平成12年5月12日
金 融 監 督 庁
  
適正な保険契約の締結等を確保するための環境整備について

 

 平成12年3月31日付でパブリック・コメントに付した標記の件につきましては、平成12年4月21日をもってコメントの受付を締め切らせて頂きました。お寄せ頂いたコメントを踏まえ、本日付で保険業法施行規則(総理府令・大蔵省令)の改正を行うこととしました。ご協力ありがとうございました。

 お寄せ頂いたコメントの概要及びそれに対する考え方は以下のとおりです。

 

コメントの概要 コメントに対する考え方
【債務者区分を基礎とした不良債権額の開
示の義務付け(第59条の2第1項改正関
係)】
 
 「その他資産中の未収利息及び仮払
金」について、未収利息は貸付金及び貸
付有価証券に係るものが、仮払金は貸出
金に準ずるものがそれぞれ対象となる旨
事務ガイドライン等で明確化して頂きた
い。((社)生命保険協会、(社)日本損害
保険協会)
 
 これまで、保険会社には本規定の開示
が求められてこなかったことに鑑み、開
示の初年度については、経過措置とし
て、直近1年分に係る開示でよいことと
して頂きたい。((社)日本損害保険協
会)
 
 預金取扱金融機関については、「金融
検査マニュアル検討会最終とりまとめ」
において、金融機能の再生のための緊急
措置に関する法律施行規則第4条に定め
る債権区分と同マニュアル上の債務者区
分との対応関係が明示されており、保険
会社の場合も事務ガイドライン等におい
て同様の手当てが必要。((社)日本損害
保険協会)
 
【契約内容の一部変更権のある保険商品に
係る審査基準の追加(第11条第1項第9
号改正関係)】
 
 「保険料率その他契約内容の全部又は
一部を変更」について、生命保険会社に
とって現時点で該当するものは「基礎率
変更条項」のみであることを確認した
い。((社)生命保険協会)


 
 「保険料率その他契約内容の全部又は
一部を変更」について、保険料率及び予
定利率以外では該当する事例がないので
「保険料率その他契約内容の全部又は一
部を変更することができることを約した
保険契約」を「保険料率及び予定利率を
変更することができることを約した保険
契約」に改めて頂きたい。((社)日本損
害保険協会)
 
 要件として掲げられている(2)中「変更
内容の通知」については、同(1)中におけ
る「変更内容」とは同義ではないと思わ
れることから、「内容の変更の通知」に
修正すべき。((社)生命保険協会)
 
「保険契約者等が不利益を受けることな
く」については、行政当局の裁量によっ
て解釈に幅が生じる恐れがあることか
ら、定義の明確化若しくは例示する規定
に修正すべき。((社)生命保険協会)


























 
 「保険契約者等が不利益を受けること
なく、当該保険契約を将来に向かって解
除できるものであること」には、例え
ば、次のような場合が含まれることを確
認したい。((社)日本損害保険協会)
 
(1)  長期保険保険料年払特約条項が付帯
されている契約の場合
 
由)保険期間の中途において、適用
されている料率が改定されたとき
は、保険会社は改定された日の前日
の属する年度の翌年度以降、年額保
険料が変更となるため契約者は不利
益を被ることなく契約を解除でき
る。



 
(2)  積立保険における解約返戻金A表に
よる解除の場合
 
由)解約返戻金A表(注)に基づく
解除であれば、解除のペナルティな
しに解除時における当該契約の積立
金の全額に相当する金額を返れいす
るため、契約者に不利益は生じない
と考える。
 
)積立型商品で契約者都合で解除す
る場合以外の解除時に適用する解約
返戻金の額を定めた約款に添付され
る表。



 
 ご指摘の内容については、事務ガイド
ラインで明確化することとする。





 
 ご指摘の趣旨を踏まえ、附則で規定す
ることとする。




 
 ご指摘の内容について、保険会社に係
る検査マニュアルに盛り込む方向で検討
する。






 



 
 基礎率に限らず、普通保険約款に保険
契約の内容を変更する根拠条項を有する
保険契約が含まれる(例えば、財形年金
積立保険の財形法等関係法令の改正に伴
う普通保険約款の規定の変更条項及び医
療保障保険の公的医療保険制度の改正に
伴う保険契約の内容の変更条項等)。
 
 保険金額や基本給付金額の増減額の規
定や普通保険約款の変更条項があるもの
などがあり、「契約内容の全部又は一部
の変更」が適当である。





 
 ご指摘の趣旨を踏まえ規定することと
する。



 
 契約当事者の自己責任を前提とする内
容変更権付保険契約においては、それ自
体が契約上の重要事項であるとともに、
契約に当たりこれに係る部分を具体的に
明確に示すことが必要であるが、他方、
保険会社からの一方的契約内容の変更に
際して、保険契約者等が不利益を受ける
ことなく保険契約を解除できるものであ
れば、契約者等の保護に問題ないと考え
られるものである。
 後者の具体的場面は、個々の保険契約
の内容により異なるものであり例示的に
規定できるものではないが、契約者が解
除する場合に契約者価額等が何ら削減さ
れることなく返戻されるものでなければ
解除に伴い経済的不利益を被ることとな
る。
 また、保険商品の性質や変更時の状況
によって解除した後に解除前と同程度の
内容の契約を新たに締結することができ
ないものは、保険契約者等にとって必要
な保障が解除後には得られないこととな
り、解除に伴って事実上保険を受ける利
益を欠くに至ることとなるものである。
なお、その場合においても、性質上、契
約者が他者との契約等による制約を受け
ずに自己の判断により解除ができるもの
であること及び保険契約の内容の変更通
知を受けた後、保険契約を解除するか否
か判断できる十分な時間的余裕があるこ
とは必要である。 
 





 
(1)  積立型でない保険商品で保険料を年払
とする契約であって、保険年度の終了時
に契約変更の効力が生ずるとともにこれ
に対する解除が効力を生ずるもの(この
ような仕組み自体が変更されることがあ
るものを除く。)については、解除を行
う場合の経済的不利益はない。
 ただし、保険商品の性質や変更時の状
況によって解除後に同程度の内容の契約
を締結できないものがある場合は不利益
となる。なお、十分な時間的余裕をもっ
て自己の判断による解除を行うことがで
きるものであることは必要である。
 
(2)  積立型保険商品では、解除に当たりペ
ナルティのない返戻金が保証されるもの
(このような仕組み自体が変更されるこ
とがあるものを除く。)であれば、解除
を行った場合の経済的不利益はない。
 ただし、保険商品の性質や変更時の状
況によって解除後に同程度の内容の契約
を締結できないものがある場合は不利益
となる。なお、十分な時間的余裕をもっ
て自己の判断による解除を行うことがで
きるものであることは必要である。
 

 

内容について照会先

金融監督庁TEL 03-3506-6000 (代)監督部保険監督課
  白川、後澤、堀、田内、馬渕(内3343)、中根(内3346)、足立(内3432)

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