(別紙)



                                                        ┌───────────┐



                                                        │第7回基本問題部会資料│



                                                        └───────────┘



論 点 メ モ




I.算定会の改革等、自由化措置                                              



                                                                            



1.改革後の算定会の機能                                                    



                                                                            



 (1)  料率算出等                                                            



                                                                            



    (a)  現在の算定会種目のうち、任意自動車保険、火災保険、傷害保険については、新



      規事業者の参入促進、既存事業者による多様化された新商品の開発、および消費者



      の商品選択の参考になるとの観点から、算定会が遵守義務のない標準約款および参



      考料率を作成・算出してはどうか。                                          



                                                                                



    (b)  参考料率については、いわゆる付加料率を含めた営業保険料率(最終料率)を算



      出・提供することが当面の保険の安定供給の観点から望ましいとする意見や、消費



      者にとっても比較・選択の判断材料となるとの観点から算定会が最終料率を算出・



      提供することが望ましいとの意見があるが、(i) 付加料率は本来、各社が自己の合



      理化努力を折り込んで独自に算出すべきものであること、(ii) 参考料率であると



      しても、各社が算定会の最終料率を横並びで使用する場合には、結果として商品・



      料率の多様化が妨げられ消費者の選択の幅が狭められること、から保険会社に対す



      る参考料率の算出・提供は純率についてのみ行うこととすべきではないか。      



        消費者にとっての比較・選択の判断材料については、消費者にとってのデータ・



      バンク機能(後述(2))として、これを検討することが適当ではないか。          



                                                                            



    (c)  改革後の算定会は、(a)の3種目以外にも会員会社の要望、消費者ニーズ等を勘案



      しつつ、様々な保険について約款および参考純率を作成・算出し、会員会社による



      多様化された保険商品の開発を支援することとしてはどうか。                  



                                                                                



 (2)  データ・バンク機能等                                                    



                                                                              



    (a)  改革後の算定会は、上記(1)の約款・料率の作成・算出以外にも、広範な保険デー



      タを収集、加工し、その結果を会員に提供するデータ・バンクの機能を果たすべき



      ではないか。                                                              



                                                                            



    (b)  新規事業者の参入を支援する観点から、作成した各種約款、参考純率、既存会社



      の経費の実績値等の共同統計等を開示することとしてはどうか。                



                                                                                    



    (c)  上記(b)のデータ等の開示は、消費者にとっても有益ではないか。更に、消費者に



                                                                                



                                                                                



      とっては、現実にどのような最終料率で保険が販売されているのかに関する実績統



      計が入手可能であることが適当ではないか。                                  



                                                                            



    (d)  改革後の算定会は、会員各社の損害率や経費の実績値等を集計し、当局に提出す



      るなど、行政に対してのデータ・バンク機能も期待することが適当ではないか。  



                                                                            



    (e)  個別会員に対し数理技術や算定会のノウハウの蓄積に基づくサポートを提供する、



      いわゆるコンサルティング機能の発揮に関しても、積極的に考えることが適当では



      ないか。                                                                  



                                                                            



 (3)  独占禁止法との関係                                                      



                                                                              



    (a)  これまでの算定会制度については、保険の安定供給重視の観点から競争制限的な



      側面を有していたことは否定できない。改革後の算定会についても競争制限的な側



      面が温存されるのではないかと懸念する考え方がある。しかしながら、今後の自由



      化時代においては、算定会が豊富な統計データを収集し、正確な基礎数値を算出す



      ることは、消費者保護や損害保険会社の経営の合理化を確保しつつ、公正かつ健全



      な競争を促進する環境を提供する点で、むしろ極めて重要になるのではないか。  



                                                                            



    (b)  算定会も、独禁法に照らして適法に活動すべきことは当然であるが、改革後、そ



      の活動の適法性が不明確であり、算定会が法的に不安定な状態に置かれることは望



      ましくない。法的安定性の観点からすると、EU諸国のように、料率算出団体の一



      定の行為が明示的に列挙され、独禁法の適用除外とされている例は好ましいのでは



      ないか。                                                                  



                                                                            



    (c)  改革後の算定会活動の法的安定性の観点から、上記(1)、(2)の活動内容に関し、



      (i) 適用除外等の何らかの法律上の手当てにより独禁法との関係を明らかにしてお



      くことができないか、(ii)法律上の手当てが認められない場合には、法的手当て以



      外に安定性確保のための何らかの手段があるか、について、公正取引委員会と協議



      することとしてはど  うか。                                                



                                                                            



2.算定会改革後の損害保険行政のあり方                                        



                                                                              



 (1)  改革後当面のあり方                                                      



                                                                                    



    (a)  商品・料率の多様化が認められると、一部保険料の高騰により安定供給が阻害さ



      れるのではないか、リスクの高い消費者に対する引受拒否が起きるのではないか等



      の懸念があるが、これらの可能性をもって自由化を否定することは適当でなく、  



      (i) 保険会社のサイドで、必要最小限の危険担保を行う商品(例えば、対人賠償の



      みの任意自動車保険)を安い保険料で積極的に提供する等の創意工夫を発揮する、



                                                                                



                                                                                



      (ii)料率の高騰や引受拒否が特に発生しそうな分野については、行政のサイドで商



      品・料率認可に係る最低限のガイドラインを設け、社会的混乱を回避しつつ自由化



      の進展を促す、等により対応すべきではないか。                              



                                                                            



    (b)  算定会改革を機に、機動的な料率設定等の観点から、商品・料率の認可制を廃止



      し届出制へ移行すべきとの意見があるが、改革により契約者保護や保険会社の健全



      性に対し問題が生じないかを見極めずに事前認可制を廃止することは問題ではない



      か。現行保険業法上の料率3原則等を踏まえ、行政当局が商品や料率の適正性につ



      いて、事前認可制を含む最低限の監督を行うことが望ましいのではないか。      



                                                                            



    (c)  ただし、改革の結果、消費者ニーズを満たす多様な商品が円滑にマーケットに供



      給されることが重要であり、行政当局もこの点に十分留意し、かつ現実の職員数の



      制約も十分に勘案して、認可手続きの簡易化・迅速化に努めることが重要ではない



      か。                                                                      



                                                                            



    (d)  認可手続きの簡易化・迅速化等、改革後の損害保険行政を構築していく際には、



      当局は算定会の機能の積極的活用を考えてはどうか。具体的には、改革後の算定会



      は標準約款および参考純率を行政当局に届け出ることとし、会員会社がこれらを利



      用して商品・料率の認可申請をする場合には、行政当局は当該算定会の届出内容か



      ら乖離した部分のみ審査する、等の仕組みが考えられるのではないか。          



                                                                            



 (2)  中長期的な方向性                                                        



                                                                                    



    (a)  将来、仮に商品・料率の認可制を緩和し、例えば原則届出制に移行するような場



      合には、認可制の代わりとなる消費者(契約者)保護や保険会社の健全性維持の仕



      組みが整うことが重要となるのではないか。                                  



                                                                            



    (b)  ただし、保険の専門的知識や交渉力を有する企業を顧客とする保険に関しては、



      認可制の廃止を含む緩和を迅速に進めてもよいのではないか。                  



                                                                            



3.経過措置                                                                  



                                                                                    



      算定会改革は、損保商品の多様化の促進による消費者利便の向上を目指すものであ



    るが、 (i)新制度への移行に関して、算定会および各社は事務処理手続き、コンピュ



    ーターシステムの改定等に多大な投資と時間を要すること、(ii)行政サイドにおいて



    も、各社ごとの膨大な認可申請を短時間に処理することは非現実的であること、から



    各社が改革の施行時点で現に販売している算定会商品を引き続き販売する場合には、



    改めて認可を取得する必要がない等の経過措置を、期限を限定して設けることが必要



    ではないか。                                                                



                                                                                    



                                                                                    



II.業態間の参入促進                                                                



                                                                                    



1.平成4年6月の保険審議会答申「新しい保険事業の在り方」において、業態別子会社



  方式によって、「保険会社が銀行・信託・証券業務に参入できるようにするとともに、



  銀行等・信託銀行・証券会社についても保険事業に参入できるようにすることが適当で



  ある。」とされたところであり、新しい活力の導入を図るという観点からも、基本的に



  参入を促進することが適当ではないか。                                          



                                                                            



2.参入の実施に当たっては、必要な弊害防止措置を講じたうえで、子会社方式により行



  うこととしてはどうか。                                                        



                                                                            



3.保険会社による銀行・信託・証券業務への参入及び証券会社による保険業への参入に



  ついては、早急に認めることとしてはどうか。                                    



                                                                            



4.銀行等・信託銀行による保険業への参入については、銀行がその優越的地位や影響力



  を行使することによる問題を指摘する意見もあったところであるが、保険契約者保護の



  ための手段の多様化を図る観点から、当面、保険契約者等の保護を目的として銀行等・



  信託銀行が保険会社を子会社とする場合に限定して認めることとし、それ以外の場合に



  ついては、必要な環境整備を図り、金融システム改革の終了時点までに認めることとし



  てはどうか。                                                                  



                                                                            



                                                                            



III.持株会社制度の導入                                                              



                                                                                    



1.保険契約者の保護、保険会社の健全性確保のため、保険会社の親会社にも、何らかの



  規制が必要であり、持株会社の解禁時期をにらんで速やかに準備を進める必要があるの



  ではないか。                                                                  



                                                                            



2.主要国の例を参考として、保険会社の株式のある一定割合(例えば、50%)を超えて



  保有することについては、認可を要することとし、これにより、親会社等に対する監督



  権を担保することとしてはどうか。                                              



                                                                            



3.保険会社と親会社との間、及び保険会社と兄弟会社との間には、必要な弊害防止措置



  を設けることとし、例えば、アームズ・レングス・ルール(通常の条件と著しく異なる



  条件での取引等の禁止)を規定することとしてはどうか。                      



                                                                            



4.上記規制の実効性を確保するため、親会社及び兄弟会社に対する定常的な報告徴収権



  及び立入検査権を監督当局に付与することも考えられるが、規制を最小限にするとの観



  点から、保険会社に対し、親会社及び兄弟会社の業務の状況等に係る報告の提出を求め



  るとともに、親会社及び兄弟会社に対する報告徴収権及び立入検査権については、保険



  会社を監督する上で、監督当局が特に必要があると認める場合に限り、限定的に行使で



  きることとしてはどうか。                                                      



                                                                            



5.兄弟会社の金融業に関する業務範囲については、子会社方式による参入との整合性に



  も配慮し、保険・信託・証券業務については、持株会社解禁当初から認めることとして



  はどうか。また、銀行が保険会社の兄弟会社になることについては、保険契約者保護の



  ための手段の多様化を図る観点から、当面、保険契約者等の保護を目的とする場合に限



  定して認めることとし、それ以外の場合については、金融システム改革の終了時点まで



  に認めることとしてはどうか。                                                  



                                                                            



6.金融業以外の一般事業を兄弟会社が行うことについては、主要国の例を踏まえると、



  法令上、制限することは適当ではないのではないか。ただし、持株会社を含む親会社の



  認可に当たって、兄弟会社が保険会社の健全性に与える影響の可能性を十分勘案するこ



  ととしてはどうか。                                                            



                                                                            



7.相互会社が持株会社となることについては、相互会社の基本的な性質から問題がある



  との指摘を踏まえると、持株会社は株式会社とすることが適当ではないか。          



                                                                            



8.相互会社についても、組織形態の多様化の観点から、持株会社を利用できるようにす



  るため、保険会社が川下持株会社を子会社として保有することを認めることが適当では



  ないか。                                                                      



                                                                            



9.その場合、川下持株会社についても外部資金調達が可能となるよう、保険会社による



  川下持株会社の株式保有割合は50%超とすることが適当ではないか。                



                                                                            



10. 川下持株会社が株式の50%超を保有する子会社の業務範囲については、保険会社に課



  せられている他業禁止の趣旨を踏まえると、制限することが適当であると考えられるが、



  子会社方式による参入との整合性を図るとともに、保険に対するニーズの多様化等に対



  応するため、金融業(保険・銀行・信託・証券業務)並びに保険業に付随する業務及び



  関連が深い業務については認めることが適当ではないか。                      



                                                                            



                                                                                



IV.銀行等による保険販売等                                                  



                                                                            



1.銀行等及び証券会社による保険販売については、販売チャネルの多様化、効率化等が



  図られ、利用者利便の向上につながると考えられることから、問題の解決が困難でない



  限り、認めることが適当ではないか。                                            



                                                                            



2.ただし、銀行がその優越的地位や影響力を行使することにより、顧客保護、競争条件



  の公平性確保等の観点から、防止し難い弊害が出るとの指摘もあったところであり、例



  えば一部の商品に限定して販売を認める、といった意見も踏まえて、更に具体的な検討



  を進めていくことが適当ではないか。                                            



                                                                            



                                                                            



V.トレーディング勘定への時価評価の適用                                    



                                                                            



    現行の会計処理では、トレーディング業務の実態を財務諸表に反映できないため、リ



  スク管理の徹底が害される場合がある等の問題があり、保険会社のトレーディング勘定



  についても、他の金融機関と同様、時価評価を適用することとし、今後、取引の実態等



  を見つつ、できるだけ早期に導入を図ることが適当ではないか。                    



                                                                            



                                                                            



                                                                            



〇  上記I~Vの諸改革を進めるに当たっては、消費者の利益という観点からの施策が必



  要であり、例えば、十分な情報提供や消費者教育が今後ますます重要となるのではない



  か。