新 聞 発 表

                                                                        平成10年9月22日                                金 融 監 督 庁          「金融検査マニュアル検討会」第3回会合の開催について  本日午後、金融監督庁において「金融検査マニュアル検討会」の第3回会合が開催され た。  本日の会合においては、前回に引き続き「内部管理のあり方」等について議論が行われ るとともに、「市場リスク管理のあり方」について議論が行われた。  「内部管理のあり方」に関しては、中村委員によるレポート、バーゼル委員会における 検討状況等を踏まえて議論が行われた。  「市場リスク管理のあり方」に関しては、当局のチェックリスト、事務ガイドラインを 踏まえ、小林委員と成澤委員より、それぞれレポートが行われ、これらを踏まえて議論が 行われた。 次回(第4回)会合は、10月6日(火)の開催を予定している。     なお、前回会合(9月8日)の議事要旨は別添のとおりである。
問い合わせ先
金融監督庁  03-3506-6000(代)
検査部審査業務課        
     黒澤   内線  3269

        「金融検査マニュアル検討会」第2回会合議事要旨         
1.日  時:1998年9月8日(火) 14時00分~16時00分

2.場  所:中央合同庁舎第4号館 共用第2特別会議室

3.議事概要:
 金融検査の基本的考え方と、木村(剛)委員と中村委員からのレポートを踏まえて内
部管理のあり方等について審議が行われた。
 審議の概要は以下の通り。

(金融検査・監督の基本的考え方)
○ 検査の原則のうち「補完性」が重要であり、検査は銀行の管理のメカニズムをチェ
 ックしつつ、これをサポートしていくものという位置付けになるのではないか。

○ モニタリングについても一定のメルクマールが外に出ているということは望ましい
 ことであり、事務ガイドラインについても検査マニュアルとあわせて精緻化し、世の
 中に出していく必要がある。

○ システミックリスクは、個々の銀行の問題というよりは制度問題としてリスクをい
 かに最小にするかという問題であり、個々の銀行に対する金融検査の枠組みの中で明
 示的にとり上げる必要はないと思われる。
 
○ 検査官の人員にも限りがある中、内部管理の体制を重視するという発想は有効であ
 る。会計士はリスクアプローチという手法をとっているが、その考え方も参考にした
 うえでマニュアルの方向性を構築していくということが検査の効率性の観点からも有
 効ではないか。

○ 金融検査当局として、外国の検査目的の中にある経営者評価というものを前面に押
 し出すことも社会的に重要な意味を持っているのではないか。そういったところを我
 々のマニュアルのなかにどれだけ取り入れていくのかという問題を議論する必要があ
 る。

(内部管理システム、外部監査との連携)
○ 自己のチェック機能として金融機関内部にも検査部や監査役会があり、それを補完
 するために会計監査人が財務諸表監査を行っている。金融検査は、銀行法で定められ
 た義務及び権限があり、金融機関自身のチェック機能を超えた役割があるとも考えら
 れ、信用秩序の維持の観点からも金融検査は会計監査より機動的であり、且つタイム
 リーである必要がある。金融監督庁は金融機関の自己責任によるチェック機能を活用
 して、その仕組みを全部含めたところを検査範囲とするといった位置付けになるので
 はないか。

○ 金融検査は、プロセス重視の検査方法が陣容からみても世間の理解を得られると思
 われる。また、検査の位置付けの中で今後は責任の分担化ということが重要になって
 くる。経営者の責任が一番重要ではあるが、金融検査、外部監査等、それぞれのチェ
 ック機関がその責任を認識して、それぞれの範囲で機能する必要がある。あまり理想
 論だけを追求していると責任の所在が不明確となりがちであり、ともすれば、現実離
 れしたベストプラクティスだけを示すことになるのも問題である。

○ 財務諸表監査におけるリスク管理の位置付けについては、オペレーションリスクに
 いては特に内部管理と関係が深いと認識しているが、内部統制とリスク管理は必ずし
 もイコールではない。また、金融検査と会計監査ではリスク管理、内部統制、分類結
 果、償却・引当という部分まで考えても観点がかなり違うと思われる。

○ 平成9年3月期までは、金融検査が前提にあったため、金融機関の監査には限界が
 あったが、早期是正措置制度導入後は環境が変わったので通常の事業会社と同様に、
 監査人の責任において全ての勘定科目に係る必要な引当・償却を指示し、決算を仕切
 るということになるのではないか。


○ 金融検査と公認会計士監査との関係をどう考えていくのか、金融検査が限られた予
 算、人員の中でやっていくときにそれぞれがどういう責任を負って提携してやってい
 くかという問題は今後議論していく必要があると思われる。

○ 内部管理体制と外部監査機能との間に銀行側で連携が持たれているのかを考える必
 要があり、外部監査が財務諸表監査に限定されている現状で「内部管理体制」「監査
 機能」「プロセス検査」の役割分担が適当であるのかという根本問題はまだ残るので
 はないか。

(金融検査の示す基準)
○ 既にいくつかの分野では、実務的に模索した大蔵省時代からのチェックリストが存
 在するので、これを前提に議論していくべきではないか。

○ 金融機関が超えるべき最低基準が明確にされていないことが現在の問題である。最
 低限度の基準をクリアしていればよいという手法が、自己責任の原則と事後的検査の
 原則に合致するのではないか。

○ ミニマムスタンダードを示して後は自由という形にするのか、若しくはベストプラ
 クティスを示してそこに到達するように頑張れという形にするのか。この点はマニュ
 アルを作るうえで大きな論点になるのではないか。

○ 検査におけるミニマムスタンダードの設定については、法令遵守のように対象があ
 るものばかりでなく、リスクの種類によっては明確な対象がないものもあると思われ
 るので、その設定はかなり困難ではないか。

○ 規模の違う金融機関にリスク管理や内部統制に係る同一の水準を求めることは現実
 的に困難であるので、ベストプラクティスを示すことが望ましいが、行政処分の発動
 にかかる公正性の確保、行政側の恣意性の排除のためにも最低基準は必要である。マ
 ニュアルを公表する以上は、その点を整理する必要があるのではないか。

○ 基準はクリアでなければならないが、どのような基準を設定してもその基準につい
 ての解釈の幅という問題は残るのではないか。

○ コンプライアンスを例にとると、具体的な基準の作り方を工夫しないと、金融機関
 として何をすべきかということがほとんど伝わらないということが根本問題としてあ
 る。最低基準というようなマニュアルを作ると、それには従うが、それだけで挙証責
 任を尽くしたということになると問題であり、最低基準と努力目標基準とを、場合に
 よってはその両方を使うということも考えられるのではないか。その場合には抽象的
 なマニュアルだけではなく、具体的な基準を明示する必要があるのではないか。

○ リスクを量的に見るのか、質的に見るのか、また検査対象とする金融機関全てに一
 つのベストプラクティスあるいはミニマムスタンダードを想定するのか、それとも段
 階を設けるのかということは大きな論点になるのではないか。

○ 外国の検査の場合は、膨大なマニュアルから被検査金融機関の規模に応じたチェッ
 クリストを各検査官が作成することが多いほか、規模に応じて基準を分けていること
 もある。


(注) 本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。

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