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6−9  取引先リスク相当額
(1)  自己資本命令第10条第2項の規定により与信相当額を算出する方式をオリジナル・エクスポージャー方式、同条第3項及び第5項の規定により与信相当額を算出する方式をカレント・エクスポージャー方式という。
 
(2)  証券会社が、自己資本命令第10条第4項の規定により預託された資産の時価額を与信相当額から控除している場合には、当該資産が担保として相応しいものであるかどうか、及び当該資産の時価額が適切に把握されているかどうかを、適宜、確認するものとする。特に、取引の相手方が関係会社である場合には、入念に確認を行うものとする。
 
(3)  自己資本命令第10条第6項に規定する法的に有効な相対ネッティング契約とは、関係各国の法律の下において法的有効性を有している相対ネッティング契約のことをいい、法的有効性については、取引の相手方が破綻した場合又は取引の相手方との間で紛争が生じた場合、関連する法律に照らして、証券会社の与信が当該ネッティング契約の下で相殺された金額に留まると所管の裁判所又は監督機関が合理的に判断するであろうことを示す、法的見解(リーガル・オピニオン)を書面により確認しているかどうかを確認するものとする。
 なお、関連する法律については、少なくとも、次に掲げるものを調査しているかどうかを確認するものとする。
 
マル1  取引の相手方に設立の免許又は許可を与えた国の法律及び取引の相手方の国外の営業所の所在する国の法律
 
マル2  ネッティングの対象となる個々の取引に係る法律
 
マル3  ネッティングを行うために必要な契約に係る法律
 
(4)  同一の取引先に同一内容の取引を行う等、当該取引の法的有効性が明らかであると証券会社の内部管理部門が認めた取引を再び行う場合には、個々の相対ネッティング契約ごとのリーガル・オピニオンの存在を確認する必要はないことに留意する。
 
(5)  自己資本命令第10条第7項の規定により、取引の相手方が支払うべき金額を取引先リスク相当額とした場合は、当該取引により計上した立替金に係る取引先リスク相当額の算出は要しない。
 
(6)  自己資本命令第10条第9項の規定に基づき、取引先リスク相当額に加える額の自己資本命令別紙様式第1号への記載については、「4.リスク相当額」の「(2) 取引先リスク相当額」の「合計(E)」欄の上欄に必要な欄を設け、適宜、記載するものとする。
 
(7)  自己資本命令別表第13に掲げる保証予約とは、形式及び名義の如何にかかわらず、将来において債務保証契約の成立を約する契約をいい、名義上、経営指導念書(関係会社等が金融機関等から借入れを行う際に同社への監督責任を認め、関係会社等への経営指導等を行うことを約して債権者に差し入れる文書をいう。)であっても、その記載内容に基づく法的効力が債務保証又は保証予約と同様と認められるものであって、財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号)第58条の規定により貸借対照表に注記しなければならないものに該当するものを含むことに留意するものとする。
 
(8)  簡易保険事業団及び年金福祉事業団は、別表第14に掲げる指定国の政府機関に準ずる者に該当する。
 
(9)  自己資本命令別表第14における指定格付を付与された者の認定にあたっては、複数の指定格付機関の格付を確認する必要はない。
 
(10)  証券会社が自己資本規制比率に関する届出書の作成にあたって、指定格付を付与された者として認定した相手方に関して格付を確認した格付機関を、適宜、確認するものとする。
 
(11)  (9)の規定にかかわらず、デリバティブ取引の相手方に関しては、複数の指定格付機関の格付を参考に、証券会社が与信管理を行うよう、指導するものとする。
 
(12)  自己資本命令別表第14備考1の短期債格付において指定格付と同等の格付が付与されている場合には、指定格付を付与されたものとみなすという規定の趣旨は、短期債格付という性格に鑑み、契約期間が1年以下の取引及び資産について適用できるということであり、当該短期債格付については、以下の格付によっているかどうかに留意するものとする。
 株式会社日本格付投資情報センター a−1+ a−1 a−2 a−3
 株式会社日本格付研究所 J−1+ J−1 J−2 J−3
 ムーディーズ・インベスターズ・サービス・インク P−1 P−2 P−3
 スタンダード・アンド・プアーズ・レーティングズ・サービシズ A−1+ A−1A−2 A−3
 フィッチ・IBCA・インク F1+ F1 F2 F3
 ダフ・アンド・フェルプス・クレジット・レイティング・カンパニー D1+ D1D1− D2 D3

 トムソン・バンクウォッチ・インク TBW−1 TBW−2 TBW−3
 
(13)  公表又は未公表を問わず、金融監督庁若しくは財務局による検査又は外部監査の結果、債務超過と認められた法人は、自己資本命令別表第14備考3の「客観的に債務超過状態にあると認められた法人」に該当することに留意する。
 
(14)  自己資本命令別表第14備考7に規定する連結財務諸表提出会社が付与されている格付により取引先リスク相当額を算出することができる連結会社とは、連結決算の対象会社であって、当該連結決算について適切な外部監査を受けているものをいうことに留意し、当該事実を監査報告書により、適宜、確認するものとする。また、関係会社に対する与信相当額及び取引先リスク相当額の計算については、その内容が適正であることを、契約書及び監査報告書等を参考に、適宜、モニタリングするものとする。

 

6−10  基礎的リスク相当額
(1)  自己資本命令第11条に規定する基礎的リスク相当額の計算において、計算を行う日の属する月の前々月以前の期間が1年に満たない場合には、合理的な計算方法で1年間の同条に規定する営業費用の額に相当する額を計算したうえで、基礎的リスク相当額を算出するものとする。
 
(2)  各営業年度の決算における会計処理については、1年の各月の販売費・一般管理費及び金融費用に対応させて再計算しないことに留意する。
 
(3)  自己資本命令第11条第3項の規定は、月次等の決算を行う場合に、当該決算による会計処理を営業費用に反映させることを妨げるものではない。

 

6−11  月次報告等
(1)  6−4−(1)の規定にかかわらず、自己資本命令第13条第1項に規定する自己資本規制比率に関する届出書には、自己資本命令の規定する算出方法による市場リスク相当額及び取引先リスク相当額が記載されなければならないことに留意する。
 
(2)  自己資本命令第5条第7項の規定により業務の種類ごとに分解法又は内部管理モデル方式を選択した場合であって、複数のリスク・カテゴリーに属する有価証券等の市場リスク相当額を算出する場合には、自己資本命令第13条第1項に規定する自己資本規制比率に関する届出書の第4面の作成にあたって、各々のリスク・カテゴリーに対応する数値の記載を求めるものとする。
 
(3)  自己資本命令第13条第4項の規定に基づき提出する業務又は財産の状況を説明した書類には、流動資産の状況、債務弁済の状況(短期負債の内容を含む。)、当面の資金繰り見通し及び各リスクの内容について、記載を求めるものとする。
 
(4)  自己資本命令第13条第4項の規定に基づき自己資本規制比率に関する届出書を提出した証券会社に対しては、当該届出書提出日以後、必要に応じて、当該者の自己資本規制比率並びに業務及び財産の状況をヒアリング等により確認するものとする。
 
(5)  自己資本命令第13条第6項に規定する「法第52条第2項の規定に違反することとなった場合」の認定は、営業日ごとに行うものであり、証券会社に対しては、自己資本規制比率が 120%未満である間は、営業日ごとに同項に規定する自己資本規制比率に関する届出書の提出を求めるものとする。
 
(6)  自己資本命令第14条各号に掲げる事項については、決算修正後の数値を用いることは妨げないものとするが、法第52条第3項に規定する書面には、決算修正後のものである旨を明記することを求めるものとする。

 


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