平成12年5月11日
金 融 監 督 庁
 

 「「貸金業の規制等に関する法律」の一部改正等に伴う政令案及び命令案の概要の公表について」(命令案関係)のパブリックコメントに対する回答の公表について

 
 金融監督庁及び大蔵省は「貸金業の規制等に関する法律」の一部改正等に伴う政令案及び命令案を制定するに当たり、平成12年3月30日(木)に、検討案を示しパブリックコメントを求めましたが、寄せられた命令案についての意見等の概要及びそれに対する考え方は以下のとおりです。なお、政令案に係る意見等の概要等に対する考え方は、大蔵省のホームページにおいて既に公表済です。

(注 )下記は「貸金業の規制等に関する法律」の一部改正等に伴う政令案及び命令案に係るものであり、出資法、利息制限法等に関する事項等については、今般の政令案及び命令案に直接関係しないため掲載しておりません。また、今般の政令案及び命令案に関わるものであっても、法令上明らかと思われるようなお尋ね等についても掲載しておりません。
  

問い合わせ・連絡先

金融監督庁  TEL 03−3506−6000
   監督部銀行監督第2課金融会社室金融会社第1係

 例えば、保証人に対する事後交付書面に関する法第17条第3項の規定により交付する書面と同条第4項の規定により交付する書面のように、交付する書面の記載事項が重複する場合には、同じ事項を重複して記載しなければならないのか。
(答)
 交付する書面の形式にもよるが、法第17条第3項の書面と第4項の書面において同じ事項を記載する際には、重複する記載事項については省略して記載して差し支えない。
  
 法第17条第2項第2号の「保証期間」とは、根保証以外の通常の保証の場合にはどのように記載すべきか。
(答)
 主債務の存続中は保証債務が存続する趣旨の保証ということであれば、保証人に誤解が生じないように、例えば、「本件被担保債務が消滅するまでの間」と記載することが考えられる。
 
 小口カードローン等についても、法第17条第2項、第3項及び第4項による保証人に対する書面交付が必要なのか。
(答)
 法第17条第2項、第3項及び第4項の書面交付義務に関しては、法律上、小口のカードローンであっても書面交付義務が免除されているわけではないので、当然、これらの規定に基づく書面交付が必要である。
 
 書面交付については、経過措置を設けて6月1日から施行しないで欲しい。
(答)
 改正法の附則において法第17条に関する施行日の扱いは明らかであり、その法律の規定の趣旨に反するような規定を政省令で設けることはできない。
 
 保証人となろうとする者へ事前交付書面(法第17条第2項)を交付したが、保証人となることを拒否した場合、交付書面の返還請求はなしうるのか。
(答)
 貸金業規制法上特段の定めはなく、貸金業者、債務者と保証人となろうとする者の間の問題である。
 
 保証人への事前交付書面(法第17条第2項)について、債務者から情報開示の承認をとる必要があるか。
(答)
  貸金業規制法上特段の定めはない。
 
 保証契約の内容が途中で更改等により変更される場合、法第17条第2項、第3項及び第4項の規定による書面の交付義務はあるのか。
(答)
 保証契約の内容を変更する契約の内容如何であるが、変更が、法第17条第2項の「保証契約を締結しようとするとき」や同条第3項、第4項の「保証契約を締結したとき」に当たる場合には、書面の交付が必要である。
 
 貸付限度額が変更になる場合に保証人への書面の交付は必要か。
(答)
 法第17条
第4項の規定において、「貸付けに係る契約で保証契約に係るものを締結した時」に当たる場合には、保証人への書面交付が必要となる。なお、貸付限度額自体は、債務者及び保証人に対する交付書面の記載事項ではない。
 
 法第24条等における「相当の注意」や「証明」の具体的内容如何。
(答)
 「相当の注意」や「証明」については、密接な関係を有する保証業者等が債権の取立てに当たり取立行為規制違反等をしないような注意義務を果たしているか否かを判断するのに必要な基準であるが、いずれにせよ、個別具体的な事情に応じて判断されるべき問題である。
 
10 貸付けに係る契約、保証契約及び貸付けが施行前に行われ、施行後に債権譲渡が行われた場合、受取証書の交付は改正法によるのか。
(答)
 受取証書の交付については、経過措置が設けられておらず、当然、改正法による。
 
11 貸付けの利率において、小数点以下1位未満の記載をしても問題ないのか。
(答)
 貸金業規制法において貸付けの利率を債務者等に交付する書面の記載事項としている趣旨は、貸付けに係る契約の内容を明らかにする事項を債務者等に対して通知する必要があるためであり、小数点以下1位未満の記載をしたとしても、当該法の趣旨に反するものではないことから、現行と同じ扱いとするよう、規則で明確化することとしている。
 
12 債務者や保証人への交付書面の記載事項において、期限前弁済に係る規定を新設している趣旨如何。
(答)
 いわゆる商工ローンを巡る貸金業者と債務者や保証人とのトラブルの中には、期限前弁済の取扱いを巡るものも多いとの指摘があることから、債務者等への情報提供の充実の観点から、「契約上、返済期日前の返済ができるか否か及びできるときはその内容」を債務者に交付する書面に記載することとした。
 なお、保証人に交付する書面にも期限前弁済に係る規定を設けることとした。
 
13 分割払いやリボルビング払いでは、どのような場合に「返済期日前の返済」という扱いをするのか。
(答)
 取引の実態によるが、契約上の返済のスケジュールよりも前倒しで返済する場合には、これに当たる。
 
14 債務者や保証人への交付書面の記載事項において期限前弁済に係る規定を新設したことにより、「期限前弁済の禁止は公認された」との主張を招くのではないか。
(答)
 いわゆる商工ローンを巡る貸金業者と債務者や保証人とのトラブルの中には、期限前弁済の取扱いを巡るものも多いとの指摘があることから、債務者等への情報提供の充実の観点から、「契約上、返済期日前の返済ができるか否か及びできるときはその内容」を債務者に交付する書面に記載することとしたものであり、いずれにせよ、法律上、期限前弁済を認めないことを禁止する旨の定めではなく、また、自主規制において期限前弁済を認めないことを禁止するとの規定を設けることを制限する趣旨ではない。
 
15 包括貸付け契約や根保証契約を締結した場合など書面交付の時点では記載事項が確定していないときがあるが、債務者や保証人への交付書面の記載事項においてどのように記載すべきか。
(答)
 包括貸付け契約や根保証契約を締結した場合においては、書面の交付時点では、個別の貸付けの契約がなされておらず、貸付けの金額、貸付けの利率等書面の記載事項の一部が明らかでないことが考えられるが、このような場合にはその時点において明らかでない事項については記載する必要はない。
 
16 特にリボルビングの場合には弁済の回数が多いことから、「貸付けに係る契約に基づく債権の一部が弁済その他の事由により消滅したときは、その事由及び年月日」を保証人への交付書面に記載する必要はないのではないか。
(答)
 主債務者の過去の返済状況は、保証人にとって有益な情報であり、交付書面に記載することとするのが適当である。
 
17 債務者や保証人への交付書面の記載事項において、例えば、「債権の一部が弁済その他の事由により消滅したときは、その事由及び年月日」を記載することとされているが、過去全てのものを記載させる場合等では業者の負担が大きいので合理的範囲に限るべきではないか。
(答)
 場合によっては業者に負担をかけることもあり得るが、いずれにせよ、交付書面の記載事項は債務者や保証人への情報提供の充実の観点から記載すべきと考えられる事項である。
 
18 パブリックコメントにおいて記載されていた「貸付けに係る契約について他の保証人があるときは、その商号、名称又は氏名及び住所並びに負担する債務の範囲」や「保証人が他の保証人と連帯して債務を負担するときはその旨」との記載事項は他の保証人の個人情報保護の観点から問題であり、削除すべきではないか。
(答)
 ご指摘も踏まえ、当該事項については保証人への交付書面の記載事項には入れないこととした。
 
19 事前交付書面には、どの程度熟慮期間が必要なのか。
(答)
 法第17条第2項は、保証をしようとする者が、あらかじめ保証契約の内容を十分理解した上で保証契約を締結できるよう設けられた規定であり、事前交付書面については、かかる法の趣旨に沿って交付されていなければならない。
 
20 保証契約に基づく債務の弁済の方式等は、主債務と保証債務で同じなので重複して記載させる必要はないのではないか。
(答)
 異なる場合もありうることから、別途記載させることとしたものである。
 
21 保証人に交付する書面で「弁済を受ける場所」を記載すると、それ以外の場所で弁済を受けられなくなるのではないか。
(答)
 交付書面上の「弁済を受ける場所」以外の場所で弁済を受けられるか否かについては、交付書面の記載いかんにかかわらず、あくまでも契約自体の解釈によるものである。
 
22 保証人への交付書面の記載事項のうち「保証契約の極度額」との記載は、「貸付け契約の極度額と同額であり、支払いをするまでの利息を加える。」等の形で良いか。
(答)
 少なくともその時点で確定している場合には、確定金額を記載する必要があり、また、元本の極度額である場合には、これに加えて、例えば、「元本の極度額であり、支払をするまでの利息を加える。」等の記載が考えられる。
 
23 債務者や保証人への交付書面の記載事項における「担保の内容」とはどのように記載するのか。
(答)
 現行の規則第13条第1項第1号ヌと同じであり、いずれにせよ、担保の目的物が特定できる必要がある。
 
24 法第17条第4項に規定する貸付けに係る契約の内容を明らかにする書面とは、債務者に対して交付する書面と同一のものでなければならないのか。或いは、別途の様式での交付も可能なのか。
(答)
 法第17条第4項においては、法第17条第1項各号に掲げる事項を記載した書面の交付義務を規定しており、法令の要件を満たしていれば、別途の様式での交付も可能である。
 
25 契約後、債務者から完済された時等は、保証人へ連絡するのか。また、連絡は口頭で良いのか。
(答)
 貸金業規制法上は、第22条において、「貸金業者は、貸付けの契約に基づく債権についてその全部の弁済を受けた場合において当該債権の証書を有するときは、遅滞なく、これをその弁済をした者に返還しなければならない。」と規定されているほか特段の定めはない。
 
26 貸金業者が備えるべき帳簿の記載事項に係る改正の具体的内容如何。
(答)
 現行規則第16条第1項第3号において、「貸付けの契約に基づく債権の全部又は一部について弁済を受けたときは、各回の弁済(過去3年間のものに限る。)に係る」受領金額、受領年月日、残存債務の額等を記載することとされているが、この「過去3年間に限る」との限定を削除することとし、各回の弁済に係るこれらの事項についても、過去全てのものを保存する義務があることとした。
 
 なお、規則第17条第1項の3年間の帳簿の保存期間については、今回改正は行わない。
 
27 帳簿の保存義務が強化されたということは、弁護士等からの開示請求のあった場合や裁判等における開示義務が強化されたのか。
(答)
 事務ガイドライン3-2-3(1)においては、「債務者、保証人その他の債務の弁済を行おうとする者から、帳簿の記載事項のうち、当該弁済に係る債務の内容について開示を求められたときに協力すること」と規定されているが、貸金業規制法上、帳簿の開示義務はなく、今回の改正における帳簿の保存義務の強化によって法令上開示義務が新たに課せられるものではない。
 
28 最新の返済期日から過去3年間以上の帳簿の記載事項を保存するのは事務量やコストがかかり対応が困難ではないか。
(答)
 今回の改正は、規則第17条の3年間の帳簿の保存期間の延長を行うものではなく、帳簿の記載事項のうち、各回の弁済に係る事項について、「過去3年間のものに限る。」とされていた限定を削除するものである。当該事項は、通常、債務が存在している限り、保存されているものと考えられる。
  
29 帳簿の記載事項の限定がなくなり、どれだけ保存すべきかが不明確になったのではないか。
(答)
 規則第16条第1項第3号の改正により、各回の弁済に係る事項についても、帳簿の保存期間内において、すべて保存すべきこととなった。
 なお、帳簿の保存期間に係る規則第17条第1項は改正されていない。
 
30 包括貸付け契約の場合、個別契約の書面においては、例えば、「包括貸付け契約の契約番号を明記し、「包括貸付け契約(契約番号〇〇)と同一である。」等の記載で足りるか。
(答)
 法第17条第1項においては、貸付けに係る契約を締結したときには、同項各号に掲げる事項についてその契約の内容を明らかにする書面をその相手方に交付しなければならない旨規定されており、包括契約の書面と個別契約の書面それぞれにつき同条第1項各号に掲げる事項を記載しなければならない。
 
31 「保証の仕組み(種類、極度額等)の概略を記載した説明書」はどのように記載すればよいのか。
(答)
 保証人の中には、保証契約の内容を十分理解しないまま契約を締結している場合があるとの指摘があることから、保証の仕組みの概略を記載した説明書を交付することとしたものである。当該説明書については、当該保証契約の種類やその効力、根保証の場合の極度額の説明、債務の残高の総額、保証人が負担する債務の範囲等をわかりやすく記載すべきものである。
 
32 法第17条第2項第3号の「保証金額」とは、根保証の場合には何を意味するのか。
(答)
 根保証契約締結時点において保証の対象となることが見込まれる債務の額を意味する。
 
33 帳簿の記載事項に関し、施行日において弁済に係る事項が保存されていない場合の取扱い如何。
(答)
 経過措置により、施行日前の直近の弁済を受けた日から3年前の日より前になされた弁済に係る事項が保存されていない場合には、新規則は適用されないので、刑事罰や行政処分の対象とはならない。
 
 ただし、施行日前の直近の弁済を受けた日から3年前の日以後になされた弁済に係る事項について保存がされていない場合には、現行規則違反となるので、刑事罰や行政処分の対象となるのは当然である。
 

Back
メニューへ戻る