平成12年2月4日
金 融 監 督 庁

 
保険会社の財務面の監督上の措置の見直しについて
 

 平成11年12月24日付でパブリック・コメントに付した標記の件につきましては、平成12年1月17日をもってコメントの受付を締め切らせて頂きました。お寄せ頂いたコメントを踏まえ、2月4日付で保険業法施行規則(総理府令・大蔵省令)等の改正を行います。ご協力ありがとうございました。

 お寄せ頂いたコメントの概要及びそれに対する考え方は以下のとおりです。

コメントの概要

コメントに関する考え方

【告示第50号改正関係】

(第1条第3項第5号)

○ 「法定準備金に積み立てる額及びこれ
 に準ずるものの額」とあるが、「これに
 準ずるものの額」とは何を指すのか明記
 して頂きたい。((社)日本損害保険協会)

○ 赤字会社等繰延税金資産を計上すべき
 でない会社にもかかわらず、剰余金があ
 れば、ソルベンシー・マージン基準上の
 税効果相当額を算出する規定となってお
 り修正頂きたい。((社)日本損害保険協
 会)

(第1条第4項)

○ 算入限度額については、異常危険準備
 金が含まれる一方、一般貸倒引当金が除
 外されるが、このような範囲とした理由
 如何。((社)日本損害保険協会)
 
 

(第1条の2)

○ 子会社等への追加出資が、経営支援に
 伴うものである場合のほか、純粋な業容
 拡大に伴う場合も想定し得るので、画一
 的な規制とならないよう「意図的な保有」
 の定義を明確にする必要がある。((社)
 生命保険協会、住友生命)
 

(第2条)

○ 「意図的な取引」の定義については、
 事務ガイドライン等に明記願いたい。
 ((社)生命保険協会、(社)日本損害保
 険協会、住友生命)

 

 

○ 事務ガイドラインにおいて、「基金の
 償却に充てることを目的として資本の部
 に積み立てる任意積立金の額」が含まれ
 ることを明示する。

○ ご指摘のように、繰延税金資産を計上
 すべきでない会社においては、ソルベン
 シー・マージン基準上の税効果相当額に
 ついても算入しないこととする。
 
 

 

○ 保険業法施行規則第88条の2におい
 て、異常危険準備金は負債の部に計上さ
 れるべき金額から控除する扱いとされて
 いる一方、一般貸倒引当金はそのような
 扱いにはなっていないことと平仄をとっ
 たものである。

 

○ 保険会社の財務の健全性確保の観点か
 ら生・損間のダブル・ギアリングの否認
 という制度を導入することとした趣旨に
 鑑みるに、子会社等への出資についても、
 それ以外への出資同様、経営支援に伴う
 ものか、純粋な業容拡大に伴うものかで
 で区別する合理性はないと考える。

 

○ 事務ガイドラインにおいて、意図的な
 取引を把握するための留意点等について
 示す。
 

  なお、ソルベンシー・マージン基準については、保険会社の健全性の指標としてより
 適切なものとなるよう今後とも不断の見直しを行っていく所存です。
【告示第48号改正関係】

〇 標準予定利率の算定方法について、変
 更時点の金利動向を反映せず、過去の金
 利水準のみに基づき決定されることとな
 っていることから、直近の金利動向や経
 済情勢等を勘案し設定するものとすべき
 である。
 ((社)生命保険協会、日本生命、第一生
  命、住友生命、明治生命、朝日生命、
  大同生命、富国生命)

〇 対象利率1%以下の部分に対する安全
 率係数について、過去の金利水準をみる
 と長期国債の応募者利回りが1%を切っ
 たのは過去3回だけであることから考え
 て0.9は小さすぎることから1.0ま
 たは0.99程度とすべき。
 ((社)生命保険協会、第一生命、住友生
  命、朝日生命、三井生命、富国生命)

〇 保険期間の長短や、一時払養老保険等
 の金融類似商品における保険契約の特性
 に応じ標準予定利率の設定を別々に行う
 べきである。
 (第一生命、住友生命、朝日生命、アメ
  リカンライフインシュアランスカンパ
  ニー)
 

〇 「優良体保険」にかかる標準責任準備
 金計算に用いる予定死亡率に保険料計算
 のものを使用することは、責任準備金の
 切り下げ競争につながることから、責任
 準備金の計算の基礎としては標準予定死
 亡率を用いるべきである。
 (日本生命、第一生命、住友生命、朝日
  生命、大同生命)

〇 「優良体保険」については単に標準予
 定死亡率の適用範囲外とするのではなく、
 専用の標準予定死亡率を新設する必要が
 ある。
 (富国生命)

〇 責任準備金の計算の基礎として予定解
 約率の使用の可否が不明確であるが、保
 険料計算に解約率を用いている保険商品
 については、不安定な将来の解約発生に
 依存して責任準備金の水準を切り下げる
 こととなることから標準責任準備金計算
 において予定解約率を用いない又は標準
 率を設定するべきである。
 (日本生命、第一生命、住友生命)

【告示第230号改正関係】

〇 保険会社の健全性強化の効果の少ない
 場合、例えば純保険料に占める法第3条
 第4項第1号に掲げる保険部分の占率が
 一定水準以下の場合は、標準対象外契約
 とするべきである。
 (アメリカンファミリーライフアシュア
  ランスカンパニーオブコロンバス)

【告示第48号、告示第230号改正関係】

〇 標準責任準備金制度に係る告示の施行
 時期に関しては、平成12年4月1日以降
 契約する保険契約に対して適用すること
 とする必要がある。
 ((社)生命保険協会、富国生命、アメリ
  カンライフインシュアランスカンパニ
  ー)

 

〇 標準予定利率水準の算定方法にかかる
 透明性確保の観点、及び直近の金利水準
 を含めつつ金利の中長期的トレンドに則
 って予定利率を設定するべきとの考え方
 から、直近の金利動向を過重に勘案する
 ことは適当でない。
 
 
 

〇 対象利率1%以下の部分に対する安全
 率係数については、近年の金利水準の動
 向に基づき、1%を割り込む確率を算定
 したものであり、実績に基づく合理的な
 ものであると考えている。
 
 
 

〇 標準予定利率については、金利水準の
 連続性の観点、金利の中長期的トレンド
 に則って予定利率を設定するべきとの考
 え方から、保険期間の長短にかかわらず、
 同一水準で設定しているものである。基
 本的には、保険的設計に基づく商品であ
 れば共通の予定利率設定方法に基づくこ
 とは合理的であると考える。

〇 標準予定死亡率に基づく設計とならな
 い保険商品にかかる責任準備金の計算基
 礎としては、その保険商品に則した適正
 な予定死亡率を使用することが妥当であ
 ると考えている。
 
 
 

〇 引受基準が異なるそれぞれの「優良体
 保険」について、共通の予定死亡率を新
 たに設定することは無理があると考えて
 いる。
 

〇 責任準備金の計算の基礎に適正な予定
 解約率を使用することは否定されないも
 のと考えている。
 
 
 
 
 
 

 

〇 保険契約の内容が法第3条第4項第1
 号に掲げる保険とそれ以外の保険との組
 合せによる場合であっても、同号に掲げ
 る保険の部分については、標準責任準備
 金制度の対象とするのが適当である。
 
 

 

〇 標準責任準備金制度に係る告示の改正
 については、保険会社の体制整備のため
 所要の期間を設けることとし、平成12年
 4月1日を施行日とする。
 
 
 

内容についての照会先

金融監督庁 TEL 03-3506-6000 監督部保険監督課

  白川、齋藤、後澤、山口(内3347)、足立(内3432)


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