1. |
経緯 |
|
(1) |
法律改正の概要
投資者サイドからは連結情報に対するニーズが高まり、連結情報が投資者の投資判断に重要な影響を及ぼすようになってきた背景から、平成10年6月、金融システム改革法において、証券取引法の開示制度が連結ベースへ移行することを踏まえ、インサイダー取引規制上の重要事実の範囲を連結ベースに拡大するとともに、連結情報のうち子会社の情報を知り得る立場にある子会社の会社関係者も規制の対象とする改正等が行われたところである(当該改正条項については平成12年7月1日施行)。 |
|
(2) |
政省令の改正の必要性
法律改正において、重要事実の範囲等については、一部政令及び省令に規定を委ねられたことから所要の改正を行う必要がある。 |
2. |
政令改正案 |
|
(1) |
子会社に係る決定事実及び発生事実規定
法律改正により既に規定された子会社に係る株式交換等の決定事実(6項目)及び災害等による損害の発生事実(1項目)に加え、法律に規定された事項に準ずる事項である次に掲げる事項を子会社に係る重要事実とする。 |
|
|
○ |
決定事実
業務上の提携又は解消、孫会社の異動を伴う株式等の譲渡又は取得、固定資産の譲渡又は取得、営業等の全部又は一部の休廃止、破産等の申立て、新たな事業の開始、金融再生法に基づく届出 |
|
|
○ |
発生事実
財産権上の訴訟の提起又は完結、仮処分の申立て又は完結、営業停止等の行政処分、破産の申立て等、不渡り又は取引停止処分、孫会社に係る破産の申立て等、債務者等に係る不渡り、主要取引先との取引停止、債務の免除又は引受等、資源の発見 |
|
(2) |
上場会社等の業務等に関する重要事実規定
現行法上、連結情報として上場会社等の重要事実と規定している子会社に係る破産の申立て等については、前記(1)のとおり子会社に係る重要事実として新設することが適当であり、結果として重複することになるため削除することとする。 |
|
(3) |
上場会社の子会社、親会社の定義規定
開示制度の連結ベースへの移行により、有価証券報告書等を提出する会社(以下、提出会社という。)における親子関係の判定基準が支配力基準となったことから、以下のとおり政令における定義を改正する。 |
|
|
○ |
上場会社等の子会社の定義については、法律に規定されたことから、政令において法律規定を引用する。 |
|
|
○ |
上場会社等の親会社の定義については、他の会社(上場会社等)が提出した有価証券報告書等に「親会社」と記載している者を親会社とする規定を設ける。 |
|
(4) |
その他
法律改正に伴う文言整理等所要の改正を行う。 |
3. |
省令(会社関係者等の特定有価証券等の取引規制に関する省令)の改正案 |
|
(1) |
子会社に係る重要事実に該当しないこととなる軽微基準規定
重要事実に関しては法第166条第2項において「投資者の投資判断に及ぼす影響が軽微なものを除く。」と規定されていることから、現行の上場会社等単体ベースの軽微基準に準じ、子会社に係る事項についても軽微基準を設けることとする。なお、当該軽微基準については、法律制定の趣旨に沿うとともに、開示制度(臨時報告書の提出基準)との整合性を図り、当該事項による連結財務諸表に対する影響の度合い(具体的には、連結財務諸表の純資産額の30%未満かつ売上高の10%未満等。)を基準とする。 |
|
(2) |
企業集団の決算情報基準規定
決算情報については、投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものに限り重要事実とすることが法律に規定されている。法律改正により上場会社等の決算情報に加え、企業集団の決算情報も規定されたことから、当該決算情報に関する重要基準について現行の上場会社等の決算情報に関する重要基準を準用する。 |
|
(3) |
子会社の決算情報基準規定
決算情報が重要事実となる子会社を、子会社自身が上場会社等である場合に限定する規定を設けるとともに決算情報に関する重要基準を規定する。なお、当該重要基準 については前記(2)と同じ。 |
|
(4) |
その他
法律及び政令の改正に伴う文言整理等所要の改正を行う。 |
4. |
施行期日
政令及び省令は平成12年7月1日から施行する。 |