平成11年11月30日
金 融 監 督 庁

日栄及び商工ファンドに対する融資等の調査結果について

 

 

連絡・問い合わせ先

金融監督庁 Tel 03−3506−6000(代)

銀行監督第1課 川嶋(内線3321)
吉野(内線3396)
菅 (内線3323)

日栄及び商工ファンドに対する融資等の調査結果

I . 調査の経緯

 本調査は、日栄及び商工ファンドに対する銀行の融資が多額であることに対して国会等で問題の指摘があったことを踏まえ、下記 II .の銀行及び保険会社に対し、融資残高の推移等についての事実関係等の確認のために、11月4日から任意で行っていたものである。
 なお、金融機関の個々の融資対応は、基本的には各金融機関の自主的な経営判断により行われるものであり、本調査は、両社に対する銀行等の融資態度に何らかの影響を与えることを意図したものではない。

 

II . 調査対象金融機関

 日栄及び商工ファンドの有価証券報告書(日栄:11年3月期、商工ファンド:11年1月期)で、融資残高が10位以内の銀行13行及び保険会社1社を調査対象とした。
 具体的な調査対象金融機関は、次のとおりである。
 
1. 日栄に対する融資関係

第一勧業銀行、三菱信託銀行、大和銀行、東海銀行、ユービーエス・エイ・ジー銀行、東洋信託銀行、富士銀行、さくら銀行の8行
 
2. 商工ファンドに対する融資関係
シティバンク・エヌ・エイ、メリルリンチ銀行、さくら銀行、アイエヌジー・バンク・エヌ・ヴイ、第一勧業銀行、第一火災海上保険相互会社、パリバ銀行、安田信託銀行の7行1保険会社

(計13行、1保険会社)

 

III . 調査項目
 
1. 両社等(両社及びそれらの子会社・関連会社)との人的・資本的関係
 
2. 過去5年間の両社等への融資等(融資、社債の保有等)の残高の推移等
 
3. 両社等への融資等に対する認識、今後の融資等の方針

 

IV . 調査結果
 
1. 両社等との人的・資本的関係
 
(1) 人的関係(過去5年間の役職員の派遣状況)
 
日栄
2行(役員1、職員1)
(注 )8行から日栄の子会社・関連会社への派遣及び8行の子会社・関連会社から日栄又はその子会社・関連会社への派遣はない。
 
商工ファンド
各行派遣実績なし。
(注 )7行1社から商工ファンドの子会社・関連会社への派遣及び7行1社の子会社・関連会社から商工ファンド又はその子会社・関連会社への派遣はない。
 
(2) 資本的関係(過去5年間)
 
日栄への出資比率の推移(8行合計)
 

(単位:%)

年/月末

7/3

8/3

9/3

10/3

11/3

11/9

8行合計

3.4

3.4

3.4

3.2

3.0

3.0

 

8行中最高出資

1.7

1.7

1.7

1.7

1.6

1.6

(注 )8行から日栄の子会社・関連会社への出資及び8行の子会社・関連会社から日栄又はその子会社・関連会社への出資はない。
 
商工ファンドへの出資比率の推移(7行1社合計)
 

(単位:%)

年/月末

7/3

8/3

9/3

10/3

11/3

11/9

7行1社合計

0.6

0.6

0.4

0.4

0.4

0.4

 

7行1社中最高出資

0.4

0.4

0.3

0.3

0.3

0.3

(注 )7行1社から商工ファンドの子会社・関連会社への出資及び7行1社の子会社・関連会社から商工ファンド又はその子会社・関連会社への出資はない。

 

2. 過去5年間の両社等への融資等の残高の推移等
 
(1) 過去5年間の両社等への融資等の残高の推移
 
日栄への融資等の残高の推移(8行合計)
 

(単位:億円、%)

 

7/3

8/3

9/3

10/3

11/3

11/9

8行合計   (a)

       (a')

896

987

1,197

1,183

949

816

896

987

1,107

1,033

879

786

 

うち子会社等からの融資

133

94

62

40

7

3

 (参考) 借入総額

 2,635

 2,888

 3,177

 3,166

 2,923

 3,263

社債の保有額合計 (b)

61

81

65

57

42

31

(参考) 社債発行残高

111

131

115

107

592

914

与信額計 (a+b)

     (a'+b)

957

 1,068

 1,262

 1,240

991

847

957

 1,068

 1,172

 1,090

921

817

(注)
1. 8行合計欄の下段(a')は、融資のうちローン・パーティシペーション・アウト等で処理したものを控除した計数。
2. 借入総額は日栄の短期・長期借入金の合計である。
3. 子会社等は、8行の子会社及び関連会社を指す。
4. 社債の保有は、銀行本体による保有のみであり、それらの子会社・関連会社による保有はない。
5. 融資及び社債の保有以外の信用供与はない。
6. 借入総額及び社債発行残高は、有価証券報告書による。

 

商工ファンドへの融資等の残高の推移(7行1社合計)
 

(単位:億円、%)

 

7/3

8/3

9/3

10/3

11/3

11/9

7行1社合計(a)

      (a')

218

261

366

695

1,756

1,717

218

251

285

264

230

232

 

うち子会社等からの融資

47

35

2

2

2

-

 (参考) 借入総額

823

973

 1,063

1,554

 2,551

2,682

社債の保有額合計 (b)

2.0

2.0

2.0

1.0

1.0

-

(参考) 社債発行残高

3.6

3.6

2.6

2.6

2.6

1.0

与信額計 (a+b)

     (a'+b)

220

263

368

696

 1,757

 1,717

220

253

287

265

231

232

()
1. 7行1社合計欄の下段(a')は、融資のうちローン・パーティシペーション・アウト等で処理したものを控除した計数。
2. 借入総額は、商工ファンドの短期・長期借入金の合計(各期1月末、ただし最終期は7月末)である。
3. 社債発行残高は、各期1月末、ただし最終期は7月末である。
4. 子会社等は、7行1社の子会社及び関連会社を指す。
5. 社債の保有は、銀行本体による保有のみであり、それらの子会社・関連会社による保有はない。
6. 融資及び社債の保有以外の信用供与はない。
7. 借入総額及び社債発行残高は、有価証券報告書による。

 

(2) 過去5年間の融資の平均金利の推移
 
日栄への融資の平均金利の推移

・8行平均金利

(単位:%)

 

7/3

8/3

9/3

10/3

11/3

11/9

短期金利

 3.70

 2.39

1.96

 1.86

 1.73

1.88

長期金利

 4.35

 2.71

2.38

 2.22

 2.17

2.16

(注) 8行平均金利は8行の金利の単純平均である。

 

商工ファンドへの融資の平均金利の推移 

・7行1社平均金利

(単位:%)

 

7/3

8/3

9/3

10/3

11/3

11/9

短期金利

 3.49

 1.71

1.65

 1.80

 2.16

1.94

長期金利

 4.81

 3.42

2.75

 2.52

 2.46

2.29

(注) 7行1社平均金利は7行1社の金利の単純平均である。

 

(3) 日栄・商工ファンドへの融資における担保等の状況

 担保等については、その大半が債権譲渡担保(予約を含む。)であるが、そのほか定期預金、有価証券、不動産(土地、建物)を担保として徴求している。

 

3. 両社等への融資等に対する認識、今後の融資等の方針
 
(1) 従来の融資等の認識(当行グループ全体の考え方も含む。)
 
日栄に対する融資等の認識

 東証一部上場企業であり、業況業容が良好との認識で融資等を行った銀行があったが、他方で、業績は良好と認識しつつも、将来の不良債権の増加や業務内容等を懸念し、融資等に慎重な対応を行った銀行もあった。
 また、業務運営面での社会問題化や不良債権増加リスクを勘案し、新規融資を消極的に扱う方針に変更した銀行もあった。
 

商工ファンドに対する融資等の認識

 東証一部上場企業であり、業況業容が良好で、高い収益力・成長力を有しているとの認識や他の金融機関が取引対象としていない零細企業に対する運転資金融資分野の社会的意義があるとの認識で融資等を行った銀行等があったが、他方で、業績は良好と認識しつつも、将来の不良債権の増加や業務内容等を懸念し融資等に慎重な対応を行った銀行等もあった。
 また、業務運営面での社会問題化や不良債権増加リスクを勘案し、新規融資を消極的に扱う方針に変更した銀行等もあった。
 (注)銀行等とは、銀行又は保険会社を指す。
 

(2) 今後の融資等の方針
 
日栄に対する融資等の方針

 新規融資の中止の方針を示した銀行があった他、既存融資について約定弁済による回収等で与信を圧縮する方針や、今後の動向を見ながら慎重に対応するとの方針を示した銀行があった。
 

商工ファンドに対する融資等の方針

 新規融資を中止する又は新規融資に慎重に対応するとの方針を示した銀行等があった他、既存融資について約定弁済による回収等で与信を圧縮する又は現在の水準以上の融資等をしないとの方針を示した銀行等があった。また、資金繰り動向、財務内容の推移を注視しつつ、現状維持方針とするも、今後の社会的批判等の影響を考慮し、与信方針の再検討を行うとの方針を示した銀行等もあった。
 (注)銀行等とは、銀行又は保険会社を指す。

 


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