1−4−3 資産管理

 (1) 貸出等の与信の審査・管理体制について、営業推進部門と与信審査・管理部門のバ
  ランスが、与信処理の実情に応じて保たれるような措置が講じられているか。
   与信への取組に当たって、事業計画、資金使途、返済財源、返済方法、投資効果、
  業況、財務内容、債権保全面が審査項目に入っているか。
   なお、審査に当たり、債権保全面のみに依存したものとなっていないか。
   また、与信後における債務者の業況把握、貸出条件の履行状況、資金使途の確認、
  事業計画の遂行状況といった債務者の実情にあった適切な管理を十分行っているか。

 (2) 自らの資産内容の健全性を的確に把握するための措置を講じているか。

  ○ 自己査定基準を策定して自らの資産を検討・分析し、回収の危険性又は価値の毀
   損の度合いに応じて分類区分(以下「自己査定」という)を行っているか。

  ○ 自己査定基準の策定に当たっては、商法等関係法令に準拠し、経営陣の積極的な
   関与の下で正式の行内手続を経て、文書により規定化されているか。資産査定の具
   体的な基準、自己査定の実施部署が明記されているか。基準の合理性、明確性が確
   保されているか。

  ○ 自己査定の責任部署が明確化されているか。当該部署は営業店及び本部貸出承認
   部署とは独立したものであるなど相互牽制機能が確保された体制となっているか。
   自己査定の手続き等について、検査部門等の内部監査部門が監査を行う体制となっ
   ているか。自己査定関連部門へ精通者が配置されているか。

  ○ 実際の自己査定が基準どおりに行われているか。

  ○ 自己査定結果の経営陣への報告が適宜に行われる事務フローとなっているか。経
   営陣は報告を理解し自行の資産内容を正確に把握しているか。

  ○ 自己査定結果を踏まえた、償却引当方針は明確か。外部監査人との連携は十分か。

  ○ 公認会計士協会実務指針に則った償却・引当が行われているか。

  ○ 海外の政治経済情勢等に起因して、特定の国又は地域に関連して特に生ずること
   が見込まれる貸倒損失(以下「カントリー・リスク」という。)の評価に係る合理
   的な基準が整備されているか。

  ○ カントリー・リスクの評価結果を踏まえた、特定海外債権引当勘定への引当方針
   は明確か。引当方針に則った引当が行われているか。外部監査人との連携は十分か。

  ○ カントリー・リスクの評価基準は、以下のような事実等が発生している国又は地
   域の政府、その他対象国に住所又は居所を有する自然人若しくは対象国に主たる事
   務所を有する法人に対する信用供与を適正に評価できる内容となっているか。

   (a) 当該国の政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業(以下「政府等」という。)
    に対する民間金融機関の貸出金(以下「政府等向け民間貸出金」という。)の元
    本又は利息の支払いが一月以上延滞していること。

   (b) 政府等向け民間貸出金について、決算期末前五年内に、債務返済の繰延べ、主
    要債権銀行間一律の方式による再融資、その他これらに準ずる措置(以下「債務
    返済の繰延べ等」という。)に関する契約が締結されていること。

   (c) 政府等向け民間貸出金について、債務返済の繰延べ等の要請を受け、契約締結
    に至らないまま一月以上経過していること。

   (d) 政府等向け民間貸出金について、前各号に掲げる事実が近い将来に発生するこ
    とが見込まれること。

   (e) 当該国に住所又は居所を有する自然人若しくは当該国に主たる事務所を有する
    法人に対する民間金融機関の貸出金について、(a)から(c)に類する事実が発生し
    ていること又は近い将来に発生することが見込まれること。

   (f) その他、カントリー・リスクの評価に影響を及ぼすことが見込まれる事象。
 

1−4−4 預金者等に対する情報の提供姿勢

 (1) 預金又は定期積金の受入れ
   預金又は定期積金(以下「預金等」という。)の受入れに関し、預金者等の保護に
  資するため、預金等に係る契約内容等その他預金者等に参考となる特に以下の点を含
  めた情報の提供を行う体制が整備されているか。

  ○ 主要な預金金利の店頭表示

  ○ 手数料一覧の店舗内備置・縦覧

  ○ 取り扱う預金商品のうち預金保険の対象となるものの明示

  ○ 商品内容全般に対する情報提供

   イ.商品毎に、概要説明書(記載事項は以下の通り)、規定による顧客の求めに応
    じた説明及びその交付

    ・ 商品名(愛称を含む。)

    ・ 販売対象

    ・ 期間(自動継続扱いの有無を含む。)

    ・ 預入(受入)方法(預入方法、最低預入金額、預入単位、等)

    ・ 払戻(支払)方法

    ・ 利息(利率設定方法、利率表示場所、利払い頻度、計算方法、等)

    ・ 手数料

    ・ 付加できる特約事項(総合口座の担保差入、自動集計サービス等)

    ・ 中途解約時の取扱い(解約利率・手数料等の計算方法を含む)

    ・ その他参考となる事項(上記項目以外で、預金者の権利義務に実質的な影響
     を与える事項について、メリット・デメリット双方に関する情報を公正に記載)

   ロ.デリバティブ商品等と預金等との組み合わせにより、預入時の払込金額が満期
    時に全額返還される保証のない商品を取り扱う場合には、デリバティブ商品等は
    預金等契約とは別途の契約として同時に行うものであること、預入時の払込金額
    が満期時に全額返還されることが保証されないこと等商品内容のより詳細な説明

  ○ 変動金利預金の基準とされている指標及び一定の利率設定方法が定められている
   場合はその方法及び金利情報の適切な提供

 (2) 非預金商品の取扱業務について

  ○ 商品投資に係る業務(商品ファンド)の取扱いについて

   ・ 商品ファンドが基本的に元本保証のない実績配当商品であり、元本割れ等のリ
    スクを伴う商品であることを充分に説明する等の措置を講じているか。

   ・ 銀行が「商品投資に係る事業の規制に関する法律」(平成3年法律第66号)に
    より適用除外を受ける者とされている趣旨に鑑み、同法等に定められている投資
    家保護等のための規制に沿った業務運営が確保されているか。

  ○ 小口債権販売に係る業務の取扱いについて

   ・ 銀行が「特定債権等に係る事業の規制に関する法律」(平成4年法律第77号)
    により適用除外を受ける者とされている趣旨に鑑み、同法等に定められている投
    資家保護等のための規制に沿った業務運営が確保されているか。

  ○ 抵当証券業務について

   ・ 抵当証券業の規制等に関する法律により適用除外を受ける者とされている趣旨
    に鑑み、同法に定められている購入者保護のための規制に沿った業務運営が確保
    されているか。

   ・ 抵当証券の商品内容(損失発生要因等)について適切かつ十分な説明を行って
    いるか。

   ・ 契約締結前交付書面を交付しているか。

  ○ 貸付債権信託について

   ・ 顧客に対し、当該受益権が元本割れ等のリスクを伴う商品であり、預金保険の
    対象とならないことを十分に説明するとともに、顧客の知識や経験等に応じた勧
    誘を行う体制となっているか。

   ・ 委託者が自ら募集又は私募を行う場合には、受益権の販売に際し、顧客に対し
    て、受益権の内容、格付けの有無及びその内容、委託者自らの貸付債権を流動化
    するものであることを記載した書面を交付し、十分に説明を行っているか。

   ・ 当該受益権を取り扱う営業所においては、顧客が預金等と誤認しないよう、当
    該商品を取り扱う場所を明確に分離する等の措置を講じているか。

   ・ 当該受益権の取扱窓口には顧客に判りやすい形で商品内容の全般に関する情報
    及び預金保険の対象とならないこと等の掲示が行われているか。

  ○ 地方公共団体等に対する貸付債権の流動化について

   ・ 対象債権を有する銀行は、原債務者の保護に十分配慮しているか。

  ○ 一般貸付債権の流動化について

   ・ 債務者等を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような者に対し
    て貸付債権を譲渡していないか。

   ・ 債務者の承諾を省略する方式により貸付債権を譲渡した場合においても、原債
    務者の保護に十分配慮しているか。

  ○ 貸出債権に係るローン・パーティシペーションの取扱いについて

   ・ ローン・パーティシペーション契約に当たり、原債権者はリスクの所在、原貸
    出債権の内容について参加者にわかりやすく説明する等参加者の管理能力等に応
    じた取引に十分配慮するとともに、参加者は原債務者に関する情報の十分な把握
    を行う等適切なリスク管理に努めているか。

  ○ 金の取扱い業務について

   ・ 顧客に対し、金価格が騰貴し又は下落することの断定的な判断を提供して売買
    を勧誘していないか。

  ○ デリバティブ商品の取扱いについて

   ・ デリバティブ商品の販売(デリバティブ取引を含む。)にあたっては、契約者
    双方の自己責任原則の下、顧客の知識や経験等に応じ、商品や取引の内容及びリ
    スクについて書面を用いて分かりやすく説明する等の必要な措置をとっているか。

   ・ 販売に当たる職員に対して適宜必要な研修を実施し、十分な知識と経験に基づ
    いた販売が行われるよう努めているか。
 

1−4−5 その他

 (1) 不祥事件等の発生時の対応
   不祥事件発生時の本部への連絡体制が確立されているか。事件の事実関係の調査、
  関係者の責任追求、監督責任の明確化を図る体制が整備されているか。当局、警察へ
  の報告、通報体制が確立されているか。事件の調査・解明を事件とは独立した部署で
  行う体制となっているか。証券取引所の定める適時開示を行う体制となっているか。

 (2) 苦情処理体制の充実・強化
   営業店及び本部の苦情処理体制が確立されているか。
   特に、顧客に対し十分説明する体制が確立されているか。
 


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