・ |
資金調達については、このような組織・体制を維持するに必要な資金額を想定して資金調達の方途を検討することが必要と考えられる。 |
・ |
まず、必要な資金の規模については、懇談会において、上記の組織・体制を維持するための必要資金額を大まかに試算したところ、年間7億円程度は必要となるのではないかとの意見があった。これについては、必要となる組織・体制等についての更なる検討とともに、試算に用いた仮定等の吟味も必要であると考えられるが、いずれにしても民間機関に充実した組織・体制を備えるためには、相当規模の資金が必要となると考えられる。
なお、景気の変動や必要な検討課題の増加等に対応しつつ常に必要資金を確保するためには、一定の資金を準備金として当初から蓄えることが必要と考えられる。 |
・ |
資金調達の方法については、資金拠出者からの独立性を確保する観点からもできる限り幅広く資金を集めることが必要であり、会計基準のもたらす便益を考慮した応益原則を基本としつつ、資金拠出力に基づく応能原則も加味して、財務諸表作成者、監査人、財務諸表利用者等から広く資金調達をすることを基本として考えることが適当である。 |
・ |
資金調達の安定性の観点からは、様々な資金調達方法を併存させながらも核となる資金調達構造が必要であると考えられる。 |
・ |
懇談会ではこれらを踏まえつつ、資金調達方法等について議論・検討を行った結果、概ね以下のような考え方の整理を行ったところである。 |
・ |
企業会計基準の重要な目的が適正な財務情報の投資家等への提供にあることに鑑み、公開会社からの資金調達を中核としつつ、その他適切な調達方法により各企業からできる限りの資金調達を行うことが必要であると考えられる。その際、経済界において、必要な資金を負担するという意識の醸成が必要不可欠であると考えられる。 |
・ |
会計士界からは、基本的に監査法人からその規模等を勘案しつつ相当額を調達することが現実的とも考えられるが、監査人から監査報酬の一定割合を設定主体の活動資金に充てるという方法により調達することも今後の検討課題であると考えられる。 |
・ |
その他、関係団体等からの寄附・出捐等や、設定主体自身による出版物収入等の資金確保方策についてもできる限りの規模となるよう検討すべきであると考えられる。 |
・ |
なお、会計基準は証券市場の重要なインフラの一部であり、会計基準の公益性を勘案し、民間での資金調達を円滑に行う観点から、必要資金の一部について国費負担の可能性を検討すべきとの意見があった。
他方、民間ベースで資金を調達していくことが国際的な評価を高めると考えられるのではないか、また、補助金等国費負担をすれば、設定主体の自由度が制約されるおそれがあるのではないか等の観点から、民間により必要な資金の調達を図るべきとの意見があった。 |
・ |
各国の主要な設定主体を見れば、米国、ドイツにおいては必要資金について全額民間から調達が行われ、英国においては民間による資金調達を基本としつつ一部国費による補助が行われている。 |
・ |
いずれにせよ、資金調達のあり方については、実行可能性や技術的可能性も含め、更に検討が必要であると考えられ、今後関係者により一層の議論・検討がなされることが必要である。また、各方面の理解を深め、環境を醸成する観点から、関係者一体となって積極的に広報に努めることが必要であると考えられる。 |