(1)主な検討項目

• 　検査マニュアルの基本的性格をさらに明確化する必要があるかを検討。
  例．検査マニュアルが金融機関を法的に拘束するとの指摘に関する検討（検査官の手引書としての性格や監督上の措置との関係の明確化等）
  　
• 　取締役会の役割を含め、リスク管理体制の実効性の確保について、金融監督という視点からさらに検討。
  例．リスク管理等の責任を取締役会以外の機関へ委ねることを認めるべきとの指摘に関する検討
  　
• 　中小企業向け与信を含め、信用収縮への懸念が表明されていることから、こうした点に配慮した記述の明確化等をさらに検討。
  　
• 　金融機関の規模・特性を考慮して、チェック項目の内容を精緻化することを検討。
  　
• 　その他コメントで指摘された個々の論点の妥当性を検討。
  　

(2)検討に当たっての留意点

　見直しを検討するに当たっては、マニュアルの性格が検査官の手引書であるとの前提に立って、当局としては、以下の点に留意するものとする。

• 　我が国金融システムに対する内外の信認の回復
  　我が国金融システムの安定と再生を図り、金融機関に対する内外の信認を回復するためには、国際的視点を踏まえつつ、預金者や納税者の理解を得られるような金融行政及び金融機関経営を確立しなければならない。そのためにも、検査マニュアルの整備等を通じて、検査監督体制の一層の充実を図っていく必要がある。
  　
• 　自己責任原則に基づく金融機関経営の確立
  　金融機関は私企業であるという前提に立って、金融機関自身による自己責任原則に基づく内部管理が適切に行われるよう、金融当局は、検査を通じて促していく必要がある。
  　
• 　円滑な資金供給と適切なリスク管理の確保
  　金融機関の役割は、適切なリスク管理を行いながら必要なリスク・テークを行っていくことにあり、金融当局は、金融機関が、業務の健全性を確保しつつ、健全な事業を営む融資先に資金の円滑な供給を行うよう、検査を通じて促していく必要がある。
  　
• 　ルールに基づく透明な検査行政の確立
  　金融当局は、検査マニュアルの整備・公表を通じて、裁量的なものは極力排除し、明確なルールに基づく、公正かつ透明な検査行政の確立を目指さなければならない。

　金融検査マニュアル検討会を再開し、広く関係者からの意見の聴取を進めるとともに、上記視点等を踏まえ、実務的な検討を行う。検討会は、２月下旬にも再開し、以後、週１、２回程度の頻度で開催する。３月末を目途に成案を得るものとする。

以上