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金融機関検査
前事務年度においては、緊急的対応として、主要行、地方銀行、第2地方銀行に対し、自己査定及びそれに基づく償却・引当の実施状況等について実態把握するため、財務局、日本銀行とも連携しつつ集中検査を実施したところである。
本事務年度においては、近年における金融機関を取り巻く環境の大きな変化、金融取引の著しい高度化、国際化、金融機関を巡る不祥事の増加を踏まえ、金融検査マニュアルに基づき、金融機関における自己責任原則の徹底を前提に、資産内容の健全性、ルール遵守状況、リスク管理状況等について、的確な実態把握に努める。
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金融機関等グループ・コングロマリットの一体的な実態把握
金融機関等の信託子会社、証券子会社等に対しても、資産内容の健全性、ルール遵守状況、リスク管理状況等に関する実態把握を行っていくが、その際、連結ベースでの監督を踏まえ、親金融機関等と金融機関等子会社のグループを一体的に検査するなど効果的な実態把握に努める。
また、我が国の金融機関等の海外支店、海外現地法人についても、本店・本社等の検査の実施と合わせて、ルール遵守状況、リスク管理状況、特に本店の資産内容の健全性に影響を与えるような取引に重点をおいた検査を実施する。
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保険会社検査
保険会社については、銀行と同様、平成10年3月期から自己査定制度が導入され、自己査定に基づき償却・引当を適切に行うこととされている。また、平成11年4月から早期是正措置制度が導入され、ソルベンシー・マージン比率に基づいて、必要な措置が適時に講じられることになっている。本事務年度においては、こうした制度的枠組みを踏まえ、生命保険会社を中心に資産内容等の実態把握のための検査を集中的に順次実施する。
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証券会社等検査
証券会社については、金融システム改革によってその業務等が大幅に自由化されたことに伴い、検査を通じた資産内容の的確な実態把握が一層重要となる。また、平成11年4月から証券会社等は顧客から預託を受けた有価証券等を自己の固有財産と分別して保管することが義務付けられている。こうしたことを踏まえ、資産内容の厳正な把握、早期是正措置制度の基盤となる自己資本規制比率のチェックと合わせ分別管理状況に重点を置いた検査を的確に実施する。
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外国金融機関等に対する検査
ビッグバンの本格化に伴い、外国金融機関等の我が国への進出、我が国金融機関等との提携が増加していることに鑑み、在日外国金融機関等のルール遵守状況、リスク管理状況等に重点を置いた検査を実施することが、これまで以上に重要になってきている。外国金融機関等については、我が国市場における活動状況を踏まえつつ、銀行支店、証券支店、信託銀行現地法人、投資顧問等をグループとして一体的に検査を行うことにより、効果的な実態把握を行う。
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内部モデルに関する金融検査
マーケット・リスク規制は、バーゼル委員会合意に基づき、平成10年1月から我が国でも導入されているが、市場リスクの計測のために採用されたリスク計測モデル(内部モデル方式)の妥当性等の実態把握に重点を置きつつ、前事務年度に引き続き、市場関連リスクに関する検査を実施する。
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コンピュータ2000年問題に関する検査
コンピュータ2000年問題については、その対応のために残された時間も少なくなってきていることから、今後、システム対応の完了確認、作成されたコンティンジェンシー・プランの内容確認等に重点を置いた検査を実施する。 |