第4部 疑わしい取引の届出手続きについて
(平成12年月25日最終改正)
 
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 「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」(平成11年法律第136号)第5章に規定する疑わしい取引の届出手続き等について照会があった場合には、下記の要領により対応することとする。
 

.証券会社、外国証券会社及び証券投資信託委託業者
 
(1)  疑わしい取引の届出様式
 疑わしい取引が発生した場合には、文書による届出にあっては「疑わしい取引の届出の方法等に関する命令」(平成11年総理府令・法務省令第1号)別紙様式第3号(証券投資信託委託業者にあっては、別紙様式第4号)により、フレキシブルディスクによる届出にあっては別紙様式第5号に届出事項を記録したフレキシブルディスクを添付のうえ、発生の都度速やかに当局あて届け出るものとする。
 
(2)  届出先
 金融監督庁長官官房総務課特定金融情報室に、郵送又は持参により届け出るものとする。ただし、財務局監理証券会社については財務局理財部金融監督課を経由し、2部(フレキシブルディスクについては1枚)を届け出るものとする。
 なお、郵送の場合には、書留・親展扱いとする。
 
(3)  特定金融情報室への進達
 財務局は監理証券会社から届出があった場合には、届出事項を確認のうえ、直ちに特定金融情報室に1部を郵送(書留・親展扱い)又は持参により進達する。なお、フレキシブルディスクによる届出にあっては、別紙様式第5号の確認のみとする。
 
(4)  疑わしい取引の参考事例
 別添に掲げる参考事例は、個別具体的な取引が、疑わしい取引に該当するか否かを証券会社、外国証券会社及び証券投資信託委託業者(以下「証券会社等」という。)が判断するための基準である。同参考事例は、疑わしい取引の類型を網羅的に列挙したものではなく、これに該当しない取引であっても、証券会社等が疑わしい取引に該当すると判断したものは届出の対象となる。
 
(5)  責任者の把握
 疑わしい取引の届出に関する連絡を確実かつ円滑に行うため、疑わしい取引の届出に関する事務を担当する各証券会社等の責任者を別紙様式1により把握するものとする。
 
(6)  捜査機関等への情報提供等
 捜査機関等への情報提供等は、特定金融情報室においてのみ行う。
 
(7)  その他
 証券会社等から届け出られた取引についての情報は、個人のプライバシーに関する情報も含まれることから、届出書の保管及び情報管理には特に留意する。
 
.証券金融会社
 
(1)  疑わしい取引の届出様式
 疑わしい取引が発生した場合には、文書による届出にあっては「疑わしい取引の届出の方法等に関する命令」(平成11年総理府令・法務省令第1号)別紙様式第4号により、フレキシブルディスクによる届出にあっては別紙様式第5号に届出事項を記録したフレキシブルディスクを添付のうえ、発生の都度速やかに当局あて届け出るものとする。
 
(2)  届出先
 金融監督庁長官官房総務課特定金融情報室に、郵送又は持参により届け出るものとする。
 なお、郵送の場合には、書留・親展扱いとする。
 
(3)  疑わしい取引の参考事例
 証券金融会社については、「第1分冊 預金取扱金融機関関係 1共通事項 1−8−(4) 疑わしい取引の参考事例」に準じた取扱をするものとする。
 
(4)  責任者の把握
 疑わしい取引の届出に関する連絡を確実かつ円滑に行うため、疑わしい取引の届出に関する事務を担当する各証券金融会社の責任者を別紙様式2により把握するものとする。
 
(5)  その他
 証券金融会社から届け出られた取引についての情報は、個人のプライバシーに関する情報も含まれることから、届出書の保管及び情報管理には特に留意する。
 

別紙様式1


別紙用紙2


(別添)

疑わしい取引の参考事例
 

第1  現金を使用する取引に係る事例
 
 多額の現金(外貨を含む。以下同じ。)又は小切手により、株式、債券、投資信託等への投資を行う取引。但し、顧客の職業、事業内容等から、当該多額の現金又は小切手を保有していることについて合理的な理由があると認められる場合を除く。
 
 短期間のうちに頻繁に行われる株式、債券、投資信託等への投資で、現金又は小切手による取引総額が多額である場合。但し、顧客の職業、事業内容、これまでの投資傾向等から、当該多額の現金又は小切手を保有していることについて合理的な理由があると認められる場合を除く。
 
 多量の小額通貨(外貨を含む。)により、株式、債券、投資信託等への投資を行う取引。但し、顧客の職業、事業内容等から、当該多量の小額通貨を保有していることについて合理的な理由があると認められる場合を除く。
 
第2  口座開設に係る事例
 
 架空名義口座又は借名口座の開設を企図した疑いのある顧客に係る取引(本人確認が未済等の理由により口座開設に至らなかった場合を含む。)。
 特に、口座開設時の本人確認等に際し、顧客に次のことが認められる場合。
 
 本人確認書類の提示を拒む場合(合理的な理由がなく、本人確認書類以外による確認を希望する場合を含む。)。
 
 来店者のうち、本人確認書類をコピーで提示し、合理的な理由がなく、原本の提示を拒む場合。
 
 虚偽の疑いがある情報又は不明瞭な情報を提供する場合。
 
 合理的な理由がないにもかかわらず、口座の開設手続きを行う者と口座の名義人が異なる場合(本人確認等の過程において、口座の開設手続きを行う者と口座の名義人が異なることが判明した場合を含む。)。
 
 口座開設後、架空名義口座又は借名口座であるとの疑いが生じた口座に係る取引。特に、口座開設後、顧客に連絡等を行った場合において、口座開設時の本人確認等に関する情報(住所、電話番号等)に虚偽の疑いのあることが判明した場合。
 
 口座開設後、口座名義人である法人の実体がないとの疑いが生じた口座に係る取引。特に、口座開設後、顧客である当該法人に連絡等を行った場合において、口座開設時の本人確認等に関する情報(住所、電話番号等)に虚偽の疑いのあることが判明した場合。
 
 住所と異なる連絡先に取引報告書等の証書類の送付を希望する顧客に係る取引。但し、法人で業務上の必要性から異なる連絡先への送付を求める場合、個人で勤務先に送付を求める場合等、合理的な理由がある場合を除く。
 
 本人確認が未済等の理由により、通信取引又はインターネット取引による口座開設に至らなかった顧客に係る取引。
 
 多数の口座を開設しようとする顧客に係る取引。但し、顧客の職業、事業内容等から、当該多数の口座を保有することについて合理的な理由があると認められる場合を除く。
 
10  多数の口座を保有していることが判明した顧客に係る取引。但し、顧客の職業、事業内容等から、当該多数の口座を保有することについて合理的な理由があると認められる場合を除く。
 
11  当該支店で取引をすることについて明らかな理由がない顧客に係る取引。
例えば、自宅付近の支店でも同種の取引が可能であるにもかかわらず、殊更遠方の支店において取引を行う顧客に係る取引。
 
第3  投資に係る事例
 
12  通常は取引がないにもかかわらず、突如多額の投資が行われる口座に係る取引。但し、顧客の職業、事業内容等から、当該取引の動きについて合理的な理由があると認められる場合を除く。
 
13  大量の株券等を持ち込み、現金受渡しを条件とする売却取引。但し、顧客の資産状況、事業内容、取引経過等から、当該大量の株券等を保有していることについて合理的な理由があると認められる場合を除く。
 
14  本人が保有していることが疑われるほど大量な無記名証券、他人名義株券に係る取引。但し、顧客の資産状況、事業内容や取引経過から、合理的な理由があると認められる場合を除く。
 
15  短期間のうちに頻繁に株券等を持ち込み、現金受渡しを条件とする売却取引。但し、顧客の資産状況、事業内容や取引経過から、合理的な理由があると認められる場合を除く。
 
16  第三者振出しの小切手又は第三者からの送金により決済が行われた取引。
但し、預金小切手、本人の取引先及び本人への融資先からの送金等、第三者と本人との関連が明らかな場合を除く。
 
17  売却代金の振込銀行口座に第三者名義の銀行口座を指定しようとする顧客に係る取引。
 
第4  保護預りに係る事例
 
18  保護預り契約締結時の状況等に着目した事例については、「第2 口座開設に係る事例」に準じる。
 
19  多額の株式又は債券の買付けにもかかわらず、合理的な理由もなく、保護預り制度を利用しないで、本券引出しを求める顧客に係る取引。
 
第5  外国との取引に係る事例
 
20  資金洗浄対策に消極的な国・地域又は不正薬物の仕出国・地域に拠点を置く顧客に係る取引。但し、当該取引を行うことについて、合理的な理由があると認められる場合を除く。
 
21  売却代金の振込銀行口座に資金洗浄対策に消極的な国・地域又は不正薬物の仕出国・地域に拠点を置く銀行口座を指定しようとする顧客に係る取引。但し、当該振込依頼に合理的な理由があると認められる場合を除く。
 
22  資金洗浄対策に消極的な国・地域又は不正薬物の仕出国・地域に拠点を置く者(法人含む。)から紹介された顧客に係る取引。但し、当該取引を行うことについて、合理的な理由があると認められる場合を除く。
 
第6  その他の取引に係る事例
 
23  顧客が自己のために活動しているか否かにつき疑いがあるため、真の受益者の確認を求めたにもかかわらず、その説明や資料提出を拒む顧客に係る取引。代理人によって行われる取引であって、本人以外の者が利益を受けている疑いが生じた場合も同様とする。
 
24  自社職員又はその関係者によって行われる取引であって、当該取引により利益を受ける者が不明な取引。
 
25  自社職員が組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第10条(犯罪収益等隠匿)又は第11条(犯罪収益等収受)の罪を犯している疑いがあると認められる取引。
 
26  偽造通貨、偽造証券、盗難通貨又は盗難証券により入金が行われた取引で、当該取引の相手方が、当該通貨又は証券が偽造され、又は盗まれたものであることを知っている疑いがあると認められる場合。
 
27  取引の秘密を不自然に強調する顧客及び届出を行わないように依頼、強要、買収等を図った顧客に係る取引。
 
28  職員の知識、経験等から見て、不自然な態様の取引又は不自然な態度、動向等が認められる顧客に係る取引。
 

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