4  実行限度額等を明確にした管理が行われているか。
 
(5)  株式の信用取引
 
マル1  信用取引を行う目的、限度、契約内容等を明確にした適正な管理が行われているか。
 
マル2  リスク管理を行うための措置が講じられているか。
 
マル3  適時にリスク量が把握できる体制となっているか。
 
マル4  リスク管理は財産的基礎から適正なものとなっているか。
 
(6)  金融先物取引
 
マル1  金融先物取引を行う目的、限度、契約内容等を明確にした適正な管理が行われているか。
 
マル2  リスク管理を行うための措置が講じられているか。
 
マル3  適時にリスク量が把握できる体制となっているか。
 
マル4  リスク管理は財産的基礎から適正なものとなっているか。
 
(7)  その他の取引
 保険会社が行う取引については、必要に応じその目的、実行限度、収支に与える影響を勘案した内部規定が整備されているか。また、社会的信用の維持等について配慮されたものとなっているか。例えば、現金担保付債券貸借取引において内部規定は整備されているか。また、現金担保に当たっては適正な付利が行われているか。
 
(8)  営業用不動産の取得
 
マル1  営業用不動産について、投資用不動産と明確に区分した管理が行われているか。
 
マル2  営業用不動産の取得に当たって、経営の効率化の観点を勘案した取得となっているか。
 
(9)  資金の調達
 外部資金の取り入れは、レバレッジ効果をもたらすこととなり、資産等の保有限度等の管理においては十分留意しておく必要がある。
 
マル1  基金
 
基金の募集に当たって、基金利息の負担の影響、内部留保の充実、契約者等の保護が勘案されたものとなっているか。
 
マル2  社債
 
 発行目的、発行限度、収支に与える影響等が勘案されたものとなっているか。
 
 発行、償還等適正な管理を行うための措置が講じられているか。
 
マル3  劣後債務の取り入れ
 
 取入目的、限度、収支に与える影響等が勘案されたものとなっているか。
 
 返済計画等適正な管理を行うための措置が講じられているか。
 
マル4  当座借越
 
 資産運用に伴う、一時的な資金繰りに対応するものとなっているか。
 
 取入目的、限度等が勘案されたものとなっているか。
 
マル5  外貨建債務の取り入れ
 
 保有する外貨建資産のヘッジを目的としたものとなっているか。
 
 円転が行われているか。
 
マル6  CP
 
 発行目的、発行限度、収支に与える影響等が勘案されたものとなっているか。
 
 発行、償還等適正な管理を行うための措置が講じられているか。
 
(10 ) 資金の貸付
 
マル1  審査・管理の充実強化のための措置が講じられているか。
 
 担当部門間の相互牽制機能は発揮されているか。
 
マル2  債務者管理を適切に行うための措置が講じられているか。
 
 与信に当たり債務者の事業計画、返済計画、返済財源、資金使途、投資効果、保全面等が審査項目とされているか。
 
マル3  迂回融資、名義分割、架空名義等不適正な取扱いを排除する措置が講じられているか。
 
マル4  貸付等に係るロスの算定、処理は適正に行われているか。
 
(11 ) 貸付債権の流動化
 
 対象債権を有する保険会社は、原債務者の保護に十分配慮しているか。
 
 債務者等を威迫し又は私生活若しくは業務の平穏を害するような者に対して貸付債権を譲渡していないか。
 
(12 ) 商品投資に係る業務(商品ファンド)の取扱いについて

 保険会社が「商品投資に係る事業の規制に関する法律」(平成3年法律第66号)により適用除外を受ける者とされている趣旨に鑑み、同法等に定められている投資家保護等のための規制に沿った業務運営が確保されているか。
 

(13 ) 小口債権販売に係る業務の取扱いについて

 保険会社が「特定債権等に係る事業の規制に関する法律」(平成4年法律第77号)により適用除外を受ける者とされている趣旨に鑑み、同法等に定められている投資家保護等のための規制に沿った業務運営が確保されているか。
 

(14 ) 抵当証券業務について

 保険会社が「抵当証券業の規制等に関する法律」(昭和62年法律第114 号)により適用除外を受ける者とされている趣旨に鑑み、同法に定められている購入者保護のための規制に沿った業務運営が確保されているか。
 

−3−6 法第100条の2に規定する業務運営に関する措置等
 
(1)  規則第53条から第53条の7までに規定する措置等が適正に実施されているか。
 
(2)  規則第53条、第53条の4及び第53条の6に規定する措置(以下この1−3−6において「当該措置」という。)について、職員並びに営業職員及び募集代理店に対する教育、指導を行う体制が整備されているか。
 
(3)  当該措置について、職員並びに営業職員及び募集代理店の実施状況を調査・把握する体制が整備されているか。
 
(4)  規則第53条第4号に規定する「被保険者のために積み立てられている額」には、規則第10条第3号に規定する契約者価額の計算の基礎とする額並びに第28条第1項第1号(社員配当準備金)、同第70条第1項第1号イ(未経過保険料)、第3号(払戻積立金)及び第4号(契約者配当準備金等)等が含まれる。
 
(5)  規則第53条第4号に規定する「既契約と新契約が対比できる方法」が次のとおりとなっているか。
 
マル1  規則第53条第4号イに規定する事項について、書面に既契約及び新契約に関して記載項目毎に対比して記載する。
 
マル2  上記マル1にかかわらず、次に掲げる場合には、既契約及び新契約に関して規則第53条第4号イに規定する事項が記載されたそれぞれの書面を交付して対比することも可能とする。
 
.保険種類が異なり、かつ、既契約及び新契約(いずれも特約を含む。)の保障内容又は担保内容が全く異なるもの。
 
.複数の既契約を一の新契約にする場合等既契約及び新契約の契約内容やシステム上の問題等により、記載項目毎に対比して記載(上記マル1をいう。)しない合理的な理由があるもの。
 
マル3  上記マル2の書面により代替する場合には、当該書面の交付にあたって既契約と新契約の対比説明を徹底する等、保険契約者等の保護に欠けることのないよう措置を講じる。
 
(6)  規則第53条第4号に規定する既契約と新契約の対比が適切に行われているか。
 なお、同号に規定する「その他保険契約に関して重要な事項」とは、次に掲げる事項をいう。
 
 保険料の払込方法、契約者配当又は社員に対する剰余金の分配の有無、予定利率の変動によって保険料が引き上げとなる事実、その他保険契約の特性から重要と認められる事項、のうち該当する事項。
 
(7)  規則第53条第4号ロに規定する保障内容を見直す方法が交付する書面に適切に記載されているか。
 なお、同号に規定する「既契約を継続したまま保障内容を見直す方法」とは、次に掲げる方法をいう。
 
マル1  既契約に特約を中途付加する方法
 
マル2  既契約に追加して、他の保険契約を締結する方法  等
 
(8)  規則第53条第1号から第4号までに定める書面の交付に関して、保険契約者から書面を受領した旨の確認を得ることについて、職員並びに営業職員及び募集代理店に対する教育、指導を行う体制が整備されているか。
 また、職員並びに営業職員及び募集代理店による受領確認の実施状況を調査・把握する体制が整備されているか。
 
(9)  規則第53条に規定する措置に関して、当該書面等に記載又は説明すべき事項及び保険契約申込書等における当該書面の受領確認に関する文言の表示にあっては、文字の大きさ等に留意して、その平明性及び明確性が確保されているか。
 
(10)  規則第53条の7に規定する措置に関し、法第3条第4項第1号に規定する保険(年金保険及び生存保険を除く。)の契約について、
 
マル1  保険契約者又は被保険者の収入、資産、逸失利益等の計数に基づき算定した額と保険金額との比較などにより、保険金額の妥当性(過分でないこと)を判断・確認する方法を含む社内規則等が適切に定められ、それに基づき業務が運営されるための十分な体制が整備されているか。
 
マル2  保険金額の決定に際し、(社)生命保険協会の「契約内容登録制度」を利用する体制が整備され、当該制度で知り得た他の保険契約に係る保険金額を勘案した結果が適切に記録されているか。

 

−3−7 資産運用限度

 規則第48条の3第2項ただし書並びに同第48条の5第2項ただし書の承認にあたっては、今後の資産運用限度額超過の解消に向けた計画を求めるとともに、速やかに解消する場合を除き、定期的に計画の履行状況を報告させるものとする。
 

1−4  子会社等について
 保険会社の子会社(法第2条第13項に規定する子会社(同項の規定により子会社とみなされる会社を含む。)をいう。以下同じ。)、子法人等(令第2条の2第2項に規定する子法人等(子会社を除く。)をいう。以下同じ。)及び関連法人等(同条第3項に規定する関連法人等をいう。以下同じ。)(以下「子会社等」という。)については、法第100条に規定する他業禁止の観点から以下のとおりとする。
 なお、保険持株会社の子会社等についても、これに準じた取扱いを行うものとする。
 
(注1 )保険会社又はその子会社が、国内の会社(当該保険会社の子会社を除く。)の株式等について、合算して、その基準株式数等(法第107条第1項に規定する基準株式数等をいう。以下同じ。)を超えて所有している場合の当該国内の会社(以下「特定出資会社」という。)が営むことができる業務は、第106条第1項第1号から第5号までに掲げる会社、同項第9号に掲げる会社(特定従属会社(同号に規定する特定従属会社をいう。以下同じ。)を除く。)並びに同項第10号及び第12号に掲げる会社が行うことができる業務の範囲内であり、かつ、規則、告示、本事務ガイドラインに定める子会社に関する基準等を満たす必要があることに留意する。
 
(注2 )子法人等及び関連法人等の判定に当たり、当該保険会社が証券取引法に基づき有価証券報告書等の作成等を行うか否かに関わらず、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則、日本公認会計士協会監査委員会報告第60号『連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する監査上の取扱い』(平成10年12月8日付)その他の一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従っているかにも留意する。
 
(注3 )法第106条及び第107条に規定する「会社」には、特別目的会社(例えば、資産の流動化、自己資本の調達を目的とするもの等)、組合、証券投資法人、パートナーシップ、LLCその他の会社に準ずる事業体(以下「会社に準ずる事業体」という。)を含まないが、会社に準ずる事業体を通じて子会社等の業務範囲規制、他業禁止の趣旨が潜脱されていないかに留意する。
 
−4−1 子会社等の業務の範囲

 子会社等の業務の範囲については、以下の点に留意するものとする。

(1)  保険会社の子会社が営む従属業務(法第106条第2項第1号に規定する従属業務をいう。以下同じ。)については、以下の範囲となっているか。
 
マル1  保険会社の業務に係る事務のうちその業務の基本に係ることのないものに限定されているか。
 
マル2  従属業務を専ら営む会社であって、主として保険会社又はその子会社の営む業務のためにその業務を営んでいる会社(特定従属会社を除く。)は、当該保険会社が原則として全額出資する会社となっているか。
 
マル3  従属業務を専ら営む会社であって、主として保険会社又はその子会社の営む業務のためにその業務を営んでいる会社は他の会社の株式を保有していないか。
 
マル4  電子計算機に関する事務を行う業務・・・コンピュータソフトの販売に伴い必要となる付属機器の販売は差し支えない。
 
(2)  保険会社の子会社が営む金融関連業務(同条第2項第2号に規定する金融関連業務をいう。以下同じ。)については、以下の範囲となっているか。
 
マル1  保険会社の保険業に係る業務の代理(規則第56条の2第2項第2号に掲げる業務に該当するものを除く。)又は事務の代行・・・規則第51条に掲げる業務の範囲内となっているか。
 
マル2  信用保証業務・・・原則として住宅ローン等消費者ローンに係るものを取り扱っているか。また、以下の点に留意した取扱いとなっているか。
 
 保証会社の業務運営に当たっては、保証債務の円滑な履行に疎通を欠くことのないよう、保証業務の専業体制の確立、内部留保の充実その他適正な支払い準備の確保等に十分配意しているか。
 
 保証会社が信用保証を行うに当たって、物的担保以外に不必要な人的担保も徴求していないか。
 
 保険会社が、信用保証を必要とする債務者に対し、自社が子会社として設立した保証会社の保証を強制すること等の行為を行っていないか。
 
 保険会社が、保証会社の保証付住宅ローンの金利について、通常の場合の金利に比較して次のものに相当する部分を低減しているか。
 
 通常見込まれる貸倒れに伴う損失
 
 担保等の設定、管理、処分等のために要するコスト
 
 信用調査、貸出審査等が簡略化されることにより軽減が見込まれるコスト
 
マル3  コンピューターソフトの販売……ソフトは主に(50%以上を目安とする)当該保険会社の業務及び企業の財務、年金事務等に関連したものとなっているか。当該保険会社の業務と著しく乖離したソフトの販売が行われていないか(親保険会社が自己のために開発したソフトを他の保険会社、銀行等及び証券会社に提供すること(ソフトの一部の加工を含む。)は差し支えない。)。
 
マル4  電気通信業務(いわゆるVAN業務)・・・主として(50%以上を目安とする)当該保険会社の業務及び企業の財務、年金事務等に関連したものを取り扱うこととしているか。
 
(注)  電気通信事業法第22条第1項による郵政省への届出について照会があった場合には、「子会社等が他人の通信を媒介する役務(以下「媒介役務」という。)の提供を営利の目的とせず(例えば、共同出資の子会社等が、出資金融機関のみを対象として媒介役務を提供する場合等当該子会社等の定める料金、提供条件等から媒介役務について収益をあげることを目的としていないことが明白な場合:100%出資の子会社はこれに含まれる)に行う場合には必要ない」旨回答すること
 
マル5  健康・福祉関連業務・・・健康関連業務は、例えば、屋内運動設備等の施設を備え、専門指導員、医療専門者等を配置し、会員に対し健康の維持・向上に寄与する業務がある。福祉関連業務は、例えば、有料老人ホーム、老人ホーム入居者に対する給食業務等、高齢者福祉関連施設の運営・管理、リハビリテーション機関(アスレチッククラブを含む。)の運営・管理、介護機器の開発、コンサルティング、取り次ぎ及び介護者の研修に関する業務、在宅サービスに関する業務、健康・福祉に関する調査・研究がある。
 
マル6  投資顧問業務・・・業務の特殊性、投資家保護の観点から以下の点に留意した取扱いとなっているか。
 
 保護預りは当該会社では扱わず、信託銀行等の扱いとなっているか。
 
 投資助言の範囲は不動産、骨董品等は対象とせず、有価証券、金融商品としているか。
 
(3)  保険会社の特定子法人等(特定出資会社でない子法人等をいう。以下同じ。)及び特定関連法人等(特定出資会社でない関連法人等をいう。以下同じ。)については、以下のとおりとなっているか。但し、会社に準ずる事業体については、この限りでない。
 
マル1  保険会社の特定子法人等及び特定関連法人等の業務の範囲については、子会社対象会社(法第106条第1項に規定する子会社対象会社をいう。以下同じ。)の営むことができる業務の範囲内であり、かつ、規則、告示、本事務ガイドラインに定める子会社に関する基準等を満たしているか。
 例えば、銀行専門関連業務(同条第2項第3号に定める銀行専門関連業務をいう。)を営む会社については、保険会社が銀行を子会社としている場合等に限り、保険会社の特定子法人等又は特定関連法人等として保有することができることに留意する。
 
(注)  特定子法人等又は特定関連法人等が投資用不動産に係る業務を行う場合に限り、当該会社が営む規則第56条の2第1項第18号に掲げる業務については、上記(1)マル3並びに収入依存度規制告示各条第3号に規定する基準に準じた基準を満たさなくとも差し支えないことに留意する。
 
マル2  従属業務を専ら営む保険会社の特定子法人等又は特定関連法人等であって、主として当該保険会社の特定出資会社又は他の特定子法人等若しくは特定関連法人等(以下「従属先法人等」という。)の営む業務のためにその業務を営んでいるもの(従属先法人等が原則として全額出資するものに限る。)が、法第106条第7項、規則第56条第1項第1号及び同条第6項の規定に基づき、従属業務を営む会社が主として保険会社若しくはその子会社、保険会社の一の子会社又は保険会社の営む業務のために従属業務を営んでいるかどうかの基準(金融監督庁・大蔵省告示第50号。以下「収入依存度規制告示」という。)第4条に規定する基準に準じ、次の要件を満たす場合には、上記マル1に反しないものとして取り扱って差し支えない。
 なお、当該従属業務を専ら営む保険会社の特定子法人等又は特定関連法人等については、上記(1)マル3を満たす必要がないことに留意する。
 
 規則第56条の2第1項第1号から第6号までに掲げる業務を営む場合
 各事業年度において、それぞれの業務につき、当該保険会社(同項第1号から第3号に掲げる業務については当該保険会社の役職員を含む。)及びその子会社等又は特定出資会社からの収入の額の合計額の総収入の額に占める割合が100分の90を下回らず、かつ、当該保険会社の従属先法人等からの収入の額の総収入の額に占める割合が100分の50を上回ること。
 
 同項第7号から第17号まで及び第21号に掲げる業務を営む場合
 各事業年度において、それぞれの業務につき、当該保険会社の従属先法人等からの収入の額の総収入の額に占める割合が100分の50を上回り、かつ、次に掲げる者からの収入の額の合計額の総収入の額に占める割合が100分の90を下回らないこと。
 
 子会社対象会社
 
 信用金庫若しくは信用金庫連合会又は労働金庫若しくは労働金庫連合会
 
 農林中央金庫又は商工組合中央金庫
 
 信用協同組合若しくは信用協同組合連合会又は業として預金若しくは貯金の受入れをすることができる農業協同組合、農業協同組合連合会、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合若しくは水産加工業協同組合連合会
 
 当該保険会社のみの委託を受けた保険募集を専業とする者(年間の総売上高に占める保険募集に関して得た手数料、報酬その他の対価の総額の割合が100分の50以上である者をいう。)(同項第8号又は第15号に掲げる業務に限る。)
 
 当該保険会社の委託を受けた保険募集をする者(同項第16号に掲げる業務に限る。)
 
 同項第18号から第20号までに掲げる業務を営む場合各事業年度において、それぞれの業務につき、当該保険会社の従属先法人等からの収入の額の総収入の額に占める割合が100分の50を上回ること。(同項第18号に掲げる業務の対象となる不動産が二以上の者により共有されている場合において、当該不動産の共有者の一が当該保険会社又はその子会社であるときは、当該保険会社又は当該子会社が当該不動産に係るその持分に応じて出資して設立した会社の当該業務については、当該会社の当該業務に係る収入の額に当該持分の割合を乗じて得た額を総収入とみなす。)
 
マル3  関連会社として届出がなされたもの(当該関連会社がその業務を行わせるために設立した会社及びこれらと同様の業務を営む会社を含み、マル4に該当する会社を除く。)で、新法の施行の際、子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務を現に営む保険会社の特定子法人等及び特定関連法人等が、新法の施行後も引き続きそれらの業務を営む場合には、別に命ずるところにより、当該特定子法人等及び特定関連法人等の名称、業務その他必要な事項について報告がなされたものに限り、当分の間、上記マル1に反しないものとして取り扱って差し支えない。
 但し、当該特定子法人等又は特定関連法人等が当該保険会社の子会社又は特定出資法人となる場合並びに当該特定子法人等及び特定関連法人等が新法の施行前に営んでいた業務以外の業務を新たに営む場合はこの限りでない。
 
(注1 )関連会社とは、保険会社が出資する会社で、その設立経緯、資金的、人的関係等からみて、保険会社と緊密な関係を有する会社をいう。
 
(注2 )例えば、以下のような場合については、保険業法の趣旨を逸脱しない限り、上記特定子法人等又は特定関連法人等に準じて取り扱って差し支えない。
 
 保険会社の届出済の関連会社が上記の業務を営む場合に、当該保険会社が他の会社の保有する当該関連会社の株式を取得したことにより、新法の施行の際、当該保険会社の特定出資会社(子法人等又は関連法人等に限る。)となったことについてやむを得ない理由があるとき(新法附則第104条に規定する届出がなされているものに限る。)
 
 新法の施行の際、保険会社の特定子法人等又は特定関連法人等として上記の要件を満たすものが、法第107条第4項第1号の規定により当該保険会社の特定出資者(子法人等又は関連法人等に限る。)となった場合(同号に規定する認可を受けている場合に限る。)
 
 新法の施行の際、二の保険会社のそれぞれの特定子法人等又は特定関連法人等として上記の要件を満たすものが、合併によりいずれか一の保険会社の特定子法人等又は特定関連法人等(以下「存続会社」という。)となった場合(存続会社が合併前に営んでいた業務以外の業務を合併後に営むこととなる場合には、当該業務について平成14年3月期末までに必要な見直しが行われているものに限る。)
 
マル4  特定子法人等又は特定関連法人等において一般向け不動産業務、物品販売業務、旅行あっせん業務等、子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務を行っていないか。
 但し、新法の施行の際、特定子法人等又は特定関連法人等が現にこれらの業務を営んでいる場合には、原則として平成14年3月期末までに必要な見直しが行われているか。
 なお、特定子法人等又は特定関連法人等が現に従属業務又は金融関連業務(これらに準ずる業務として別に命ずるところにより報告がなされたものを含む。)を営む場合又はこれらを併せ営む場合(当該従属業務が収入依存度規制告示各条に規定する基準に準じた基準(上記マル2の例による。但し、保険会社の子会社からの収入に当該保険会社の委託を受けた保険募集をする者からの収入を含めて計算して差し支えない。)を満たす場合に限る。なお、規則第56条の2第3項の規定の適用がないものとして取り扱って差し支えない。)においては、平成14年3月期末までに当該従属業務又は金融関連業務以外の業務について必要な見直しが行われているものに限り、当分の間、上記マル1に反しないものとして取り扱って差し支えない。この場合に、当該従属業務を営む特定子法人等又は特定関連法人等については、上記(1)マル3を満たす必要がないことに留意する。
 
(注1 )当該特定子法人等又は特定関連法人等が平成14年3月期末を超えて必要な見直しを終えていない場合には、見直しが終了していない正当な理由について、別に命ずるところにより報告を求めることに留意する。
 
(注2 )保険会社の子会社が営む業務に付随し、公共性等の観点から地方公共団体等により義務づけられる業務を当該保険会社の特定子法人等又は特定関連法人等に行わせることにつきやむを得ない理由がある場合には、当該業務が子会社対象会社が営むことのできる業務以外の業務であっても、「これらに準ずる業務」に準じて取り扱って差し支えない。
 
−4−2 保険会社の貸付金等に係る担保不動産の保有・管理会社(自己競落会社)の取扱いいわゆる自己競落会社について、以下の点に留意した取扱いとなっているか。
 
(1)  当該会社の業務は以下に限られているか。
 
マル1  出資保険会社が貸付金等の回収のために担保権を実行する必要がある場合(出資保険会社に係る担保不動産について第三者が競売の申立を行う場合を含む。)に行う当該貸付金等に係る担保不動産の取得(競落による取得に限る。)
 
マル2  買取会社が買い取った不動産担保付債権の回収のために担保権を実行する必要がある場合(買取会社に係る担保不動産について第三者が競売の申立を行う場合を含む。)に、出資金融機関(会社の親保険会社をいう。)が買取会社に譲渡した不動産担保付債権に係る担保不動産の取得(競落による取得に限る。)
 
マル3  取得した不動産の保有・管理及び売却
 
(2)  当該会社の業務遂行に当たって以下の点は遵守されているか。
 
マル1  競落価格は、原則として裁判所が公告した最低売却価格によっているか。
 
マル2  不動産の取得に当たっては、いやしくも社会的批判を浴びることのないよう厳に留意した運営となっているか。
 
マル3  取得した不動産の保有期間中に行う業務は、整地、未完成の建築物の完成、隣接地の購入等当該不動産の円滑な売却を図るため必要不可欠の価値の維持・向上のためのものに限られているか。
 
マル4  取得した不動産の保有期間中に当該不動産を賃貸する場合は、当該不動産の円滑な売却を妨げない範囲の業務となっているか。
 
マル5  当該会社は業務を遂行するに当たって、ホテル業等関連会社が営むことができない業務を営んでいないか。
 
(3)  競落対象物件は出資保険会社又は買取会社の貸付金等に係る担保不動産であり、当該不動産の競落により、出資保険会社又は買取会社に配当が見込まれるか。
 
(注 )貸付金等には出資保険会社が保証の履行により取得した求償権等の債権で当該不動産の被担保債権となっているもの及び買取会社の不動産担保付債権を含む。
 
(4)  その他
 
マル1  会社は、宅地建物取引業法の規定により、同法第三条の免許を取得しているか。
 
マル2  会社は取得した不動産毎に収支・損益の分別管理を行っているか。
 
マル3  出資保険会社及び会社は会社の財務の健全性が確保されるよう必要な措置を講じているか。
 
−4−3 保険会社の海外における子会社等の業務の範囲
 
(1)  保険会社の海外における子会社等の業務の範囲についても、国内の子会社等と同様の業務範囲の考え方を適用し、子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務を営むことのないよう留意する必要がある。但し、上記1−4−1(1)マル3については、この限りでない。
 
(注 )海外における貸出債権回収のために担保権を実行する必要がある場合で、現地市場の状況から担保資産の売却が極めて困難であり、かつ、現地法制上、他に適切な処理方法が存在しないときに、管理子会社を設立して担保流れ資産の保有・管理を行うことは、この限りではない。
 また、保険業を行う外国の会社(以下「保険現法」という。)が行う業務については、現地監督当局が容認するものは、保険業法の趣旨を逸脱しない限り原則として容認する。
 
(2)  出資先外国法人として報告がなされたもの(当該出資先外国法人がその業務を行わせるために設立した会社及びこれらと同様の業務を営む会社を含む。)で、新法の施行の際、子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務を現に営む子法人等又は関連法人等については、上記1−4−1(3)マル3に準じて取り扱う。
 
(注 )出資先外国法人とは、保険会社が海外の外国法人に経営支配又は経営参画の形態をもって出資するものをいう。
 経営支配とは、保険会社が外国法人における議決権の過半数を実質的に所有(議決権のある株式又は出資の所有の名義が役員等当該保険会社以外の者となっいても、当該保険会社が自己の計算で所有している場合を含む。)している場合(当該保険会社及び当該外国法人が他の外国法人における議決権の過半数を実質的に所有する場合又は当該外国法人が他の外国法人における議決権の過半数を実質的に所有している場合を含む。)をいう。
 経営参画とは、保険会社が外国法人における議決権の100分の50以下を実質的に所有し、かつ、人事、資金、取引等の関係を通じて外国法人の財務及び営業の方針に対し重要な影響を与えることができる場合をいう。
 なお、「重要な影響を与えることができる場合」とは、当該外国における議決権の過半数を実質的に所有している出資者が他にいる場合は原則として該当しない。

 

1−5  弊害防止措置について
−5−1 保険業法施行規則第53条の4に掲げる書面の内容
 
 保険業法施行規則第53条の4に掲げる書面には、適正な保険募集を確保する観点から、以下の内容についての記載が含まれる必要がある。
 
マル1  当該保険会社とその特定関係者に該当する金融機関とは別法人であること
 
マル2  当該保険会社が引き受ける保険は、当該金融機関が受け入れる預金ではなく、また預金保険制度の対象となるものではないこと
 
マル3  当該金融機関の役職員は、保険会社が提供する保険商品若しくは役務に関する自己の評価、意見等を表明し、又はその保険商品若しくは利点を強調すること等によって、当該保険会社と保険契約者との間の契約の締結を補助するときは、法第275条の規定に違反するおそれがあるので、これを行うことはできないこと
 
マル4  生命保険募集人又は損害保険募集人が、保険会社との間で保険契約を締結することを条件として当該保険会社の特定関係者(法第100条の3に規定する特定関係者及び法第194条に規定する特殊関係者をいう。)が当該保険契約に係る保険契約者又は被保険者に対して信用を供与し又は信用の供与を約していることを知りながら、当該保険契約者に対して当該保険契約の申込みをさせる行為は、法第300条により禁止されていること
 
マル5  当該保険会社は、当該金融機関の顧客に関する非公開情報が当該保険会社が引き受ける保険に係る保険募集に利用されないことを確保するための措置を講じなければならない(当該非公開情報が保険募集に利用されることにつき事前に当該顧客の書面による同意がある場合を除く。)とされていること
 
−5−2 規則第53条の5に規定する「金融機関からの独立を損なわない態様」とは、保険会社が、その営業所又は事務所(以下「店舗」という。)をその特定関係者に該当する金融機関の店舗と同一の建物に設置しないこと又は設置する場合に店舗の態様が次に掲げるいずれにも該当することが必要である。
 
マル1  当該保険会社の店舗と当該金融機関の店舗との間に固定された壁、間仕切りが設けられていること
 
マル2  当該建物内の当該保険会社の店舗の出入口と当該金融機関の店舗の出入口がそれぞれ独立して設置されており、明確に区分されていること
 
マル3  当該保険会社の店舗と当該金融機関の店舗との間で、電話、受付及び会議室等を共用していないこと
 
−5−3 子保険会社関係の弊害防止措置
 
 生損保への相互参入について、以下のような弊害防止措置がとられているか。
 
(1)  子保険会社を有する親保険会社(令第14条第1項第1号(1)及び(2)若しくは同項第2号(1)及び(2)又は保険業法施行規則(以下「規則」という。)第53条第1項第1号及び第3号若しくは同条第2項第1号及び第3号に掲げる者をいう。以下同じ。)の役員(取締役又は監査役をいう。(1)において同じ。)又は職員は、当該子保険会社の役員又は職員を兼ねていないか(当該親保険会社及び子保険会社のいずれか一方に単に在籍している職員が、他方の役員又は職員になることは問題ない。)。
 
(2)  外国保険会社等と特殊の関係にある者(令第29条第1項第2号及び第3号若しくは同条第2項第2号及び第3号又は規則第134条第1項第1号及び第3号若しくは同条第2項第1号及び第3号に掲げる者をいう。)の役員(取締役又は監査役であって常務に従事する者に限る。以下(2)において同じ。)又は職員(単に在籍している職員でないものに限る。)は、当該外国保険会社等の役員又は職員を兼ねていないか。
 

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