新 聞 発 表

 
平成10年11月18日
金 融 監 督 庁

 
金融検査マニュアル検討会」第7回会合の開催について

 

 本日、金融監督庁において「金融検査マニュアル検討会」の第7回会合が開催された。

 本日の会合においては、「信用リスク管理のあり方」「流動性リスク管理のあり方」とについて議論が行われた。

 「信用リスク管理のあり方」に関しては、前回の議論に引き続き、当局の「資産査定について」通達等の改善点等について議論を行った。

 「流動性リスク管理のあり方」に関しては、服部委員よりレポートが行われ、これらを踏まえて議論が行われた。

 次回(第8回)会合は、11月25日(水)の開催を予定している。

 なお、前回会合(11月5日)の議事要旨は別添のとおりである。

 

本件についての問い合わせ先

金融監督庁 03-3506-6000(代)
 
  検査部審査業務課
 
        黒澤 内線 3269


 

「金融検査マニュアル検討会」第6回会合議事要旨

 

1.日  時:1998年11月5日(木) 14時00分〜16時55分
 

2.場  所:中央合同庁舎第4号館共用第3特別会議室
 

3.議事概要:
  当局から金融再生関連法についての説明が行われた。
  その後、前回会合における説明とレポートを踏まえたコンプライアンスや、森委員及
 び森崎委員のレポートを踏まえた信用リスク管理のあり方についての審議が行われた。

  審議の概要については以下の通り。

(コンプライアンス検査の手法)

 ○ コンプライアンスは、それ以外のリスクに内包されていることから、コンプライア
  ンスだけを検査の対象とすることは困難ではないか。検査では、体制整備面のチェッ
  クに重点を置き、運用面については、金融機関からコンプライアンスについての報告
  を徴求し、その内容をチェックすることにより、効率的な検査が行えるのではないか。

 ○ コンプライアンス検査を行う際には、マニュアル・組織等の整備状況のチェック及
  びマニュアルに基づき事務が行われているかどうかのプロセスチェックを行う「実在
  性のチェック」、コンプライアンスについて役員から従業員までが理解し実際に業務
  を行えるかどうかの「能力のチェック」、組織が機能し利益相反が行い得るかどうか
  の「独立性のチェック」が重要である。

 ○ 外国では、公認会計士・内部監査役との連携が制度化されており、報告違反があれ
  ば、重い罰則が科せられることになる。また、当局の体制として、検査官がコンプラ
  イアンスにかかる問題を発見した時に相談するような法務専門のスタッフが存在する
  ほか、このような問題が発生した場合に備えての別動部隊が存在するところもある。
  日本の場合も、公認会計士等との連携や、法務専門スタッフの設置について今後の課
  題として検討してはどうか。
 

(コンプライアンスと監督処分の関係)

 ○ コンプライアンスについては、経営陣の認識が重要な問題である。会社単位で不正
  が行われているのであれば最初から厳しい処分を行い、また、コンプライアンス違反
  を繰り返すようであれば、懲罰的な処分を科してもよいのではないか。

 ○ 犯罪捜査と金融検査は、立証責任が捜査当局にあるか金融機関にあるかという点で
  根本的に異なる。そのため、金融検査では反面調査は必要ないが、金融機関の説明が
  信頼に足らない場合には、当局は銀行法上の措置で対応することが必要ではないか。
 

(コンプライアンス検査と告発の関係)

 ○ 告発を行うことが検査の主な目的ではなく、また、金融検査は任意の検査であるた
  め限界もある。マニュアルの中に、法令違反等を発見した場合にこれを告発するため
  の要件を示すことはできないか。

 ○ 検査・監督当局が告発を行うと、判決を待たずに金融機関の信用が失われることと
  なる。また、金融機関の健全性を検査する人員が告発のための事務にとられてしまう
  ことも問題である。ただし、マニュアルに重大な問題が発見された場合は告発すると
  いうスタンスを盛り込むことは、金融機関に対して牽制効果があるのではないか。

 ○ 公認会計士は粉飾決算等について告発できる立場にあるが、粉飾決算と認められる
  ような事実があった場合には、即告発となるのではなく、監査報告書の中で不適法で
  ある旨とその粉飾内容を記載するということで対応している。なお、監査の過程の中
  で粉飾決算等が未然に防がれているということも事実である。

 ○ 金融機関内部で犯罪等が行われた場合は、先ず金融機関自身が告発することが重要
  である。そのため、金融機関は行員が行った犯罪等について、内部管理のルールとし
  て告発する体制をとっている。こういった姿勢を示すことは、一般行員への牽制効果
  もある。ただし、一番重要な問題である経営陣のコンプライアンス違反まで及ばない
  のも事実である。経営陣のコンプライアンス違反のチェックシステムを内在的に機能
  させることは困難であるので、その体制・メカニズムを検査でチェックすべきである。
 

(信用リスク管理のあり方について)

 ○ 信用リスク管理において重要なのは、自己査定の正確性以上に、十分な引当・償却
  が行われているかどうかである。十分な引当・償却ができているかどうかは、1年後
  に引当・償却漏れがなかったかどうかで、検証すべきではないか。

 ○ 要注意先債権については、現行実務指針の下でも債権のリスクに応じた償却・引当
  が可能であったにもかかわらず、従来一律に引き当てられてきており、その内容に応
  じての引当・償却は行われてこなかった。要注意先債権についてはそのリスクに応じ
  た引当・償却を行っていくべきではないか。

 ○ 信用リスクについては、決算において使用された貸倒実績率や倒産確率についての
  事後的な検証システムがないのが問題であり、金融機関側で検証システムを作る必要
  があるのではないか。信用リスクの計量化のためには、損失が更に拡大する可能性を
  追求する必要があり、実績の後追いだけでは検証のメカ二ズムがないのと同じである。

 ○ 日本の金融機関の大半は、信用格付けの制度がまだ整備されていない。信用リスク
  の計量化は、その先の話である。今後の損失を予想することができない金融機関もあ
  ることを考慮し、当局が償却・引当についてメルクマールを定める必要もあるのでは
  ないか。

 ○ 金融機関が今後の損失を予想することは、自己責任の下で行われなければならない。
  当局が一定の償却・引当についてのメルクマールを示すことをあてにするのは、問題
  があるのではないか。データが不十分であれば、金融機関自らがトライアンドエラー
  を積み重ねることが必要ではないか。

 ○ 事前審査、与信管理等に問題がないかどうかの仕振りについては、金融機関の自己
  責任の下で金融機関自身によってチェックされるべきものではないか。

 ○ 仕振りについては、リスク管理体制の中でとりいれるべきではないか。査定をする
  中で、例えばこの与信はなぜ要注意先になったのかというような原因を追及していく。
  事前審査段階、与信管理段階、回収段階等どの段階に問題があったのかを追及してい
  き、これを積み上げることにより銀行の信用リスク管理のどこに問題があるのかをみ
  るべきではないか。
 

  (注)本議事要旨は暫定版であるため、今後修正があり得ます。


 

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