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6−6  相殺
(1)  自己資本命令第7条に規定する相殺は、対象となっている有価証券等について、そのポジションの時価額の把握が的確に行われていること等、ポジションの相殺に相応しいリスク管理が行われている必要があることに留意する。
 
(2)  自己資本命令第7条第1項各号に規定する市場リスク相当額の差額とは、取引に係るそれぞれのポジション(ロング又はショート)に応じた市場リスク相当額を算出し、大きい方の市場リスク相当額から小さい方の市場リスク相当額を控除した額をいう。
 

6−7  分解法
(1)  金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律(平成10年法律第107 号)第1条の規定による改正前の証券取引法第28条第2項第1号の免許を取得していなかった証券会社等、ディーリング業務の経験及びそれに伴うリスク管理の経験が浅いと認められる証券会社等が分解法により市場リスク相当額を算出している場合には、適宜、ヒアリング等により算出方法及び管理方法を確認するものとする。
 
(2)  自己資本命令第8条第1項の規定により算出方法を説明した書類には、各リスク・カテゴリーごとの有価証券等の種類別の市場リスク相当額の算出方法、市場リスク相当額を算出する部署及び市場リスク相当額を検証する部署を記載させるものとする。
 
(3)  自己資本命令第8条第4項第2号に規定する流動性の高いポートフォリオとは、指定国等以外の国等の株券等とは完全に別個に組成され、かつ、管理されたものであって、銘柄数が25以上で、かつ、時価額でみて特定の業種への偏りが少ないもの、又は、銘柄数が25以上で、かつ、当該銘柄の中に価格が負の相関関係を示すものが多数含まれているものをいう。
 
(4)  自己資本命令第8条第4項第2号に規定する代表的な株価指数等先物取引に連動し当該先物取引に係る株価指数の構成銘柄のみで構成されているものについては、自己資本命令第8条第4項第2号に規定する「ポートフォリオの流動性が高いもので、かつ、すべての銘柄が指定国等で発行される株券等で構成され、1銘柄当たりのポートフォリオに占める割合が5パーセント以下のもの」に準じた個別リスク相当額の把握を認めるものとする。
 
(5)  次に掲げる株価指数に係る株価指数等先物取引は、自己資本命令第8条第4項第2号に規定する代表的な株価指数等先物取引に該当すると解することができるものとし、同令第第8条第4項第2号に規定する指定国等におけるその他の株価指数等先物取引についても、取引の状況に鑑み代表的と認められるものについては、当該規定に該当すると判断することができるものとする。
 
マル1  日本国 日経平均株価指数、東京証券取引所株価指数及び日経300株価指数
 
マル2  アメリカ合衆国 S&P500株価指数及び日経平均株価指数
 
マル3  イタリア共和国 MIB30株価指数
 
マル4  オーストラリア オール・オーディナリー株価指数
 
マル5  オランダ王国 EOE株価指数
 
マル6  カナダ TSE35株価指数
 
マル7  グレートブリテン及び北アイルランド連合王国 FTSE−100株価指数及びFTSE−Mid250株価指数
 
マル8  シンガポール共和国 日経平均株価指数及び日経300株価指数
 
マル9  スイス連邦 SMI株価指数
 
マル10  スウェーデン王国 OMX株価指数
 
マル11  スペイン IBEX株価指数
 
マル12  ドイツ連邦共和国 DAX株価指数
 
マル13  フランス共和国 CAC40株価指数
 
マル14  ベルギー王国 BEL20株価指数
 
マル15  香港 ハンセン株価指数
 
(6)  自己資本命令第8条第11項第4号に規定する具体的な事例については、複数の事例を確認するものとする。
 
(7)  自己資本命令第8条第16項第2号に規定する調整係数とは、ガンマを基に計算されたリスクを金額ベースに直すために使用する係数をいう。
 
(8)  自己資本命令第8条第16項第3号に規定する「原資産の時価額のボラティリティが算出基準日の水準に対し上下に 100分の25変動した場合」とは、原資産ごとに異なるボラティリティを適用している証券会社にあっては、リスク・カテゴリーごとに当該ボラティリティが一律に1.25倍に上昇した場合又は一律に0.75倍に下降した場合をいい、想定変動額の合計額とは、リスク・カテゴリーごとにボラティリティが上昇又は下降した場合のうち損失額が大きくなる場合の当該損失額をいう。
 
(9)  自己資本命令第8条第17項の規定の株券等に係るオプション取引に対する適用につては、当該株券等が上場されている証券取引所が同一であること、当該株券等が上場されている証券取引所が同一国内にあること又は原資産が大阪証券取引所、シカゴ・マーカンタイル取引所及びシンガポール国際金融取引所に上場されている日経平均株価指数先物取引又は日経 300株価指数先物取引である場合を、原資産が同一であるとみなすことができることに留意する。

6−8  内部管理モデル方式
(1)  自己資本命令第9条第7項第8号に規定する内部監査及び外部監査については、申請時までに行われていない場合であっても、その社内体制が整っていると認められる場合には、承認できるものとする。ただし、初回の内部監査報告書の写し及び初回の外部監査報告書の写しの提出を求めるものとする。
 
(2)  内部管理モデル方式を利用している証券会社に対しては、毎年、前年度におけるリスクの計測の過程及びリスク計測モデルに係る外部監査の結果を確認するものとする。
 
(3)  自己資本命令第9条第10項の規定により、直近90営業日以上のデータを用いて申請した証券会社に対して内部管理モデル方式の使用を承認する場合には、次に掲げる条件を付するものとする。
 
マル1  内部管理モデル方式使用後、250営業日の営業日ごとの損益の額及び当該期間中の超過回数を、報告しなければならない。
 
マル2  上記超過回数の状況に鑑み必要があると認められるときは、内部管理モデル方式の使用承認を取り消し、同方式の使用を停止し又は同方式の内容を変更するべき旨の指示をすることがある。

 


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