証券取引法及び金融先物取引法の一部を改正する法律案要綱 |
二十一世紀を展望した金融サービスに関する基盤整備として、内外の金融環境の変化に対応し、活力ある金融・証券市場を実現する観点から、証券取引所及び金融先物取引所の組織形態に株式会社形態を導入するとともに、現在紙媒体で行われている有価証券報告書等の提出、受理という一連の企業内容等の開示手続を電子情報処理組織を用いて行うこととする等、所要の措置を講ずる必要があるため、次により証券取引法及び金融先物取引法の一部を改正することとする。
一 証券取引法の一部改正(第1条関係) |
1 |
.証券取引所 |
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(1 |
) 証券取引所の定義等 |
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(a) |
証券取引所とは、金融再生委員会の免許を受けて有価証券市場を開設する下記(d)に規定する証券会員制法人又は株式会社をいうこととする。 |
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(証券取引法第2条関係) |
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(b) |
有価証券市場とは、有価証券の売買、有価証券指数等先物取引又は有価証券オプション取引を行う市場をいうこととする。 |
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(証券取引法第2条関係) |
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(c) |
取引所有価証券市場とは、証券取引所の開設する有価証券市場をいうこととする。 |
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(証券取引法第2条関係) |
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(d) |
証券会員制法人とは、有価証券市場の開設を目的として設立された会員組織の社団をいうこととする。 |
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(証券取引法第2条関係) |
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(e) |
取引参加者とは、証券取引所から与えられた取引資格に基づき、取引所有価証券市場における有価証券の売買等に参加できる者をいうこととする。 |
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(証券取引法第2条関係) |
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(f) |
証券取引所の設立に係る免許制度を有価証券市場の開設に係る免許制度に改めることとし、有価証券市場は、金融再生委員会の免許を受けた者でなければ、開設してはならないこととする。 |
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(証券取引法第80条関係) |
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(g) |
上記(f)の免許の審査基準として、現行の証券取引所の設立の免許の審査基準に加え、免許申請者が取引所有価証券市場を適切に運営するに足りる人的構成を有するものであるという要件を設けることとする。 |
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(証券取引法第83条関係) |
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(h) |
証券取引所は、証券会員制法人又は資本の額が政令で定める金額以上の株式会社でなければならないこととする。 |
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(証券取引法第85条関係) |
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(i) |
証券取引所は、その定款において、会員及び上記(e)に規定する取引参加者が法令、法令に基づいてする行政官庁の処分、当該証券取引所の定款、業務規程、受託契約準則その他の規則及び取引の信義則を遵守しなければならない旨を定めなければならないこととする。 |
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(証券取引法第87条関係) |
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(j) |
証券取引所は、取引所有価証券市場の開設及びこれに附帯する業務のほか、他の業務を営むことができないこととする。 |
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(証券取引法第87条の2関係) |
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(2 |
) 証券会員制法人 |
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(a) |
証券会員制法人の設立、登記及び会員等に関する規定を設けることとする。 |
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(証券取引法第87条の7〜第100条の7関係) |
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(b) |
取引所有価証券市場を開設する証券会員制法人は、その組織を変更して、取引所有価証券市場を開設する株式会社(以下「株式会社証券取引所」という。)になることができることとし、組織変更計画書の総会での承認、会員への株式の割当て及び金融再生委員会による認可等に関する所要の規定を設けることとする。 |
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(証券取引法第101条〜第101条の15関係) |
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(3 |
) 株式会社証券取引所 |
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(a) |
株式会社証券取引所の定款には、商法に規定する事項のほか、上記(1)(e)に規定する取引参加者の法令等の遵守の状況の調査に関する事項、規則の作成に関する事項及び取引所有価証券市場に関する事項を記載しなければならないこととする。 |
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(証券取引法第102条関係) |
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(b) |
株式会社証券取引所の株式について、何人も、その発行済株式の総数の100分の5を超える数の株式を取得し、又は所有してはならないこととする。 |
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(証券取引法第103条関係) |
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(c) |
株式会社証券取引所は、その資本の額を減少しようとするときは、金融再生委員会の認可を受けなければならないこととする。 |
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(証券取引法第105条関係) |
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(4 |
) 取引所有価証券市場における有価証券の売買等 |
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(a) |
取引所有価証券市場における有価証券の売買等は、当該取引所有価証券市場を開設する証券取引所の会員又は上記(1)(e)に規定する取引参加者に限り、行うことができることとする。 |
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(証券取引法第107条関係) |
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(b) |
証券取引所又はその子会社が発行者である有価証券を、当該証券取引所がその売買のためその開設する有価証券市場に上場しようとするとき、又は上場廃止しようとするときは、当該上場又は上場廃止について、金融再生委員会の承認を受けなければならないこととする。 |
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(証券取引法第110条、第112条関係) |
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(5 |
) 証券取引所の合併 証券取引所を全部又は一部の当事者とする合併(合併後存続する者又は合併により設立される者が証券取引所であるものに限る。)について、金融再生委員会の認可を受けなければ、その効力を生じないこととするほか、所要の規定の整備を行うこととする。 |
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(証券取引法第136条〜第147条関係) |
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(6 |
) 証券取引所に対する監督 金融再生委員会は、証券取引所の業務の運営又は財産の状況等に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該証券取引所に対し、監督上必要な措置をとるべきことを命ずることができることとする。 |
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(証券取引法第155条の2関係) |
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2 |
.企業内容等の開示制度 |
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(1 |
) 開示用電子情報処理組織の定義 開示用電子情報処理組織とは、内閣府の使用に係る電子計算機と有価証券報告書等の提出等の手続を行う者の使用に係る入出力装置及び証券取引所等の使用に係る入出力装置とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいうこととする。 |
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(証券取引法第27条の30の2関係) |
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(2 |
) 開示用電子情報処理組織による手続の特例等 |
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(a) |
開示用電子情報処理組織使用の原則 有価証券報告書等の提出等の手続を行う者は、開示用電子情報処理組織を使用して行うことを原則義務化することとし、所要の規定の整備を行うこととする。 |
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(証券取引法第27条の30の3関係) |
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(b) |
開示用電子情報処理組織を使用して行うことができない場合 有価証券報告書等の提出等の手続を行う者は、電気通信回線の故障等の場合には、開示用電子情報処理組織の使用に代えて、内閣総理大臣の承認を得て、磁気ディスク等による提出により行うことができることとする。 |
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(証券取引法第27条の30の4、第27条の30の5関係) |
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(c) |
証券取引所等への通知 有価証券報告書等の提出等の手続を行う者が、開示用電子情報処理組織を使用して行った場合には、証券取引所等に提出し又は送付しなければならないものとされている有価証券報告書等の写しに代えて、有価証券報告書等に記載すべき事項をこれらの者に通知するものとする。この場合において、内閣府の使用に係る電子計算機に備えられたファイルにこれらの事項が記録された時に通知したものとみなすこととする。 |
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(証券取引法第27条の30の6関係) |
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(d) |
開示用電子情報処理組織を使用して手続が行われた場合の公衆縦覧 有価証券報告書等の提出等の手続が開示用電子情報処理組織を使用して行われた場合には、内閣総理大臣は公衆縦覧に供しなければならないものとされている書類に代えて内閣府の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録されている事項等を公衆縦覧に供するものとし、また、証券取引所等は通知を受けた事項等を公衆縦覧に供するものとする。 |
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(証券取引法第27条の30の7、第27条の30の8関係) |
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(e) |
目論見書等の交付の方法 証券会社等が目論見書等の交付に代えて、投資者に対して行う有価証券の発行者に係る事業内容等の情報の提供、有価証券の発行者等の行う公衆縦覧等について、電子情報処理組織を使用する方法等により行うことができることとする。 |
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(証券取引法第27条の30の9〜第27条の30の11関係) |
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3 |
.罰則 所要の罰則規定の整備を行うこととする。 |
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( | 証券取引法第197条、第198条、第198条の2、第198条の4、第200条、第200条の3、第203条〜第205条、第206条〜第208条、第208条の3関係) | ||
4 |
.その他 その他所要の規定の整備を行うこととする。 |
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二 金融先物取引法の一部改正(第2条関係) |
1 |
.金融先物取引所の定義等 |
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(1 |
) 金融先物取引所とは、金融再生委員会の免許を受けて金融先物市場を開設する下記(3)に規定する金融先物会員制法人又は株式会社をいうこととする。 |
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(金融先物取引法第2条関係) |
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(2 |
) 金融先物市場とは、金融先物取引を行う市場をいうこととする。 |
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(金融先物取引法第2条関係) |
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(3 |
) 金融先物会員制法人とは、金融先物市場の開設を目的として設立された会員組織の社団をいうこととする。 |
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(金融先物取引法第2条関係) |
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(4 |
) 取引所金融先物取引とは、金融先物取引所の開設する金融先物市場における金融先物取引をいうこととする。 |
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(金融先物取引法第2条関係) |
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(5 |
) 金融先物取引所の設立に係る免許制度を金融先物市場の開設に係る免許制度に改めることとし、金融先物市場は、金融再生委員会の免許を受けた者でなければ、開設してはならないこととする。 |
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(金融先物取引法第3条関係) |
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(6 |
) 上記(5)の免許の審査基準として、現行の金融先物取引所の設立の免許の審査基準に加え、免許申請者が金融先物市場を適切に運営するに足りる人的構成を有するものであるという要件を設けることとする。 |
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(金融先物取引法第5条関係) |
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(7 |
) 金融先物取引所は、金融先物会員制法人又は資本の額が政令で定める金額以上の株式会社でなければならないこととする。 |
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(金融先物取引法第6条関係) |
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(8 |
) 金融先物取引所は、その定款において、会員及び下記(10)に規定する取引参加者がこの法律及びこの法律に基づく命令並びにこれらに基づく処分、当該金融先物取引所の定款、業務規程、受託契約準則その他の規則並びに取引の信義則を遵守しなければならない旨を定めなければならないこととする。 |
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(金融先物取引法第8条関係) |
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(9 |
) 金融先物取引所は、金融先物市場の開設及びこれに附帯する業務のほか、他の業務を営むことができないこととする。 |
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(金融先物取引法第9条関係) |
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(1 |
0)取引参加者とは、金融先物取引所から与えられた取引資格に基づき、取引所金融先物取引を行うことができる者をいうこととする。 |
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(金融先物取引法第35条の2関係) |
2 |
.金融先物会員制法人 |
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(1 |
) 金融先物会員制法人の設立、登記及び会員等に関する規定を設けることとする。 |
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(金融先物取引法第9条の5〜第34条の3関係) |
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(2 |
) 理事長の選任・解任に係る金融再生委員会の認可規定について廃止することとする。 |
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(金融先物取引法第30条関係) |
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(3 |
) 金融先物市場を開設する金融先物会員制法人は、その組織を変更して、金融先物市場を開設する株式会社(以下「株式会社金融先物取引所」という。)になることができることとし、組織変更計画書の総会での承認、会員への株式の割当て及び金融再生委員会による認可等に関する所要の規定を設けることとする。 |
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(金融先物取引法第34条の4〜第34条の18関係) |
3 |
.株式会社金融先物取引所 |
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(1 |
) 株式会社金融先物取引所の定款には、商法に規定する事項のほか、上記1.(10)に規定する取引参加者の法令等の遵守の状況の調査に関する事項、規則の作成に関する事項、取引所金融先物取引の種類に関する事項及び取引所金融先物取引の清算に関する事項を記載しなければならないこととする。 |
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(金融先物取引法第34条の19関係) |
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(2 |
) 株式会社金融先物取引所の株式について、何人も、その発行済株式の総数の100分の5を超える数の株式を取得し、又は所有してはならないこととする。 |
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(金融先物取引法第34条の20関係) |
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(3 |
) 株式会社金融先物取引所は、その資本の額を減少しようとするときは、金融再生委員会の認可を受けなければならないこととする。 |
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(金融先物取引法第34条の22関係) |
4 |
.取引所金融先物取引等 取引所金融先物取引は、当該金融先物市場を開設する金融先物取引所の会員又は上記1.(10)に規定する取引参加者に限り、行うことができることとする。 |
(金融先物取引法第35条関係) |
5 |
.金融先物取引所に対する監督 |
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(1 |
) 金融再生委員会は、金融先物取引所に対し、この法律等に違反した場合には、役員の解任を命ずることができることとする。 |
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(金融先物取引法第53条関係) |
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(2 |
) 金融再生委員会は、金融先物取引所の業務の運営又は財産の状況等に関し、公益又は委託者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該金融先物取引所に対し、監督上必要な措置をとるべきことを命ずることができることとする。 |
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(金融先物取引法第55条関係) |
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6 |
.罰則 所要の罰則規定の整備を行うこととする。 |
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(金融先物取引法第94条、第94条の2、第94条の4〜第98条、第100条〜第102条の3、第104条、第104条の2関係) | ||
7 |
.その他 その他所要の規定の整備を行うこととする。 |
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三 そ の 他 |
1 |
.施行期日 この法律は、平成12年12月1日から施行することとする。ただし、開示用電子情報処理組織による手続の特例等については、平成13年6月1日から段階的に順次施行することとする。 |
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(附則第1条関係) |
2 |
.経過措置等 |
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(1 |
) 有価証券報告書等の提出等の手続は平成16年5月31日までは紙媒体による提出により行うことができることとする。 |
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(附則第6条及び第8条関係) |
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(2 |
) その他所要の経過措置等を規定することとする。 |
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