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2−4  団体扱契約等関係について
 団体扱契約及び集団扱契約の監督事務に当たっての留意点は、保険会社の経営の健全性の確保及び保険契約者等の保護の観点から、以下のとおりとする。
 
団体扱契約]
 
.団体扱契約の目的・趣旨
 
企業の従業員が個々に契約している多数の個人保険契約の保険料を当該企業が収納し、一括して保険会社に支払うことによる省費用性を考慮し、個人保険契約に団体特約条項を設けて保険料を割り引くこととしている団体扱い契約は、その目的・趣旨に沿って契約が適正に行なわれているか。また、法第4条第2項各号に掲げる書類に規定されているか。
 
団体扱契約の適用団体及び適用料率
 
(1)  団体は、区分(A扱団体、B扱団体)され、その団体の範囲が適正に定められているか。
 
(2)  保険会社は保険契約者の所属する団体の適正な代表者との間で、保険料取り次ぎに関する団体扱契約の締結を行なっているか。
  
(3)  適用料率は、区分された団体に応じて、適正に算出され適用されているか。
 
.集金手数料
 
団体の代表者に支払う集金手数料については、経営の健全性及び契約者間の公平性の確保並びに公正な競争の促進等並びに実費相当額を勘案した適正な水準になっているか。
 
集団扱契約]
 
.集団扱契約の目的・趣旨
 
集団の所属員及び所属員の配偶者等を被保険者として、集団若しくはその代表者又は所属員が契約者とする多数の個人定期保険契約の保険料を当該契約者である集団等が収納し、一括して保険会社に支払うことによる省費用性を考慮し、個人定期保険契約に集団特約条項等を設けて保険料を割り引くこととしている集団扱契約は、その目的・趣旨に沿って契約が適正に行なわれているか。また、法第4条第2項各号に掲げる書類に規定されているか。
 
.集団扱契約の対象集団の範囲及び適用料率
 
(1)  団体は、区分(一般集団、特別集団)され、その団体の範囲が適正に定められているか。
 
(2)  保険会社は適正な契約者との間で、保険料取り次ぎに関する集団扱契約の締結を行なっているか。
 
(3)  適用料率は、区分された集団に応じて、適正に算出され適用されているか。
 
.集金手数料
 
集団代表者に支払う集金手数料については、経営の健全性及び契約者間の公平性の確保並びに公正な競争の促進等並びに実費相当額を勘案した適正な水準になっているか。

 

2−5  他人の生命の保険契約について
 商法第674条第1項(第683条第1項におい準用する第664条の規定により準用される場合及び第677条第2項(第683条第1項において準用する第664条の規定により準用される場合を含む。)の規定により準用される場合を含む。)に規定する他人の生命の保険契約(同項ただし書の契約を除く。以下「他人の生命の保険契約」という。)の契約締結に関して、保険会社の監督にあたっての留意点は、被保険者等の保護及び保険会社の業務の健全かつ適切な運営の確保の観点から、以下のとおりとする。
 
−5−1 目的・趣旨
 
(1)  企業(個人事業主を含む。以下「企業」という。)が保険契約者及び保険金受取人になり、従業員等を被保険者とする個人保険契約(以下「事業保険」という。)は、従業員等あるいはその遺族に対する福利厚生措置の財源確保等にあり、このような保険契約の目的・趣旨に沿った業務運営が行われているか。
 
(2)  全員加入団体定期保険(全員加入団体を対象とする団体定期保険を言う。以下同じ。)の契約は、当該保険の目的・趣旨を遺族及び従業員の生活保障にあることを明確にし、企業の就業規則、労働協約その他これに準ずる規則に基づく遺族補償及び業務外の傷病扶助に関する規定又はこれに準ずる規定(以下「遺族補償規定等」という。)により定められた弔慰金・死亡退職金等の支払い財源を保障する部分を「主契約」、従業員死亡に伴い企業が負担する代替雇用者採用・育成費用等の諸費用(企業の経済的損失)を保障する部分を「特約」として区分するなど、当該保険契約の目的・趣旨に沿った業務運営が行われているか。
 
−5−2 団体の範囲等
 
(1)  団体及び被保険団体の範囲が、明確に定められているか。
 
(2)  被保険団体の区分(全員加入団体、任意加入団体)及び団体の区分(第 I 種から第 IV 種)に応じた一契約の最低被保険者数及び最高保険金額倍数が明確に定められているか。
 
(3)  任意加入団体を対象とする団体定期保険は、団体の加入率(被保険者数/有資格者数)が適正に定められているか。
 
(4)  被保険団体に配偶者、子および退職者等を含める場合には、加入方法等が団体定期保険の趣旨に則ったかたちで適正に定められているか。
 
−5−3 被保険者同意の確認方法

 他人の生命の保険契約に係る被保険者の同意の確認について、事業方法書に定められる以下のような方法により適正に行われているか。

(1)  個人保険、事業保険の場合は、保険契約申込書等の被保険者同意欄に被保険者本人が署名又は記名・捺印することによる確認。
 
(2)  全員加入団体定期保険は保険契約者となるべき者から以下のいずれかを提出させることによる確認。
 
マル1  (イ) 保険契約の目的となる遺族補償規定等の書類、(ロ) 被保険者となることに同意した者全員の署名又は記名・捺印のある名簿。
 
マル2  上記マル1によらない場合は、(イ) 保険契約の目的となる遺族補償規定等の書類、(ロ) 保険契約者となるべき者が、被保険者となるべき者全員に保険契約の内容を通知した旨の確認書(保険契約者となるべき者及び被保険者となるべき者の代表者の署名又は記名・捺印のあるものに限る。)、及び(ハ) 被保険者となることに同意しなかった者の名簿。
 
(3)  全員加入団体定期保険のうち「ヒューマン・ヴァリュー特約」を付帯した保険契約については、被保険者から個別に同意する旨の書面に署名又は記名・捺印することによる確認、又は上記(2)−マル1による確認。
 
−5−4 保険金額の定め方

 全員加入団体定期保険の保険金額の設定については、主契約部分は遺族補償規定等に基づく支給金額を上限とし、特約部分は主契約の保険金額を上限(ただし、2,000万円上限)とするなど、この保険の目的・趣旨(上記2−5−1)に沿った利用が行われるよう措置が講じられているか。
 

−5−5 遺族補償規定等にリンクした保険金支払いの確保
 
(1)  事業保険であって遺族補償規定等に基づき被保険者である従業員に対し、保険金の全部又はその相当部分が、弔慰金又は死亡退職金の支払いに充当することが確認されている場合においては、業務の健全かつ適切な運営を確保する観点から、保険金請求時に保険契約者から、マル1被保険者又は労働基準法施行規則第42条等に定める遺族補償を受けるべき者(以下「受給者」という。)が保険金の請求内容を了知していることが分かる書類の取り付け、あるいは、マル2被保険者又は受給者が金銭を受領したことが分かる書類、被保険者又は受給者への支払記録等の取り付け、など、被保険者又は受給者に対する情報提供、保険契約の目的に沿って保険金が弔慰金等の福利厚生に活用されることの確認の措置が講じられているか。
 
(2)  全員加入団体定期保険における保険金の支払いにあっては、主契約部分については、全額従業員の遺族に支払うこととし、企業が一旦受取りその上で遺族に支払う場合は、遺族に了知のうえ支払うことしとしているか。
 
(3)  全員加入団体定期保険において、「ヒューマン・ヴァリュー特約」分の保険金支払いは、弔慰金・死亡退職金等の受給者の了知を得ることとしているか。
 

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