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3−8  法第31条第1項の規定に基づく兼業の承認
−8−1 承認申請書等の添付書類等

 財務局長等は、次の点について確認する。

(1)  「理由書」に、兼業の承認を受けようとする業務を営むことが必要かつ適当である理由について記載されていること。
 
(2)  「承認を受けようとする業務の内容を記載した書類」に、兼業の承認を受けようとする業務の内容及び執行方法が具体的に記載されており、当該業務の開始時期その他参考となる事項につき記載があること。
 
(3)  「当該業務の運営に関する準則を記載した書類」に、「事業方法書」に記載された業務の執行方法を処理するための当該投資一任会社における組織管理体制、組織図、社内管理体制、事務処理手続その他の準則が記載されていること。
 
(4)  「当該業務の開始後3年間における当該業務の収支の見込みを記載した書面」に、収支見込みとその算出根拠について明確に記載されていること。
 
(5)  「定款」として、兼業の届出書を提出する日現在のものを添付することとし、兼業しようとする業務がその事業目的に記載されていない場合は、当該業務のその事業目的への追加に係る株主総会の議事録の写しを併せて添付すること。
 
−8−2 法第31条第1項の規定に基づく兼業の承認範囲

 法第31条第1項の規定に基づく兼業の承認の対象となる業務は、次に掲げるもののうち、3−8−3に規定する「業務の内容及び執行方法」につき、3−8−4の基準により審査する。

(1)  情報提供・コンサルタント業務
 
(2)  その他投資顧問業及び投資一任契約に係る業務に関連する業務で、当該認可投資顧問業者が投資顧問業及び投資一任契約に係る業務を営むにつき投資者保護のため支障を生ずることがないと認められるもの。
 
−8−3 兼業する業務の内容

 法第31条第1項の規定により認可投資顧問業者の兼業として承認する業務は、次に定めるものとする。

(1)  情報提供・コンサルタント業務
 
マル1  業務の範囲
 情報提供・コンサルタント業務とは、投資顧問業及び投資一任契約に係る業務の遂行と独立して営まれる業務で、有価証券に関する情報の提供又は助言(法第2条第2項に規定する投資顧問業に該当するものを除く。)を行う業務をいう。
 
マル2  対顧客業務
 契約締結に当たっては当該情報提供・コンサルタント業務によって提供される役務の内容を明示し、顧客に確認を行うこと。
 
マル3  留意事項
 「承認を受けようとする業務の内容を記載した書類」には、業務の種類を明示することし、「情報提供・コンサルタント業務」として包括的に兼業申請は行わないこと。
 
(2)  その他投資顧問業及び投資一任契約に係る業務に関連する業務で、当該認可投資顧問業者が投資顧問業及び投資一任契約に係る業務を営むにつき投資者保護のため支障を生ずることがないと認められる業務
 
マル1  兼業する業務の内容
 兼業する業務の内容が投資顧問業及び投資一任契約に係る業務を営むにつき、投資顧問業及び投資一任契約に係る業務の適正な運営の確保を妨げるおそれがなく、投資者保護のため支障を生ずることがないと認められるものとなっており、「承認を受けようとする業務の内容を記載した書類」において具体的に明示されていること。
 
マル2  対顧客業務
 「当該業務の運営に関する準則を記載した書類」において顧客業務に必要な手続及び体制が具体的に整備されていること。
 
マル3  留意事項
 承認申請に当たっては業務の種類を明示して「承認を受けようとする業務の内容を記載した書類」を作成し、申請を行うこととし、特定の業種名を記載した包括的な兼業承認は行わないこと。
 
−8−4 審査基準

 兼業の承認に当たっては、次に掲げる事項を勘案のうえ、その適否を判断するものとする。

 マル1  投資顧問業及び投資一任契約に係る業務の適正な確保を妨げるおそれがなく、投資者保護上問題がないこと。
 
 マル2  業務を適正に遂行するための組織管理体制及び事務処理手続が整備されていること。
 
 マル3  投資顧問業及び投資一任契約に係る業務と兼業業務との間において利益相反防止に関する社内管理体制が整備されていること。
 
 マル4  法令遵守状況が良好であること。
 
 マル5  3−7−3に業務の内容が示されている業務について、当該業務に則した「当該業務の運営に関する準則を記載した書類」となっていること。
 
−8−5 金融監督庁長官への報告

 財務局長等は、規則第30条第1項に規定する兼業の承認をした場合は、別紙様式21による規則第30条第1項承認報告書を毎月とりまとめ、金融監督庁長官に報告する。

 

3−9  法第31条第2項の規定に基づく証券業の兼業の認可申請
−9−1 認可申請書の添付書類等
 
(1)  「証券業を営もうとする理由を記載した書面」に、兼業の承認を受けようとする業務を営むことが必要かつ適当である理由について記載されていること。
 
(2)  「証券業の運営に関する準則を記載した書類」に、「事業方法書」に記載された業務の執行方法を処理するための当該投資一任会社における組織管理体制及び組織図、社内管理体制、事務処理手続その他の準則が記載されていること。
 
(3)  「証券業の開始後3年間における当該業務の収支の見込みを記載した書面」に、収支見込みとその算出根拠について明確に記載されていること。
 
(4)  「定款」として、兼業の届出書を提出する日現在のものを添付することとし、兼業しようとする業務がその事業目的に記載されていない場合は、当該業務のその事業目的への追加に係る株主総会の議事録の写しを併せて添付すること。
 
(5)  当該兼業に係る業務を営むこととなった日から2週間以内に、法第8条第1項の「第5条第1項各号に掲げる事項」に変更があった旨の届出書及び投資顧問業者登録簿を変更するための登録申請書の変更部分の写しを併せて提出する必要があることに留意する。
 
−9−2 証券業の兼業の認可に当たっては、以下の点に留意する。

 規則第30条の2第2項第2号の審査に当たっては、法第23条の3第1号の「有価証券の発行者又は証券業に係る顧客に関する非公開情報」について、証券業を行う部門と投資顧問業及び投資一任契約に係る業務を行う部門とが明確に分かれていることにより、情報が遮断される社内体制となっているかどうか等を審査する。
 

−9−3 投資顧問業及び証券業を営む者が投資一任契約に係る業務を営もうとする場合、以下の点に留意する。
 
(1)  法第26条に基づく認可申請が併せて行われていること。
 
(2)  証券取引法に基づく認可又は登録を証する証書の写しが添付されていること。
 
(3)  証券取引法第34条第3項の兼業の届出が遅滞なく提出できる状態にあること。
 
−9−4 認可投資顧問業者が証券業を営もうとする場合、以下の点に留意する。
 
(1)  証券取引法に基づく認可又は登録の申請が併せて行われていること。
 
(2)  証券取引法第34条第3項の兼業の届出が遅滞なく提出できる状態にあること。
 
(3)  証券取引法に基づく認可又は登録を証する証書の写しが遅滞なく添付されること。
 
−9−5 金融監督庁長官への報告

 財務局長等は、証券業の兼業の認可をした場合、別紙様式22による証券業兼業の認可報告書を毎月とりまとめ、金融監督庁長官に報告する。

 

3−10  顧客から一任された投資判断に基づく投資による取引の決済のための口座
(1)  認可投資顧問業者は、自己の計算で行う取引について、当該決済口座を利用してはならないことに留意する。
 
(2)  認可投資顧問業者が、顧客から一任された投資判断に基づく投資に係る取引と自己の計算で行う取引を一括して発注するために当該決済口座を利用することは、規則第31条の2第1項の「当該投資による取引の決済以外の目的で当該口座を利用すること」となることに留意する。
 

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