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1−5  認可・承認等にあたっての手続き等について
−5−1 株式の取得制限
 
(1)  投資顧問会社が投資一任契約に基づき顧客のために議決権を行使し又は議決権の行使について指図を行う株式等は、法第16条の3において銀行の子会社が取得し又は所有する株式等に含まれるものではないことに留意する。
 
(2)  法第16条の3第2項ただし書きの承認にあたっては、基準株式数等を超過し、かつ1年を超えて所有しようとする場合には、その都度承認申請が必要であるが、その超過理由が施行規則第17条の6第6号の「元本の補てんのない信託に係る信託財産としての株式等の所有」の場合には、インデックス運用等の実態及び独禁法上の運営との平仄も踏まえ、原則以下の手続きにより、その届出受理、承認を行うこととする。なお、以下の取扱いについては、当該株式等を有価証券勘定、元本補てんのある信託にかかる信託勘定で保有するもの及び子会社で保有するものが5%以内の所有となっている場合にのみ適用することに留意する。
 
マル1  届出
 施行規則第35条第1項第11号及び第13号に基づく届出は、原則年1回とし、12月末日を基準日として、別紙掲載のことにより翌1月末日までに行うものとする。
 
マル2  承認(法第16条の3第2項ただし書き)
 承認申請は、12月末日時点の保有株数をもとに、国内の会社の株式等について既に基準株式等を超えて取得し、又は所有することとなった部分(見込みを含む)の株式等について、その取得し、又は所有することとなった日から1年を超えて所有しようとする場合に、原則1回、2月の第10営業日までに申請を受理し、3月の第7営業日までに承認を行うものとする。
 申請書の添付書類は規則第17条の7によるものとし、承認にあたっては、公正取引委員会の特別許可を受けているかなども勘案して判断するものとする。
 
−5−2 証券業務関係について
 
 法附則第5条第2項の規定に基づく証券業務の許可申請又はその変更許可申請の取扱いについては、日本証券業協会の作成した業務内容方法書のひな型等を適宜、申請の内容に応じて参考にすること。
 
−5−3 大口信用供与
 
 銀行の信用供与が特定の大口取引先に偏っていれば、その業況が予期せぬ形で悪化した場合、銀行は直ちに経営上のリスクを負う。銀行法は、銀行経営の健全性を確保する観点から、特定債務者に対する貸出金等の信用の供与の集中を排除するため、銀行の同一人に対する信用供与の額を銀行の自己資本に対する一定割合以下に制限する大口信用供与規制を規定している。
 従って、法第13条第1項ただし書きの承認の申請があったときは、信用供与等限度額を超えることについて信用の供与等を受けている者が合併をし、又は営業を譲り受けたことその他銀行法施行令及び施行規則で定めるやむを得ない理由があるかどうかを審査するものとする。
 なお、承認にあたっては、今後の信用供与等限度額超過の解消に向けた計画を求めるとともに、速やかに解消する場合を除き、定期的に計画の履行状況を報告させるものとする。
 
−5−4 アームズ・レングス・ルール
 
 アームズ・レングス・ルールは、銀行とグループ会社等との利益相反取引を通じて銀行経営の健全性が損なわれること等を防止するための規定である。
 従って、法第13条の2ただし書きの承認の申請があったときは、当該申請をした銀行が法第13条の2各号に掲げる取引又は行為をすることについて銀行法施行規則第14条の8各号に掲げるやむを得ない理由があるかどうかを審査するが、その際留意すべき項目は以下のとおり。
 
(1)  施行規則第14条の8第3号に該当する場合
 
特定関係者が経営危機に陥り再建支援の必要な状況か。
 
特定関係者が再建支援を受けるに当たり、十分な自助努力及び経営責任の明確化が図られているか。
 
特定関係者を整理・清算した場合に比べ、当該取引又は行為を行うことに経済的合理性があるか。
 
債権放棄や金銭贈与の場合には、経営改善計画の期間中の支援による損失見込額の全額について、当該計画開始前に償却・引当を行うこととしているか。
 
(2)  施行規則第14条の8第4号に該当する場合
 
 銀行が特定関係者との間で当該取引又は行為を行わなければ今後より大きな損失を被ることになることが社会通念上明らかであるか。
 


1−6  子会社等について
 銀行の子会社(法第2条第8項に規定する子会社(同項の規定により子会社とみなされる会社を含む。)をいう。以下同じ。)、子法人等(施行令第4条の2第2項に規定する子法人等(子会社を除く。)をいう。以下同じ。)及び関連法人等(同条第3項に規定する関連法人等をいう。以下同じ。)(以下「子会社等」という。)については、法第12条に規定する他業禁止の観点から以下のとおりとする。
 なお、銀行持株会社の子会社等についても、これに準じた取扱いを行うものとする。
 
(注1)  銀行又はその子会社が、国内の会社(当該銀行の子会社を除く。)の株式等について、合算して、その基準株式数等(法第16条の3第1項に規定する基準株式数等をいう。以下同じ。)を超えて所有している場合の当該国内の会社(以下「特定出資会社」という。)が営むことができる業務は、第16条の2第1項第1号から第4号までに掲げる会社、同項第8号に掲げる会社(特定従属会社(同号に規定する特定従属会社をいう。以下同じ。)を除く。)並びに同項第9号及び第11号に掲げる会社が行うことができる業務の範囲内であり、かつ、施行規則、告示、本事務ガイドラインに定める子会社に関する基準等を満たす必要があることに留意する。
 
(注2)  子法人等及び関連法人等の判定に当たり、当該銀行が証券取引法に基づき有価証券報告書等の作成等を行うか否かに関わらず、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則、日本公認会計士協会監査委員会報告第60号『連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する監査上の取扱い』(平成10年12月8日付)その他の一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従っているかにも留意する。
 
(注3)  法第16条の2及び第16条の3に規定する「会社」には、特別目的会社(例えば、資産の流動化、自己資本の調達を目的とするもの等)、組合、証券投資法人、パートナーシップ、LLCその他の会社に準ずる事業体(以下「会社に準ずる事業体」という。)を含まないが、会社に準ずる事業体を通じて子会社等の業務範囲規制、他業禁止の趣旨が潜脱されていないかに留意する。
 
−6−1 子会社等の業務の範囲
 
 子会社等の業務の範囲については、以下の点に留意するものとする。
 
(1)  銀行の代理店
 銀行の代理店は、他の会社の株式を保有していないか。
 
(2)  銀行の子会社が営む従属業務(法第16条の2第2項第1号に規定する従属業務をいう。以下同じ。)については、以下の範囲となっているか。
 
マル1  銀行の業務に係る事務のうちその業務の基本に係ることのないものに限定されているか。
 
マル2  従属業務を専ら営む会社であって、主として銀行又はその子会社の営む業務のためにその業務を営んでいる会社(特定従属会社を除く。)は、当該銀行が原則として全額出資する会社となっているか。
 
マル3  従属業務を専ら営む会社であって、主として銀行又はその子会社の営む業務のためにその業務を営んでいる会社は、他の会社の株式を保有していないか。
 
マル4  電子計算機に関する事務を行う業務……コンピュータソフトの販売に伴い必要となる付属機器の販売は差し支えない。
 
(3)  銀行の子会社が営む金融関連業務(同条第2項第2号に規定する金融関連業務をいう。以下同じ。)については、以下の範囲となっているか。
 
マル1  信用保証業務……原則として住宅ローン等消費者ローンに係るものを取り扱っているか。また、以下の点に留意した取扱いとなっているか。
 
 保証会社の業務運営に当たっては、保証債務の円滑な履行に疎通を欠くことのないよう、保証業務の専業体制の確立、内部留保の充実その他適正な支払い準備の確保等に十分配意しているか。
 
 保証会社が信用保証を行うに当たって、物的担保以外に不必要な人的担保も徴求していないか。
 
 銀行が、信用保証を必要とする債務者に対し、自行が子会社として設立した保証会社の保証を強制すること等の行為を行っていないか。
 
 銀行が、保証会社の保証付住宅ローンの金利について、通常の場合の金利に比較して次のものに相当する部分を低減しているか。
 
通常見込まれる貸倒れに伴う損失
 
担保等の設定、管理、処分等のために要するコスト
 
信用調査、貸出審査等が簡略化されることにより軽減が見込まれるコスト
 
マル2  投資顧問業務……業務の特殊性、投資家保護の観点から以下の点に留意した取扱いとなっているか。
 
保護預りは当該社では扱わず、銀行本体、信託銀行等の扱いとなっているか。
 
 投資助言の範囲は不動産、骨董品等は対象とせず、有価証券、金融商品としているか。
 
マル3  電気通信業務(いわゆるVAN業務)……主として(概ね5割以上)銀行の業務及び企業の資金、経理に関連したもの(受・発注業務、売掛・買掛債権管理業務等資金決済に関するもののほか、会計、税務、資金運用等に関するデータ処理等)を取扱うこととしているか。
 
(注)  電気通信事業法第22条第1項による郵政省への届出について照会があった場合には、「子会社等が他人の通信を媒介する役務(以下「媒介役務」という。)の提供を営利の目的とせず(例えば、共同出資の子会社等が、出資金融機関のみを対象として媒介役務を提供する場合等当該子会社等の定める料金、提供条件等から媒介役務について収益をあげることを目的としていないことが明白な場合:100%出資の子会社はこれに含まれる)に行う場合には必要ない」旨回答すること
 
(4)  銀行の特定子法人等(特定出資会社でない子法人等をいう。以下同じ。)及び特定関連法人等(特定出資会社でない関連法人等をいう。以下同じ。)については、以下のとおりとなっているか。但し、会社に準ずる事業体については、この限りでない。
 
マル1  銀行の特定子法人等及び特定関連法人等の業務の範囲については、子会社対象会社(法第16条の2第1項に規定する子会社対象会社をいう。以下同じ。)の営むことができる業務の範囲内であり、かつ、施行規則、告示、本事務ガイドラインに定める子会社に関する基準等を満たしているか。
 例えば、保険専門関連業務(同条第2項第4号に定める保険専門関連業務をいう。)を営む会社については、銀行が保険会社を子会社としている場合等に限り、銀行の特定子法人等又は特定関連法人等として保有することができることに留意する。
 なお、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律(以下「新法」という。)の施行の際、信託業務を営む銀行(本体で不動産業務を営む者に限る。)の特定子法人等又は特定関連法人等で現に一般向け不動産業務を営むもの(以下マル3において「特定法人」という。)の当該業務については、銀行の特定子法人等及び特定関連法人等が営むことができる業務に含まれることに留意する。
 
マル2  従属業務を専ら営む銀行の特定子法人等又は特定関連法人等であって、主として当該銀行の特定出資会社又は他の特定子法人等若しくは特定関連法人等(以下「従属先法人等」という。)の営む業務のためにその業務を営んでいるもの(従属先法人等が原則として全額出資するものに限る。)が、銀行法第16条の2第7項、銀行法施行規則第17条の2第1項第1号及び同条第6項の規定に基づき、従属業務を営む会社が主として銀行若しくはその子会社、銀行の一の子会社又は銀行の営む業務のために従属業務を営んでいるかどうかの基準(金融監督庁・大蔵省告示第44号。以下「収入依存度規制告示」という。)第4条に規定する基準に準じ、次の要件を満たす場合には、上記マル1に反しないものとして取り扱って差し支えない。
 なお、当該従属業務を専ら営む銀行の特定子法人等又は特定関連法人等については、上記(2)マル3を満たす必要がないことに留意する。
 
 施行規則第17条の3第1項第1号から第7号までに掲げる業務を営む場合
 各事業年度において、それぞれの業務につき、当該銀行(同項第2号に掲げる業務については当該銀行の役職員を含む。)及びその子会社等又は特定出資会社からの収入の額の合計額の総収入の額に占める割合が100分の90を下回らず、かつ、当該銀行の従属先法人等からの収入の額の総収入の額に占める割合が100分の50を上回ること。
 
 イにかかわらず、同項第1号に掲げる業務を営む場合に、当該銀行又はその子会社等又は特定出資会社から不動産を賃借しているときは、各事業年度において、当該業務につき、当該銀行の従属先法人等からの収入の額の総収入の額に占める割合が100分の50を上回ることをもって足りるものとする。
 
 同項第8号から第18号まで及び第21号に掲げる業務を営む場合
 各事業年度において、それぞれの業務につき、当該銀行の従属先法人等からの収入の額の総収入の額に占める割合が100分の50を上回り、かつ、次に掲げる者からの収入の額の合計額の総収入の額に占める割合が100分の90を下回らないこと。
 
 子会社対象会社
 
 信用金庫若しくは信用金庫連合会又は労働金庫若しくは労働金庫連合会
 
 農林中央金庫又は商工組合中央金庫
 信用協同組合若しくは信用協同組合連合会又は業として預金若しくは貯金の受入れをすることができる農業協同組合、農業協同組合連合会、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合若しくは水産加工業協同組合連合会
 
 同項第19号及び第20号に掲げる業務を営む場合
 各事業年度において、それぞれの業務につき、当該銀行の従属先法人等からの収入の額の総収入の額に占める割合が100分の50を上回ること。
 
マル3  関連会社として届出がなされたもの(当該関連会社がその業務を行わせるために設立した会社及びこれらと同様の業務を営む会社を含み、マル4に該当する会社及び特定法人を除く。)で、新法の施行の際、子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務を現に営む銀行の特定子法人等又は特定関連法人等が、新法の施行後も引き続きそれらの業務を営む場合には、別に命ずるところにより、当該特定子法人等又は特定関連法人等の名称、業務その他必要な事項について報告がなされたものに限り、当分の間、上記マル1に反しないものとして取り扱って差し支えない。
 但し、当該特定子法人等又は特定関連法人等が当該銀行の子会社又は特定出資会社となる場合並びに当該特定子法人等又は特定関連法人等が新法の施行前に営んでいた業務以外の業務を新たに営む場合はこの限りでない。
 
(注1)  関連会社とは、銀行が出資する会社で、その設立経緯、資金的、人的関係等からみて、銀行と緊密な関係を有する会社をいう。
 
(注2)  例えば、以下のような場合については、銀行法の趣旨を逸脱しない限り、上記特定子法人等又は特定関連法人等に準じて取り扱って差し支えない。
 
 銀行の届出済の関連会社が上記の業務を営む場合に、当該銀行が他の会社の保有する当該関連会社の株式を取得したことにより、新法の施行の際、当該銀行の特定出資会社(子法人等又は関連法人等に限る。)となったことについてやむを得ない理由があるとき(新法附則第104条に規定する届出がなされているものに限る。)
 
 新法の施行の際、銀行の特定子法人等又は特定関連法人等として上記の要件を満たすものが、法第16条の3第4項第1号の規定により当該銀行の特定出資会社(子法人等又は関連法人等に限る。)となった場合(同号に規定する認可を受けている場合に限る。)
 
 新法の施行の際、二の銀行のそれぞれの特定子法人等又は特定関連法人等として上記の要件を満たすものが、合併によりいずれか一の銀行の特定子法人等又は特定関連法人等(以下、「存続会社」という。)となった場合(存続会社が合併前に営んでいた業務以外の業務を合併後に営むこととなる場合には、当該業務について平成14年3月期末までに必要な見直しが行われているものに限る。)
 
マル4  特定子法人等又は特定関連法人等において一般向け不動産業務、物品販売業務、旅行あっせん業務等、子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務を行っていないか。
 但し、新法の施行の際、特定子法人等又は特定関連法人等が現にこれらの業務を営んでいる場合には、平成14年3月期末までに必要な見直しが行われているか。
 なお、新法の施行の際、特定子法人等又は特定関連法人等が現に従属業務又は金融関連業務(これらに準ずる業務として、別に命ずるところにより報告がなされたものを含む。)を営む場合又はこれらを併せ営む場合(当該従属業務が収入依存度規制告示各条に規定する基準に準じた基準(上記マル2の例による。)を満たす場合に限る。)においては、平成14年3月期末までに当該従属業務又は金融関連業務以外の業務について必要な見直しが行われているものに限り、当分の間、上記マル1に反しないものとして取り扱って差し支えない。この場合に、当該従属業務を営む特定子法人等又は特定関連法人等については、上記(2)マル3を満たす必要がないことに留意する。
 
(注)  当該特定子法人等又は特定関連法人等が平成14年3月期末を超えて必要な見直しを終えていない場合には、見直しが終了していない正当な理由について、別に命ずるところにより報告を求めることに留意する。
 
−6−2 金融機関の貸出金等に係る担保不動産の保有・管理会社(いわゆる自己競落会社)の取扱いについて
 
 いわゆる自己競落会社については、以下の点に留意した取扱いとなっているか。
 
(1)  当該会社の業務は以下に限られているか。
 
マル1  出資金融機関が貸出金等の回収のために担保権を実行する必要がある場合(出資金融機関に係る担保不動産について第三者が競売の申立を行う場合も含む。)に行う当該貸出金等に係る担保不動産の取得(競落による取得に限る。)
 
マル2  買取会社が買い取った不動産担保付債権の回収のために担保権を実行する必要がある場合(買取会社に係る担保不動産について第三者が競売の申立を行う場合を含む。)に、出資金融機関(会社の親銀行をいう。)が買取会社に譲渡した不動産担保付債権に係る担保不動産の取得(競落による取得に限る。)
 
マル3  取得した不動産の保有・管理及び売却
 
(2)  当該会社の業務遂行にあたって以下の点は遵守されているか。
 
マル1  取得した不動産に関し、必要に応じ、民間都市開発機構、特定不動産共同事業者、宅地建物取引業者等との連携を図りつつ、整地、当該土地に適切な建築物の建設、隣接地の購入等を行い、当該不動産の価値の向上のための有効活用に努めているか。
 
マル2  特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律に規定する特定目的会社の活用による流動化を検討するなど、取得した不動産の円滑な売却の実現に努めているか。
 
マル3  当該会社は、以上のような行為を行うに当たって、ホテル業等関連会社が営むことが適当でない業務を営んでいないか。
 
(3)  競落対象物件は出資金融機関又は買取会社の貸出金等に係る担保不動産であり、当該不動産の競落により、出資金融機関又は買取会社に配当が見込まれるか。
 
(注)  貸出金等には出資金融機関が保証の履行により取得した求償権等の債権で当該不動産の被担保債権となっているもの及び買取会社の不動産担保付債権を含む。
 
(4)  その他
 
マル1  会社は、宅地建物取引業法の規定により、同法第3条の免許を取得しているか。
 
マル2  会社は取得した不動産毎に収支・損益の分別管理を行っているか。
 
マル3  出資金融機関及び会社は会社の財務の健全性が確保されるよう必要な措置を講じているか。
 
−6−3 銀行の海外における子会社等の業務の範囲
 
(1)  銀行の海外における子会社等の業務の範囲についても、国内の子会社等と同様の業務範囲の考え方を適用し、子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務を営むことのないよう留意する必要がある。但し、上記1−6−1(2)マル3については、この限りでない。
 
(注)  海外における貸出債権回収のために担保権を実行する必要がある場合で、現地市場の状況から担保資産の売却が極めて困難であり、かつ、現地法制上、他に適切な処理方法が存在しないときに、管理子会社を設立して担保流れ資産の保有・管理を行うことは、この限りではない。
 また、銀行業を営む外国の会社(以下「銀行現法」という。)が行う業務については、バーゼルコンコルダットの趣旨に鑑み、現地監督当局が容認するものは、銀行法の趣旨を逸脱しない限り原則として容認するものとする。
 
(2)  銀行の海外における子会社(銀行現法を除く。)が新法の施行の際現に行う子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務で、現地法制等に照らして問題がなく、かつ、当該業務を1年以内に廃止することにより重大な支障が生ずるおそれのあるものについて新法附則第104条に規定する届出がなされた場合には、銀行法の趣旨を逸脱しない限り、当分の間、当該業務を子会社対象会社の営むことができる業務と認めて差し支えない。但し、当該業務の見直しができる限り速やかに行われるよう、所要の措置が講じられているかどうかに留意する。
 
(3)  出資先外国法人として報告がなされたもの(当該出資先外国法人がその業務を行わせるために設立した会社及びこれらと同様の業務を営む会社を含み、上記(2)の子会社を除く。)で、新法の施行の際、子会社対象会社の営むことができる業務以外の業務を現に営む子法人等又は関連法人等については、上記1−6−1(4)マル3に準じて取り扱う。
 
(注)  出資先外国法人とは、銀行が海外の外国法人に経営支配又は経営参画の形態をもって出資するものをいう。
 経営支配とは、銀行が外国法人における議決権の過半数を実質的に所有(議決権のある株式又は出資の所有の名義が役員等当該金融機関以外の者となっていても、当該銀行が自己の計算で所有している場合を含む。)している場合(当該銀行及び当該外国法人が他の外国法人における議決権の過半数を実質的に所有する場合又は当該外国法人が他の外国法人における議決権の過半数を実質的に所有している場合を含む。)をいう。
 経営参画とは、銀行が外国法人における議決権の100分の50以下を実質的に所有し、かつ、人事、資金、取引等の関係を通じて外国法人の財務及び営業の方針に対し重要な影響を与えることができる場合をいう。
 なお、「重要な影響を与えることができる場合」とは、当該外国における議決権の過半数を実質的に所有している出資者が他にいる場合は原則として該当しない。
 
−6−4 銀行とその証券子会社等の関係について
 
(1)  証券取引法及び外国証券業者に関する法律等において、銀行とその証券子会社との間等における弊害防止措置が設けられている趣旨及び施行規則第17条の5第2項第5号(子会社対象銀行等を子会社とすることについての認可審査基準)における「子会社対象銀行等の業務の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講ずる」との趣旨に鑑み、出資関係等を有する証券会社及び外国証券会社の国内支店との間の行為については、以下の点に留意する必要がある。
 
 銀行等は、その関係証券会社(当該銀行等が証券会社の親銀行等(証券取引法第32条第5項に規定する親銀行等をいう。)又は子銀行等(証券取引法第32条第6項に規定する子銀行等をいう。)に該当する場合における当該証券会社をいう。)又は関係外国証券会社の国内支店(当該銀行等が外国証券会社の特定金融機関(外国証券業者に関する法律第14条において準用する証券取引法第32条第1項に規定する特定金融機関をいう。)に該当する場合における当該外国証券会社の国内支店をいう。)との間において、証券取引法第45条の規定により禁止されている行為に関与していないか。
 
(2)  銀行等がその関係証券会社との間で、法令等遵守管理に関する業務、損失の危険の管理に関する業務、内部監査及び内部検査に関する業務、財務に関する業務、経理に関する業務または税務に関する業務(以下、本項において「内部管理に関する業務」という。)について証券会社の行為規制等に関する命令第12条第7号または第8号に規定する行為を行う場合には、当該関係証券会社が証券取引法第45条但し書の規定に基づく弊害防止措置の適用除外の承認を得ることが要求されている。一方、銀行監督の観点からは、内部管理に関する業務の統合によって、銀行等の当該業務遂行の高度化や効率化を図ることが可能となる反面、関係証券会社との関係で統合された内部管理に関する業務についての責任の範囲や所在が不明確になるリスク、さらに当該銀行等の内部管理に関する業務の責任者が実質的に当該内部管理に関する業務の管理・監督を行わないまま関係証券会社にその遂行を任せる状態になることによる当該銀行等の実質的な内部管理機能が働かないリスク等、業務の健全かつ適切な運営が阻害されるリスクも発生することから、以下の点に特に留意する必要がある。
 
マル1   統合する内部管理に関する業務について、銀行等が実質的な管理・監督を行わないまま関係証券会社へその遂行を任せる状態を防止するため、当該内部管理に関する業務にかかる銀行等と関係証券会社との間の権限及び責任の分担、並びに、銀行等における当該内部管理業務を担当する取締役等(外国銀行支店にあっては支店長、及び副支店長、管理本部長等当該銀行等の営業部門及び当該関係証券会社から独立し、当該内部管理に関する業務の責任者として相応しい者。以下「担当取締役等」という。)及び当該業務の担当者(関係証券会社の当該業務の従業員を兼職している者を含む。)の権限・責任の範囲が、職務規定や組織規定等において明確になっているか。
 
マル2  銀行等が内部管理に関する業務についての管理責任を果たすための組織及び人的構成に関して、以下のような管理態勢の整備が図られているか。
 
 担当取締役等は、銀行等における内部管理業務の担当者に対する監督等を通じて、業務の状況を的確に把握し、その適切な遂行を確保する責務と権限を有するとともに、当該銀行等の取締役会等(外国銀行支店にあっては本店における自己の職務関係上の上位者または当該内部管理に関する業務の責任者を含む。 以下、「取締役会等」という。)や監督当局に対して適切な報告・説明を行う権限及び責任を有しているか。
 
 担当取締役等による営業部門に対する牽制機能が機能しない可能性がある場合には、牽制機能の実効性を確保するための措置が取られているか。例えば、外国銀行支店長が個別の営業部門の役職を兼ね又は実質的に従事している場合に、支店長とは別に管理業務を統括する責任者を営業部門から独立して設置し、当該責任者が支店長に対する報告に加えて取締役会等に対しても直接報告する態勢をとっているか。
 
 牽制機能の実効性の確保を目的として関係証券会社との合議機関等を設置することが選択されている場合については、当該合議機関における意思決定についての担当取締役等の職責や銀行等の関与が形骸化していないか、合議機関が営業推進の目的に利用されるなど牽制機能の実効性が損なわれていないか、に特に留意する必要がある。例えば、その防止のための措置として、当該合議機関の目的及び手続(決議方法、議事録の作成を含む)、各構成員の権限と責任が明確になっているか。
 
マル3  なお、信託銀行については、上記マル1及びマル2に加えて、内部管理に関する業務の運営の適切性、健全性が確保され、かつ信託業務運営の健全性が確保される場合には、事務ガイドライン3−2−4の規定にかかわらず、当該業務を行うことができるものとする。
 
マル4  また、監督上必要な場合には、法第24条第1項又は法第52条の15第1項に基づいて当該銀行等に対して以下の点について報告及び資料提出を求めるほか、必要があると認めるときには、法第24条第2項又は法第52条の15第2項に基き、当該銀行等の子会社たる証券会社に対しても報告徴求を行うこととする(外国銀行支店にかかる関係証券会社を除く。ただし、外国銀行支店に係る外国銀行と特殊の関係(令16条)のある証券会社については、法第48条第2項に基き、当該外国銀行支店に対して報告徴求できることに留意。)。
  
 当該内部管理に関する業務等の実施についての方針及び手続
 
 担当取締役等当該内部管理に関する業務に従事する者の権限・事務分掌
 
 その他各種規定の整備状況
 
 当該内部管理に関する業務実施にかかる人員・組織の状況等
  
(注 )銀行等とは、普通銀行、外国銀行支店、銀行持株会社、信託銀行、長期信用銀行、信用金庫連合会、労働金庫連合会、信用協同組合連合会、農業協同組合連合会、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合連合会、農林中央金庫をいう。
 
−6−5 金融機関とその親法人等である保険会社の関係について

 保険業法施行規則等において、保険業法第8条第1項若しくは同法第100条の3に規定する特定関係者に金融機関(同法施行令第2条の2第4項各号に掲げる金融機関をいう。以下同じ。)が該当する場合における当該金融機関と保険会社等との間等に弊害防止措置が設けられている趣旨に鑑み、出資関係等を有する保険会社等との間の行為については、以下の点に留意する必要がある。

 金融機関は、その関係保険会社(当該金融機関が保険会社の子会社等(保険業法施行令第2条の2第1項に規定する子会社、子法人等、関連法人等)に該当する場合における当該保険会社をいう。)との間において、同法第100条の2に基づく同法施行規則第53条の4から第53条の6に規定する講ずるべき措置に反する行為に関与していないか。
 
 金融機関は、その関係保険会社(当該金融機関が保険会社の子会社等(保険業法施行令第14条及び第29条に規定する子会社、子法人等、関連法人等)に該当する場合における当該保険会社をいう。以下同じ。)及び関係保険会社を所属保険会社とする保険募集人等との間において同法第300条の規定により禁止されている行為に関与していないか。
 
(注 )関係保険会社を所属保険会社とする保険募集人等とは、関係保険会社の役員、関係保険会社を所属保険会社とする生命保険募集人、関係保険会社を所属保険会社とする損害保険募集人又は保険仲立人若しくはその役員若しくは使用人をいう。
 
−6−6 外国銀行支店による業務提供関係会社への業務の委託について
 
 外国銀行支店がその業務を、証券会社に関する命令15条3号及び18条3号に規定する者(以下本項において「業務提供関係会社」という。)に委託する場合には、銀行業務の健全かつ適切な運営の確保の観点から、以下の点に留意する必要がある。
 
(1)  委託業務の範囲は、銀行の業務に係る事務のうちその業務の基本にかかることのないものに限定されているか。その上で、基本に係らない業務を委託する場合であっても、当該業務が銀行業の遂行に密接に関連する業務であることに鑑み、業務委託に伴う情報管理上のリスク及びオペレーティングリスク並びに業務提供関係会社の業務遂行能力及び管理態勢等、委託業務の妥当性及び委託先の適切性を委託に際して十分に検討することが必要。
 
(2)  当該委託業務に関する規制上の責任は、当該業務提供関係会社による業務遂行に起因するものであっても、当該外国銀行支店にあることに留意する。したがって、当該委託業務に係る当該外国銀行支店による監督当局への対応を的確に実施するため、当該委託業務に係る責任者の設置や業務提供関係会社に対する管理態勢の整備が図られていることが必要。
 

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