金融監督庁行政情報化推進計画

平 成 12 年 4 月 18 日
金融監督庁行政情報化推進委員会決定

 金融監督庁における情報化については、平成10年6月の当庁発足以来、当庁LANの構築、パソコンの計画的配備、金融監督庁ホームページの開設など、その推進を図ってきたところであるが、行政の情報化を取り巻く環境は、インターネットの急速な普及や電子商取引の実用化の動きをはじめとして、社会の情報化が急速に進展する中で、大きく変化しているところである。

 このような状況を踏まえ、金融監督庁の行政の情報化をより一層推進する観点から、「行政情報化推進基本計画の改定について」(平成9年12月20日閣議決定、以下「基本計画」という。)記の第1の6に基づき、下記のとおり、「金融監督庁行政情報化推進計画」を定める。

1 計画の理念及び計画推進の基本方針等
 
.計画の理念
 
 金融監督庁は、発足以来、市場規律と自己責任原則を基軸とし、明確なルールに基づく透明かつ公正な金融行政を目指すことを運営の基本方針としている。この基本方針を効率的かつ効果的に実現するため行政の情報化を推進し、あらゆる分野への情報通信技術の成果の普遍的な活用とこれに併せた旧来の制度・慣行の見直しにより、事務処理の効率化・高度化と行政サービスの質的向上を図っていくこととする。

 
.計画推進の基本方針
 
(1)  社会の情報化の進展に対応した行政情報化の推進
 情報通信技術を活用した国民に対する行政情報の提供、行政手続等に係る国民負担の軽減要請への対応など、行政サービスの質的向上を図る。
 
 行政情報の提供等
 広報活動を行うに当たっては、インターネット・ホームページ等を活用し、効率的かつタイムリーな行政情報の提供に努める。
 
 金融監督庁において公表される報道発表資料、各種の行政情報について、インターネット・ホームページを活用した情報提供を一層推進するとともに、提供内容の充実やタイムリーな提供に努める。
 
 国民からの意見、要望、問い合わせの受付等についてもインターネット・ホームページを活用する。
 
 金融監督庁において取りまとめる年次報告や審議会答申については、インターネット等の電子的な手段・媒体による提供を一層推進する。
 
 国民に提供可能な行政情報の所在案内の一環として、引き続き、当庁のインターネット・ホームページに掲載している行政情報を総務庁の総合案内クリアリングシステムに提供する。
 
 申請・届出等手続の電子化
 申請・届出等手続の電子化については、本人確認や電子文書の原本性の確保等の課題の解決を前提に、オンライン化を検討する。また、金融機関等からの報告については、報告提出者の負担軽減の観点から、関係機関とも協議の上、可能なものから電子媒体による報告の徴求やオンライン化を推進する。
 なお、「申請・届出等手続の電子化推進のための基本的枠組み」(平成12年3月31日 行政情報システム各省庁事務連絡会議了承)を踏まえ、平成12年度早期に申請・届出等手続の電子化に関するアクション・プランを策定する。
 
 ワンストップサービスの実施
 ワンストップサービスについては、行政手続の案内情報、申請様式等必要な情報をインターネットホームページへ掲載するなど具体的方策について検討する。
 
 調達手続等の電子化
 調達手続等の電子化については、「バーチャル・エージェンシーの検討結果を踏まえた今後の取組について」(平成11年12月28日高度情報通信社会推進本部決定)の「 II .政府調達(公共事業を除く)手続の電子化」に基づき、調達情報の提供、競争資格審査、入札・契約等手続の電子化について検討し、段階的に電子化を推進する。
 
(2)  情報通信技術の活用による事務の簡素化・効率化及び行政運営の高度化
 金融監督庁における内部管理業務、金融機関等に対する検査・監督業務を含めた広範な業務について、情報通信技術を活用しシステム化を図ることにより、事務の簡素化・効率化を推進するとともに、行政運営の高度化を図る。
 また、システムの開発・管理に当たっては、これを一元的に管理する体制を確立し、予算の効率的な使用や効率的・効果的なシステムを構築するよう努める。
 
 個別業務のシステム化、機能の高度化及びシステム間の連携
 
 金融機関等に対する検査・監督業務について、各種業務のシステム化を推進する。システムの構築に当たっては、原則として、庁内LANを活用したシステムとするとともに、システム間の連携を図る。
 既存システムについては、協同組織金融機関や保険会社を対象とする機能の追加など、それぞれの業態ごとの検査・監督等の基礎的な情報のデータベース化を進めることに優先度を置きながら、システムの機能の高度化を図る。
 
 効果的な金融検査・監督を行う観点から、各種業務のシステムの統合又は連携を推進する。
 
 金融機関等からの疑わしい取引の届出については、届出を行う金融機関等の負担軽減等の観点から、可能なものから電子媒体による届出を推進する。
 
 当庁以外の機関にデータを依存している一部のシステムの中で、金融検査・監督上の重要なデータについては、情報の迅速性・正確性等の確保の観点から、当庁が独自に入手する方法を検討する。
 
 人事、会計、厚生等の内部管理業務について、セキュリティの確保等に留意しつつ、制度官庁におけるシステム化の取組等を踏まえ、システム化を推進する。
 
 文書の管理・流通のシステム化
 
 「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(平成11年法律第42号)に基づく情報公開の制度化に的確に対応するため、保有する行政文書のファイル目録を電子的に管理する行政文書ファイル管理システムを平成12年度中に整備する。
 
 行政文書の適正な管理を行うため、行政文書の保存・管理等の状況を電子的に管理する総合的な文書管理システム及び決裁手続を電子的な方法により行う電子決裁システムを可能な限り早期に整備する。
 なお、総合的な文書管理システムは、庁内LANシステム、省庁間電子文書交換システム及び上記の行政文書ファイル管理システムとも連携するシステムとし、事務の効率化・簡素化と行政コストの削減を図る。
 
 情報共有の推進
 金融機関等の基礎的情報など利用価値の高い情報について、庁内LANを活用して積極的に情報共有を推進するとともに、霞が関WANによる省庁間の情報共有についても推進する。
 
 行政事務のペーパーレス化(電子化)の推進
 金融監督庁の内部事務について、「バーチャル・エージェンシーの検討結果を踏まえた今後の取組について」(平成11年12月28日高度情報通信社会推進本部決定)に基づき、ペーパーレス化を積極的に推進する。
 
 民間へのアウトソーシングの推進
 「行政情報システム関係業務の外注の推進について」(平成12年3月31日行政情報システム各省庁連絡会議幹事会了承)に基づき、セキュリティの確保と個人情報の保護に配意しつつ、民間へのアウトソーシングを推進する。
 
(3)  行政情報化推進のための基盤整備
 
 情報通信基盤の整備
 
 総合的な情報化を推進するための共通基盤として、パソコン等情報機器、庁内LANを整備・拡充する。
 
 効率的・効果的な金融検査・監督を行う観点から、関係省庁とも協議の上、地方財務局等との間のネットワークの接続について検討する。
 
 モバイルシステムについては、通信機器等の性能の高度化に留意しつつ、十分なセキュリティ対策を講じたうえで、各種データベースの情報検索機能の追加など機能の高度化を図る。
 
 国際的な標準の採用
 
 ネットワークの標準化
 行政機関内におけるネットワーク間の相互接続性・相互運用性を確保するため、通信プロトコルはインターネット・プロトコル(TCP/IP)の採用を基本とするとともに、メールプロトコル等上位のプロトコルについても、国際標準又は事実上の標準(以下「国際的な標準」という。)を採用する。
 
 電子文書の標準化
 行政文書のうち必要なものについて、流通性の確保に留意しつつ、文書構造形式に係る国際的な標準(SGML等)を採用する。また、電子文書の標準化について、パソコンの更新等に合わせて「電子公文書の文書定義(DTD)の統一的な仕様」(平成10年3月31日各省庁事務連絡会議及び行政情報システム各省庁連絡会議幹事会了承)に基づく統一的な文書型定義の利用が簡易に行えるソフトウェアの導入を進める。
 
(4)  情報セキュリティ対策の強化
 金融監督庁における情報セキュリティ対策については、「ハッカー対策等の基盤整備に係る行動計画」(平成12年1月21日情報セキュリティ関係省庁局長等会議決定)に基づき、情報セキュリティ関連の技術開発の進展をも踏まえつつ、今後とも国内外の信頼が得られる情報セキュリティ水準を確保するよう努める。
 また、情報システムについて、「行政情報システムの安全対策の充実・強化について」(平成11年8月3日行政情報システム各省庁連絡会議了承)に基づき、情報システムの安全対策の検討、見直し、改善を不断に行い、安全性・信頼性の充実・強化を進める。
 
 セキュリティポリシーの策定
 金融監督庁における総合的・体系的な情報セキュリティ対策を推進するため、情報セキュリティ対策推進会議における議論や今後各省庁向けに策定される「情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を踏まえ、金融監督庁情報セキュリティポリシーを策定する。
 
 安全性・信頼性確保のための対策の向上
 金融監督庁の情報システムについて、コンピュータウィルスや不正アクセスからの防護、データ保護やバックアップ機能の強化、アクセス制限、運用管理規程の整備等従来から行っている安全性・信頼性確保のための諸対策をさらに充実・強化するとともに、データの暗号化や指紋等を利用したパスワードの導入の検討を行うとともに、研修の実施などにより利用者へのセキュリティに関する啓発を行い、安全性・信頼性確保のための対策の向上を図る。
 
 セキュリティ水準の高いシステムの構築
 新たなシステムを構築する場合及び既存のシステムの更新を行う場合には、それぞれのシステムに応じた十分なセキュリティ水準の製品や技術等を利用することにより、セキュリティ水準の高いシステムの構築を図る。
 
 監視・緊急対処体制の整備・強化
 不正アクセスやコンピュータウィルスの発生等外部からの不正侵入等を監視するため、不正アクセス検知システムの導入を検討するとともに、内部からの情報流出等を監視するため、利用履歴管理システム等の導入を図り、監視体制を強化する。
 また、セキュリティポリシーに基づき、緊急事象発生時に的確かつ迅速に対処するため、当庁内部における緊急事象発生時の対応手順・方法についてマニュアル化を図る。
 
 システム監査・評価
 情報システムの安全性・信頼性の確保を図るため、外部監査・評価機能の活用を含め、システム監査・評価をする。
 
.計画期間
 本計画の計画期間は、平成12年度(2000年度)から平成14年度(2002年度)までの3か年とする。

 

2 行政情報化の推進体制等
 
.情報化推進体制の確立等
 
(1)  長官官房審議官を情報統括責任者とし、情報統括責任者を委員長とする金融監督庁行政情報化推進委員会の場を通じて、本計画を着実に実現し、金融監督庁における総合的・計画的な行政情報化を推進する。
 
(2)  総務庁主催の情報システム統一研修への職員の派遣や当庁内の情報システム関連研修の充実等により、職員の情報リテラシー、情報モラルの向上を図る。また、情報システムの運用管理に係る技術的支援要員については、民間の技術者の活用を図る。
 
.省庁間及び庁内の連携
 
(1)  行政情報システム各省庁連絡会議等の場に積極的に参加し、省庁間の連携を強化することにより、政府全体の行政情報化推進計画の総合的・計画的な推進に寄与する。
 
(2)  金融監督庁行政情報化推進委員会幹事会等の場を活用するなどにより、システム担当部門、利用部門及び会計担当部門間の密接な連携を図り、当庁における行政の情報化を総合的・計画的に推進する。
 
.推進状況のフォローアップ
 本推進計画は、基本計画の見直し、情報化の進捗状況及び社会全体の情報化の進展状況等を踏まえ、必要に応じ見直す。
 また、金融監督庁行政情報化推進委員会において、本推進計画の実施状況のフォローアップを行う。

 

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