外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案の概要



                                                                  


1.法律案の趣旨                                                    


    対外取引におけるグローバル・スタンダードを実現し、我が国金融・


  資本市場の一層の活性化を図るため、資本取引や対外決済に係る許可・


  事前届出制度を原則として廃止するとともに、外国為替公認銀行制度、


  両替商制度を廃止する等外国為替管理制度を抜本的に見直すこととする。  


                                                                  


2.法律案の概要                                                    


 (1)  題名の改正                                                  


      法律の題名から「管理」を削除し、「外国為替及び外国貿易法」と


    する。                                                        


                                                                  


 (2)  第1章  総則                                                


   (イ)定義規定                                                    


        支払手段(現金等)としていわゆる「電子マネー」を追加する。  


   (ロ)外国為替相場                                                


        売相場、買相場等かつての固定相場制に関する規定を削除し、「


      対外支払手段の売買等所要の措置を講ずることにより、本邦通貨の


      外国為替相場の安定に努める」旨の規定を追加する。            


                                                                  


 (3)  第2章  外国為替公認銀行及び両替商                          


      外国為替業務の自由化を行うため、外国為替公認銀行の認可制度及


    び両替商の認可制度を廃止することとする。同時に、指定証券会社制


    度も廃止する。                                                


                                                                  


 (4)  第3章  支払等                                              


   (イ)対外取引の支払方法                                          


        対外的な支払等の自由化を行うため、相殺など特殊な決済方法に


      よる支払等に関する許可制度を廃止する。                      


   (ロ)許可義務の要件の追加                                        


        国際的要請等を踏まえ、経済制裁等をより機動的に実施しうるよ


      う、海外送金等について許可制を発動するための要件を整備する。  


   (ハ)銀行等の確認義務                                            


        銀行その他の政令で定める金融機関(以下「銀行等」という。)


      は、その顧客の支払等が許可を受ける義務が課されたものである場


      合等のみについて、当該許可等を受けていること等を確認した後で


      なければ、その支払等に係る為替取引を行ってはならないこととし、


      郵政官署が行う為替取引についても準用する。                  


   (ニ)銀行等の本人確認義務                                        


        銀行等は、その顧客と海外送金に係る為替取引を行おうとすると


      きは、あらかじめ、当該顧客の真偽を確認するよう努めなければな


      らないこととし、郵政官署が為替取引を行おうとする場合及び両替


      業務を行う者が両替を行おうとする場合についても準用する。    


   (ホ)支払手段の輸出入に係る事前届出制                            


        支払手段(現金等)を輸出入しようとするとき(出入国時等)は、


      政令で定める場合等を除き、その内容等を大蔵大臣(税関)に届け


      出なければならないこととする。                              





 (5)  第4章  資本取引等                                          


   (イ)許可・事前届出制の原則廃止                                  


        自由に資本取引を行えるよう、許可又は事前届出を要するとされ


      ていた資本取引について、原則として許可又は事前届出を不要とす


      る。                                                        


   (ロ)許可義務の要件の追加                                        


        国際的要請等を踏まえ、経済制裁等をより機動的に実施しうるよ


      う、資本取引等について大蔵大臣等による許可制発動の要件を整備


      する。                                                      


   (ハ)特別国際金融取引勘定                                        


        特別国際金融取引勘定において経理される取引の対象として非居


      住者が発行する証券の非居住者からの取得等を加える。          


   (ニ)対外直接投資                                                


        対外直接投資について、大蔵大臣が内容の変更又は中止を勧告で


      きる場合の要件を限定する。                                  


                                                                  


 (6)  第5章  対内直接投資等                                      


      基本的に現行通り。(平成4年改正で整備済)                  


                                                                  


 (7)  第6章  外国貿易                                            


      基本的に現行通り。                                          


      なお、近年必要性の乏しくなった「輸出に係る支払方法の証明」、


    「輸入に係る担保の提供」についての規定は削除する。            


                                                                  


 (8)  第6章の2  報告等                                          


      事後報告制度の規定を整備する。                              


   (イ)支払等の報告                                                


   (ロ)銀行等の本人確認の実施状況の報告                            


   (ハ)資本取引の報告                                              


   (ニ)対内直接投資等の報告                                        


   (ホ)技術導入契約の締結等の報告                                  


   (ヘ)外国為替業務の報告                                          


   (ト)その他の報告                                                


                                                                  


 (9)  その他                                                      


   (イ)電子情報処理組織による手続の特例                            


        ペーパーレス報告等に備え、主務大臣は、報告その他の特定手続


      等について、政令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用


      して行わせ、又は行うことができることとする。                


   (ロ)施行日                                                      


        この法律は、平成10年4月1日から施行する。                


   (ハ)所要の規定の整備                                            


        その他所要の規定の整備を図る。                            


                                                                  


3.金融システム改革との関連                                      


    本改正は、金融システム改革のいわばフロントランナーとして位置づ


  けられるべきものであり、これが円滑に実施されることにより、後に続


  く金融システム改革全体の流れに好ましい影響を与えるものと考えられ


  る。                                                            


                                                                  






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