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運輸省の懇談会では、政府再保険の廃止・民営化の問題も含め、一切議論を制約せず、自由にオープンに議論するという方針の下、広範な問題を議論。
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自賠責保険は、創設以来、いくつかの問題点はあるが、無保険車の少なさ、被害者保護、保険料の低さ等からみて、車社会の安全ネットとして有効に機能。
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懇談会では、この自賠責制度の骨格をなす強制保険制度、二本建て制度、ノーロス・ノープロフィット原則の3つは維持する必要があるということで一致。
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政府再保険については、ただ廃止すればよいというものではなく、報告書にある5条件が満たされれば廃止していいだろうという結論。なお、再保険の廃止に関しては、税の問題も解決する必要がある。
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政府保障事業の「死亡無責事故」等への拡大については、自賠法の性格と基本的に対立する考え方であるが、一方で、交通事故の原因は複合的であり、また、犯罪や災害による死亡の場合には保障を行う制度があることから、ユーザー負担、任意保険との関係、社会保障制度全体との関係、自賠法の目的との関係等も多角的に検討した上でという前提条件付で、制度例を提示している。
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重度後遺障害者に対する保険金支払限度額について、これを引き上げる必要があるのではないかということで、これの引上げを行った場合を例示している。
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政府保障事業の「死亡無責事故」等への拡大は自賠法自体との調整をどうするかという問題があるが、重度後遺障害者に対する保険金限度額の引上げについては、任意保険あるいは社会保障制度全体との調整をどうするかという問題につながるが、あえて言えば「死亡無責事故」等への拡大に比べ難易度が少ないかという感じもする。
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政府保障事業に係る被害者の過失相殺の緩和については御存知の通りの状況。
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被害者保護の充実を図るための制度運用の改善としては、交通事故の客観的な情報の被害者側への提供、示談代行制度の運営改善、一括払いにおけるチェックシステムの強化、後遺障害者等級の認定のための専門指定医による再診断システムの導入等といった点を提起。
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政府再保険手続の規制緩和等を通じた負担軽減について、現在の事前審査全廃、支払審査の民間委託等を提起している。
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運用益を活用した政策支出については、必要なものは継続し不必要なものは縮小する、政策評価や第三者のチェック等を活用するといった考え方を提示。
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パブリック・コメントでは、運用益は第一義的にユーザーに還元すべきとの意見が多かった。ユーザーに還元するという場合、保険料引下げと保護救済の条件の改善という2つの面がある。いずれにせよ、保険料に還元するという問題は非常に大きく、当然ここには重点を置くべきと思う。
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自賠責保険の制度の問題は、自賠審の主管事項であり、今後の自賠審の検討を踏まえつつ、運輸省の懇談会も必要に応じ検討を行いたい。
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実施時期については、中央省庁の再編が2001年4月からであること等も踏まえれば、制度改正を来年やるかという問題もあるが、2001年4月から逐次実施するとともに、運用改善や政策支出の見直し・改善等の可能なものはそれを待たずに実施していくこととしている。
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