企業会計審議会 第一部会 議事録

日時:平成11年12月 3日(金)午後3時30分〜午後5時26分

場所:大蔵省第四特別会議室

○斎藤部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第1回の第一部会を開催させていただきます。

 本日は、皆様方お忙しいところをお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。

 皆様方御承知のように、去る1022日に開催されました企業会計審議会総会におきまして、次の審議事項について審議が行われ、「固定資産の会計処理」と「監査基準の一層の充実」を審議事項とすることが決定されました。

 これらのうち、「固定資産の会計処理」につきましては、会計基準を担当しております当部会において審議することが総会において決定されております。固定資産の会計処理」ということで、新聞等ではかなりターゲットを絞った報道がなされているようでありますけれども、実際には非常に幅広い論点について検討をすることになると思われます。なるべく効率的な審議に努めてまいりたいと考えております。委員の皆様方には、どうか御協力ほどよろしくお願い申し上げます。

 まず、新任の委員の方の御紹介を申し上げたいと思いますが、1022日の総会後に新たに当審議会の臨時委員と幹事に就任され、当部会の委員をお願いした方々を順次、臨時委員から名簿順に御紹介申し上げます。

 まず初めに、小宮山 賢氏であります。

              〔小宮山委員 立礼〕

○斎藤部会長 小宮山氏は幹事から臨時委員に就任しておられます。

 それから、まだ本日はお見えではありませんけれども、西川郁生氏が臨時委員に就任しておられます。

 続いて、平松一夫氏であります。

              〔平松委員 立礼〕

○斎藤部会長 続いて、幹事の委員の方を御紹介申し上げますが、まず、名簿順に、秋葉賢一氏であります。

              〔秋葉委員 立礼〕

○斎藤部会長 荒木和郎氏であります。

              〔荒木委員 立礼〕

○斎藤部会長 岩田研一氏であります。

              〔岩田委員 立礼〕

○斎藤部会長 太田恵子氏であります。

              〔太田委員 立礼〕

○斎藤部会長 大日方 隆氏であります。

              〔大日方委員 立礼〕

○斎藤部会長 川村義則氏であります。

              〔川村委員 立礼〕

○斎藤部会長 都 正二氏であります。

              〔都委員 立礼〕

○斎藤部会長 山田辰巳氏であります。

              〔山田委員 立礼〕

○斎藤部会長 なお、本日は欠席されておられますけれども、逆瀬重郎氏が幹事に任命されて、当部会の委員をお願いしております。

 以上で、新任の臨時委員及び幹事の御紹介を終わらせていただきます。

 なお、当部会の部会長代理を中島委員にお願いいたしております。

              〔中島部会長代理 立礼〕

○斎藤部会長 当部会のメンバー構成などにつきましては、お手元の委員名簿を御覧いただきたいと存じます。

 早速でありますけれども、本日は、新原東京証券取引所監理官に御出席いただいておりますので、ここで一言御挨拶をいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○新原東証監理官 御紹介いただきました新原でございます。

 事務局長は参事官の大藤でございますけれども、担当のいわば審議官のような立場でございます。これからできるだけ審議を聞かせていただきたいと存じますので、どうぞよろしく御審議をお願いいたします。

○斎藤部会長 ありがとうございました。

 なお、本日、若杉会長は所用のため御欠席でありますけれども、御挨拶をお預かりしておりますので、事務局から御紹介いただきたいと思います。

○平松課長補佐 それでは、若杉会長の御挨拶を代読させていただきたいと思います。

                御 挨 拶

                         会長  若杉   明

 本日は、お忙しい中を委員各位には第一部会の会合に御出席いただき、誠にありがとうございます。

 私は、目下、北京・中央財経大学との学術交流のために中国に来ております。先方との調整により日程をかなり前に決めておりましたので、変更はできず、当会議をやむを得ず欠席いたしますことを大変申し訳なく存じております。

 さて、第一部会では、IAS等で取り扱っております減損会計を含め、固定資産に関する会計上の諸問題を広く審議の対象といたすこととなりました。この問題は、今日のごとき経済状況の下では特に企業にとって切実な問題であり、これに対する会計基準の設定を産業界、証券取引所、監査業界等関係する筋は強く望んでおります。企業の中には、IASやFAS等を参考にして、独自に検討しているところもあるほどで、当審議会の成果には大きな期待をもって注目しているところでございます。

 最近我が国では、周知のごとく、会計基準設定機関のあり方をめぐって種々論議されており、特にジャーナリズムの中には当審議会を批判的に見ている者もあるやに聞いております。当審議会は戦後50年の伝統を受け継いで現在に至るまで、悔いるところのない審議活動を行ってまいったと確信いたしております。今後も我々審議会に課された任務の重要性を十二分に認識しつつ、全委員及び事務局が一体となって審議運営に専心してまいりたいと思います。委員各位には、その間の事情を御賢察の上、よろしく御協力ほどをお願い申し上げる次第であります。

 以上でございます。

○斎藤部会長 ありがとうございました。

 次に、当部会の議事録の公表について一言申し上げておきたいと思います。

 従来、当審議会では、議事要旨の公表は行ってまいりましたけれども、議事録の公表までは行っておりませんでした。

 先日の総会におきまして、審議の透明性を高めようとの趣旨から、今後、総会及び部会の議事録が公表されることになりました。当部会におきましても、本日の議事録より公表されることになりますので、あらかじめお含みおきいただきたいと存じます。

 なお、発言者の名前も含めまして議事録が公表されることとなりますけれども、企業の非公開情報など、公表することに差し障りがある事項につきましては、お申し出いただければ公表されないように取り計らいますので、御承知おきください。

 また、話し言葉を文章にする上で、工夫をしなければならないこともありますので、その点での修正等には応じることができると思いますけれども、御発言の趣旨や論旨に大きく影響するような大幅な修正は、どうか御容赦くださいますようにお願いをいたします。

 それでは、これから本論に入りたいと思います。

 冒頭にお話しいたしましたように、当部会では「固定資産の会計処理」ということで、特定の項目に限定することなく、幅広い項目について審議を進めていくことが想定されております。

 当部会では、当面、「固定資産の会計処理」を巡る問題点につきまして、委員の方々から御報告をいただいたり、様々な立場からのヒアリングを行ったりしながら、意見交換を進めていきたいと思います。それらの意見交換の結果を踏まえて、明らかにされた問題点について、論点の整理を行っていきたいと考えております。

 本日は、第1回目でございますので、自由に意見交換をしたいと思いますけれども、その前に、意見交換の素材を提供していただく意味で、固定資産の会計処理を巡る問題点につきまして、4人の委員の方に簡単な御報告をお願いしておりますので、順次、御報告をお願いいたしたいと思います。

 まず初めに、小宮山委員からお願いをいたします。

○小宮山委員 公認会計士の小宮山でございます。

 今日は、「固定資産を巡る会計の実務上の諸問題」、お手元にございます資料1に基づきまして話をさせていただきます。

 ふだん感じていることをまとめてほしいというふうな御依頼でしたので、必ずしも

網羅的なものではございませんが、一応これに沿いまして話をさせていただきます。

 まず、「不動産の計上科目と評価基準」というタイトルで書いてございます。

 不動産が計上される貸借対照表の科目には、棚卸資産と有形固定資産があります。一般的に言いまして、不動産業とか建設業とか総合商社、こういった業種に棚卸資産として計上されるケースが多く見られます。ただ、計上科目というのは必ずしも統一されておりません。販売用不動産というのが一番多いようですけれども、それ以外にかなりいろいろな科目で計上されている例があるようです。固定資産に計上される場合の計上科目は、建物、土地、建設仮勘定、こういうものにほぼ限定されております。

 棚卸資産に計上される場合の評価基準を、有価証券報告書で開示されるところを見ますと、ほとんどの場合は個別法による原価法が評価基準であるというふうにされております。固定資産に計上される場合には、通常の減価償却による原価の配分が行われます。ただ、実務上見ておりますと、販売用不動産を賃貸用資産に振り替えるというふうな取引も見られます。全てがそうだとは申しませんけれども、特に販売用不動産の実質的な販売価格が下落しているような状況では、実質的に損失の繰り延べとなるようなケースもないわけではないと思います。

 次に、「取得原価の決定」というところで、幾つか実務上の問題の例を書いてございます。一つは、支払利息の原価算入という問題です。

 開発や建設に長期間を要する不動産の場合には、通常、支払利息というのは期間費用として処理されるわけですが、これが資産の取得原価に算入される場合がございます。これは連続意見書の中で、「建設に要する借入資本の利子で稼動前の期間に属するものは、取得原価に算入することができる。」というふうにされていることが一つの根拠となっています。

 もう一つの、「不動産開発事業を行う場合の支払利子の監査上の取扱いについて」という報告が日本公認会計士協会の方から、かなり古い時期になりますが、昭和49年に出されております。この不動産の開発事業というのは、恐らく通常、棚卸資産になりますので、必ずしも連続意見書の第三と整合性があるかどうかという問題が別にあるわけですが、ここで七つほどの要件が示されておりまして、実務的には、この辺を参考に実務が行われているというふうに言っていいかと思います。

 ただ、このケースでは、原価算入の対象資産をどうするかとか、期間をどうするかという基準の部分は企業が定められるというのが特色でございます。それを継続的に適用してくださいという形になっています。この点については、若干、例えばFASBの考え方ですとか、IASの考え方と必ずしも整合性はないのかなというふうに思っております。FASBのケースは、基本的に「しなければならない」という規定だったと思いますし、IASの場合には、二つの方法からどちらかを選んで、それを継続的に適用する。要するに原価算入するのかしないのかというふうな分かれ目が出てしまうということがございます。

 もう一つ、自己の保有土地の上に建物を建設するというのが普通なわけですけれども、この場合、原価算入というのは土地部分と建物部分と二つ出てくるわけです。この場合、土地の取得原価に含まれる部分は、通常、実務的には償却対象にならない。つまり売却なり何なりするまでは原価として落ちることはないということになろうかと思います。ただ、これに対して、建物の償却期間に合わせて償却すべきであるというふうな考え方もございます。

 もう一つの点は、圧縮記帳でございます。

 固定資産の売却等をしたときに、売却益に相当する部分を代替資産の取得価額から控除するというのが圧縮記帳ですけども、通常、利益処分という方式で行われております。従いまして、直接取得原価から控除するということは余り実務的にないわけですけども、例外的に、資産の取得価額から控除される場合がございます。

 一つは、企業会計原則の注解24にある国庫補助金、工事負担金の圧縮記帳です。この場合には、国庫補助金ですとか工事負担金というものが取得価額から控除されるという実務が行われております。ただ、これが行われている業種は非常に限定的ではないかというふうに思います。この注解の24ができたのは、私が公認会計士の二次試験を受かるより前の話ですので、どういう経緯でこうなったのかというのは実はよく分かりませんけれども、IASなどを見ますと、国庫補助金については、やはりスタンダードがございます。ただ、工事負担金の処理などにつきましては、どうも処理がはっきりしないという点はあるようです。

 もう一つ、交換の場合の圧縮記帳というのがあります。これは連続意見書の第三に、「交換に供された自己資産の適正な簿価をもって取得価額とする。」という部分がございます。これを受けているということがございます。

 もう一つ、公認会計士協会の方で、監査第一委員会報告第43号というのが昭和59年に出ております。この中で、交換に準ずるものとして収用等の社会的要請により同一種類、同一用途の代替資産を取得した場合には、直接減額が認められる場合があるというふうにされております。実務的にはこういうことはされているわけですけども、そもそも、資産の取得原価をどうやって決めるという問題なのか、それとも、売却益と収益をどういう認識にするのかという問題なのか、この辺がどうもはっきりせずに、実務が行われてきているという感じがしております。

 もう一つ、ここに記載されておりませんけれども、連続意見書の第三を見ますと、自己の有価証券と固定資産の交換をした場合の処理について、有価証券の時価又は適正な簿価のいずれかを用いるというふうな規定がございます。過去、有価証券が貨幣性資産なのか、費用性資産なのか、どうもよく分からない状態できているわけですが、その辺を加味して、恐らくこんな規定になっているのかなという感じはいたしますけれども、最近、金融商品の会計基準の関係で、貨幣性資産的に捉えるという考え方が非常に強くなっているのかなというふうに感じておりまして、今の扱いでよろしいのかどうかということは、少し検討すべき余地があるのかなというふうに考えております。

 3番目、「不動産の評価損」という問題です。これは今日の新聞にも出ておりましたけれども、時価下落が非常に著しいものがある。そういうものの評価減が実施されていない場合もある。こういう場合にどういうふうに考えられるのかという問題でございます。

 販売用の不動産については棚卸資産ということになりますので、これは低価法なり、強制評価減なりという、現行商法のルールは当然適用されるというふうに考えられます。

 もう一つは、自己の事業用に使っている資産、こういうものをどうするか。評価減の問題だけ取り上げますと、商法の34条で、「減損が生じたときの相当の減額」という規定が一つございます。もう一つ、連続意見書の第三のところで、「固定資産が機能的に著しく減価した場合の臨時償却」という規定もございます。ただ、この規定が時価の下落ということを想定していたのかどうかということは、必ずしも明らかではないのかなというふうに感じております。

 4番目、「ゴルフ会員権等」と書きましたけれども、やはり1990年ぐらいを境に、バブルの時代にいろいろなゴルフ場がオープンいたしまして、企業でもゴルフ会員権をかなり多額に持っている。それほど大きな会社ではなくても、5億とか10億とか、そういう単位のゴルフ会員権を持っているんですけれども、最近、見ますと、取引仲介業者等の示す相場が非常に下落しております。大体 1,000万ぐらいで買ったゴルフの会員権が、 100万から 200万の間ぐらいなのかなというのが現状の相場ではないかと思います。この辺については、会計士協会の方で、先月、「金融商品会計に関する実務指針(公開草案)」というのが出ております。一応ゴルフの会員権も金融商品の会計基準の対象であるというふうには書かれておりますが、これについてどうやって評価減をするかという問題は必ずしも明確に扱われておりませんし、今の実務上の問題でもあるかというふうに思っております。

 もう一つ、私はゴルフやらないんですけれども、ゴルフの会員権を買いますと、入会金というのがございます。これは実務上、資産に計上されております。法人税の基本通達でそういう扱いになっているということで、実務慣行が成立しているわけですけども、これは本当に永久に償却しない資産だろうか、本来、10年とか15年とか、それ相応の期間で償却すべきものじゃないかなというふうな考え方もあるかと思います。

 5番目は、「営業権」の問題でございます。

 商法の 285条の7では、営業権の−−のれんと称しておりますが−−償却期間を5年内というふうにしております。ところが、1997年に改訂された連結財務諸表原則の中では、連結調整勘定というもの、恐らくこの大部分は営業権から成っているんだろうという考え方に立っておりますけれども、これは20年以内の期間で償却されるということにしております。実務上、株を取得する方が手続的には簡単です。ただし、その企業が抱えている隠れ債務全てを引き継ぐというリスクを企業は抱えますので、特定の資産・負債だけに絞って営業譲渡を受ける、それに伴って、営業権も発生するというふうなケースもございます。この場合、この5年という期間が現実なのかどうかという問題もございます。これを会計の問題と考えるのか、商法の規定の問題と考えるのかという点もあろうかと思います。

 (2)番目に、「株式の取得の対価に含まれる営業権の取扱い」というのがございます。

 例えば、新たに支配権を獲得して子会社になるという場合を考えますと、連結財務諸表上はこの部分は連結調整勘定に計上され、20年以内で償却されます。ところが、個別財務諸表上は営業権を別に認識するという処理をいたしませんので、ずっと永久に非償却資産でこの部分は残る。当然取得の対価には営業権部分というのは入っているわけですけれども、これは償却されないということになります。永続的に続く権利というふうに考えれば、それは一つの考え方なんだろうと思いますけれども、取得した企業の事業が当初の見込みどおりにいかない、買収したけれども、累損が非常に増えていくというふうなケースを考えますと、この営業権の部分の評価減をどういうふうに考えるんだろうか。これは株式の評価の全体の問題として考えるべき問題なのか、取得価額に含まれる営業権の減損のように考えるのか、この辺については必ずしも明確なルールが存在しないというふうに思います。ただ、この問題というのは、合併会計と連結会計の違いというふうな、いわゆる企業結合会計全般の問題という問題も含んでいるのかなというふうに思っております。

 もう一つは、先ほど申し上げた連結調整勘定の問題です。

 連結調整勘定というのは、20年内の一定期間で償却されるわけですけれども、先ほどの、実際に支配権を取得したけども、思いどおりにいかないというふうなケースを考えますと、やはりこれも減損的な考え方の問題になるようなケースがございます。

 もう一つは、子会社の株式を段階取得した場合に、最初からスケジュールと買取価額が決まっていれば、特に問題はないわけですけれども、為替レートが絡むケースもございますし、公開会社で株価が変動する場合もございますけれども、最初に取得したときの営業権の対価よりも、後の部分の方が1株当たりについて随分低くなるというふうなケースがございます。そういう場合に、当初の部分の資産性というのはそのままとして受け入れるのかどうかという問題が一つあるかと思います。

 取得価額の問題と、それから、営業権の問題、評価の問題、日常感じているところを少し申し上げさせていただきました。

○斎藤部会長 大変ありがとうございました。

 それでは、次に、会計学者の方からということで、大日方委員からお願いいたします。

○大日方委員 東京大学の大日方でございます。

 冒頭に、私自身の問題意識、あるいは背景といったものを書かせていただいておりますが、論点と申しましても、2種類の論点があろうかと思います。一つ目は、これはジャーナリズムが直ちに取り上げたくなる、国際的な会計ルールと比べて、日本基準の足りなさといいましょうか、まだ定められていない空白部分、あるいは隙間といった意味での論点であります。これは会計基準を設定するという局面においては非常に重要な問題ではありますが、私のような研究をする立場から申し上げますと、2番目の、今ある会計基準を検討したときに、類似しているもの、あるいは何か非常に近いところにある会計基準が不釣り合いである、あるいは実際には同じものについて、違った形の会計基準を2種類定めてしまっているようなもの、こういうのが論点になろうかと思います。

 以下、2ページにわたりまして、この二つの観点から、論点をまさに教科書的に並べてありますけれども、事の重要性の重みが随分と違っておりますので、ここでは重要だと思われるところのみを触れさせていただきたいと思います。

 まず I 番目は、「取得原価の決定」でございますが、先ほども御指摘いただいているように、多くの方が同意されるような問題点が相変わらず残っております。かつて国際会計基準に対して検討留保項目と言われていたものもまだ未解決のまま、例えば典型的には「その他の資本剰余金」ですけれども、実質的に機能していないのですが、規定だけはまだ残っているという意味で、論点にはなろうかと思います。これは最初の「当初認識」と言われている局面での問題であります。

  II 番目は「耐用年数」でございます。これは繰り返し繰り返し指摘されながら、ずっと解決されていない問題でありまして、日本公認会計士協会の方からいろいろな委員会報告等が出ておりますけれども、事あるごとに、耐用年数については個別的耐用年数がいいということが言われておりますが、実際にはルールとしては税法基準のような一般的耐用年数も認められておりますし、規律が働いているのか働いていないのか、あるいは実際に個別的耐用年数を採用するとき、どのように監査上対応できるのかといった点について、まだ未解決の問題が残っているかと思われます。

 それから、2番目の耐用年数の短縮、あるいは総用益提供可能量、これは生産高比例法ですけれども、これが変更されたときの処理というのは、臨時償却を行うか行わないかという点で非常に難しい問題を持っております。アメリカの場合には「見積もりの変更」というカテゴリーに入れており、従来は見積もりの変更という形で対応しておりましたが、最近では、「減損」問題であるという取り上げ方もなされております。現に我が国の、これは無形固定資産の場合ですけれども、ソフトウェアについては、見積量の改訂については減損の問題であるという形で、日本公認会計士協会から指針が出ております。その点やはりまだ統一されていないという意味で、不整合部分があろうかと思われます。

 それから、 III 番目は「残存価額」でございます。これは問題がなさそうでありそうなところであります。

 例えば、残存価額1割というのは教科書でも教えるところでありますし、多くの企業が採用するところでありますけれども、1割にしないと定率の率が決まらないからということでありますが、アメリカの場合、基本的には、ゼロにしても定率償却できるようになっております。最近、議論のありそうなのは、所有権移転外リースで残存価額がゼロというときに定率法を使えないので、ふだん使ったことのない級数法で対応したらどうかというようなものとか、あるいは定額法の率の割り増し償却ですね、何%割り増しでやろうかという、ちょっと例外とも言える話が出ておりますけれども、もしも、リースができるのであれば、普通の固定資産も定額法の何%増し償却というので、定率償却していいかということになりかねませんので、ここも多少不整合があるところです。

 それから、バック・エンド・コストでございます。これはかなり特殊な事例でありますが、最近、話題になっております割引現在価値評価が典型的に当てはまるところでして、実例としては、遠い将来のものですが、原子炉の廃炉コストを割り引いてくるかどうかということがあります。かつて連続意見書では、残存価額のマイナス項目にしようという話もありましたけれども、それで賄い切れないぐらいオーバーしてしまうわけで、はるかに大きいんですが、それを一体どう配分するか、あるいはそれは偶発損失と見て、予想された瞬間に全額割引額を引き当てるかといった点が問題になります。事実上、我が国では既に電力会社は生産高比例法で対応してしまっておりますが、特にそれの根拠になっているようなルールはございません。

 それから、「償却方法」に移りますけれども、これもアメリカFASBの概念基準書の草案で出ております、ディスカッション・メモランダムに出ていたのかもしれませんが、逓増償却、かつての年金償却法とか償却基金法という、毎期の償却額が金利分ずつ増えていくという逓増償却ですが、それは一体使えるのか使えないのか。退職給付についてはこれを使っているわけであります。毎期の金利費用は金利分だけ必ず増えていくということになっておりますが、ここも不整合が見られる点であります。

 それから、2番目の点は、税法との絡みで多少ポリティカルな点でございまして、これは割愛させていただきます。

 3番目は、これもかつての検討留保項目と言われていたようなところでありまして、損益計算書の区分に関わるところでありますけれども、会計方針変更時の累積的影響額を一体どうしたらいいかということでして、特に固定資産の場合にその影響が大きいので問題になろうかと思います。

 「償却単位」につきましては、これはかなり特殊な、特定のものだけに関わる問題ですので、御覧いただくだけで止めておいていただきたいと思います。

  IV 番目は「再評価」でございます。これが会計基準の空白、あるいは隙間、特に、国際的な話題になりながら、我が国でまだルールがないという意味で、重要なところなのですけれども、ただ、多少落ち着いて考えてみなければいけないなと感じておりますのは、国際的に見て、我が国の会計ルールはそこが空白だから、新しい会計ルールを作るべきだとは直ちには言えないのであって、ほかの基準の類推適用で十分足りているとか、あるいはそこに新たな会計ルールを作ることによって、派生的な問題が出てきてしまうというようなこともありますので、その点で、簡単に、これが論点だとはちょっと言えない気がしております。

 その意味で、多少分量は割いておりますけれども、1番目は、これも恐らく後でどなたかが報告してくださると思いますけれども、いわゆる投資不動産絡みの継続的再評価、保有損益、上側も評価益を認識するか否かという問題でございます。

 2番目は、これはもう問題というよりは、現実に起きておりまして、改正土地再評価法のように、臨時的ではあるけれども、再評価してしまう、そのことがもたらす問題点というのは、多少学問的には興味があるんですけれども、制度のルールという点では必ずしも大きな問題ではございません。

 恐らく一番大きな問題は評価切り下げの問題であろうと思います。先ほど申し上げましたように、現行基準で可能な部分は何か、それから、新たに導入するとして、どんなことができそうなのか、もしも、アメリカあるいは国際会計基準等々の英語圏での会計ルールを日本に入れた場合に、どういうところが派生的に問題になってくるかという点を書いてみました。

 この詳細に立ち入ることは今回の御報告にふさわしくはないと思いますけれども、確認だけさせておいていただきますが、現行基準で可能な切り下げというところを可能な限り拡大していくと、余り問題なく切り下げを導入できそうなんですけれども、ただ、3)に、派生的に問題になってくるところがあります。

 非常に難しいところは、これは先ほど小宮山先生からも御指摘ありましたけれども、在庫評価基準です。低価基準は任意選択ということになっております。強制されているのは強制評価減のみですが、もしも単に時価が下落しただけで切り下げを強制するとなると、在庫に振り替えてしまえば、低価法を採用しない。在庫については原価法をうちは採用していると言われてしまうと、基本的に意味がないルールになってしまうので、もしも、やろうとするならば、在庫の評価方法を低価法強制まで考えざるを得ない。この点も検討留保項目として、かつて出ていたところでありまして、また固定資産を巡っても復活するのかなという気がいたしております。

 ちょっと遡りますが、マル3のところ、切り離しか、洗い替えかというのは、字面を見ると、テクニカルなんでございますが、元の取得原価までの範囲だったら戻していいかどうかという話でございます。これは非常に理論的には難しい問題がありまして、一旦あるところで評価切り下げをしたけれども、その後さらに価値が下がったときに、何を基準にして著しい時価の下落を考えたらいいのか。つまり切り離し法で、例えばですが、 100のものを一旦80に切り下げた。次に、著しい時価の下落とか、あるいは著しい下落というのも問題なんですが、40を割るかどうかということになります。ところが元のものは相変わらず 100である、だから50を切りさえすれば当然にやらなければならないということであるとすると、その辺が、非常にずれてまいります。従って、それは論理に絡むところでございますので、ひょっとすると、これに絡んで有価証券とか、在庫とかも問題になるのかもしれません。

 それから、「その他」のところですが、これは通常の教科書みたいな整理の枠組みにはどうしても入り切らないところでございまして、「その他」というところに書かせていただいたんですが、流動化、あるいは不動産のセールス・アンド・リース・バック、全く基準がないわけではありませんけれども、不動産あるいは固定資産をメインにそれぞれの会計基準は作られておりませんので、例えば流動化問題というのは基本的には金融商品、セール・アンド・リースバックも、基本的には動産、設備等を念頭に置いておりまして、不動産は無視されているわけじゃないんですが、海外と比べて、基準がまだ設定されていないという感があります。

 それから、2番目の営業権と連結調整勘定でございます。これは当然無形固定資産という形で、今回の一応射程には入っているんですけれども、営業権も連結調整勘定も、継承する資産・負債の評価から独立ではございません。継承した資産の評価額を大きくすればそれだけ営業権は小さくなる等々の形で、独立ではございませんし、これらを分離して譲渡するということが可能ではありませんし、分離した評価ということがほぼ絶望的に不可能な状態です。つまりマーケッタビリティがありませんから。そうしますと、議論は、当初認識ということも当然ですが、継承した資産・負債の再評価問題とも絡みますので、どうしても企業結合、あるいは分割、この中には当然合併も入るわけですが、結合、分割まで含めた上での会計基準という、少し大きな網をかけないと難しい問題なのかなという気がいたしております。

 以上でございます。

○斎藤部会長 ありがとうございました。

 それでは、次に、財務諸表の作成者の方からということで、都委員からお願いをいたします。

○都委員 新日鉄の都でございます。ちょっと風邪を引いておりますので、若干お聞き苦しい点がありましたら、御容赦お願いいたしたいと思います。

 今回、これからの検討項目について、企業会計に携わる実務の立場から、若干切り口的なものを申し上げたいというふうに思っております。

 これから説明に入る前に、今までは考え方のようなことが御説明がありましたけれど、少し数値的なもので具体的なイメージを持ってもらいたいということで、当社のバランスシートの固定資産のところを若干概要を書いていますので、4ページをお開きになっていただきたいと思います。

 これが新日鉄の固定資産の現状でございます。11年3月末現在の簿価でございます。

 固定資産全体では、中ほど上に太い字で、1兆 6,400億円強あると書いてございます。このうち一番大きゅうございますのは、やはり当社は装置産業でございますから、有形固定資産ということで、1兆 2,100億円ほどございます。内訳を書いてございますが、土地以外、建設仮勘定も入っておりますが、ほとんどが減価償却資産ということで1兆円強、それから、あと土地が 2,000億円ほどございます。金額的にやや大きく見えますけれど、面積で言いますと 6,900万平米ということで、製鉄所ということから、非常に広大な土地が要るということでございます。

 ちなみに、時価というのは、我々から見れば、実は製鉄所の時価というのは余り意味がないと申し上げておりますけれども、御参考までにということで、固定資産税評価ベースでいけば、1兆円を超すような単位になるわけでございます。いずれにしましても、有形固定資産が一番大きいということでございます。

 この減価償却費の1兆 100億円の内訳を若干申し上げますと、建物で 2,300億円、これはほとんどが工場建屋でございます。あと構築物が 1,100億円。やはり大きゅうございますのが機械装置で、 5,500億円ほどございます。

 それから、その下を見ていただきますと、無形固定資産ですが、これは28億円ということで、全体の固定資産額から見れば非常に小さい規模でございます。

 あと、投資その他の資産が 4,300億円ございますが、 3,300億円は投資有価証券、あるいは関係会社株式でございまして、今回、もう既に金融商品とかそういったもので取り扱われているかと思います。

 あと、長期前払い費用が 600億円と大きゅうございますが、従来、ソフトウェアの開発費をここに置いていたものでございまして、これがほとんど大半でございます。今回、研究開発費とソフトウェアの会計処理が定まりましたので、基本は我が社は一時の費用に落としていくということでございますので、これは今後ほとんどなくなるかと思います。

 ということで、全体を見ていただきますと、やはり、固定資産とは言いながら、金額で見れば有形固定資産のところが企業にとって一番大きなところであると、こういうことでございます。

 ちょっと個々に書けばよかったんですが、当社だけではいかがかということで、大和総研さんが全産業のいろんな統計データをとっておられて、金融機関、保険業を除く全産業で上場の 1,695社の単純平均を出しておられました。1兆円を超すような企業と数百億円の企業の単純平均なので、絶対値はなかなかイメージがわきにくいのですが、御参考までに申し上げますと、この 1,695社の平均が固定資産 1,351億円だそうです。このうち有形固定資産が 877億円、無形固定資産が20億円ということで、あと投資有価証券を中心とする投資その他が 450億円ということでございます。そういう意味でも、やはり有形固定資産のところが圧倒的に大きいと、こういうことになっておるようでございます。

 それから、真ん中ほどに、御参考までに、当社は都市開発事業も一部の事業部でやっておりますが、有価証券報告書などにも記載させていただいていますので、ここに御紹介いたしました。

 販売用不動産は仕掛品に、開発用土地は半成工事に計上ということで、 247億円ございます。広さ 200万平米ということで、非常に広い土地を持っています。実は製鉄所の方で遊休地となったものを、都市開発に適している部分がございましたので、これを組み替えて、今後、販売用にということでございます。そういう意味で簿価が非常に低いものとなってございます。

 固定資産の会計処理でございますが、下に償却の方法を書いてございます。これは御覧になっていただけば分かるとおり、法人税法に規定する減価償却の方法と同一の基準でやるということでやってございます。

 あと、設備が一時休止したりした例外的な処置をどうしておるかということでございますが、設備を一時休止した場合、これは余りないんですけど、当然のこととして、減価償却を継続しております。

 それから、設備を廃止をしたとき、除却損を計上しております。これは基本的に、物を壊すとか、やるとかいうこともございます。通常はそういうことを伴いますが、必ずしも壊さなくても、役員会等で正式に、この設備は使わないという意思決定した段階で、これは除却をしております。

 それから、それ以外にもうちょっと例外的な処理で、かつて十数年前ですけれど、中期的な経営計画に基づいて、今は廃止しないんだけれど、5年の間に順次、ある時期を決めて設備を廃止するということをリストラの一環として決めたことがございました。そのときには当然、耐用年数を全部全うしないわけですから、廃止した時点で大きな損失が出ることが分かっておりましたので、廃止損失が出ることに備えて、「固定資産廃止損失引当金」というのを計上した経緯がございます。直接今回の減損ということではないんですけど、一種の減損に近い評価的なものをここで行ったということでございます。

 これが当社の紹介ということで、もう一度、恐縮ですが、1ページの本論のところへ戻っていただきたいと思います。

 「固定資産の会計処理について」というヘッダーで、では、どんな区分で考え、いろいろ見ていくのかということで、我々製造業の立場からということで区分をいたしております。

形態と目的区分から言えば、償却資産と土地というのが一番分かりにくいです。これを生産設備用途と賃貸ということで、少し変えてみるのかなと。細かく言えば、建設仮勘定など、建設途上のものを区分するという必要があるかもしれません。

 それから、土地は、投資用土地というのは括弧付き程度かなと思います。通常は事業用の土地ということで、これが賃貸あるいは生産設備用に供されています。

 これを今度は現況ということで、使用中か、休止中か、廃止予定と、こういったことで区分するのかなということでございます。

 あと、無形固定資産ですが、これは先ほど御紹介しましたように、余り大きな金額規模ではございませんけれど、個別に見れば、こういったことかなということでございます。

 それから、投資その他の資産については、投資有価証券等が中心なので、大宗の部分については金融商品のところで議論がなされたように思っております。

 あと、販売用不動産をどういうふうに取り扱っていくかということでございます。これをどう関連づけてものを考えていくかということでございます。

 評価方法につきましては、これはもう皆さん御承知のとおりでございますので、確認程度にということで書いておるものでございます。

 2.(1)のところでございますが、現行会計基準は取得原価主義で、ただ、商法上は減損について規定されているということ、再評価についての規定はないということでございます。

 以下、ちょっと割愛させていただきまして、次に、企業会計原則、それから、公認会計士協会の監査第一委員会報告の3号、それから、商法34条を紹介させていただいています。趣旨は、減損に近いことを、それなりに今の会計原則等は想定はしていたのではないかということが窺えるということでございます。

 (2)は、国際会計基準等ということで、国際会計基準と米国基準を御参考までに見出し的に書いてございます。取得原価主義を原則としつつ、減損について規定し、投資不動産については評価益も国際会計基準では規定しているということでございます。

 こういった国際的な流れの中で、今後、我が国の会計をどう考えていくかということになるかと思います。

 少し飛ばさせていただきまして、(3)でございます。固定資産の評価をとりまく経済環境ということで、理論的なことは別にして、今の経済環境の中でどういったことを考えておかなければいけないということでございます。

 一つは、先ほどお話もございました土地等の不動産価格のバブル以降の大幅な下落ということでございます。ここはやや私の個人的な意見を書いておりますが、まずは販売用不動産の評価の問題ということで、事業用資産については保有目的に応じて、それぞれ慎重に検討していただく必要があるんではないか、販売用というのは売ってしまえばそれっきりのものですけれど、事業用資産というのは、まさに経営者が知恵を絞ってリストラ等を行って、そこから利益を最大限引き出そうと、こういうものでございますから、一時のいろんな金額の動きの中で、全てを一時的に決めるのはいかがかという気は少ししております。

 それから、マル2番目の企業の事業撤退等のリストラに伴う設備休止、廃止ということで、これは先ほど商法とか御紹介した中で、現行の規定の中でも、本来は適正に処理し得る可能性はあるのではないかなという気はしております。

 あと、評価方法については、取得原価主義の維持と評価減、それから、次のページですが、評価益を許容し得るか、この3点については今後議論をしていただくことになるかと思いますけれど、基本はやはり取得原価主義は維持というのが、固定資産についてはベースだというふうに私は思っております。

 次に、議論をされていく過程で、幾つか私として申し上げておきたいということで少し書いておるんですが、一つは、実務面で、時価時価と言うけれど、一体どういうふうに時価を適用するんだということですね。例えば売却価格をもって時価を見る場合は、土地について以下の方法がございます。ただ、いずれも実務面で時間やコスト負担がかかるということで、例えば公示価格を使うことはありますけど、公示箇所以外は実際に把握できない。では、固定資産税評価額というのは、これは全てありますけれど、3年に一度しか評価替えがないということで、年々の補正計算をどうするんだと。あるいは相続税評価というのはあるけれど、これは企業が自ら評価計算を行わなければいけない。鑑定価格だと、もうこれはとんでもないたくさんのお金を取られるということで、もちろん大まかに、いわば売却価格のゾーン的なものは頭に浮かべることはできても、具体的に数値をどれにするかということになると、なかなか簡単ではないと、こういうことでございます。

 次に、将来キャッシュ・フローで計算するということなんですけれど、これは設備廃止等の明確な減損の事実が発生した場合はありますけれど、そうでない場合は、やはり前提の置き方如何で結果は非常に大きく変わります。大体どの会社も、3年程度の中期的な経営計画を作ってやっているわけですけど、どんどん前提が動いて、それに対してまたいろんな対応を改めて考えていくと、こういうことになっております。そういう意味で、なかなか将来キャッシュ・フローというのも、通常、ゴーイング・コンサーンで考える中では難しいところがあり、簡単ではないというふうに考えています。

 (6)番目が経営者の判断ということでございますが、これは今の将来キャッシュ・フローの裏腹みたいな、同じことになりますけれど、結局固定資産の評価というのは、事業の将来見通しに係る経営者の意思であり、判断でありますから、この辺は十分尊重しておく必要があると、このように考えております。

 それから、もう一点、単独決算と連結決算の関係をどのように考えるかということでございます。

 固定資産の評価を行う場合、特に減損という形で、グループの中のある1社にとっての利用価値が非常に減ったということがあり、仮にこれが減損ということを考えなくてはいけない局面になったとしても、グループ全体でまた活用の余地が出てくる可能性が十分あります。そういったものをどうするか。あるいはグループ自身で事業の再編成をやる中で生きていく可能性がある。そうすると、それをどのように考えるか。1社だけで見れば、非常に価値がなくなったという場合でも、そのようなときどうするかということでございます。

 (8)番目は、税制面の取扱いということで、税は御案内のとおり、法人税法の中で、基本は、固定資産については評価減は認めない方向で、災害による著しい損傷その他政令で定める云々ということで、極めて限定的なものしか評価減を決めておりません。そういったことが、今まで会計の中でなかなか減損というのが扱いにくかった一因があるいはあるかもしれません。いずれにしましても、過去のことは別にしましても、今後、会計制度でいろいろ考えるに当たっては、税制面も減損ということを併せて考えるというのが筋ではないかと思っております。

 (9)番目が企業経営への影響ということで、評価方法如何では、企業経営に大きな影響があると思います。我が社は幸い古い会社ですから、土地というのはむしろ含み益の方にありますけれど、これはやはり特定の産業に集中する可能性もあると思います。その辺をどうするか。もし影響が大きければ、激変緩和的なことも、検討内容次第ですけれど、考える必要があるのではないかということでございます。

 最後に、時価開示ということで、これはどちらかといえば、理論的な話というよりは、よくいろんな投資家等の方からこういった御要望もあるのですけれど、我々製造業の立場から見れば、非常に広大な土地を、かなり都市部から離れていて、まさに事業用以外なかなか用途がないものが、たまたま近隣の価格を参考にして、とんでもない金額が出ている、それを開示することには余り意味がないんではないか、むしろミスリーディングじゃないかというように思っております。バブルのときにも非常にそういった話があったのですけれど、もしあのときに非常に大きな金額を実際に開示していたとしたら、それが本当に良い理解に結びついていたんだろうか、ちょっと疑問に思います。これは参考までに書かせていただきました。

 以上、項目の列挙になりましたけれども、私の御報告とします。

○斎藤部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、最後に、財務諸表の利用者の方からということで、久保委員にお願いをいたします。

○久保委員 東京証券取引所の久保でございます。それでは、資料4に基づきまして御説明させていただきます。

 副題に「投資者・市場サイドから」と書いてございますとおり、私どもの方では、有価証券報告書等の制度開示資料を毎日利用するというような立場でございます。それから、もう一つ、これから申し上げる視点としてお話し申し上げておくべきことは、新規上場を所管する立場にございまして、会社の実態を、外部には出さない、いわゆる内部資料を含めて、審査資料として私どもは見ることになっております。年間大体60社前後上場しておるわけで、そういう会社の文字どおり実態の内容と、それから、外部に開示される資料というものを両方見る立場にあるのかなというふうに考えております。従って、そのようなものを踏まえながら、開示についても、あるいはその会計についても考えていくというようなスタンスに立っております。

 1のディスクロージャーですが、ここでは本審議会も、当然、証券取引法に基づく開示ということでございますので、投資者保護の中核をなしておりますディスクロージャー、そのようなことで考えております。

 ・が二つ書いてございますけれども、ディスクロージャーは証券市場の重要なインフラということで、マーケットの運営に当たっては、ディスクロージャーがどのような水準のものであるか、信頼性がどうかということは極めて重要な市場に対する評価にもつながるものだというような認識に立っております。

 それから、有報等をはじめとする制度開示資料は市場に対する投資判断情報の基礎をなしているという認識に立っておりまして、御案内のように、タイムリー・ディスクロージャー、IR等が行われて、マーケットにはそういった三つの情報ルートを通じて情報が提供されております。実際の株価等は、そのような形で形成されている、価格発見機能がなされているということでございます。従って、例えば決算発表が行われますと、大きく株価が動くということですけれども、それについても、有価証券報告書等におけるデータ開示がその基礎をなしているというような考え方をいたしております。

 今回取り上げる固定資産会計をはじめとしまして、企業会計、財務会計もディスクロージャーの中核をなすものだというように考えておりますので、そういった視点から、固定資産会計をこれから考えるに当たって、視点的なものを、若干二、三挙げてみました。

 一つは、固定資産会計をはじめとして会計、従って、ディスクロージャーが、情報を提供する提供先たる投資者、マーケット、これが一緒にグローバル化しているという実情です。

 横書きになっております参考資料の2ページ目を御覧をいただきますと、「委託売買代金合計に占める外国人投資家の比率等」とございます。御案内のように、証券会社に実際には委託をして売買を行う、直接投資家の皆さんがということになっておりませんので、このような言い方をしておりますけども、中身的には、実際に売買に参加をして、価格形成に参加している人はどんな投資家層なんだろうかと、そういうふうにお考えいただければよいかなと思います。

 左の円グラフにございますとおり、外国人は45.3%になっております。右のその推移を御覧をいただくと、表が出ておりますが、5年ごとに調査いたしております。外国人投資家比率、889.19320.798年で45.3ということで、急速に外人の投資家比率は高まっております。従って、マーケットはまさに眠らないマーケットということで、24時間動いているということでございます。また、我が国証券市場としても、ニューヨーク、ユーロ、東京ということで、そういった市場機能を果たしていかなくちゃいけないという認識に立っているわけでございます。

 持株比率そのものは、同じ表の右側にちょっと載っておりますけれども、実際に末でどのくらい所有しているかという比率そのものですけど、これも上昇してきている。従って、実際にマーケットに参加して売買を行っている、それから、現に所有をしているという比率ともに、非常にそのウェイトが高まっているというのが実情でございます。

 本文の方に戻らせていただきまして、(2)投資判断に有用な情報というような視点でございます。

 投資判断に有用な情報という視点で見てみますと、財務諸表が掲げられることとなる有価証券報告書の中身、構成を見てまいりますと、財務諸表部分、いわゆる経理の状況部分と、それ以外の部分というふうに分かれます。

 財務諸表については、ここに書いてございますように、有用な情報、投資判断、投資意思決定に有用な情報を提供する会計処理、開示、これが投資者、マーケットサイドから求められているということでございまして、財務諸表は実績値を開示するというようになっておりますので、従って、マーケットサイドは、上場されている、あるいは公開されている有価証券に対して、将来の価値なりキャッシュ・フローというものを予測をして投資いたしております。従って、実績値はその予測の検証を行う、あるいはその是正を行うというふうな意義を有しておりまして、そういう点に役立つのかどうか、今後の予測、トレンド等の評価、分析に役立つような実績値を示しているのかどうか、マーケットサイドからは実績値を示す財務諸表に求めているということでございます。

 もう一つの財務諸表以外の部分については、「分析的説明等」と書いてございます。実際に投資意思決定、投資判断情報として制度開示資料を使う場合に、ただ財務諸表だけをじっと睨んでいるのではないということでございます。財務諸表に計上されている金額の持つ意味、そういったものを理解をして、同じ金額であっても、理解が違ってくるということは往々にしてよくあることでございまして、数字の出された、あるいは計上された背景なりバックグラウンドなり、あるいは企業が考えている経営戦略なり経営方針なりを踏まえて理解をすることにいたしております。従って、財務諸表の計上の基礎をなす固定資産会計をはじめとした企業会計においても、こういったものとの関わりを踏まえた会計であってもよいのではないかと考えているということでございます。

 (3)は、ディスクロージャーに対する信頼性の確保という視点でございます。先ほど冒頭に申しましたように、ディスクロージャーはマーケットの重要なインフラの一つであるという認識に立っておりますので、ディスクロージャーの信頼性が図られる仕組みになっている、ディスクロージャーについて、その中身が信頼性が得られるものだということと、現に実際にマーケットでディスクロージャーされた情報が信頼をされている、この二つの要件がともに得られるということが極めて大事なことでございまして、そういう意味で、我が国のディスクロージャーに対する信頼が得られるような会計をぜひ構築していただきたい、そのような視点で考えているということでございます。ディスクロージャーの信頼というのがマーケットの信頼性に重要な影響を与えるということでございます。

 御案内のように、ビッグバンの遂行の中で、我が国の制度が大幅に転換されておりますので、そういった意味で、固定資産会計についても、今回取り上げられることになったのかというような認識でおります。

 2番目の固定資産会計のところで、(1)で「基礎概念」と書いてございます。固定資産の概念と計上金額ということで、そもそも貸借対照表に計上されるべき固定資産の金額とはどのように考えるべきものなのかということをこの際、検討する必要があるのではないかと考えております。

 固定資産について、企業における資産の所有目的、一般には、その利用、使用目的だというように思われますけれども、そういったものについて、現在、採用されております取得原価主義会計を継続して採用する、あるいは他の考え方をそこに入れるのかどうかということについて、先ほど申しましたように、これを分析していく場合には、資産の収益率等を分析する際に、貸借対照表計上金額を使うということになりますので、運用利回りだとか、資産価値だとか、それから、今後の予測に資するような情報を提供する固定資産会計というのはどういうものなのか、そういう視点から考えていくべきでないだろうか。従って、その場合には、固定資産会計を取り巻く企業会計上の会計理論そのものと、それから、我が国における、計上されている固定資産を取り巻くインフラの現状、実情というものも踏まえた議論が必要であろうというように考えております。

 (2)の固定資産会計における検討課題ということで、これは特に体系立って番号が付けてあるわけでございませんで、念頭に浮かんだものを例として挙げておりますので、そのように御認識をいただければと思います。

 マル1取得原価の減額等に関する基準とございます。いわゆる減損会計ということで、減損会計とは一体いかなるものか、いろいろ議論もあるように思いますので、ここではそういった言葉を使わずに、取得原価主義会計の下で計上されている帳簿価額の減額等に関する基準と、そのような言葉遣いをいたしております。これについては、先ほどもどなたかございましたように連続意見書、いわゆる企業会計サイドからの意見が出ておりまして、企業会計原則はもちろんですけれども、連続意見書というものも出されております。そこで正規の減価償却、あるいは臨時償却、臨時損失というような概念がそれぞれ説明をされております。

 また、商法34条においても、相当の償却をなすというようなことが規定をされておりまして、また、「予測すること能はざる減損が生じたときは相当の減額」というようなことになっております。

 そしてまた、もう一つ、土地再評価法というものが施行されております。参考資料2−1をちょっと御覧をいただきますと、これは実際に開示されたものなので、たまたま例に挙げた、サンプルということで、特に他意はないと、そのように御認識をいただきたいと思います。

 これは本年の5月にタイムリー・ディスクロージャーで発表されたもので、それをコピーして皆さんにお配りしたということでございますけれども、(2)のところで「再評価を行った理由」と書いてございます。当社所有の事業用資産の帳簿価額と時価の乖離を是正し、資産の適正な評価を行うためだというようにされております。また再評価の方法はどういう法令に基づいているのかが書いてございます。

 次のページを見ていただきますと参考資料2−2となっておりまして、右肩に「添付資料2」と書いてございまして、これは本件の発表に当たって何枚か資料がございますので、その抜粋ということで御理解をお願いいたしたいと思っておりまして、そういう意味で右肩に「添付資料2」とありますけれども、一部抜いてきたということでございます。

 この添付資料はどういう意味合いかというと、どんな考え方でやったかということを説明をしたというような位置づけのものでございます。

 事業用土地の再評価を実施と書いてございます。先ほど御覧いただいたように、資産評価の適正化を行って、強い経営基盤を構築するということでございまして、バブル崩壊後の経済環境の低迷に伴いというようなことで、3行目に、いわゆる含み損とみなされる資産を貸借対照表に計上しておくことは誤解を与えることを懸念するんだというようなことを書いてあるとともに、これからの経営環境の中では、こういったことが必要なんだというような考え方が背景にあったんだというふうにうたっております。

 マーケットサイドからは、こうした認識、あるいはこうした対応をすべき資産というのは同社だけなのかなというような認識を持っております。同社は、ごく最近、新規上場した会社なんですけれども、こういう必要があるのは同社だけであろうかというような考え方に立っております。

 従って、本文の方に戻っていただきますけれども、取得原価の減額等に関する基準、このように連続意見書、商法、再評価法があるわけですけれども、統一的な考え方なり基準なりというものがここで策定をされて、同じように適用がされることが、投資者、マーケットサイドからは求められているところだということでございます。

 マル2海外基準との関係と書いてございます。余り資料が多くないので、事例は特に挙げてございませんけれども、最近のところで、これは今回日本でも導入されることになりましたけれども、有価証券についての会計処理を、アメリカの会計基準を使った連結財務諸表を作成した会社にあって、日本基準とは大分違った利益の額が出たと。低い利益の額だったわけですけれども、株価はストップ安まで反応したということでございまして、海外の基準と日本の基準に対する見方はなかなか厳しい見方になっているなということでございまして、先ほど申し上げたように、マーケットのグローバル化ということを考えたときに、海外の基準との関係というものも念頭に置いて、視野に置いて議論が必要なのではないかなということでございます。

 マル3一定期間内の償却ということでございまして、この一定期間内の償却については、例えば5年以内の償却ということで、5年で償却する、あるいは業績を見ながら、継続的にやっていた償却を、その時点で残額を全て償却するというようなこともございまして、外部から見ているとなかなか分かりにくい部分があるということでございます。

 ここに例として、営業権の償却を掲げてございますけれども、営業権、いわゆるのれんを貸借対照表に計上すべきものと認識して計上した時点と、その後、償却を進めている期間の各期末時点における評価が実際行われているのかどうか、例えば5年以内に償却ということになったときに、3年目、4年目のところで各期末に評価が行われ、取得時と同じような資産計上金額、資産価値を認識した上で償却を進めているのか。我々の実務のところでは、営業権が当初の価値はないということであっても、規則どおり償却を進めるということでも結構だというような事例もございますので、果たしてそういうことでよいのかどうか、議論も必要ではないかと考えております。

 それから、マル4の財務諸表のリステートでございます。これは固定資産会計に限らないわけですけれども、償却方法等のいわゆる継続性の変更があったときに、変更後の処理を直前期の財務諸表では行うんですけれども、その比較がなかなか難しいということですので、リステートというものが、これは会計そのものでございませんけれども、検討の俎上に上ってもよいのかなというふうに考えております。

 以上、体系立った例示ではなかったんですけれども、御説明をさせていただきました。

 以上でございます。

○斎藤部会長 大変ありがとうございました。

 4人の委員の方から、意見交換の素材として、固定資産の会計処理を巡る問題点について御報告をお願いしたわけでありますけれども、それを受けて、これから意見交換に移りたいと思います。どうぞ御自由に御発言いただきたいと存じます。

 吉牟田委員、どうぞ。

○吉牟田委員 私、今日ちょっと用があって早く帰らせていただきたいので、意見を申し上げておきます。

 税法の観点からはいろいろと意見があるんですけれども、例えば耐用年数という問題、前から税法では会計もちゃんと自分で耐用年数を決めてほしいという考え方は持っておりますが、しかし、何千とある機械装置等について、一々計算して、アメリカでは、工業経営学の教科書かなんかに耐用年数測定論というのがあって、ちゃんと勉強しているという話ですけども、日本ではそういうわけでもなくて、しかも、アメリカやイギリスの状態を見ますと、アメリカは、御存知のようにACRS、アクセラレーテッド・コスト・リカバリー・システムという非常に短年数の、一時はトーゴーサン、10年と5年と3年、器具備品3年、機械装置5年、建物10年、今は7区分ぐらいになっておりますが、あるいはイギリスは機械装置25%定率法というふうに、余り年数を区分しないことにすればできるかもしれませんけど、日本の、 369の機械を、一々総合と個別で計算するとかいうことになると、なかなか独自にやるというのも難しいだろうという気がいたしますし、確か通産省や日本租税研究協会はアメリカ式みたいな、機械装置とか何とか、大きく分けて決めるやり方という方向を申し入れたり、要望したりしているように思います。ただ、アメリカとイギリスは確定決算主義ではないので、日本の場合とまた少し違った事情があって、会計では全然別のことをやっても構わないわけであり、先ほどのACRSみたいなことを税法ではやっても、十分ということがあろうかと思われます。

 それから、残存価額の話がちょっと出ましたけれども、私が調べたところでは、日本みたいに残存価額10%をやっている国は今やどこも、税法上もございません。昔はドイツが耐用年数分の1を残存価額として、定率法の償却率を計算するという方法でした。確かにゼロの場合には定率法の償却率が計算できませんが、これはいろいろ考え方がございまして、先ほどもちょっとお話に出ました定額法の倍数方式をとったり、要するに数学的に10%で等比級数の公式から、今の定率法の償却率は逆算しておりますけれども、別にそういうことをやらなくても、ほかの国はしかるべく整数で、定額法の償却率の2倍とか2倍半とか、そういうやり方もやっております。また、残存価額は税法では10%と言いながら、償却可能限度額95%ということで、5%みたいなこともあるわけですね。非常に税法自体矛盾しているように思うんですけれども、これはむしろ会計の方でしかるべき方法を考えていただいて十分じゃないかという気がいたします。

 それから、減損の問題なんですけれども、減損というのが現在の強制評価損とか、先ほどちょっと新日鉄の委員の方から評価損の話がありましたが、税法でもかなり広く認めていまして、修理が十分でなかったときとか、地盤の隆起したとか、流行遅れれのときとかいろいろで。むしろ私は問題と思いますのは、この前もちょっと言っておりました、国際会計基準等には減損の戻し入れという問題がくっついているよと。これは日本の商法とか何とか今あるものではやってないので、戻し入れ付き減損ということを少し私はあってしかるべきだという感じがいたします。そうなると、先ほどの話題の取得価額までかという問題は理論的にあるような気がいたします。

 どれにしても、相当いろいろと検討すべき問題があるように思いますけれども、今はちょっと気づいたところ三つ四つをお話ししました。

 どうも大変失礼しました。

○斎藤部会長 ありがとうございました。

 ほかに御発言ございませんか。

 八木委員、どうぞ。

○八木委員 1022日の場で、固定資産会計をおやりになったらというような提案をした1人といたしまして、ちょっと感じていることがございます。

 今般、委員さんの中にも、都委員とか、それから、岩田幹事とか、実務家から見て、いろいろバラエティーに富んだセレクションをいただいたのは非常に結構だったと思うんでございますが、昨今、経団連でこういう話題をやりましても、いろんな方からいろんな意見が出て、なかなか、これから一つの考えをまとめていくのに、このテーマは手こずるなという感じを持っておりまして、そういう意味でも、あのときにいろんな立場からの委員の選定とか、あるいはいつもと違って少し時間をかけてやりましょうということを申し上げたように思うんでございますが、その辺ぜひ御配慮いただきたいなと、こう思っています。

 今、4人の委員の方がおっしゃったのをちょっとなぞるようでございますけれども、私もこれは非常に基本的な問題があると思うので、感じました第1が、先ほどのワールドワイドに見て、いろんな考え方があるということだと思うんですね。

 一つは、IASあたりが、Eの64の投資不動産でいきますと、例えば一部の不動産については時価評価をベースにしろと、そういうことを言っておりますが、一方、アメリカにおいては、評価益はだめだよというルールもあるというようなことで、やっぱり国によっていろんな考えがまだあるので、その辺踏まえながら、調和といいますか、これらの動向も見ながら、我々も考えていかなきゃならないんじゃないかというふうに感じておりまして、国際的な視点というのを忘れてはいけないなと、これが一つの感想であります。

 それから、もう一つ、基本法である商法とか、あるいは先ほどお話の税法といったものは、一部の資産を除いてはやっぱり取得原価主義というのがベースにあるわけで、それから、先般の土地の再評価法みたいなものもありますけれども、これらのルールとの調整というか、調和といいますか、この辺は議論しながらやっていかなきゃいけないんではないか、特に土地の再評価のようなものは、これはつまみ食いがだめなわけですから、やるとなると、先般の銀行の決算書などに見られますように、一斉にどんと非常に巨額の評価益を計上して、税効果会計というのは非常に大きなインパクトがあるわけで、あの辺も我々としては慎重に考えていかなきゃいけないなと、こう思っております。

 それから、私どもはSEC基準で決算をやっている会社なものですから、この前も申し上げましたけれども、ある意味では、この処理というのは非常に痛みを伴う処理につながりますよということで、業界によっては、軽々に採用できないといいますか、そういうところに追い込まれる業界も多いと思うので、この辺、非常に企業に大きなインパクトがあるんだという認識の下に、やっぱりこれは検討していかなければいけないと思いました。

 それから、先ほどお話があったように、土地の時価というのは算定が、我々実務をやっていると、こんな難しいものもないので、また、ワーキンググループその他いろいろやられると思うんですけれども、これも結構時間がかかるものだろうというふうに認識しております。

 それから、最後でございますが、これも再三お話が出ている、会計のルールを決めるので、やっぱり連結という視点から考えなければいけないんだろうと思うので、これがまた結構難しいなと。要するに海外の会社も一つのグループの中にはたくさんあるわけなので、そういうことから見て、連結の視点というのは絶えず忘れずにやる。つまみ食いといっても、一つの単独の決算の中だけというわけじゃなくて、先ほどもちょっと触れられた御意見もありましたけれども、連結の視点というのは、今後のルール作りというのはそれからスタートしなきゃいけないんじゃないかと思うものですから、それがかなり問題を重くしているなと、こういうことでございます。

 今日はフリーということで、勝手なことを申しましたけども、そういう感じでこれから取り組もうと思っています。

○斎藤部会長 ありがとうございました。

 ほかに御発言ございませんでしょうか。

 秋葉委員、どうぞ。

○秋葉委員 すみません。最初ですので、テーマに関して、一言だけ言わせていただきますと、多分今のお話でも、評価の問題、それから、測定の問題というのが一番のイシューだろうと想像されるわけですけども、実際私が日頃接している中で問題と感じているのは、認識の問題というのが結構ございまして、先ほど小宮山委員の方から交換の話が出ましたが、交換の前に、売却の問題をどう考えるか。というのは、キャッシュを伴う場合は売却となって、伴わない場合が交換になるわけですが、売却の処理について、日本の場合、基準があるようなないような状況になっているということで、これをいかに扱うか。扱わないかということもありますけども、それがあろうかと思います。

 それと、あともう一つ、大日方委員の方から、その他ということでございましたが、昨今、証券化、流動化の関係で、金融審議会の方でも、不動産と金融の結合というものを念頭に置かれたと思いますけれども、その場合に、不動産のセール・アンド・リースバックの話が会計処理的にはかなり問題になってきまして、これも日本の場合、あるようないような、実際にはないんですけども、そういう基準といいますか、考え方が、国際的にも、IASの17号とFASの98号は違うルールになっておりますので、どういうふうにするか、この点に関しては、実は会計士協会の方で検討することになっているわけですが、この辺も守備範囲の明確化がされているのかいないのか、本日も協会の常務理事の方々がおられるんですが、それもあらかじめ明確にしていただいた方が、今後進みやすいかなというふうに思います。

○斎藤部会長 ありがとうございました。

 今の問題は直ちに、現在御出席いただいている協会の理事の先生から御意見をお伺いするということでよろしいんですか。それとも……

○秋葉委員 いえ、初回なものですから、テーマということで認識いただいて、今後取り上げるか、取り上げるにしても、どのような形かということだけ示唆させていただければと思います。

○斎藤部会長 それでは、関連して御発言があれば承りますが、西川先生、どうぞ。

○西川委員 西川です。会計士協会で、今、実務指針という形でやろうとしているのは、不動産を特別目的会社を利用して証券化するということに関しての専門委員会を立ち上げたということなんですけれども、金融商品の実務指針のところで、金融資産の流動化という範囲の中から不動産を外したということがあります。

 ただ、その後というのは似たような形になるわけで、そのために、不動産について何にも指針がなくなっちゃうというのは非常にまずいんじゃないかということで、実務からの要請ですね、信託銀行等からの要請が強かったということで、取り上げようというふうにしたわけですけれども、もちろんここで上がっておりますように、固定資産の中で、取得、保有、それから、消滅という中で、消滅の認識の部分ですから、ここできちんと、消滅とはこういう時点でするということを決めることは非常に重要だと思いますので、もしここで取り上げるということであれば、それと不整合にならないようなことは考えていかないといけないなと考えております。

○斎藤部会長 ありがとうございました。

 ほかに御発言ございますか。

 山田委員、どうぞ。

○山田委員 先ほどIASの投資不動産E64についてちょっとお話が出ていましたので、現状の状況だけ御報告しますと、先月開催されましたベニスの理事会では、E64のままでの基準化は、10対4対2でほぼだめであろうということで、現在、ステアリング・コミッティーで、E64は、要は減価償却をやめてしまって、公正価値評価一本にするということですが、これを少なくともIASの39号と整合性がある程度の選択肢を認めたものにしようという方向で改訂を考えております。その案が今来ているんですけど、私自身は時間がなくてまだ読めておりませんが、それを12月の理事会で最終的には決定をする予定ですが、前回の議論からいきますと、少なくともE64の線で基準化になるということはかなり難しそうです。場合によれば、全く基準ができない可能性も、つまり来年以降に延びてしまう可能性もあるということでございます。これが1点でございます。

 あと、先ほど来減損の話が出ておりますが、私はIASの減損の基準の検討にも参加しておりましたけれども、この中で一番難しいと思われるのが、将来キャッシュ・フローの見込みと、それを現在価値にある程度割り引いてくるという考え方があるわけですけれども、キャッシュ・フローの見込みという点については、現在のIASでもかなりラフな規定しか置いていないんですけれども、このあたりがかなりポイントになるかなという感じがしております。海外の方に聞きますと、将来キャッシュ・フローの見込みというだけで、ある程度確実なものが出てくるような印象を皆さんお持ちなんですが、私も実務を経験しておりますが、これの見積もりがかなり難しいという感じがしますので、その辺をかなり詳細に詰めないと、実務上、役に立つようなものになるかどうかというのが懸念されるということが考えられます。

 それから、もう一点は、不動産に関する時価の測定、将来キャッシュ・フローの見込みをベースにする時価ということももちろんあるわけですけれども、時価の測定の信頼性という問題が、財務諸表で認識するとなると、かなり大きな要素を持つんではないか。従って、信頼性というのをどの程度のものと置くかですが、誰が計算してもある一定の幅におさまるというようなことだと考えますと、それだけの手法の確立とかいうことが前提とされるのか。そういうことが現状ではほとんどないと思うんですが、その辺はどう考えるかによって、開示で止まるのか、それとも損益として認識するのかというようなことの実務的な対応が必要になってくるかなという感じがいたします。

○斎藤部会長 ありがとうございました。

 自由な意見交換でございますので、必ずしも個々の論点が密接に関係してなくても構いませんので、どうぞ御自由に御発言ください。

 太田委員、どうぞ。

○太田委員 固定資産の会計基準ということで、私もふだん、実務に携わっているんですが、やはり取得原価主義が前提になっているという前提で日々いるわけなんですが、固定資産の会計基準をなぜここで見直さなければならないかということをつらつら考えてみますに、なぜ取得原価主義を大事にしなきゃいけないのかという前提に立ち戻るべきではないかなというふうに思っております。会社はやはり、利益を上げて、それをもとにまた新たに投資を行って、活動を継続していくことが前提になっておりますので、取得原価主義が大事にされてきたということは、取得原価まではとにかく回収できる、将来的には利益を乗せた形でお金が回収できるということがそもそもの前提にあったのかなというふうに思っております。

 ここでこれから評価損ですとか減損ですとか、そういうことが議論になってくるかと思うんですが、そのそもそもの前提が、実は成り立たなくなってしまっている状況というのを取り扱わなければならないということにもつながってくるんではないかなという意味で、企業会計の根本的なところをもう一回考え直してみる必要があるのではないかなというふうに思っております。

 何かとりとめがないんですが、それが感想でございます。

○斎藤部会長 ありがとうございました。

 ほかに御発言ありませんか。

 どうぞ、安藤委員。

○安藤委員 先日の企業会計審議会でこの第一部会、第二部会が発足するときに私は発言したんですけど、この問題、固定資産会計の会計処理の問題というのがどっちの方へ行くのか、取得原価主義を維持するのか、あるいは時価主義、あるいは公正価値の方へ振れるのかで、日本の企業会計の基準の根幹が問われているテーマだということで、結論から言えば、慎重に、時間をかけてしてほしいと発言した1人なんですけど、本日は別の観点から、今までのいろんな委員の方の御発言を踏まえて、自分なりの整理をさせていただきますと、典型的には、今まで4人の委員が御報告されました資料3と資料4が極端、つまり企業の立場と市場の立場ということで、もしも両極に置くとすれば、都委員と久保委員の立場がちょうど両極にあるかなと思います。

 そして、資料3の都委員の方は、私の位置づけですと、当然ですが、企業の立場であって、その根本には、企業は維持存続すべきものであると、いわば生命体として見ている一つの見方だと思います。そういう見方をもとにして、取得原価主義というのが従来行われてきたと思うんですよね。それに対して久保委員の資料4の立場は、市場主義といいましょうか、市場の立場から、ちょっと言葉はきついですけど、企業というのは投資の対象にしかすぎない、ですから、市場から見て魅力ない企業はどうぞおつぶれくださいという立場なんですよね。これはやっぱり両極あります。

 従来は、どちらかというと、企業主義、あるいは企業中心主義的な会計基準でやってきました。それは世界的にやってきたんですね。それで、比較的最近になって、アメリカを中心に、市場主義的な会計基準の方へ移ろうとしているわけですが、現在、日本の企業会計原則は、私の見る限りはバランスをとろうと努力している。どちらかといえば、取得原価主義ですから、企業主義が強いかと思いますけど、一般原則を見る限りは結構バランスがとれているんですよね。それから、国際会計基準とかSFACと比べても、世界で比較的両方の主義のバランスがとれた原則ではないかと見ております。

 一般原則で言いますと、例えば真実性の原則とか明瞭性の原則というのは、これは市場主義的だと見ることもできますし、他方、正規の簿記の原則とか保守主義の原則ですね、これは企業主義的だというふうに、例えば一般原則を見ただけでも両方の観点が入っているということで、非常にバランスがとれているんですね。それを今度ここで固定資産会計の処理を、仮に、そういうことはないと思いますけども、原価主義からさようならというようなことになると、もう決定的に、これは市場主義に立った会計原則の方に行くと思います。

 ですけど、私は、企業というのは単なる投資対象であるよと、資本の効率性という観点から見たら、行き着くところはそうなってしまうかもしれませんけど、資本の効率性だけが経済の全て、我々の全てかなというと、どうも納得できない。やはり人の要素とか、労働力というのは右から左へ移れるものじゃありません。ですから、首つり、数万人死んでいるらしいですが、仕方がないといえばそれまでかもしれませんけど、やはりもう少し人間的要素、あるいは生命観的な企業観が見直されてもいいんではないかと私は思っております。

 以上です。

○斎藤部会長 ありがとうございました。

 ほかに御発言ございますでしょうか。

 今野委員、どうぞ。

○今野委員 前回、ちょっとお話し申し上げておいたんですが、問題だというのは、私はやはり、今、安藤先生がお話しになった部分も含めて、理念が大事なことだなと思っているものですから。そのときの目的を達成するというか、例えば今、市場がこういう形になっているときには、投資をする人たちに適切なるデータを出す責務は企業は持っておるよという形の中で、いろんな開示をするときに、どのようなものを出すかというので、一つのルールを共通的なルールにしようじゃないかというのが出てきた。私は基本的に、こういう年齢の人間から言わせてもらえれば、人間社会の成立と今後というものを考えていくときには、もう少し落ち着いた哲学的なものからいって、産業というものはどういうふうに人間的に関わりを持ってきていて、それが最終的に、数字でも物でも全部、人間が作っておるという形になるものを考えたときに、やはり安全性、安定性というもので物事を捉えるというのが必要でないかなという本質論の問題を、市場主義とかいろんなことが出てくるときには考えないといかぬのかなと。ハンチントンの「文明の衝突」になると困りますから、その辺は抑えておきますけども、やはり大事なことだなというふうなことが入ってきているんで、どうしても見たいということ。

 それから、もう一つは、今後検討していくときに、先ほど吉牟田さんがお話になっていたんですが、実は今まで、税法というか、租税というものは一番公平性と客観性ということで動いてきたものですから、どうしても耐用年数、固定資産会計、あるいは評価の問題については税の分野の方がずっと早く出てきて、それを産業界がそのまま採用して、その方が便利が良いということもあるし、統一性があるということで、出てきた。それも今変わってきておりますが、その中で、今後、税効果会計という考え方がきちっと出てくることによって、私は対応できるという考え方を持っておるものですから、減損等についても、これはきちっとした理念の下での処理をするのが正しい。それから、ある程度は企業の自由に任せておくということも必要だろうけれども、そういう形でいいと思っております。

 ですから、ここで固定資産の中で、先ほど新日鉄さんの土地の問題が出ておりますが、土地というものは、生産をする企業として成り立つために必要な物であるということですから、それに投下された金額よりも、必要な物であるとして捉えていくというのが企業家の考え方だと思いますね。ですから、そういう面も判断していかないと、単に評価評価というだけではいかぬのじゃないかなという概念を持っているものですから、そういう意味で、いろんな御意見をお聞きして、また、税の関係からも一言後でお話をさせていただければありがたいと、こう思っております。よろしくどうぞお願いします。

○斎藤部会長 ありがとうございました。

 ほかに。

 久保委員、どうぞ。

○久保委員 先ほど市場主義のことがございました。誤解をいただかないために、一言だけ触れさせていただきます。

 御案内のように、証券市場は国民共有の財産だという認識で運営されるべきものであって、企業は資金調達をし、私どもマザーズを創設しましたけども、企業の育成を図っていくと。ここで十分な資金調達を得て、企業は発展していってもらうという意味で、効率的な資金配分がなされる市場を考えていく。

 一方、投資家の方は、そこで資金運用、資産運用を行うということで、マーケットはまさに両者の調和を図って考えていくべきものだというように考えております。従って、ディスクロージャーの要件についても、そのような視点から考えられるべきものだということでございまして、企業は単なる投資対象、そういう人はいるかもしれませんけど、少なくとも私がお話しした先ほどのスタンスは、そのようなことで申し上げていることではありません。従って、マーケットにおいて投資家に自己責任を問えるようなディスクロージャーを考えるということでございまして、市場主義と一括りにされるとちょっと違うような気がいたしますので、付言をさせていただきます。

○斎藤部会長 はい、分かりました。

 辻山委員、どうぞ。

○辻山委員 冒頭、部会長もおっしゃいましたように、固定資産を巡る議論というのは広範な論点にわたっていると思います。今日、論点整理というか、問題提起が広範になされたと思いますけれども、特に時価評価の問題に数人の先生方の意見が集中していたようですが、もしその問題に限るとしますと、時価評価という問題と、時価評価と利益計算の問題というのは、議論をするときにきちっと区別して議論すべきだろうというふうに思います。

 都委員のレジュメの2ページに上げられておりますけれども、例えば市場主義というふうに御指摘があるその国際会計基準と米国基準においても、評価減と評価益の扱いが異なった扱いになっているということがございまして、これについてはそれなりの理由がある。ですから、そのロジックをきちっと明らかにして議論することが重要なのではないかということと、もう一度繰り返しますけれども、時価評価するということと、その時価評価差額がどのような利益計算上の扱いになっているかということも、意識的に区別して議論をすべきではないかと思います。

○斎藤部会長 ありがとうございました。

 平松委員、どうぞ。

○平松委員 先ほど今野委員ですか、ハンチントンの「文明の衝突」ということが出まして、その意味で、言い過ぎてもいけないんですが、このたびのこの議論というのは、会計に当てはめた場合に、まさに文明の衝突の中で我々が議論しなければならない、ちょっと大げさかもしれないんですが、そういうような気がいたしております。すなわち、一方で、やはり我が国として慎重な議論をすべきであると思うんですけれども、現在進められております、例えばIASCの機構改革の問題などを見ていますと、我が国として、世界から尊敬される議論もしなければならない。尊敬されるためには、世界が日本を理解する必要があるんですか、世界は必ずしも理解しないで判断をいたしますので、我々としてここで議論することを世界に向けて発信できるようにしていく必要があるだろうと思います。

 その方法論は必ずしも明確でありませんけれども、八木委員ですか、国際的な視点を重視してということをおっしゃっていましたけれども、我が国固有の問題を論じると同時に、やはり国際的な視点を重視してという、非常に辛い立場で我々は議論を、しかも、余りゆっくりできないかもしれないという時間的な制約の中でしないといけ

ないということを肝に銘じて議論すべきだなという、私、個人的な感想を持ちます。

 それだけでございます。

○斎藤部会長 ありがとうございました。

 ほかに御発言ございませんか。

 秋葉委員、どうぞ。

○秋葉委員 今の平松先生のところで思いつきで今思ったんですが、冒頭、部会長の方から議事録のお話がありましたが、従来、大蔵省の方のホームページも、時間的になかなかアップデートされない部分があったんですが、日本語以上に英語バージョンがほとんどアップデートされてない部分がございまして、ですから、こちらは可能であれば当然要旨ぐらいのものを発信すると…。といいますのは、かなり海外からも、昨今の日本の会計ビッグバンの動向というのは、東京にいる外人でも、どうなのかという話が、結構注目しているところでもありますので、可能な限りにおいて御検討いただければというふうに、すみません、今思いつきなんですけど、思った次第です。

○斎藤部会長 ありがとうございました。

 ほかに御発言ございませんでしょうか。

 北村委員、どうぞ。

○北村委員 固定資産会計を論じる場合に、今まで既にいろいろな会計基準というのが、企業会計原則を離れましても、意見書等々の形で出ていると思うんですね。今日報告していただいた中にも、リースがありましたり、あるいは研究開発費に関わるところがありましたり、いろいろもう既に公表されている会計基準の中に本来なら入っているべき部分が入っていなかったり、あるいは入っているんだけれども、不十分であったりというようなところがあると思うんですが、そこのところの整理を十分にやっていただきたいなというのが希望なんです。

 そうしますと、今生きている会計基準をどういうふうに考えていけばいいのか。やっていきますと、やはり今までの会計基準をまた修正しなければならない。キリがありませんね。これは会計の宿命なのかもしれませんけれども。じゃ、今までの会計基準との整合性は考えないでやっていくのか。私は総会を休んでしまったものですから、お話しがあったかもしれないんですけれども、それは考えないで、今、会計というのは変革の時代にあるんだから、あるべきこういうような形でやっていく、そういう会計基準というものをこの固定資産について考えていくというような姿勢をとるのか、そこのところも初めに論点として考えていく必要があるのかなというふうに思っています。

○斎藤部会長 ありがとうございました。

 ほかに。

 山田委員、どうぞ。

○山田委員 直接この中身とは違うんですが、ここでの固定資産会計の議論をしていく仕方といいますか、今はフリートーキングということなんですが、こういう形から、どういうような形で詰めていくお考えなのかということを、もしもあればお聞きしたいなと思うんですけど。

○斎藤部会長 どうしましょうか。私から申しましょうか。事務局からお願いできますか。

○平松課長補佐 まだ具体的にどうこうということもないんですけども、一応の心づもりとしまして、次回以降、しばらくいろいろな方々のヒアリングを実施をしていきまして、来年のしかるべき段階で、論点の整理を中間的にしていこうというようなことは一応考えております。まだ私レベルのことでございますので、部会長とか会長と御相談しながら進めていきたいとは思っております。

○斎藤部会長 差し当たりよろしゅうございますか。

○山田委員 それに関連しまして、そうすると、枠組みとして、現在、一部ファイナンスリースについて、オフバランスになっているというような問題がございますけれども、ああいうもののオンバランスでの会計処理の必要性といったような部分については論点として上がるのか、それはもう最初からここでの議論の外ということなのか、その辺はどういうふうに考えたらよろしいでしょうか。今後決めるということであれば、それでも構わないです。

○斎藤部会長 現在の段階の議論は、これから論点をどう集約していくかという準備のために、一種のブレーンストーミングで、いろんな論点を出していただいている最中でございまして、議論の過程でそれが論点に入ってくるのか入ってこないのかということが自ずから決まってくることを期待しておりますけれども。

○山田委員 そういう前提であれば、一言だけ申し上げたいことがあるんですけれども、現在、日本の会計基準というのは過去2年半ほどの間に相当国際的なレベルに達したと、そういうことを海外でいろいろ話をする中で、まだ足りないじゃないかと言われている部分が実は固定資産の評価の部分で、故に日本の企業会計審議会が今まで行ってきた努力の大半が、まだまだ足りないと言われることが時々あるんですけれども、そういう透明性というか、先ほど平松委員もおっしゃった国際的な視点の中で、説得力のある形でおさめていこうとすると、今の減損の問題、それから、もう一つ、リースの会計処理が大きく違っている点、この辺が海外では、私個人がいろいろ海外の人と接触するときに、日本の会計の違っている点ないしは情報が取れない点という形でよく指摘されるものであります。

 今日は意見だけでいいということですので、それだけお伝えしたいと思います。

○斎藤部会長 ありがとうございました。

 ほかに御発言ございませんか。

 中島専務、特に御発言ございませんか。

○中島部会長代理 いえ。

○斎藤部会長 事務局、参事官、よろしゅうございましょうか。

 初回ということもありまして、活発に御発言をいただきまして、ありがとうございました。国際的な観点と日本固有の観点との関連とか、あるいは市場主義、企業主義というような観点、それから、時価評価、原価評価という観点、これは必ずしも市場主義だからといって時価評価になるとは決まらないと私は思いますけれども、そういう観点のコンフリクトの問題ですね。それから、仮に評価ということを考えた場合のストックの評価問題と利益の認識、測定の問題との関連、あるいは新しく基準を検討していく際の従来の基準との関係、整合性の問題、あるいは具体的なルールを考えていく場合の、例えば減損におけるキャッシュ・フローの見積もりとか、あるいは時価の算定といった技術的な問題の存在等々、いろいろな問題を御指摘いただきまして、今、事務局からもお話がありましたように、もうしばらくいろいろな方の御意見を伺って、ヒアリングを続けながら、徐々に論点を絞っていければと思っております。

 それでは、概ね予定した時刻になってまいりましたので、本日の部会はこれで終了させていただきたいと思います。

 本日の御発言につきまして、議事録を確認されたい方は、後日、事務局に御連絡をいただきたいと思います。

 なお、次回の部会の日程につきましては、改めて事務局から皆様に御案内をさせていただきたいと思います。

 本日は、皆様方、大変お忙しいところお集まりいただきまして、大変ありがとうございました。

 これで散会させていただきます。

               午後5時26分閉会