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4 抵当証券業関係

4−1  登録の申請、届出関係
 抵当証券業の規制等に関する法律(以下「法」という。)第2章の規定に基づく、抵 当証券業の登録の申請並びに変更及び廃業等の届出の事務処理については、以下のとお り取り扱うものとする。
 
−1−1 登録申請書の受理
 
 登録申請書の受理に当たっては、当該申請書の記載事項及び添付書類に不備がないか を確認のうえ、購入者保護の観点から、次の点に留意するものとする。
 なお、更新の登録についてもこれに準じて取り扱うものとする。
 
(1)  登録を要する者
 抵当証券の販売に係る一連の業務過程において、購入者保護の観点から特に重要な 業務は、マル1抵当証券の販売代金の受領、マル2抵当証券の購入申込書の受理及びモーゲー ジ証書等の交付と考えられることから、マル1又はマル2の業務のいずれか一つを業として行 う者は、販売の媒介を行う者に当たり登録を要する者に該当するものとする。
 なお、単に抵当証券の購入申込書を受理しこれを抵当証券業者に送付する業務のみ を行う者については、規制の対象としなくとも購入者保護の観点からは特に問題はな いと考えられるので、登録を要する者に該当しないものとする。
 
(2)  営業所等
 融資業務のみを営む営業所又事務所及び抵当証券業を営まない営業所又事務所は、 法第4条第1項第2号、第12条及び第17条並びに抵当証券業の規制等に関する法 律施行規則(以下「規則」という。)別紙様式第1号及び第10号に規定する「営業 所又は事務所」(以下「営業所等」という。)に該当しないものとする。
 
(3)  使用人
 規則第2条に規定する「抵当証券業」とは、法第2条第1項に規定する抵当証券業 をいい、抵当証券発行特約付融資のみを担当する使用人は、登録に当たり審査の対象 となる使用人に該当しないものとする。
 
(4)  商号又は名称
 
マル1  登録申請書を受理した場合には、他の抵当証券業者の商号又は名称と同一でないか等を、監督部金融会社室に確認するものとする。
 
マル2  登録申請者が、抵当証券の購入者に公的機関、預金等取扱金融機関、保険会社若しくは著名団体のごとき誤解又はこれらと特別の関係があるかのごとき誤解を与え、 取引の公正を害するおそれのある商号又は名称を用いようとしている場合には、そ の是正を求めるものとする。
 
(5)  十分な知識を有する者
 
マル1  次に掲げる者は、規則第5条の2第1項第2号に規定する「抵当証券業に関し十分な知識を有する役員又は重要な使用人」に該当するものとする。
 
 抵当証券業に過去3年以内に1年以上適正に従事した者
 
 法第38条第1項に規定する抵当証券業協会が実施する抵当証券業に関する研修を修了した者
 
 国債、地方債、社債その他の債券の販売業務に過去3年以内に1年以上適正に従事した者又は全国銀行協会連合会等金融機関(保険会社も含む。)により組織された協会の行う証券業務に係る資格試験の合格者若しくは同協会の証券業務に係る研修の修了者
 
マル2  上記マル1のイ又はハについて、過去3年以内に1年以上適正に従事したか否かの審査は、規則第4条第1項第3号の履歴書を参考としつつ、ヒアリングにより行うものとする。
 
(6)  融資業務経験者
 
マル1  規則第4条第1項第6号に規定する「融資業務経験者」及び規則第5条の2第1項第2号に規定する「融資業務に三年以上従事した者」とは、融資先等の業況、財務内容、収益見込等の審査業務の経験を有する者をいい、銀行等における貸付業務を担当する者がこれに該当するほか、証券会社における元引受業務のうち審査業務 を担当する者も該当するものとする。
 
マル2  規則第5条の2第1項第2号に規定する「融資業務に三年以上従事した者が二名以上在籍」しているかどうかの審査に当たっては、融資部又は貸付課といった組織の単位にのみにとどまることなく、法人としての融資に係る最終的な意思決定に至る一連の過程の中で融資業務経験者が2名以上在籍するか否かを判断するものとする。
 
−1−2 登録の申請の処理
 
 登録の申請の処理は、以下のとおり取り扱うものとする。
 
(1)  登録番号
 登録番号は、別紙様式1の抵当証券業者登録台帳(以下「登録台帳」という。)により管理するものとし、次のとおり取り扱うものとする。
 
マル1  登録番号は、財務局長(福岡財務支局長を含む。以下同じ。)ごとに、決裁を終了した順に1号から一連番号とする。
 
マル2  登録番号の( )書きには、登録及び更新の登録の回数を記入する。
 
マル3  登録がその効力を失った場合の登録番号は欠番とし、補充は行わないものとする。
 
(2)  登録の通知
 財務局長は、登録(更新の登録を含む。)をしたときは、別紙様式2による登録済通知書に登録台帳の写しを添付して、遅滞なく、監督部長あて通知するものとする。
 
(3)  登録拒否の通知
 
マル1  財務局長は、登録(更新の登録を含む。)を拒否するときは、規則第5条の3の規定による登録拒否通知書又は規則第6条第3項の規定による更新登録拒否通知書に、登録拒否の理由を次により具体的に記載し、遅滞なく、申請者あて通知するものとする。
 
 法第6条第1項各号に該当する場合には、その該当する号の番号
 
 登録申請書又は添付書類の重要な事項について虚偽の記載又は重要な事実の記載が欠けている場合には、その箇所
 
マル2  財務局長は、登録(更新の登録を含む。)を拒否したときは、別紙様式3による登録拒否通知書に登録申請書(第9面を除く。)の写しを添付して、遅滞なく、監督部長あて通知するものとする。
 
−1−3 変更届出書の受理
 
 変更届出書の受理に当たっては、当該届出書の記載事項及び添付書類に不備がないかを確認のうえ、購入者保護の観点から、4−1−1に準じて取り扱うものとする。
 なお、役員について変更があった場合には、役員の兼職状況に留意するものとし、また、役員の兼職状況のみの変更の場合についても届出事項に該当することに留意するものとする。
 
−1−4 変更の届出の処理
 
(1)  変更によって新たに役員又は重要な使用人になった者が法第6条第1項第6号イからホのいずれかに該当することが明らかとなった場合には、届出者に対し、法第24条に規定する登録の取消し等の措置を行うこととする。
 
(2)  法第4条第1項各号に規定する事項のうち「商号又は名称」及び「主たる営業所等の所在地(電話番号を含む。)」の変更事項を登録したとき又は規則第7条の2第2項の規定による登録をしたときは、別紙様式4による抵当証券業者変更事項登録済通知書に変更届出書及び登録台帳の写しを添付して、遅滞なく、監督部長に対して通知するものとする。
 
(3)  規則第7条の2第1項に規定する「その他の書類」とは、別紙様式5により作成した財務局の意見書、従前の登録申請書又は更新登録申請書及びその添付書類並びに当該届出書の提出の直前に行った検査の報告書の写しとするものとする。
 
(4)  規則第7条の2第2項の規定により登録を行う財務局長は、登録番号(財務局長名を含む。)の変更は行わず、次回の更新の登録時に変更するものとする。
 ただし、登録回数は、当該更新の登録時には連続させるものとする。
 
−1−5 廃業届出書の受理
 
 廃業届出書の受理に当たっては、当該届出書の記載事項及び添付書類に不備がないかを確認するとともに、規則第8条に規定する「抵当証券の販売に係る契約に基づく取引を結了する方法」が購入者の利益を損なうものでないかどうかに留意するものとする。
 
−1−6 登録の申請、届出書類の保存
 
 登録申請書、更新登録申請書、変更届出書、廃業届出書及びそれらの添付書類は、当該申請等に係る登録の有効期間が終了した時点から10年間保存するものとする。
 
−1−7 登録証明書の発行
 
 登録を受けた抵当証券業者又は抵当証券業者であった者から公的機関(抵当証券保管機構を含む。)に提出する必要がある等の理由により、その者の登録証明の申請があったときは、別紙様式6により抵当証券業者登録証明を行うものとする。
 
−1−8 抵当証券業者登録簿の縦覧
 
 規則第5条の規定に基づく抵当証券業者登録簿の縦覧については、次により取り扱うものとする。
 
(1)  申請者に別紙様式7による登録簿縦覧申請書の所定事項の記入を求めるものとする。
 なお、他の財務局長が登録を行った業者に係る縦覧申請の場合には、その都度管轄財務局に登録事項を照会のうえ、縦覧に応じるものとする。
 
(2)  登録簿の縦覧日及び縦覧時間は、次のとおりとするものとする。
 
マル1  縦覧日は、土曜日及び日曜日、国民の祝日に関する法律第3条に規定する休日、1月2日及び同月3日並びに12月29日から同月31日までの日以外の日とする。
 
マル2  縦覧時間は、財務局長が指定する時間内とする。
 
マル3  登録簿の整理その他必要がある場合は、上記の縦覧日又は縦覧時間を変更することができるものとする。
 
(3)  登録簿は、財務局長が指定する縦覧場所の外に持ち出すことができないものとする。
 
(4)  次に該当する者の縦覧を停止又は拒否することができるものとする。
 
マル1  上記(1)から(3)又は係員の指示に従わない者
 
マル2  登録簿等を汚損若しくはき損し、又はそのおそれがあると認められる者
 
マル3  他人に迷惑を及ぼし、又はそのおそれがあると認められる者
 

4−2  業務関係
 法第3章の規定に基づく、抵当証券業の業務については、以下のとおり取り扱うものとする。
 
−2−1 広告の規制
 
 法第14条の規定に係る監督に当たっては、購入者保護の観点から、次に掲げる行為をしていないかに留意するものとする。
 
(1)  抵当証券業者が、法務大臣、金融監督庁長官等国又は地方公共団体、抵当証券保管機構、抵当証券業協会等の公益法人、銀行、証券会社、保険会社その他の団体及び個人からの推薦の広告を行う場合に、著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示をすること。
 
(2)  抵当証券業者が、抵当証券業者登録簿に登録した商号又は名称を用いない表示をした広告をすること。
 
(3)  抵当証券業者が、不当景品類及び不当表示防止法、屋外広告物法に基づく都道府県の条例その他の法令に違反する広告又は違反するおそれのある広告をすること。
 
(4)  抵当証券業者が、社会的に過剰宣伝であると批判を浴びるような過度の広告をすること。
 
(5)  抵当証券の販売の代理又は媒介を業とする者(以下「代理媒介業者」という。)が、当該代理媒介業者を通じて販売を行おうとする抵当証券業者の資力又は信用に関する事項若しくは当該抵当証券業者に対する推薦に関する事項について、著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示をすること。
 
−2−2 契約締結前の書面の交付
 
 法第15条の規定に係る監督に当たっては、購入者保護の観点から、次の点について留意するものとする。
 
(1)  抵当証券業者が、契約締結前の書面に記載する事項のうち、規則第12条第2項第5号に規定する「抵当証券の仕組みに係る損失発生要因に関する事項」には、抵当証券は、抵当証券業者等が融資した貸付債権及びその担保不動産に係る抵当権を一体としたもので、抵当証券の価値は最終的には債務者の返済能力や担保不動産の価格の影響を受けるというリスクを有する金融商品である旨を含むものとする。
 
(2)  代理媒介業者が、法第15条の規定に基づき交付する書面には、当該代理媒介業者を通じて販売を行おうとする者が交付する書面に記載しなければならない事項と同一の内容の事項については、記載を要しないこととして取り扱うこととし、具体的には、代理媒介業者は、当該代理媒介業者を通じて販売を行おうとする者のパンフレット類に当該代理媒介業者自身の商号又は名称、住所、登録番号、資本金等を記載した例えばリーフレットを添えて交付することで足りるものとする。
 
−2−3 契約締結時の書面の交付
 
 4−2−2(2)の規定は、法第16条の規定についてもこれに準じて取り扱うものとする。
 
−2−4 書類の閲覧
 
 抵当証券業者が法第17条及び規則第14条第2項の規定による営業所等に備え置き購入者の求めに応じ閲覧させるべき「販売を行った抵当証券の写し」は、当該抵当証券が1件の抵当権設定契約に基づき3枚以上で発行されたものであって、証券番号、債権額及び弁済期以外の記載事項が同一である場合は、一連の抵当証券に記載された証券の番号が最も小さい抵当証券及び最も大きい抵当証券の写しで足りるものとする。
 
−2−5 抵当証券の保管の禁止等
 
 法第18条の規定に係る監督に当たっては、購入者保護の観点から、次に掲げる行為をていないかに留意するものとする。
 なお、法第18条第1項の「販売を行った」時期とは、抵当証券の購入の申込の受理、購入代金相当額の受領、販売に係る抵当証券の特定、法第16条に規定する書面の交付等一連の抵当証券取引のうち、抵当証券の販売に係る購入者が受取る初回の利息の計算の始期をいうものとする。
 
(1)  抵当証券業者が、抵当証券を引渡しの方法により販売する場合にあっては、販売に係る契約を締結したときに、直ちに当該抵当証券を購入者に引き渡していないこと。
 
(2)  抵当証券業者が、上記(1)以外の方法により抵当証券を販売する場合にあっては、抵当証券保管機構(以下「保管機構」という。)の定める業務規程に従い、当該販売を行った抵当証券を保管機構に保管していないこと。
 
(3)  抵当証券業者が、販売を行った抵当証券について保管機構から保管証を受領したときに、遅滞なく、抵当証券の購入者に確実な方法で、当該保管証を引き渡していないこと。
 
(4)  抵当証券業者が、規則第15条の規定により、抵当証券を自ら保管する場合に、安全な方法で保管し、当該保管の期間が必要最小限のものとなっていないこと。
 

4−3  監督関係
 法第4章(立入検査関係を除く。)の規定に基づく、抵当証券業者の監督については、以下のとおり取り扱うものとする。
 
−3−1 事業報告書
 
 事業報告書を受理した場合には、事業報告書の写しを毎月末ごとに監督部長に対して送付するものとする。
 
−3−2 監督処分の通知
 
(1)  法第23条並びに第24条第1項及び第2項の規定による監督処分を行ったときは、遅滞なく、監督部長に通知するものとする。
 
(2)  法第26条の規定による公告を行った場合は、当該公告に係る官報の写しを、遅滞なく、監督部長に対して送付するものとする。
 
−3−3 登録の抹消の通知
 
 登録を抹消したときは、別紙様式8による登録抹消通知書に登録台帳の写しを添付して、遅滞なく、監督部長に対して通知するものとする。
 なお、廃業による抹消にあっては、廃業届出書の写しを添付するものとする。
 
−3−4 営業所等の所在の確知
 
 法第24条第2項の規定により営業所等の所在を確知するため必要な場合には、法第 22条第1項の規定に基づき、別紙様式9による営業所等の所在報告書、営業所等に関する権利を証する書面又は営業所等の地図等の報告を求めるものとする。
 なお、当該報告は、当該営業所等の所在地を管轄する財務局に提出させることができるものとする。
 

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