企業会計審議会 第部会 議事録

日時:平成12年2月18日(金)午後2時01分〜午後3時59分

場所:大蔵省第三特別会議室

 

○斎藤部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回の第一部会を開催させていただきます。

 本日は皆様方お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。

 議事に入ります前に、本日は林大蔵政務次官に御出席いただいておりますので、まず御挨拶をいただければと存じます。よろしくお願いいたします。

○林政務次官 大蔵政務次官の林でございます。今日は御無理をお願いいたしまして御出席をさせていただきまして本当にありがとうございました。今日は第一部会の方で固定資産の会計処理ということで、大変に大きな課題についての審議が行われるというふうに伺っておりまして、この問題につきましては、今後いろいろなところでいろいろな議論をするときのベースといいますか、大変大きな基礎的な問題であるというふうな認識を私も持っておりまして、ぜひ皆様方の御議論を拝聴させていただきまして、今後の参考にしてまいりたいと、こういうふうに思っておるところでございます。

 一般論として、企業会計監査を取り巻く環境は、国内でも、それから国際的にも大変に厳しいものがありまして、これから特に国際的な信頼を得ていくということは大変重要なことだと思っているわけでございます。私も大蔵省に参ります前に、自民党の方で塩崎先生が小委員長をされておりますが、企業会計小委の方でずっと議論に加わってまいりましたので、この分野につきましては我が国のソフトにおけるインフラとしての大変な大きな重要性が今後出てまいると、こういうふうに思っております。ぜひ委員の皆様には、そういった観点から、いろいろな観点から専門的な見地で御審議をしていただければと、こういうふうに考えておるところでございまして、今後とも御協力を賜りますようにお願いを申し上げまして御挨拶にさせていただきます。

 ありがとうございました。

○斎藤部会長 ありがとうございました。

 次に、2月7日付で委員の異動がありましたので御紹介させていただきます。当部会の辻山委員と平松委員は企業会計審議会の臨時委員を退任され委員に就任されました。

 また、吉牟田委員が退任されており、品川芳宣氏が臨時委員に就任されましたので御紹介申し上げます。

○品川委員 品川です。どうぞよろしくお願いいたします。

○斎藤部会長 本日御出席いただいておりますように、品川臨時委員には当部会の委員をお願いいたしましたので、よろしくお願いいたします。

 なお、お手元に当部会の新しい名簿をお配りしてありますので御参照ください。

 前回は第2回目ということで、固定資産の会計処理に関する米国基準について川村委員、秋葉委員の両委員から御報告をいただき意見交換をいたしました。また、それに先立って、固定資産の会計処理に関する我が国の会計基準や法令について簡単に荒木委員から御報告をいただいたところであります。

 本日は「固定資産の会計処理に関する国際会計基準」について小宮山委員及び太田委員から御報告をいただき、意見交換をいたしたいと存じます。

 固定資産の会計と申しましても非常に幅広うございますので、太田委員には「IASにおける固定資産の評価と減損」ということで、固定資産の減損会計を中心に御報告をいただき、また小宮山委員には「IASによる固定資産の会計処理」ということで、固定資産の減損会計以外の国際会計基準を中心に御報告をお願いいたしております。

 また、本日は最後に岩田委員から「不動産取引と会計処理」ということで御報告をいただき、意見交換を行いたいと思っております。

 それでは、まず小宮山委員からお願いをいたします。

○小宮山委員 公認会計士の小宮山でございます。私の方からは、「IASの固定資産の会計処理」というのは、実は関連しているステートメントが非常に多いわけですけれども、IASの第16号の有形固定資産、それからIASの38号の無形資産、これに限って今日は報告をさせていただきたいと思っております。

 お手元の資料1に沿いまして説明をしていきたいと考えております。

 このIASの第16号というのは有形固定資産について扱っているわけですけれども、これは98年の9月に最終改訂が行われております。これは中を見ますと、特に減損会計との関係である程度の改訂が行われていると考えられます。

 この中で有形固定資産の範囲ということですけれども、次のようなものをいうとされております。

 ちょっとお断りしておかないといけないんですが、この印刷物の方で何項と書いてありますところにうっすらと網かけがしてあるのがございます。IASの規準というのはブラックイタリックで言っている規準部分と、それから普通の薄い字で書いてある二つからなっておりまして、この網かけがしてあるのは基本的に規準の本体部分、していないのは説明部分とお考えいただければいいかと思います。

 この中で、有形固定資産というのは、財貨の生産もくしは役務の提供に使用する目的、又は外部への賃貸目的、又は管理目的で企業が保有するもの、それから、一会計期間を超えて使用されると予測されるものと、まあ当たり前のような定義が書いてございます。

 このIASの第16号で、実は適用対象外としているものが幾つかございます。一つは主に森林等の天然資源、それから鉱業権ですとか、鉱物・石油・ガス、こういう天然資源、こういうものは対象外となっております。

 また企業結合のときに時価評価というのを被買収企業についてするわけですけれども、この場合の評価について取得原価評価の例外という定めがございます。それからインフレーション会計についても測定の例外という扱いになっております。

 これは後で太田委員の方から報告があると思いますけれども、投資不動産の会計というE64号というのが実は出ておりまして、これが生きますとその部分も例外ということになります。

 それからリースの借り手の取得原価、これは取得原価主義とちょっと違うような定め方で取得原価を決めるというところがございますので、これも第16号の例外ということになっております。

 それから国庫補助金により取得した固定資産の取得原価の減額、これもIASの第20号というのが出ておりまして、これも例外ということになっております。

 それから、セール・アンド・リースバック取引、これも固定資産会計の例外、対象外となっております。

 固定資産の当初認識という2番のところですけれども、どの時点、どのような要件を満たしたときに固定資産が資産として計上されるかという規準が示されております。

 ここでは二つ要件が挙がっております。まあ御存じの方が多いと思いますけれども、基本的にはこれはIASのフレームワークに出ている資産の認識規準をそのまま移したような考え方になっております。

 この説明文のところで、「資産の関連する価値とリスクの企業への移転が必要である」というのが一つの要件の説明書きになっておりまして、この辺は固定資産の売却とか処分とか、これをどの時点で認識するか、いわゆる日本語で言う消滅の認識をどこでするかというところと若干これはかかわってくるのかなとは考えられます。

 その後、認識規準を満たしますとどういう規準で測定するのか。取得原価をどうやって決めるのかということに具体的にはなりますけれども、これはほとんど日本の会計と変わっておりません。変わったところだけ申し上げますと、マル4として資産の交換による場合というのが少しあるかなと思います。これは異なる資産の交換の場合には、受入資産の公正価値による。同じ資産の交換の場合には、引渡資産の帳簿価額による。要するに同じ種類のときには収益の獲得過程が完了していないと見て、損益を認識しないという考え方になっております。

 ただ、現実問題としては等価で行われているというか、お金をつけて交換されるということは実務的にはあるんだろうと思いますが、この辺の扱いについてはこの第16号の中でははっきり実はしておりません。

 取得後に支出が生じたときというのは次の項目でございまして、これは要するに資本的支出になるような場合というのを定めておりまして、これは特に国によって違うという性格のものではないと思われます。

 当初認識の後の測定ということですが、IASの第16号では二つの処理を認めております。標準処理というのは、もちろん取得原価主義ということでございまして、取得原価から減価償却の累計額、それから後で出てまいりますIAS第36号の減損、この金額を引いたところで計上するというのが標準処理となっております。

 対しまして、認められた代替処理としまして、要するに再評価を行うという考え方をもう一つ認めております。恐らくIASの制定の経緯から言って、イギリス等の会計実務というのを受け入れた結果こうなっているんだろうと思われますけれども、日本では再評価、最近土地の再評価法ということで行われている部分がございますので、これについても少し説明をしたいと思います。

 再評価の公正価値。再評価するときは公正価値で評価をするということをするわけですが、この公正価値の考え方として二つのものを挙げています。一つは、鑑定専門家の評価額、もう一つは、再調達価格から年数に相当する減価償却累計額を控除した金額というのが挙げられております。

 最初の方は、どちらかというと土地とか建物に適するのだろうと書いておりまして、2番目の方は工場設備等の評価に適するのではなかろうかと書いてございます。

 あとは再評価の頻度ということですが、この公正価値の変動が重要かつ頻繁であるときは毎年必要であるとされております。この変動がわずかの場合には3年から5年ごとで十分であろうという目安が示されております。

 この再評価を行った場合に資産が貸借対照表でどのように表示されるかというのが次にございます。これは数字を入れた方がわかりやすいかと思いましたので、例えば、取得原価が1000で減価償却累計が500、つまり、帳簿価額差引500ということですけれども、これを800で再評価したというときに、取得原価1600、それから減価償却累計800というのが一つの方法、もう一つは800でそのまま示すという方法、二つございます。どちらかといいますと、上の方は先ほどの再評価のどういう公正価値を使うかという点で申しますと、2番目の工場設備等に適するのかなと、2番目の方は土地とか建物に適するのかなというふうなことが書かれております。この再評価というのは実はつまみ食いができないということになっておりまして、これはある有形固定資産項目が再評価されたときは、その資産が属する種類の有形固定資産全体もすべて再評価をするということになっております。そうすると、その資産の種類がどういうものかということが問題になるわけですけれども、これは資産のグループとして土地、それから土地・建物、機械装置、ここにございますようなこういうグルーピングでまとめてやらないといけないということが書かれております。

 再評価をしますと評価損なり評価益なりというのが生じるわけですけれども、この場合の会計処理として評価益が生じる場合と評価損が生ずる場合と二つ出てくるわけです。1番目の方は帳簿価額よりも再評価額が大きいという場合です。この場合には株主持分に再評価剰余金として計上するということになっております。ただし、過去に費用として計上した、つまり過去に評価損として建てた金額がある場合には、その過去に計上した金額の範囲内で利益に計上するという一種の洗い替え的な考え方になっています。

 逆に帳簿価額が再評価額を上回るケース、つまり評価損が生ずる場合ですが、原則として費用に計上される。ただ、ここでもやはり洗い替え的な方法が考えられておりまして、過去に評価益を再評価剰余金に計上した部分があるときは、その計上した金額の範囲内でそれをマイナスをするという考え方になっております。

 その後の再評価剰余金の処理というのが3ページの上に書いてありますけれども、これは再評価後にその資産を売ったりとか、減価償却をしたりとかということが出てくるわけですが、その分についてどうするのかというのが書かれております。この場合には、それに相当する金額を再評価剰余金から利益剰余金に直接振り替えるという処理が行われます。つまり、損益の上ではリサイクルをしないという考え方かと思います。

 減価償却については、規則的な方法でその耐用年数にわたって配分する。まあ、普通のことが書かれております。

 それから耐用年数の修正が必要になったときの場合、この場合には当期及び次期以降の減価償却費を修正をするという考え方になっております。

 もう一つ、実は3番目の考え方というのが今の我が国の実務と違うわけですけれども、減価償却の方法というのは定期的に見直して、経済的便益のパターンに重要な変更がある場合にはこれを変更しなければならないとなっています。この場合には、見積りの変更として扱うという考え方になっております。我が国の実務ですと、会計処理の変更としてこれを扱うという考え方かと思いますが、ただ、過去のを直さないという点では実質的には余り変わらないのかなという感じがいたします。これは実は1993年にその比較可能性プロジェクトの後にIASのかなり全面改訂が行われているんですけれども、そのときにこの部分が実は修正されております。

 撤去及び処分。これはマル1はどういう場合に除却を処理しなければならないかということが書かれております。

 マル2の方は減損の関係です。先ほど98年9月にこの16号というのが改訂されていると申し上げましたが、ここの中で、実は回収可能額の分については減損の会計基準に移されまして、それまでにあったIASの16号に関する規定がすべて削除されております。

 2番目は無形固定資産の会計処理ということで、98年9月にIASの38号というのが出ております。ただ、このテーマにつきましては、もう既に研究開発費とソフトウェアというものについては当審議会から会計基準が出されており、それに沿った実務指針というのが日本公認会計士協会の方から公表されております。実は無形固定資産の部分というのはそれにかかわる部分がかなりあるわけですけれども、同じ議論をまた蒸し返すということも何ですので、これらに関する事項というのは、以下の説明では省略させていただきます。

 無形固定資産の範囲としては、先ほどの有形固定資産と同じような定義がされております。これの具体例としてコンピューターソフトウェア、パテント、著作権、映画フィルム、顧客のリスト等のものが列挙されております。

 やはりIASの第38号でも適用対象外となるという部分がございます。これが4ページ目の上に掲げてございます。これは売却目的で保有する無形資産、これは棚卸資産でございますのでIASの第2号の範囲になります。繰延税金資産は税金に関するIAS12号の範囲になります。それからリースもやはりIASの17号の範囲になります。従業員給付から生ずる資産、これはIASの19号の範囲になります。

 もう一つののれんについては、これは企業結合のIASの第22号というところで規定がされております。ただ、中身を見ますと、減損の規定とか償却の規定とか、大体同じような内容が22号の中身の中に入っております。

 それから金融資産についてもやはり適用対象外、それから先ほどと同じで天然資源等についてはやはり適用対象外、それから保険契約に生ずる無形資産、これは保険業会計の問題ですので、これも適用対象外ということになっております。

 無形固定資産の当初認識の規準ということですが、認識規準というのは、基本的に有形固定資産の先ほどの二つと同じなんですが、無形固定資産については識別可能性とか支配とか、将来の経済的便益、こういうのを定義の中に含めております。この辺は研究開発費の会計基準の審議のときにかなり議論をされた点かと思いますので、細かい説明は省略いたします。

 測定はその原価で測定される。ただし、いろいろ注意書きがございまして、一つは自己創設のれんは計上してはいかんとか、自己創設のブランドとか、こういうものは無形固定資産に計上してはいかんということが言われております。

 取得後の支出については、先ほどの有形固定資産の場合と同じでございます。

 それから測定ですけれども、これもやはり標準処理という取得原価主義でやるものと、それから認められた代替処理というところで、公正価値によって再評価をするというものと、二つの処理が認められております。ただし、無形資産の場合には有形固定資産と違いまして、原則的な考え方は、活発な市場を参考に公正価値を決定すると書いてあるわけですけれども、説明書きを見ますと、ただ無形固定資産については、このまま市場が存在する場合は非常に少ないのかもしれないというニュアンスが書いてございまして、後の方で申し上げますけれども、評価できない場合もあり得るということはある程度前提とされているようです。

 再評価の頻度ですけれども、先ほどは毎年やるとか、3年から5年とか、ある程度の年数の目安が、有形固定資産については再評価の頻度というのが示されておりましたけれども、無形資産の場合には、余り重要な差異が発生しないように規則的に実施をするというぐらいの規定にとどまっております。

 それから、再評価の単位というところを見ますと、これもある資産グループということの考え方は有形固定資産と同じですけれども、先ほど無形固定資産の例示というところでかなりたくさん書いてございましたように、実は無形固定資産というのはたくさんの種類が考えられるわけでございまして、資産グループの明示というのは、この無形資産のIASの方では示されておりません。

 再評価の会計処理については、基本的に先ほどの有形固定資産と同じでございます。

 償却のところは規則的な方法でその最善の見積り償却年数、ちょっと言葉遣いが有形固定資産の場合と違うようですけれども、これにわたって配分をするということになっております。

 注意すべき点というのは、マル1で耐用年数のところで、20年を超えないという反証可能な仮定があるということがございます。原則として20年以内ということが示されております。ただし、法的な権利の関係で、その法的な利用期間というのが限られる場合には、それによって耐用年数が制限されるというケースや、もちろん20年を超えても、それでは例えば30年とか40年とか使ってはいかんということではないわけですけれども、その根拠の開示というのがIASでは求められております。

 償却の方法というのは、経済的便益の費消パターンを反映しなければいけないということになっておりますけれども、これが決定できないときには基本的に定額法によるということが書かれております。

 それから償却年数と償却方法の見直しと変更の処理というのは、有形固定資産の場合と同じです。ただし、見直しが毎期必要。やはり無形資産の資産性というのにある程度着目していることなんだろうと思いますけれども、これが毎期必要とされております。これはちょっと申し上げますと、IASの第22号というのは、のれんについて規定しているわけですけれども、のれんについても償却年数、方法等について毎期見直しが必要ということを要求しています。

 撤去の処理というのは基本的に有形固定資産と同じですけれども、無形固定資産の場合には、先ほど有形固定資産の場合には、減損の扱いというのは減損の会計基準にゆだねるという形ですべて削除されておりましたけれども、この無形資産については、この減損の兆候がない場合であっても、次のような資産については少なくとも毎期末に回収可能額の見積りを行うという追加的な義務を一つ定めております。どういう場合かといいますと、一つは使用に供することがまだ可能となっていない無形資産、まだ使い始めていない無形資産ということになるかと思いますが、これと20年を超えた期間で償却されている無形資産、これも毎期きちっと見直しを要求するということになっております。ちなみに、そのIAS第22号ののれんについても同じような改訂がほとんど同時期に行われております。

 ちょっと駆け足で説明しましたけれども、以上でございます。

○斎藤部会長 大変ありがとうございました。それでは、ただいまの小宮山委員の御報告に関しまして、御意見、あるいは御質問のある方は御自由に御発言ください。

○品川委員 よろしいですか。

○斎藤部会長 品川委員、どうぞ。

○品川委員 初めてで恐縮ですが、2ページのところで、これは税務的にもいろいろ気になるところがあるんですけれども、2ページの下から4行目、評価益を計上する場合に、「以前に費用として計上した減少額と減損額がある場合には、その範囲で利益に計上」ということになっているんですが、その範囲の限定、いわば取得原価主義的な色彩をここに残しているのかどうか、あるいは何でこの範囲に限定されなきゃならないのか、その辺の理由については、特に何かございますか。

○斎藤部会長 小宮山委員、どうぞ。

○小宮山委員 ちょっとこの辺の経緯はわからないんですけれども、基本的に洗い替えなんですね。減損の処理でも同じようなところが出てくるんですが、例えば1000のものを500まで下げて、過去に評価損を計上した。そうしたら、500の中の範囲内では利益を計上できるというところが、しばしばIASの規定に実は出てくるんですね。

○品川委員 それを突き破らない。1000が2000になった場合にどうするかというのが一番関心があるんですけれども、その辺はいかがですか。

○小宮山委員 1000から500に下げて2000になった場合を考えますと、500までは利益に計上するんですね。残りの1000は再評価剰余金という形で資本の部に直接持っていくんですね。やはり取得原価という一つの歯どめをこれは持っているような規定になっていると思いますけれども。

○品川委員 それによって配当可能利益とか課税所得から除外しようという、そういう趣旨になるんですかね。

○小宮山委員 これはちょっと細かいところはわかりません。

○品川委員 そうですか。分かりました。

○斎藤部会長 ほかに御発言ございますでしょうか。

○中島部会長代理 一つよろしいですか。

○斎藤部会長 どうぞ、中島委員。

○中島部会長代理 小宮山さんが御説明になった2ページの固定資産の認められた代替処理についてなんですけれども、IAS自体は実際に企業が実務でそんなに使われているということではないでしょうけれども、何かこの規定はイギリスで実際に使われているのを入れたと前に伺ったことがある……。

○小宮山委員 この規定は、SSAPのコピーだと言われていますよね。

○中島部会長代理 この認められた代替処理を使っている企業とか業種とか、そういうものについての何か特性みたいなものがあるんでしょうか。それともかなり広範に一般の事業法人なんかで使われているということなんでしょうか。その辺もしわかりましたら。

○小宮山委員 ちょっと調べたことがございません。

○斎藤部会長 よろしゅうございますか。

○中島部会長代理 はい。

○斎藤部会長 ほかに御発言ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。

 幾つか私も気になることがございます。後の太田委員の御報告を伺ってからの方がいいと思うんですが、例えば3ページでお話になりました減価償却方法の変更の場合と、それから後でお話が出る減損とのクリティカルな違い、あるいは両者の関係です。もうひとつは、2カ所ほど、資産の経済的便益が消耗されるパターンによって償却をするという表現が出てきますが、それは基本的には従来のような定額・定率といった、あらかじめ決められたパターンに従った方法というものを超えて、何か企業の利益なりキャッシュフローの生ずるパターンに適合した減価償却を考えているのかどうか、その辺について、もし太田委員のお話の後で御説明をいただけると大変ありがたいと思います。

 ほかに御発言ございませんか。どうぞ、安藤委員。

○安藤委員 2ページのこの真ん中辺の(2)の認められた代替処理の再評価した資産の表示方法、括弧して33項とあるマル1の取得原価1600、減価償却累計額800、これは再評価時点でこうなるとわかるんですが、この後の償却についての説明がございますか。つまり、どこまでやるかということ。

○小宮山委員 これをベースに償却していると思います。あと何年耐用年数が残っているかですけれども、残りの耐用年数でやっていくような処理をしているみたいですね。

○安藤委員 そうすると1600までやっちゃうということですか。残存価額も全部。

○小宮山委員 そういうことになりますね。

○斎藤部会長 よろしゅうございますか。ほかに。

○品川委員 もう一点よろしいですか。

○斎藤部会長 品川委員、どうぞ。

○品川委員 2ページの冒頭のところで、交換の場合にこの収益を認識するといいますか、受入資産を公正価値で評価するかしないかという問題がありますが、この同じ種類の資産の場合、例えばこの土地の場合に、用途が違ってもこの帳簿価額によるわけですか。宅地を工場用地と交換したとか、あるいは商業用地と交換したとか、この辺はいかがでしょうか。

○小宮山委員 恐らく税務の交換でいっている同一種類、同一用途ということだろうと思うんですが、実は、これはsimilarとかsimilar natureとかいう言葉を使っていると思うんですが、どういう意味かと具体的に議論していきますと答えが出てこないんですね。何度か、私はIASの解釈審議会というのに出ていたんですけれども、この議論を何回もやったんですけれども、何時間話しても答えが出てこないんですよ。だから、実際は言葉で簡単に言ってしまいますけれども、どれが本当に同じ種類の資産の交換だという議論をし始めると、非常に定義が難しいんだろうとは思っています。

○斎藤部会長 ありがとうございました。それでは、スケジュールの関係もございますので、一たん小宮山委員の御報告に関する質疑を打ち切りまして、次に太田委員から御報告をいただきたいと思います。

 太田委員、よろしくお願いいたします。

○太田委員 よろしくお願いいたします。それでは、IASにおいて、固定資産の評価に関する部分ということで、基本的には資産の減損、IAS36番の概要を中心に御説明させていただきたいと思います。

 まず、最初のところで、現状で今固定資産の評価に関係するIASは、基準になっております資産の減損、国際会計基準の36番と、今検討中ということで公開草案の状態になっておりますエクスポージャー・ドラフトの64番、投資不動産についての基準の二つがあるかと思います。

 まず最初の資産の減損の概要ですが、これは固定資産も含む資産全般というか、ほかの基準で評価について特に定められていないものすべてについてかかってくると理解してよろしいのではないかと思います。細かいことについては後でまとめてやります。その資産について、帳簿価額が、IAS36番の中では回収可能価額と定義をされているんですが、回収可能価額を超えないことを求めている。

 回収可能価額というのは何かということですが、それは一応正味売却価格と使用価値のうちの高い方というような位置づけになっております。ですので、資産の簿価が回収可能価額を超えないということを保証するための基準ですということが本当の概要になろうかと思います。

 次に、今、公開草案で検討中であります投資不動産についての基準でございますが、これは投資不動産に該当する不動産について、いわゆる時価、公正価値で評価をしなさいという内容になっております。ただ、この公開草案については、かなりいろいろなコメントが寄せられたようでございまして、今現在IASCのホームページで検討の状況が見られるんですが、それによりますと、公正価値モデル、当初予定したおりました時価評価のモデルと、それから今までどおりの原価モデルの選択適用を認める方向で検討を進めているという状況とのことです。ただし、ここで原価モデル採用の場合でも、公正価値、いわゆる時価の注記を求めるような方向で検討されているとなっております。

 以上が本当に概要でございますが、次に減損に関する会計基準について少し細かく見ていきたいと思います。お手元の2枚目の2とある部分なんですが、まず、IASについては最初の部分で本文がございまして、基準の本体があるんですが、その後に結論の根拠ということで、どういう発想、考え方でこの基準がつくられていったかということをかなり詳細に記述しております。そこで参考になりそうな部分を抜き書きしてみました。

 そこで、まずIASの最も著しい特徴ということで、まとめられているのが3項目ございまして、これは繰り返しになりますけれども、回収可能価額を正味売却価格と使用価値のいずれか高い方の金額で測定するということが一つの特徴であろう。

 それから、これは少し国際会計基準だという性格もあるとは思うんですが、金額の決定方法についてなるべく詳しく説明しています。

 それから3番目が、両方の金額とも明示的であるにせよないにせよ、現在価値計算に基づいて考えているんですよ。この三つが著しい特徴ということで、これはもう基準自体がそう説明していることになります。

 それで、回収可能価額をどう考えるかということを決める際に、理事会では第一段階として、企業がその資産の減損を発見した場合にどう取り扱うのかということを出発点として検討しましたという内容になっております。合理性のある会社というのは、資産の状況を分析した結果、当然なんですけれども、その資産を保有し続けるか又は処分するかのどちらかでしょう。例えば、資産の用益潜在力が減少した場合に、売却した方が得だと思えば売却するであろうし、使用し続ける方が得だということであれば使用を続けるでしょう。まあ当たり前のような結論なんですが、ただ、この際にどういう分析を行ってそういう判断をするんであろうかということまで結論を出しているんですが、この場合には、当該資産から予想される見積り正味将来キャッシュフローに基づく投資判断、すなわち見積り正味将来キャッシュフローの現在価値、いわゆるDCFという形で一般的に言われているかと思うんですが、その判断に基づいて、売却するかないしは使用するかを決定するであろう。その決定に基づいて企業の行動を決めていくんではないか。その辺から検討を進めているというような興味深い部分がございました。

 続きまして、ちょっと本文の方を概略見ていきたいと思うんですが、まず最初に減損の会計基準の目的ということで、これは最初の繰り返しになりますが、資産回収可能価額を超える帳簿価額を付さないことを保証するための手続を規定することがこの基準の目的ですということで、かなり明確に基準の目的自体は記載されております。

 それから、次に範囲なんですが、棚卸資産ですとか、工事契約から生じる資産、繰延税金資産、従業員給付から生じる資産、金融資産以外の資産に適用するということになっておりまして、この決め方はFASB121なんかと同じで、こういうもの以外の資産というような、ほかで規定されていない部分をすべてカバーするというような発想になっているかと思います。

 次に定義ということで、基準の中で使われている言葉の定義がなされているのですが、興味深いものとして回収可能価額というのは先ほど何度か出てきましたが、資産の正味売却価格と使用価値のどちらか高い方ということになっております。

 次に、それでは使用価値とは何だろうかということになるんですが、これがいわゆる見積正味キャッシュフローの現在価値ということで定義づけられております。まあ、正味売却価格は説明するまでもなく資産の売却から得られる金額マイナス処分費用という定義になっております。

 そのほかにも幾つか定義があるんですが、これはほとんどFASBの121なんかと同様のものと理解してよろしいかと思います。

 その次に、まず減損している可能性のある資産があるかどうかという識別をどう行っていくかということについての記述がございまして、これについては、各貸借対照日現在の資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを評価しなければならない、それでそういう兆候がある場合には回収可能価額を見積もらなければいけないという、何か割と回りくどい表現をしています。それで、その判定をするに際して、いろいろな外部の状況ですとか、内部の状況を考慮しながら決めなさいとあるんですが、この辺はほぼ、まあ細かい点はいろいろございますけれども、前回のFASBのときと同じようなことになっているかと思います。そして、ここで興味深いと思いますのは、常に回収可能価額を見積もりなさいとしているのではないことではないかなと思っております。

 それともう一つは、回収可能価額を見積もる必要があるかどうかを識別するに当たって重要性の原則が適用されます。ですので、この減損の基準を適用するか否か、その前提になる回収可能価額を見積もるのか否かという点については、常にやらなきゃいけないというものではないんだなというように読み取ることができるのではないかなと思います。この辺はちょっと議論が残るかもしれませんが、そういうように読み取れる表現がございます。

 次に回収可能価額の測定なんですが、回収可能価額は正味売却価格と使用価値のどちらか高い金額でございますので、当然のような結果で、どちらかが資産の帳簿価額を超過する場合には一方だけを見積もっておけばよい。それで回収可能価額というのは個別資産か、又はキャッシュ生成単位について算定しますということになっております。

 次に正味売却価格と使用価値について、詳しい説明があるんですが、正味売却価格については、ここで少し興味深いのが、まず最初に優先するものが拘束力のある売買契約に基づく価格ということになっております。それがない場合には、活発な市場で取引されている市場価格。それで二つともない場合には最善の見積りによりなさい、例えば、同一産業内の類似資産の最近時点の取引なんかを参照していってくださいというようなことになっております。

 次に使用価値なんですが、使用価値はいわゆるディスカウント・キャッシュフローですので、将来キャッシュフローの見積りを行い、それに割引率を適用して計算するということになっておりますが、将来キャッシュフローのところで非常に興味深いのが、前回少し議論があったかなと思いますが、経営者の最善の見積りを基礎としなさい。もちろんその場合に外部証拠の方は重視する。それが本当にきちんとした見積りによっているのかどうかという意味だと思いますが、経営者によって承認された財務予算ですとか予測を基礎にする場合には、より長い期間が正当化されない限り最長5年以内で考えてください、それ以降のキャッシュフローについては、一定のあるいは割と保守的に考えた成長率を予算とか予測に当てはめて行ってくださいとあります。

 それから、あとキャッシュフローを見積もるに当たって、資産の現在の状況において見積もるわけですので、企業がまだコミットしていないリストラですとか、まだ支出していない将来の性能を改良するような支出の影響というのは見積り将来キャッシュフローに含めてはいけない。これは会社の中でどれだけ予算とか予測に経営者の方がコミットしているのか、その辺を重視しているような決め方になっております。

 それと次が、キャッシュ生成単位ですとか、それはどう考えていったらいいのかという部分で興味深いんですが、資産又は資産グループによって産出された生産物の一部又は全部が報告企業の他の単位で使用されたとしても、企業がこの生産物を活発な市場で転売することが可能ならば、この資産又は資産グループは別個のキャッシュ生成単位を形成するとなっております。ですので、基本的には内部振替価格というのが市場を反映していると考えられれば、それに基づいてキャッシュフローの予測というのをやっていくという考え方が裏にあるのではないかなと思います。

 まあ、当然のことであるかとは思いますが、その内部振替価格が将来の市場価格についての見積りを反映していない場合には、このことを修正してくださいというような決め方になっております。

 次にそのようにして見積もられた将来キャッシュフローに適用する割引率について、貨幣の時間価値と資産に固有なリスクについての現在の市場評価を反映した税引前の利率で行いなさいという規定になっております。この辺の考え方は多分FASBの方と同じと考えられます。

 次に規定されておりますのが、減損損失をどういうときに認識するかという部分なんですが、ここはかなり米国の基準と違いまして、資産の回収可能価額、すなわち売却価格か使用価値が帳簿価額より低い場合には減損損失を認識しなさいという規定になっておりまして、米国の基準の場合のように割引前のキャッシュフローで一たん認識するかしないかの判断をして、でも損失は公正価値までという2段階にはなっておりません。

 減損損失認識後の減価償却ですが、改訂後の帳簿価額を基礎として行いなさいと。この辺は先ほど小宮山先生の方からありました固定資産の減価償却の大原則に戻ると理解できると思います。

 キャッシュ生成単位について次に書かれているのですが、まず回収可能価額の見積りは個別資産について見積もるのが原則なんですが、なかなか個別資産について回収可能価額の見積りができない場合があります。そういう場合には、その資産が属するキャッシュ生成単位の回収可能価額を算定してくださいとなっておりまして、この辺の考え方は米国の基準と同様と考えられるかと思います。

 あとは国際会計基準でのれんについて少し詳細にどう考えるのかというところが触れられておりまして、キャッシュ生成単位について減損テストを実施する場合には、その単位に関連するのれんがあるのかどうなのか考えてください。そしてまずボトムアップテストという形で言っておりますが、のれんの帳簿価額が合理的に検討対象になっているキャッシュ生成単位に配分できるかどうかのテストを行ってくださいとなっております。ただ、このボトムアップテストだけでのれんについては考えればいいというわけではございませんで、その結果、もしも検討対象のキャッシュ生成単位に配分されないか、ないしは配分できないという場合には、トップダウンテストというものを行ってください。トップダウンテストは検討対象になっているキャッシュ生成単位を含んで、のれんの帳簿価額を合理的な基礎で配分できる最小のキャッシュ生成単位を識別して、そのより大きなキャッシュ生成単位についても減損テストを実施してくださいよと。ですので、のれんについてはかなり慎重な態度で減損が生じているかどうかということを判定するというようになっております。

 次にもう一つ、これもいろいろ議論が今後出てくる部分ではないかと思うんですが、全社資産というものが説明されておりまして、全社資産というのは企業の本社ですとか、事業部門の建物ですとか、EDPの機器、もしくはリサーチ・センターのように、ある特定のキャッシュ生成単位について、これがそこに属するということが必ずしも特定できないものと考えられます。ある資産が特定のキャッシュ生成単位について全社資産に当たるか否かは、会社の組織形態に左右されるという格好になっておりますので、これも非常に興味深い部分であるかと思います。全社資産に対してものれんと同様にボトムアップテストとトップダウンテストを実施するというように決められております。

 そして個別資産ではなくて、キャッシュ生成単位の回収可能価額が帳簿価額より低い場合には減損を認識します。これは当たり前なんですが、その減損損失の配分なんですが、まずのれんに最初に配分します。これは先ほどかなり無形資産ですとかのれんとかに慎重な態度をとっているということと同列に考えてよろしいのかと思っております。次にその単位内の各資産に配分するということになっております。

 それで、次に減損損失の戻し入れについてなんですが、減損認識のときと同じような条件のもとに過年度中に資産について認識した減損が存在しているのか、あるいは減少しているのか、そういう可能性を示すしるしが、兆候があるか否かを評価しなければならないとなっております。この頻度ですとか発想、考え方は、当初より減損が生じているかどうか回収可能価額を見積りましょうとなっておりました最初のところとパラレルに考えられると思います。

 そして過年度中に認識された減損損失については、減損損失が最後に認識されてから、資産の回収可能価額を算定するために用いられた見積りに変更があった場合に戻し入れを行うとなっております。これは戻し入れを行ってもいいという規定ではなくて、戻し入れなければならないとなっているところが非常に興味深い部分でございまして、減損は認識をしなければいけないし、それが回復したら戻し入れなければならない、この辺が非常に米国の基準と違う点であるかと思います。

 そのほかの部分は、戻し入れについては、戻し入れは先ほどの再評価の部分で少し議論が出ましたが、当初の帳簿価額を限度とする、その後減価償却を行っている場合であれば、当初の帳簿価額に基づいて減価償却を行ったとした場合の帳簿価額を超えて戻し入れてはいけないと規定されております。これは何かこういう形で決める方は簡単だと思うんですけれども、それを追いかけていかなければならないということになりますので、会社としてはかなり大変になってしまうかなという部分は残されております。

 もう一つ戻し入れについて興味深いところは、のれん以外の部分についてまず戻し入れなさい、そして、原則的にはのれんについて配分された減損損失については、余り戻し入れは行わないとなっている点です。すなわちのれんに関して認識した減損損失というのが再度発生するとは考えられない異常な性質のものであって、かつその計上の根拠になった事象の影響を覆す後発のことが起こっている場合ですので、原則的にはのれんについて、減損損失を一たん認識すれば、戻し入れられることは非常にまれであると考えてよろしいかと思います。

 以上が大体減損についての基準の概要でございます。

 次に投資不動産についての公開草案の本当の概略をお話しさせていただきます。

 概略としましては、不動産で賃貸収入ですとか、資本増加を目的として所有されているものを投資不動産と定義しまして、いわゆるキャピタルゲインを得る目的ないしは賃貸収入を得る目的で持っているものを投資不動産と定義をして決めまして、それについては、毎期毎期公正価値で評価するというのが概要でございます。

 それで、非常にここで議論が多分たくさん出ている部分であるかと思うんですが、投資不動産に対しての公正価値は継続して信頼できるものとして測定できるのかどうか、その辺で意見が分かれている状況であるかと思います。ただし、現状の公開草案は、その公正価値というのは継続して測定可能であるということをある程度前提にして時価評価をして、公正価値の変動部分というのは発生した期の損益に含めるという内容になっております。

 その後、検討の状況をホームページで見ましたところ、いろいろ議論があったようで、公正価値モデルと原価モデルの選択適用の方向で検討がされているようである。

 また、ここで興味深いのが、国際会計基準を定める理事会自体が非金融資産について公正価値による会計を導入するのは今回が初めてだと言っている部分です。それで非金融資産について公正価値の会計を導入することについて、賛成する意見もあったけれども、不動産について市場はそこまで成熟していないという意見も多く出ているということですので、選択的な方法で今後検討が進められるとなっております。

 あともう一つは、ここで選択適用ということですが、一つの会社は保有するすべての投資不動産について一括して公正価値モデルを選択するのか、原価モデルを選択するのかを決めることになるであろうとあります。

 それからもう一つは、一たん公正価値モデルを選択した場合には、原価モデルへの変更は認められないというような方向で基準が作成されるのではないかとなっております。

 それで4番目なんですが、ここはちょっと繰り返しになってしまうんですが、121号との相違点ということで、この概略のまとめのところの表部分は本当に整理のためですので、後ほど見ていただければよろしいのではないかなと思います。

 4−2の相違点ということで幾つかポイントアップさせていただきましたが、まずは減損の損失の認識の契機というか、どういう場合に認識するかというポイントになるときに用いられる金額の算定の方法と、実際に減損損失を測定する場合の金額の算定の方法が米国基準の121号では違うものを用いておりますが、IASの36号では同じものを用いてやっております。

 ここで損失の認識について経済基準、確率基準、永久基準というような説明がなされているんですが、その中で121号は確率基準をとっているのではないか、それでIAS36号は経済基準を採用しているというような位置づけがされているように思われます。

 次の相違点ということで、減損の戻り入れを米国基準は認めておりませんが、国際会計基準の方は認めているというよりも、戻り入れるべき状況であれば戻り入れなさいというような形になっております。

 それからもう一つが、減損損失の測定に用いる価格の考え方が少し違ってくるのかな。これが実務上どこまで違いが出てくるかということはさておきなんですが、FASBの121号の方では公正価値です、いわゆる市場価値ですということではっきり出ていたかと思います。ですので、その代替的な方法として、将来キャッシュフローの割引価値などが位置づけられているということになります。

 逆にIASの36号では、資産の回収可能価額に関する市場の予測というものを、その資産を実際に所有している個別企業の行う合理的な見積りより優先させてはいけないと考えております。すなわち、個別企業の合理的な見積りによる回収可能価額ということを重視していると基準自体が説明しております。ただし、割引率については実務上不可能だからという理由がついているんですが、貨幣の時間価値ですとか、資産固有のリスクについて市場の評価を反映したものを用いてくださいとなっております。

 あと、この辺は考え方の上での違いというわけではないんですが、121号では処分予定のものと使用目的で保有する資産に分けて定めておりますが、IAS36号では分けて議論はされておりません。

 それと国際会計基準では別途投資不動産の会計処理が分けて議論されておりますが、FASBでは今のところ議論はないのではないかと理解しております。

 ここから先のまとめの部分なんですが、これは本当に私の個人的な考え方をちょっと整理してみただけですので、いろいろ御指摘等もたくさんあろうかと思いますが、参考程度ということで聞いていただければと思います。

 まず、121号も国際会計基準の36号も手段として時価は使いますけれども、そうはいっても取得原価主義の枠内で固定資産の評価をどうしようかという議論ではないかなと思っています。

 それで米国の基準の方は、かなりアメリカなんかでは事業の売却、会社の売却なんかが頻繁に行われておりますので、会社の経営ということも投資の採算がとれないと判断するとぱっと売ったり廃止したり、それが本当に日常的に行われているんではないかと思うんです。そういう状況に売却しようかなとか廃止した方がいいのかなと思った場合に、売却を実際に行わないのであれば、実際に事業の評価をする水準まで資産を評価減、せめてそのぐらいはした方がいいんじゃないかというような考え方の前提があるのではないかと思います。

 逆にIASの36号の方は、会社が減損を発見したときにどうするかということから検討を行っておりますが、減損を資産の回収可能性の議論として一貫してとらえているように思います。

 今のは日本の会計基準にある考え方との関係なんですけれども、米国の基準の方は、どちらかといえば強制評価減的な考え方に近い、IAS36号は、いわゆる洗いかえの低価法の考え方に近いと考えられるのではないかと思います。

 それから、今の日本の基準の中に存在する考え方との違いというところで、一番大きいのは費用性の固定資産の評価というものに回収可能性というものを取り入れているかどうかという点ではないかなと思います。よく売掛金ですとか債権ということですと回収可能性の議論は入ってくるとは思うんですが、費用性の資産である固定資産の評価でそれを取り入れているというところが少し違ってきているのかな。

 もう一つは、キャッシュフロー生成単位ということで、財務諸表上計上されている資産をそういうキャッシュフロー生成単位ということでまとめて評価しているかどうかというところもかなり違ってきているのかな。それから、あとは費用性資産の実質価値ということを考えるときに、時間の価値であります利子とかリスク、正常利潤がそれを代表しているんだと思うんですが、そのリスクというものを含めているのかどうなのか。その辺もちょっと違いがありそうかな。

 それから、よく問題になります回復可能性といった判断の予想を数値化していくのかどうなのかという点も少し違ってくるのかなと思っております。

 最後が、こうやって見てきましたIAS36号に対する、これも私の勝手な疑問点なんですが、まず一つは、最初のところで企業が投資を行う際に回収可能価額というのは投資額を比較して意思決定をされているということであるかと思うんですが、重要性の議論を度外視すると、最初に減損の可能性の兆候のある場合にのみ検討を行えばよいと言っておきながら、その後で将来キャッシュフローですとかリスクに見合う割引率を勘案して算出される回収可能価額が固定資産の簿価を超える場合にはいつでも常に減損認識しなさいということになっているので、どの程度の頻度で減損の判定とか評価を行うべきだと考えているのか、ちょっと最初の部分では、かなり特別な状況のときに行えばいいのかなという格好で読み取れるのですが、最後の部分にいきますと、かなりの頻度を想定しているようで、ちょっとはかりかねる部分があるかなと思います。

 それから、IAS36は、みずから減損の場合に経済基準をとっているんですと言いながら、これは暗にIAS121の考え方をとらなかった理由として、確率の要素というのは使用価値の決定とか、将来キャッシュフローの予測とか、回収可能価額が売却価格と使用価値のどちらか高い金額であるということを要求しているということで、既にこの中に確率要素というのは考えているんだよと言っていて、ちょっとこれも首尾一貫性に欠けるのではないかなと思っております。

 次に使用価値の算定で、キャッシュフローの見積りについては個別企業の見積りを優先するとしておきながら、もう一方の要素であります割引率というのは、市場の評価を反映するとなっていて、ここでもちょっと首尾一貫していないのではないかなと思います。それと基本的に使用価値の算定において、税引前で考えても税引後で考えても減損額が一致するという記載があるのですが、果してその理論的な根拠というのはあるのかなという疑問が残っております。

 以上で、非常に雑駁ですが終わらせていただきたいと思います。

○斎藤部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの太田委員の御報告に関しまして、御意見、御質問等、御自由に御発言いただきたいと思います。

 どうぞ、秋葉委員。

○秋葉委員 大きな話で二つほど、特に金融資産との関係でちょっと気になるというか、どう考えるかということを教えていただければと思うんですけれども、減損のことを考える場合に、特に金融資産の場合ですと、その株式、市場性がある場合、ない場合があろうかと思うんですけれども、これの評価減と同じ見方をすることに、IASの場合なっているのか違うのかという点をもしわかれば教えていただければ。特に日本の場合、新しい金融商品の指針もできまして、上場株でも3割とか、非上場の場合5割というラインでPLに費用や損失を認識するということになっていると、若干下がったということで認識するという点とどう考えるのかなということをちょっと整理できればと思っています。

 それからもう一つは、投資不動産の方がまだエクスポージャー・ドラフトの段階ですけれども、ここがこれまで私の理解で、IASの場合ですと金融商品と非金融商品、ここに差を設けていたということの一つの理由としては、いわゆる経営者の腕によって資産価値を上げられるかどうか、契約で縛っているからもう価値を上げられないということで区切っていたかと思うんですけれども、そういう理屈ともし見直しの部分が市場性のありなしという部分で考えるとすると、ちょっと今までのロジックと違うのではなかろうかと思うんですけれども、もしその辺もわかればお願いいたします。

○斎藤部会長 太田委員、どうぞ。

○太田委員 実際のところわかりませんというのが答えなんですけれども、最初の金融資産との考え方の整理ということなんですが、これはもう皆さんの御意見をいただきたいと思うんですが、私はここで金融資産というのは減損の会計基準から外しておりますので、基本的には考え方は多分違うものを持ってきているんだろうなと考えております。

 もう一つの投資不動産についての公正価値を入れてきているというところなんですけれども、ここはまあ非常に議論が賛否両論分かれている部分ではあるかと思うんですが、多分投資不動産というものについて市場価格というのがある程度の信頼性を持ってあるのかどうなのか、そこのところの前提が、当初エクスポージャー・ドラフトが出たその考え方の裏にはそういうものがあるだろうという前提でこういう基準が出てきたのではないかと思っております。これについては日本だけでなく各国でいろいろ議論が分かれ、あるいは国によってはあるし、国によってはないということになるのかもしれませんが、その辺の違いなんではないかなと思っております。

○斎藤部会長 秋葉委員、どうでしょうか。

○秋葉委員 その後者の部分で、逆にちょっと私自身もよくわからない部分は、市場性がありなしということのお話をしていくと、極端に言えば、中古車とか貴金属とかそういう資産の分類云々にかかわらず、市場性の有無でいろいろなものの評価が変わってくるということにもつながってくるのかな、そうすると、いわゆる実現概念との関係でいってもどう考えるのかなというのが、ちょっと勉強不足のこともあり、なかなかちょっと整理できないものでしたから、そういうことについて述べさせていただいたということです。

○斎藤部会長 西川委員、どうぞ。

○西川委員 先ほどの金融資産の減損とこのIASの減損が同じかどうかという部分ですけれども、私の感じとしてはこれは違うのではないか、金融資産については、どうあがいてもその保有者がキャッシュフローをふやすということはできないんですけれども、このIASの減損に関してやっている使用価値というのは、恐らくアメリカで公正価値の一つとして出しているものと違って、マイバリューでいいんだ、要するに自分のやっている方法でキャッシュフローが出せるということであれば、それで個別企業の見積りをもとに計算していいんだ、それでそういうことをすれば、各資産の中にのれん的な要素が入ってしまうわけですけれども、それは減損で下げるだけなんだから、それも許されるんじゃないか、そういう話なんじゃないかなと思いまして、この使用価値というのは、売却可能価格と両方出していても使用価値を使うということは、売却可能価格というのは恐らくフェアバリューと考えてもいいと思うので、それ以上のものを出していいんだとはっきり言っているということは、私が持っているがゆえのバリューだというのを計算しているんじゃないかと考えられます。

 そういう意味で、太田さんの言っている疑問点の中で、例えばキャッシュフロー見積りでは個別企業の見積りを入れる。これはだからそれでいいんですけれども、割引率は市場評価で逆にいいんじゃないかなというのを僕は考えるんですけれども、企業評価を入れちゃうと両側に企業評価が出てきてちょっとわかりづらくなるんじゃないかということで、割引率はこれで矛盾していないんじゃないかなという感じがしているんですけれども。

 以上です。

○斎藤部会長 よろしゅうございましょうか。

 では、品川委員どうぞ。

○品川委員 ちょっと、実務的な問題も絡めてお伺いしたいんですが、最初に減損の強制の場合に、実務的にはどの程度この減損が認識できたらという疑問が常にわくんですが、文言を読む限りでは1%でも5%でも10%でも、ともかく減損があれば計上しなければならないというと非常に実際にはやりにくい。例えば、税務の通達では、50%下がらなきゃだめだというような、まあこれは論外として、ある程度の実務上のアローアンスがあるのかないのか。

 それが一点と、この公正価値を評価するというのは、私が実務等の経験から非常に難しさを実感しているんですが、例えばこの使用価値のキャッシュフローの測定において、具体的に何をメルクマールにこのキャッシュフローを計算するのか。簡便的なやり方ではこの減価償却費を引いてもいいのかどうかとか、それについて具体的な測定方法がどうなっているのかということと、それから投資不動産について、先ほどこの固定資産については当初の帳簿価額を上回って評価益を計上してはいけないという話がありましたが、その制限が先ほどの説明にはなかったので、これは自由に評価益は計上できるのかどうか。あるいは原価モデルの選択が可能だと言っておりましたが、公正価値の開示のみでこの減損的な評価損を計上する必要がないのかどうか。その辺についてちょっと、極めて実務的で恐縮ですけれども、お伺いできればと思います。

○斎藤部会長 いろいろなことを一遍におっしゃられたのでちょっと大変だと思いますけれども、どうぞ。

○太田委員 まず、実務上のアローアンスという点なんですが、この基準を見る限り、多分当初の回収可能価額を見積もらなきゃいけないかどうか、そういう部分では若干アローアンスがあると思いますが、そこは数値化されておりません。基準をそのまま読んでいく限りにおいては、帳簿価額が回収可能価額を上回る場合には常に減損損失を認識するべきとございますので、そういう意味で基準上のアローアンスはないのではないかと思います。

 それから次はキャッシュフローの具体的な見積りということですか。これはちょっともう私の力を超えるんですが、かなり実務を担当されている方とかですと、「エッ」というぐらいかなり大ざっぱな見積りに実際上はなっているのではないかなと思います。例えば、何年間かの事業別の予算ですとか予測の予定から、本当に非キャッシュアウトの費用というか、減価償却等のそういうものを調整して、それをもってキャッシュフローとやっていると想定されますが、これは実際ほかの例を御存じの方がいらっしゃれば、逆に教えていただきたいと思います。

 それから、すみません、最後は。

○品川委員 投資不動産の問題で、一つは帳簿価額を当初の帳簿価額を引き上げて評価益を計上していいのかどうかということと、原価モデルを採用した場合に、単純に原価モデルが採用できるのかどうか。この選択が認められると書いてあるものですから、そうすると、今いろいろ世情騒がれているような不動産会社における評価損の強制なんていうのはあり得ないようにも、この文言だけを読む限りには見られるんですが、その辺の感触はいかがなものかと思いまして。

○太田委員 まず第1点で、今の公開草案は、すべて確かPLに流す、ですので、費用も利益もPL計上となっていると思います。ただ、この辺はいろいろ意見が求められている状況でございますので、このまま基準になるかどうかはわからないと思います。

 それから、もう1点目の投資不動産についての評価損で、原価モデルが選択できるので評価損はあり得なくなってしまうのではないかという疑問なんですが、今現状で投資不動産に関する会計基準は公開草案ですので、投資不動産という部分でこれがIASの36番にひっかかるものであれば、当然のことながら減損は認識しなければいけないということになりますので、そういう意味で、評価損があり得なくなってしまうということではないと思います。

○斎藤部会長 ほかに御発言ありますでしょうか。八木委員、どうぞ。

○八木委員 今の品川委員の御質問の答えになるのは、ちょっと実務で減損会計的な処理を過去何度かやったことがあるんで一言、二言申し上げたいんですが、まず一つは、その細かい実務的な御紹介はどこかの場でまた別途させていただきたいなと思っております。これは私どもSEC基準で決算書をつくっている関係で数回あるんでございます。ただ、直接のお答えにはなりませんけれども、具体的には半導体のある特定の製品の生産設備に関して評価減をしたわけでございますけれども、その置かれた状況というのは、具体的なその製品の値段ですね、これが御存じのように、標準品は2年、3年おきにどんどん値段が下がっていって次の世代に移り変わるんですが、それがまだ生産設備の残存価格があるのに、値段がほとんどもう比例費をも割るような状況にどんどん落ち込んでいく、こういうのは二度ともとへ戻るということは過去の経験上もない、そこで経営者の判断がいろいろ働くということで、そういう会計をやったわけです。たまたまその関係が特別損失なんで、行政当局にお届けに上がったところ、「これは非常に希有な例である、多分、お前のところの業界では続いて他社も来るな」と。「そう思います」と言ったら、ほかは来なかったと。なぜならば、同じ半導体の事業をやっている事業者でも、やはり置かれたウエートとか、全体の状況によっては経営者がそうすべきでないという判断もこれはあり得るわけなんで、そこら辺が企業の判断、そこに使ういろいろなデータとか何かはそういう判断、いろいろなものが入ってくるのかなという感じがしておりまして、先ほどの重要性の問題等も一々思い当たるわけなんでございまして、その辺の細かいお話につきましては、どこかの場でまた事務局からもサジェスチョンをいただいておりますので御紹介できればと、こう思っております。

○斎藤部会長 ありがとうございました。スケジュールの関係もございますので、いろいろまだ御議論はあり得ると思いますけれども、一たん今の太田委員の御報告に関する質疑を打ち切らせていただきます。

 続きまして、最後になりますけれども、岩田委員から御報告をお願いいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○岩田委員 三菱地所の岩田でございます。

 企業の一般的な固定資産にかかわる議論は、最初の方で都委員の方から報告がございましたので、私の方は不動産業ということもございますので、固定資産の中でも特に土地について中心に議論を進めたいと思っております。

 土地に絡むいろいろな議論は、非常に日本の経済の中でも、かなりそういった成長経済の中でビルトインされているのではないかな、そういった認識の中で、とりあえず土地神話と言われている部分、土地本位制とか言われている部分の経緯とそれから発生する、当社が今中心として行っております不動産賃貸業、ビル賃貸業の部分、その中で土地に関する時価の問題、評価損益の議論、この辺に絞って議論させていただきたいと思います。

 まず、バブル最盛期でございますけれども、まあ最近はないですけれども、朝日新聞のアンケートによりますと、4分の3が長期的に見ると物の価値は下がっても土地は上がるだろう、地価が下がることはないだろうと、そういったことを考えていたわけでございますけれども、最近そんなことはなくなってきたとは言いながら、まだやはりどこか、先に行くと土地は上がるかもしれないというような観念が残っているようでございます。そういった流れがどう生じてきたかということをちょっと話をしてみたいと思います。

 レジュメの1ページ目から見させていただきますけれども、明治維新前、江戸時代はほとんど所有権の売買といった議論はなくて、どちらかというと永代使用権の移動というような議論があった。江戸の町民のほとんど9割は借家に住んでいるわけでございまして、そこから大家だ店子だという落語にありますような文化も発生してきている。封建領主はほとんど領地を保有してはいず、租税の徴収権を持っていた。そういうこともあって、明治維新のときには土地の所有権の問題はほとんどなく、廃藩置県とか版籍奉還が行われた。

 土地の所有権が確立されてくるのが明治5年、6年のそれぞれの法制でございまして、これも土地所有者を確定して地権を発行して税金を取った。地価を定めて地租を金納させたということで、現在のような所有の概念とはちょっと違うかなと思っています。

 ここから、戦後よく土地神話が成立されたというわけでございますが、これは1945年、農地解放によりまして、全国の20%を占める農地に五反地主と言われる地主、小規模農家が誕生したわけでございますけれども、一方で、次男、三男といった人たちが都市部へ労働者として集中していく、このため都市部では住宅が必要になり、戦後420万戸の住宅が不足した。開戦時133万戸あったんですけれども、終戦では50万戸になってしまった。こういうことで住宅不足が深刻化したわけでございますけれども、都市復興とともに住宅建設に官民挙げて力を入れる。こういうことの中で地価が上昇傾向にあった。

 また一般的に、政府による持ち家制度の政策とか、1950年代に建築基準法、住宅金融公庫法とか、宅地建物取引業法、各種法規の充実が行われまして、住都公団というものが発足して、賃貸住宅や共同住宅の分譲が進んできた。今では余り使われませんけれども「団地族」という言葉ができてきたというのはこのころだと思います。

 それで70年代に入りまして、マンションの大衆化が進みまして、郊外のファミリー向けが登場してくる。「住宅双六」なんていう言葉もこのころ出た言葉じゃないか。このころからまた地価の上昇に拍車がかかってきたと言われております。

 戦後こういったマクロ的な議論の中では、本来利用して価値があるものである土地というものが所有することを自己目的化してしまったということで、個人も企業も金融機関も土地の所有というものに価値を見出す、そういったことを前提にして企業行動を展開してきた。いわゆる土地本位制と言えるのではないかなと思っております。

 それで、この中で企業はどう実際行動しているかといいますと、地価高騰が戦後3回ございました。60年代は高度経済成長期でございまして、これはやはりいろいろな工業地帯とか事業を持っている用地は当然収益を上げる道具なんですけれども、その含み益を利用して銀行から融資を受ける、そういった担保になって企業の成長拡大をつなげてきた、これが日本経済の奇跡を生んだ原動力にもなったのではないかなということでございます。ここからやはり土地絡みでいろいろな資金を調達する、また、金融機関も担保をとって貸し出すというようなことが完全に経済体制の中にビルトインされたのではないかと思います。

 第2次は列島改造ブームでございまして、こちらはまた本社ビルを建てたりとか、ゴルフ場開発、リゾート開発といった本業以外の方に普通の会社も出てくる、これがバブルのときなどもっと激しくなるんですけれども、ここのときにも萌芽が出ていた。ただ、この後日本経済というのはオイルショックその他で一度停滞するんでございますけれども、結局経済体制の方式というのは全く変わらずに、ここの時期ではまた一億総不動産屋というような、不動産会社だけでなく大企業が土地投機に走った時期でございました。

 最近のバブルのときでございますけれども、これはやはり内需拡大政策、そういったことによりまして、当時やはり商業地のオフィスが霞が関何十棟分足りないとかという議論もありまして、かなりオフィスビルが建った時期でございます。こういったこともありまして企業は財テクに走る。それから非常に資金がだぶついた時期でもございまして、大企業はエクイティーファイナンスなどをやりまして資金を自己調達したために、金融機関が今度は貸しどころがなくなってきた。そういったところもありまして、不動産はとにかく右肩上がりだということもあってどんどん集中化した。そういったことによって住専の問題とかそういう問題が後で発生したということ。

 それからまた建設会社でございますけれども、当然みずから不動産開発もやったり、あと関連会社に任せたりとかしまして、建設を受注する、また提案型営業とかいうようなこともありまして、巨額の有利子負債を積み上げても土地不動産がそれ以上に値上がりするのではないかというような議論をしていた時期でございました。ここでやはり金融機関、建設会社、不動産会社といったところで、いわゆるバブルの御三家と言われるところですね、そういった悪夢のトライアングルを形成してバブルの推進エンジンになったということでございます。これが90年4月の不動産融資の総量規制ということによりまして、バブル自体もかなり膨らんでいまして、そろそろ危ないかなという時期だったんですが、これがとどめを刺したという形になっております。

 ちょっと昨年の例で恐縮なんですが、1999年1月1日時点の国土庁が発表した公示価格は前年比・6%減ということで8年連続下落になっております。これは全国平均の数字でございますけれども、バブル崩壊後も価格の下落がどんどんあったんですけれども、これも先ほど言いましたように、いつか上がるだろうということが、いつか反転するだろうという甘い期待の中にいたものですから、不良資産に対する処置がおくれた。これはやはり根底には、1970年に第1回の公示価格を発表しているんですが、今回のバブル崩壊時を除けば公示価格が前年比マイナスだったのは75年、これは先ほど言いましたけれども、たしかオイルショックの後だと思うんですけれども、75年だけで、あのときも一回下がったんですけれども、その後10年間またゆっくり緩やかですけれども地価は上昇していた。まさに土地は所有していれば必ず値が上がるということを証明していたということでございます。

 ですから、こういう全く不動産が回復しない、土地が回復しないという状況は、今、失われた10年と言われておりますけれども、この時期初めての経験であるといってもいいのではないかと思います。

 現在のマクロ的状況をちょっと概観しますと、まず表Iの、ページの後ろの方ですが、4ページでございますけれども、これは制度部門別土地投資規模の推移ということで、ちょっと見にくくなっておりますけれども、基本的にこれはネットの数字でございます。ですから、基本的な家計、個人から金融機関、非金融法人企業の方へ流れていったというような図式で、1990年のところでやはり非金融法人企業のところがかなりふえている。このあたり白いのが法人企業でございます。それでバブル崩壊後、それがどんどん手離していっているというような今流れになってございます。

 ですから、日本の企業はバブル期に非常に簿価の高い土地を取得して、含み損はかなりなものになっているのではないか。それがあれなんですけれども、参考ですが、その下の表II、図表−3、次のページの図表−4となっていますが、これはちょっとインターネットから拝借したんですが、やはりバブル期から数年間、大量の土地を購入、これはゼネコンさんの90社の不動産保有状況なんですけれども、販売用不動産と固定資産がこれは一緒になっておりますが、土地の含み損は、推計ですけれども、97年3月期で9,000億を超えているのではないか、低く見積もってもこのぐらいある。

 それからまた次のページ、5ページ目の表III でございますけれども、こうしてキャピタルゲインが、土地が下がっておりますので、買っても求められない場合、期待できない場合、不動産に求めるインカムゲインの収益率は若干また上昇傾向にあるということで、これは現在6%とかまたそれぐらい求められますので、これがさらに資産としての土地の価格を押し下げる要因になっているのではないのかなということでございます。

 こういった段階でマクロ的に見ても、例えば時価会計という――時価会計を私の方では余り厳密な定義をしていないんですけれども――よく言われる時価評価とかそういった会計を導入することは、企業のPLやBSに多大な影響が出てくるだろう。ですから、いろいろこういった状況を考えますと、はい明日からと言われますと、企業としてはなかなか対応できないんではないかなと思っております。

 2番目にビル賃貸業、私どもの会社の主要事業でございますけれども、基本的な考え方でございますけれども、日本におけるビル賃貸業というのは、建設したオフィスを長期にわたって所有し、そこから継続的にもたらされる賃貸料によって建設費を回収していくという業務形態であって、賃貸サービスの対価として利益を獲得する経営方式であるということで、当社が持っている土地・建物、要するにビル賃貸業をやっている土地・建物というのは、普通の会社のメーカーさんの本社や工場と同じであって、ある意味では短期的な売買目的、キャピタルゲインをねらって賃貸業をやっているということではないということで、これは実はIASの方でも投資不動産の中に一時こういったビル賃貸業の部分も入れられた経緯もございまして、我々も相当反対しておりまして、それが大分評価基準その他変わってきたのは非常にいいんですけれども、そういった意味では非常に長期的な目的で事業を行っているというところが第1点でございます。

 ただ、ビル賃貸業でも、私ども土地・建物、固定資産の売却するのもございますけれども、これはどちらかというと将来のキャッシュフローをにらんだ資産の入れかえと考えていただければと思いまして、短期的なキャピタルゲインを想定したものではないということでございます。

 一番我々が恐れている、固定資産を時価評価したときに、評価損益をいきなり評価損益書とかそういったものに反映されるようになったとき、事業のよしあしじゃなくて、極端な場合ですけれども、保有不動産の評価損とか評価益で損益計算書が変動してしまったり、減価償却というのがもしなくなったりする場合に、そういったファイナンス効果もちょっと期待できなくなるということで、当社が今横浜とか丸の内で行っているような、みなとみらいのような計画、特に長期的かつ大規模な開発はかなり困難になってくる。大規模開発というのはやはり相当な利益を生み出すものでございますので、そういった意味では事業の根幹にかかわるものではないかと思っております。

 時価算定に関してでございますけれども、収益還元法とかを導入した場合、日本の法制度との関係がどうなるかということでございます。土地・建物、おのおのさまざまな財産権が存在しておりまして、それぞれの評価をどう評価していくか。例えば借地権対価、こういったものはどう評価されるのか。定期借家権とか旧借家権ですね。今出てきましたけれども、こういった混在する建物の評価、それから将来的なリスク、そういったものの測定認識については会計基準だけにはとどまらない問題がやっぱり出てくるのではないかと思っております。

 従って、業態的に国際会計基準の議論にあるような公正価値を基準としたような完全時価評価、完全時価主義というんでしょうか、それの導入はなかなか現実的な議論とは考えにくい。ですから、選択適用でもよろしい、そういう国際的な流れが、ちょっと抵抗できない流れがあるならば、選択的な適用をしていただけるような考え方で、その中に取得原価で当初認識し減価償却していくという方法も入れていただければということでございます。

 ただ、確かに企業業績が悪化したときに、過去に購入した不動産で含み益を出して、利益を計上して、益出しをして利益の平準化をしているというようなこともあって、当期の企業業績をあいまいにしている部分もあるんですけれども、そういうことがありまして、資産を時価評価した場合に債務超過であっても、資産を原価評価したときには貸借対照表では健全に見える。この辺あたりが非常に今問題になっているのかなということで、確かにこの辺は批判されても仕方がないのかなとも思うんですけれども、そうは言っても、今まで、さっき話しました過去のいろいろな経緯が、流れがございますので、そういったものを余り無視できないのではないかなと思っております。

 実際、皆さんも御存じのとおり、平成10年に土地再評価法で、実際に金融機関は時価評価して、その再評価益というんですか、そういったものでBIS基準や早期是正措置をクリアしたということですが、これは金融機関救済のための時限立法ということもございますので、さまざまないろいろな経済、今まで述べてきたような経済的な歴史的な経緯を考慮したものとはなかなか言いづらいのではないかな。実際、平成10年の法律では、再評価が負債に組み込まれましたので、余り実際の企業は使わなかった。平成11年の改正では変わりましたので、それについてはかなりの会社が使っているんですが、10年のときはそういうことではなかったということで、かなり政治的な力が働いた。クレジットクランチという議論もございましたので、これはやはり国家的な異常事態が背景にあったということではないかと思っております。

 それで、土地の時価評価でございますけれども、先ほど公正価値の中で基準をどうするかという中で、土地の評価基準、土地の時価ということになりますと、今、一物四価、一物五価、一物六価ぐらい言う人もおりますので、公に算定されている価値でも、今ここに書いてあります5つぐらいございまして、価格決定のマクロ的な議論の中でファンダメンタルズモデルというのがございまして、ちょっとこちらの方の議論もあるんですけれども、こちらの方は税制の影響を無視していたりとか、考えていなかったりとか、土地所有権の市場が情報が完全で、ある程度完全競争の中にあるというところ、かなり一般モデル化しておりますので、ちょっとここではそれについては触れないでおきます。

 一応、一般的な我々がやっているものは今5つぐらいでやっておりまして、これは地価公示法に基づく国土庁土地鑑定委員会が評価する公示価格、それから都道府県知事が判定する基準価格、相続税法による路線価と言われるものですね、それから地方税法に基づく固定資産税評価額と、あと実勢価格という形で、この不動産鑑定士の鑑定評価価格等が入ってございます。

 あとこれに取引価格というのもあるんですが、これは一応マル5の実勢価格の中にちょっと含めて、一応ここでは一物五価ということで表現させていただきたいと思っております。

 それぞれまた、これは非常にいろいろな権威あるところが価格を発表しているわけなんですが、それぞれ使用目的その他によっていろいろ問題がございました。公示価格は、最近は土地の最高利用を前提とした収益還元法なども使われているようでございますけれども、これは大体その土地が最高利用をされた場合という基準がやはりなかなか難しいということ、それから、公示箇所以外は事情補正というものが必要になりますので、そういった補正がきちんと行われるかという問題が出てくる。それから路線価とか固定資産税評価額というものについては、それぞれの土地の利用状況を把握したものではありませんし、それから、不動産鑑定士による鑑定評価というものも、個別のビルごとに行った場合、特に保有不動産による賃貸業、我々がやっている不動産業にとっては鑑定費用というものが非常に過大な費用となるということでございます。まあ、その鑑定の方も、最近は取引事例法と収益還元法と両方入れてやってはいるんですが、これも土地の売買とかいろいろ絡む問題もございまして、鑑定士によっていろいろな方がいらっしゃいますので、これもなかなか公正な価値というわけにはいきづらいというところもございます。

 特に金額で、例えば第三者鑑定をとるといいますと、実際に当社でも、昨年東京三菱銀行さん本店と日本橋別館を購入したんですけれども、簡易鑑定でも約1,000億円レベルの取引で約1,600万円ぐらいの費用を払っているということでございますので、これは資産を購入するときは、そういった費用の中で投資の一部とも考えられるわけでございますが、そういうことでございますので、将来のキャッシュフローの中で回収していけばいいわけですけれども、仮にこれが評価だけのためにやられると、そのときの鑑定価格というものをどうしていくかということですね。鑑定費用をですね。これは例えば、先ほど頻度の議論がございましたけれども、毎回やられるとなると、私どものビル60棟ございまして、それを毎回やるということになりますと、現実的になかなか難しいかなと思っております。

 あと、これは時価の問題を、金融資産の話をちょっと延長して話ししているんでございますけれども、まあ土地取引及び建物、ビルなんかの取引というのは存在はするんですけれども、取引事例が非常に少なくて、市場が形成されているとはなかなか言いがたいわけですね。特に都心部の中での取引というのは頻繁に行われているというわけではございませんので、その中でも市場価格といった議論はなかなか言いにくいのではないか。ですから、そういった意味で、また合理的に算定された価格、公正な評価額という項目もありますけれども、これも一物五価ということでございますので、なかなか公正な価格というのはどれだと表現もしにくいかなと思っております。

 ただ一方で、最近新しい不動産業の流れとしまして、皆さん御高承のとおりでございますが、不動産と金融関係、これはファイナンスとリアルエステートをもじってファイアビジネスと言うそうなんですけれども、ちょっとやけどしそうな非常に怖い話なんですが、要するに不動産のSPC、特別目的会社をビークルとした流動化とか、それからこの秋口になるのではないかと思うんですけれども、いわゆる会社型投信、J−REITと言われる、そういった不動産と金融が合体した商品が開発されておりまして、業界としても資金調達方法の多様化とか、それから資産のオフバランス、それからまた所有リスクの回避ということを目的として、積極的にやろうと今やっております。最近、もうかなり法律ができる前に率先している会社もございまして、今やっております。

 ここまでも不動産価格の正当性とか、それからこれは要するに投資規模を決めるときの不動産価格の問題、それから、最後結局5年なり10年なり、そういった流動化した証券化した際に、最後どういった価格で売却できるかと、それの算定方法といった問題がやはり業界内部でも出てきている。最近はこの価格については収益還元法が採用されて、かなりキャッシュフローを重視したものになってきております。ただ、これは従来日本人が今まで持っていた土地の所有といった議論からかなりかけ離れた、ある意味でパラダイムの変換がかなり要求されるのでないかな。今まで土地は持っていればよかったということもあったんですけれども、持っているだけではだめで、利用して価値がある、土地そのものからキャッシュは出てこないという考え方ですね。土地そのものは余り価値がないものだという考え方、こういったものが要求されるのではないかな。ただ、これも我々も説明されると確かに理解できるんですけれども、なかなか実感としては考えにくいものではないかな。

 収益還元法も一つの時価の標準になるとは思うんですけれども、これはやはり投資家が求める利回りのレベルで不動産価格が変動するということ、それから、日本の場合は特に従来の賃貸契約の慣行では長期にわたったキャッシュフローは計算しにくい。それから非常にリスクが高い、それから賃貸料の水準も実は余り正確ではない。非常に実務的で恐縮なんですけれども、募集価格というのがございまして、提示価格というのがあって、最後は成約価格というのがあって、要するに3段階ぐらいに価格があると言われているものですから、例えば、ビルが決まりました、ビルが100%埋まりましたと出しているときは大体募集価格で決まったような顔をして出すわけですね。実際動いているのは当然契約価格でございますので、この辺のやはり賃料の水準のばらつきも出てくるということで、なかなかキャッシュフローをかためるのは難しいというところでございます。ただ、個人資産1,200兆円ということで、グローバルな動きの中ではかなり外資系もねらって相当入り込んできておりまして、今後法制度とか、それから税務的な問題、それから不動産インデックス等の情報関係が整理されれば、収益還元法が一般化していく可能性は否定できないということでございます。

 最後に評価損益の議論でございますけれども、結局、評価した益と損益とが、要するに損と益をどこへどういうふうになるんだというのが非常に問題でございまして、やはり今やっと、いろいろな会社がある程度何とかやっている状況の中で時価評価されて、一気に損が出て、債務超過に陥るというような、要するに何となく、まあそういうものだと言われてしまえばそうなのかもしれないんですけれども、なかなか釈然としない議論がそこにあるのかなということで、固定資産の評価については、時価評価の流れは、ある程度どうしようもないというのがあるのかもしれないんですけれども、いろいろな保有目的等を十分考慮していろいろ決めていただければと。特にビル賃貸業のように、長期にわたって事業目的、事業を営んでいくということが中心になるものでございますので、そういったものについては、やはり従来型の考え方というのはリーズナブルじゃないのかなと。ただ、先ほど申し上げました金融商品化するようなものもございますので、非常に区分は難しいんでございますけれども、そういった使用目的について、ある程度細かくてもいいですから分けて評価していただければなと思います。

 損益の評価について4つぐらい書いてございますけれども、これはちょっと勉強しましたというだけでございますので、これは専門家の皆様にはうっとうしいだけの話でしょうから、我々としては最後はやっぱりPLに出るのはなかなかつらいなというところがございまして、まあ益でも損でも、何とか貸借対照表の中でうまく処理できないかなと。ただ、そうしますと、貸借対照表とPLとが断絶するということもありますので、この辺も専門家の方からいろいろ教えていただいて、不動産業に明るい未来があるような形にしていただければと思っております。

 どうもありがとうございました。

○斎藤部会長 ありがとうございました。スタートが5分ほどおくれまして、途中でさらに5分超過しておりまして、ほぼ予定した時間が参っております。それで、大変恐縮でございますが、特にこの時点で緊急に御質問なさりたい、確認されたいという方だけ御質問を受け付けたいと思います。それ以外につきましては、次回に改めて、もし岩田委員が御出席いただけるようでしたら、さらに続けて御質疑をいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

 特に御質問ございませんでしょうか。かえって御質問を抑えてしまう形になって申し訳ないんですけれども、まだ二、三分残っております。

 念のために確認いたしますが、幾つかポイントがございまして、賃貸は事業であって、キャピタルゲインをねらった不動産取引投資ではないのではないかという点が第1点。

 それから第2点は、時価評価というときのその時価の一義性が土地について確保できるのか、さらに、その評価のコストをどう考えるのかという点。

 第3点は、不動産等については、場合によっては時価よりも収益還元価値の方が大事なのではないか、ただしそれはインフラ等が整備されないと具体的な話にならないだろう。それが第3点。

 第4点は、その評価と損益認識については、保有目的や経済状況を十分考慮して考えてくれと、多分そのようなお話であったかと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。

○岩田委員 はい。

○斎藤部会長 それでは、よく岩田委員のレジュメをもう一度お読み直しいただきまして、次回でも改めて御質問があれば承れればと思います。

 それでは、本日の部会はこれで終了させていただきたいと思います。

 なお、次回の当部会の日程でありますけれども、3月10日の金曜日の午後2時からを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

 次回は日本公認会計士協会からのヒアリング等を予定しております。正式には改めて事務局より皆様に御案内をさせていただきたいと思います。

 また、次回以降の予定でありますけれども、3月10日の次は3月31日の午後を予定しておりまして、アナリスト等からのヒアリングを考えております。それ以降は論点の整理を行いながら、各委員の御意見を伺ってまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 本日は、皆様方には大変お忙しいところを集まりいただきましてまことにありがとうございました。これで散会させていただきます。