【預金取扱金融機関関係】

2000年問題対応について

 

 2000年問題対応については、平成10年7月13日付報告徴求命令「コンピュータ2000年問題対応に関する資料の提出について」により、各金融機関から、四半期ごとの対応状況の報告を求めているところであるが、今後、次に掲げる各項目に該当する場合、再度(数度にわたる場合もありうる)銀行法第24条(準用する場合を含む)等に基づき報告を求めることとし、対応の進捗状況に遅れがあり、2000年問題について顧客あるいは決済システム等に影響を与えるおそれがあると認められる場合には、銀行法第26条(準用する場合を含む)等に基づき、2000年問題対応体制の整備等の命令を発出し、あるいは業務の一部の停止を命ずることとする。
 

1.対応体制について

 対応体制について、次のいずれかに該当する場合。

(注1) ここでいう「対応」とは、各金融機関が使用するシステムについてのみならず、他の金融機関、顧客、取引先等も含め、2000年問題に関して、これらにより各金融機関が受けると考えられるおおよそ全ての影響に対して、当該金融機関が講ずるべき一切の措置をいう。
 
(注2) 「システム」には、外部に接続しているシステム、業務に直接関係するシステムだけではなく、自社内で使用するもの(人事、給与等)や、金庫、防犯設備、エレベーター等のマイクロコンピュータ搭載機器を含む。
(1)  2000年問題対応についての経営上の位置づけが経営計画等において明確にされていない場合(システム部門の業務計画のみでは不可)
 
(2)  責任者として2000年問題対応を統括する担当役員、担当部署が明確になっていない場合(システム関連部署のみでは不可)。
 
(3)  経営陣(頭取、社長、理事長等最高責任者を含むこと。以下同じ。)−担当役員−統括担当部署−担当部署の指揮命令、報告体制が明確になっていない場合。
 
(4)  経営陣に対して、少なくとも月に1度以上、2000年問題の対応状況、進捗状況が報告されていない場合。
 
(5)  進捗状況の遅れに対して経営陣から具体的な対応の指示が行われていない場合。
 
(6)  2000年問題が抱えるリスクを職員全体に周知し、理解を深めるための方策を採っていない場合。

 

2.対応策の策定について

(1)  2000年問題対応が必要なシステムの洗い出しが終了していない場合及び洗い出しにおいて対応が必要なシステムを対応不要と分類している場合。
 
(注1) ここでいう「対応」とは、修正のほか、テスト(内部テスト、顧客との接続テスト(必要な場合)及び外部接続テスト(必要な場合)をいう。以下同じ。)を含む。
 
(注2) メーカー等が2000年対応済とする(保証する)システムであっても、改めて自社内での2000年問題対応のためのテストが必要。
 
(注3) 「外部接続テスト」とは、日銀ネット、東証システム等との接続に係るテストをいう。
 
(2)  システムへの対応(修正、内部テスト及び外部接続テスト(外部に接続されている場合)の完了)のための適切な計画が作成されていない場合。
 「ここでいう適切な計画」とは、
 
 対応スケジュールは原則として次に合致するものとし、これに合致しないものについては、1999年末までに確実に対応できることについて合理的な説明があるものをいう。ここで「合理的な説明」とは、少なくとも、該当する各システムについて、2000年1月1日以降の日付を初めて扱うことになる時期、テストにより修正箇所が発見された場合の対応(技術者、費用、時間が確保されているか)、完了が9912月1日以降となるものについては完了しなかった場合の対応を考慮していることが必要。
  • 1998年末までに、重要なシステムの修正、内部テスト及び接続している顧客の特定が終了していること。
     
  • 1999年6月末までに、重要なシステムについて外部接続テスト、顧客との接続テストを完了していること。
     
  • 1999年9月末に、対応が完了していないシステムが残っていないこと。
     
 対応の優先順位が明確にされていること
 
 1999年から2000年にかけての年またぎ、2000年の閏日のほか、各システムの特性に合わせた日付を考慮したテストを行っていること。

をいう。
 

(3)  2000年問題対応に必要な費用が適切に見積もられていない場合、またはその費用が確保(予算化もしくは予算化のメドが立っていること)されていない場合。
 
(4)  2000年問題に関して自社に影響を与え得る顧客(大口与信先、大口預金先)、主要取引先等(EB先等接続している先を除く)についての実態把握、これを踏まえた対応が考慮されていない場合。

 

3.計画の進捗状況について

(1)  計画の進捗状況について、次のいずれかに該当することとなり(当初計画通りの場合を除く)、かつ1999年末までに十分な対応が行われることの合理的な説明がない場合。
  • 1998年末までに、重要なシステムの修正、内部テスト(顧客との接続テストを除く)及び接続している顧客の特定が終了していない。
     
  • 1999年6月末までに、重要なシステムについて対外接続テスト、顧客との接続テストを完了していない。
     
  • 1999年9月末に、対応が完了していないシステムが残ってい
(注 「合理的な説明」とは、少なくとも、該当する各システムについて、2000年1月1日以降の日付を初めて扱うことになる時期、テストにより修正箇所が発見された場合の対応(技術者、費用、時間が確保されているか)、完了が9912月1日以降となるものについては完了しなかった場合の対応を考慮していることが必要。
 
(2)  1999年末までに対応が完了しない見通しのシステムがあり、対応が完了しないことによる影響が大きいと考えられる場合
 
(3)  システムの修正が大幅に遅れており、システムのテストが十分に行えないことが明らかな場合(例えば、テストの結果修正箇所が見つかった場合の対応、銀行間決済システム等のインダストリー・ワイド・テストに参加しないこと等について合理的な説明が行われていない場合)
 
(4)  2000年問題に関して自社に影響を与え得る顧客、主要取引先等についての実態把握、これを踏まえた対応を行っていない場合(接続先とのテストを除く)。

 

4.危機管理計画の作成について

(1)  1999年3月末以前は、危機管理計画の作成に着手していない場合。
 
(注 危機管理計画は、システム修正、テストが完了している場合、外部にシステムを委託している場合であっても必要。
 
(2)  1999年6月末までに、危機管理計画が全く作成されていない場合。
 
(注 危機管理計画には、自社の保有するシステムに起因するトラブルだけではなく、顧客、取引先サイドに発生したトラブルの波及について考慮が必要。また、システムダウンだけではなく誤作動(とくに、2000年問題に起因するものか、危機管理計画を発動すべきかを、どのように誰が判断するか)をも考慮する必要がある。

 

5.適切な開示について

 2000年問題対応に関する適切な開示が行われていない場合


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