企業会計審議会 第二部会 議事録

日時:平成11年12月 3日(金)午後1時00分〜午後3時01分

場所:大蔵省第四特別会議室

 

○脇田部会長 定刻になりましたので、これより第1回第二部会を開催いたします。

 委員の皆様には、お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 私は、第二部会の部会長に御指名いただきました脇田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 これからの審議の過程でいろいろ御教示を賜り、また、御協力をいただきたいと思います。何分よろしくお願いいたします。

 まず、審議に入ります前に、新任の臨時委員の方々及び幹事の方々を御紹介させていただきます。

 新任の臨時委員は、加藤 厚氏。

○加藤委員 加藤です。よろしくお願いします。

○脇田部会長 友永道子氏。

○友永委員 よろしくお願いいたします。

○脇田部会長 内藤文雄氏。

○内藤委員 どうぞよろしくお願いいたします。

○脇田部会長 藤田敬司氏。

○藤田委員 よろしくお願いします。

○脇田部会長 山浦久司氏。

○山浦委員 山浦でございます。よろしくお願いします。

○脇田部会長 また、新任の幹事は、梅山 勉氏。

○梅山委員 梅山でございます。よろしくお願いいたします。

○脇田部会長 高山康宏氏。

○高山委員 高山です。よろしくお願いします。

○脇田部会長 那須伸裕氏。

○那須委員 那須でございます。よろしくお願いします。

○脇田部会長 万代勝信氏。

○万代委員 どうぞよろしくお願いします。

○脇田部会長 渡辺 茂氏。

○渡辺委員 渡辺です。よろしくお願いいたします。

○脇田部会長 以上の方々でございます。

 なお、新任の方々には、御経験者もいらっしゃいますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 当部会のメンバーの構成につきましては、ここに資料の委員名簿がございますので、出席簿とともに御覧いただきたいと思います。

 それから、この席で宮島委員には部会長代理をお願いいたしましたので、よろしくお願いいたします。

             〔宮島部会長代理 立礼〕

○脇田部会長 また、去る1022日に開催されました企業会計審議会総会におきまして、議事録を公表することとなっております。当部会におきましても、本日から議事録を公表することといたしたいと思いますので、この点も御了承いただきたいと思います。

 なお、議事録は事務局の責任で作成・公表させていただきますので、御発言及び資料の中で、公表することに差し支えがある事項や確認を要する事項がございましたら、適宜、事務局の方にお申し出をいただきたいと思います。この点もよろしく御配慮をお願いいたします。

 それでは、早速、続けさせていただきまして、本日は、新原東京証券取引所監理官に御出席いただいておりますので、ここで御挨拶をいただきたいと思います。

○新原東証監理官 新原でございます。どうぞよろしく御審議のほどお願いいたします。私もできる限り出席させていただいて、お話を聞かせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○脇田部会長 ありがとうございました。

 なお、本日は若杉会長が御所用のために御欠席でございます。御挨拶をお預かりしてございますで、事務局から御紹介させていただきます。

 お願いします。

○多賀谷課長補佐 それでは、若杉会長の御挨拶を代理で読ませていただきます。

 「              御 挨 拶

                          会長  若 杉   明

 委員各位には、本日はお忙しいところ第二部会に御出席いただき、誠にありがとうございます。私は、北京・中央財経大学との学術交流のために、目下、中国に来ております。先方との調整により、日程をかなり前から決めておりましたので、変更ができず、当会議をやむを得ず欠席いたしますことを大変申し訳なく存じております。

 さて、当第二部会では、このたび監査基準の見直しに着手することになりました。近年、我が国では、大企業の倒産をはじめとし、数々の企業不祥事が発生し、これに関連して粉飾決算等会計上の不正が明るみに出て、誠に残念ながら、我が国の会計制度及び監査制度に対する内外の信頼が著しく失墜いたしております。このような事情に対処して、この春より、公認会計士審査会は当審議会と一体となって、公認会計士監査制度の抱える問題点の抜本的な検討を試み、その成果を取りまとめております。そこで取り上げられた我が国監査基準のあり方についての検討、見直しを図ることが、今回第二部会に課された審議課題なのであります。

 最近、我が国では、周知のごとく、会計基準設定機関のあり方を巡って種々議論されております。ジャーナリズムの中には、当審議会を批判的に見ている者もあるやに聞いております。当審議会は戦後50年の伝統を受け継いで現在に至るまで、悔いるところのない審議活動を行ってまいったと確信いたしております。今後も我々審議会に課された任務の重要性を十二分に認識しつつ、全委員及び事務局が一体となって審議運営に専心してまいりたいと存じます。

 委員各位には、その間の事情を御賢察の上、よろしく御協力のほどをお願い申し上げる次第であります。」

 以上でございます。

○脇田部会長 ありがとうございました。

 それでは、引き続きまして審議に入りたいと思います。

 まず、当部会の審議事項と審議の進め方につきまして御説明をさせていただきたいと思います。

 去る1022日に開催されました企業会計審議会総会におきまして、二つの審議事項についての検討が行われました。一つは、「固定資産の会計処理」でございまして、もう一つは、「監査基準等の一層の充実」を審議事項とすることが決定されました。監査基準を担当しております当第二部会におきましては、「固定資産の会計処理」と「監査基準等の一層の充実」という二つの審議事項のうち、「監査基準等の一層の充実」についての審議を行うこととなりました。この点につきまして、若干の背景を御説明させていただきたいと思います。

 まず、その背景を申し上げますと、本年7月に、公認会計士審査会のワーキング・グループが、「会計士監査の在り方についての主要な論点」を取りまとめられました。これを審議会総会におきまして検討いたしまして、各委員の方々から、監査基準に係わる論点につきましては、企業会計審議会において取り上げることが必要である、あるいは国際的な観点からも監査基準の一層の充実を図る必要であるという御意見が出まして、その結果、「監査基準の一層の充実」を企業会計審議会の特に第二部会の審議事項として決定されたわけでございます。

 なお、この公認会計士審査会のワーキング・グループの取りまとめました「会計士監査の在り方についての主要な論点」につきましては、黒い表紙の参考資料集に綴り込んでございますので、御覧いただければありがたいと思います。

 次に、今後の審議の進め方についてでございますけれども、今般のテーマは非常に広い内容を持っておりまして、論ずるべき点も幅広く存在しております。従いまして、短期間で論議を尽くすことは甚だ難しいように思われます。そこで、いろいろな観点から指摘されております問題点について、これを監査基準という枠組みの中で整理していく必要があるかと思います。従いまして、個々の論点に関して論じて、あるいは審議をする、具体的に議論をしていくという前に、まず、中間的な形での論点の整理、これまで指摘されております大きな問題を、監査基準という枠組みを踏まえて、論点という形で整理し、それをまとめていくということをまず第1段階の作業としてはどうかというふうに考えております。

 そのような方向でこの審議を進めさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

            〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○脇田部会長 それでは、そのような方向で、まず第二部会の審議の第1ステップと申しますか、第1段階の作業を始めたいと思います。

 本日は、そこで、まず、公認会計士審査会のワーキング・グループの報告書など、最近の公認会計士監査を巡ります動き、及び公認会計士協会として監査の充実に向けてどのように取り組まれておられるのか、その現状につきまして御紹介いただき、そ

の後、委員の皆様からの御質問あるいは御意見を頂戴いたしたいと考えております。

 それでは、まず初めに、公認会計士監査を巡る動きにつきまして、事務局から御説明をさせていただきます。

 お願いいたします。

○多賀谷課長補佐 それでは、御説明をさせていただきます。

 先ほどお手元に配付しております黒い表紙の参考資料集を見ていただきたいと思います。これは、各回共通して使うもの、あるいは既に公表されているようなものにつきましてはここに綴り込みまして、席上に毎回置かせていただきたいと考えております。従いまして、お持ち帰りになられる場合には、また持ってきていただくというような形になりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、この黒い表紙の資料と併せて、最近の公認会計士監査を巡る動きにつきまして、手短に御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、もう御承知のこととは存じますが、我が国の公認会計士監査制度につきましては、この参考資料集の最初に条文を付けております。簡単に御説明を申し上げますと、公認会計士は、監査をするという業務とその他の業務ができることになっておりますが、その監査につきましては、法律で定められている監査、一般にこれを法定監査と申します。それから、法律で定められていることではない、任意の監査という監査業務がございます。

 法律で定められております監査には、非常に広範に行われているものといたしましては、一つは、証券取引法監査がございます。これは証券取引法第 193条の2という規定に基づきまして監査を行うということでございます。証券取引法の適用になる会社、上場、店頭登録、公募等を行った会社でございますが、このような会社につきましては、有価証券届出書、あるいは有価証券報告書という書類を大蔵大臣に提出をすることになっております。その書類の中にあります財務諸表につきましては、これを公認会計士又は監査法人の監査証明を受けるということになっております。これが証券取引法監査、証取法監査と言われるものの根拠でございます。

 もう一つの幅広い監査制度といたしましては、商法特例法監査、商法監査というものがございます。これは株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第2条に基づく監査でございます。ここにございますように、資本金が5億円以上、又は負債が 200億円以上の株式会社につきましては、この特例法に基づきまして会計監査人の監査を受けなければいけないということになっております。会計監査人につきましては、公認会計士又は監査法人ということになっております。

 ちなみに、商法 281条第1項の書類と申しますのは、(注)に書いてありますとおり、貸借対照表、損益計算書、営業報告書、利益処分又は損失の処理に関する議案、附属明細書を言います。営業報告書、附属明細書は会計に関する部分が監査対象となっております。従いまして、証券取引法と作成する財務諸表の形は違いますが、基本的には、大会社、証券取引法適用を受ける会社につきましては、商法監査、証取法監査が一体として行われているというふうに考えていただいて差し支えないと思います。

 それから、2枚目でございますが、そのほかの主な法定監査でございますが、例えば金融機関、信用金庫、信用組合等、あるいは労働金庫、農林中央金庫、このようなところには各法で監査が義務づけられております。そのほか学校法人の監査、これは根拠法が幾つかございますが、当てはまる場合には監査を受ける。それから、労働組合の監査というのがございます。このほかにも、若干でございますが、いわゆる政党の監査というようなものもございます。

 このほかに任意の監査というのがあります。任意の監査は法律事項ではございませんが、例えば証券取引所の規則に基づく上場審査の際の監査、それから、公益法人の中の規則において、監査をするということになっているようなものがございます。例えば日本体育協会の傘下にある団体、幾つかそういうようなものがございます。それから、全くその他の任意の契約による監査、例えば商法特例法よりも小さな会社が、任意の契約によって監査を受けるというようなこともございます。

 これが我が国の監査の大ざっぱな仕組みでございます。

 それから、資料をちょっと飛ばしまして、一番最後に付いておりますものでございますが、監査基準、監査実施準則、監査報告準則、いわゆる企業会計審議会で設定した監査に係る基準でございます。

 前の方はこれまでの設定から改訂の経緯が、その都度の前文として掲載をされておりまして、後ろの3枚が監査基準の本体、現在時点の本体という形になっております。監査基準の中には、いわゆる監査基準と、その左側にございます監査実施準則、それから、次のページにございます監査報告準則、これを合わせまして監査基準全体というふうになっております。中身につきましては、また別の機会に御検討いただく形になります。一応形を御紹介をしておきます。

 それから、先ほど部会長の方から御紹介がありました会計士監査に関するワーキング・グループの報告書がその前に綴ってございます。新聞発表という紙の後ろでございます。

 これは新聞発表にもございますが、本年の4月23日から5回にわたって、各界の専門家、ここにいらっしゃる委員の方も御参加いただいた方もいらっしゃると思いますが、意見を聴取しまして、会計士監査のあり方について、幅広い検討を進めてきました。最終的には、本年の7月2日に同ワーキング・グループで報告書を取りまとめたという形になっております。

 なお、このワーキング・グループは、引き続き公認会計士審査会の中に小委員会を設けて、新たに所要の検討が行われるという形になっております。

 中身について全て御説明することができませんので、要約をしたものがその前のところに付けてございます。二つ目の横紙でございます。「『会計士監査に関するワーキング・グループ』の主要な論点に係る検討項目等」という文章でございます。このペーパーに基づきまして、当部会に関係があるところを中心に御説明をさせていただきます。

 左側の「主要な論点・考え方」の欄には、ワーキング・グループの報告書がそのまま写されております。真ん中の検討項目というのは、その中で要約をした部分でございまして、関係審議会等というのは、これを審議するのに適当な場所といいましょうか、ところという意味で付けております。これは後ほど見ていただきますと分かりますように、幅広い観点から取りまとめられておりますので、必ずしも監査基準という問題だけではなく、公認会計士自体の問題、あるいは試験の問題、あるいは公認会計士協会の問題、いろいろな方面の問題が混在をしております。従いまして、その検討する場所が必ずしもこの審議会ではなくて、例えば公認会計士審査会、あるいは公認会計士協会というふうになっている部分もございます。

 それでは、まず、「1 .開示及び監査の内容の充実」という論点につきましては、この四角の中に要点がまとまっております。

 要点といたしましては、監査の内容にさらに改善すべき点はないかということでございますけれども、その詳細といたしまして、下の(1)、(2)がございます。特に(2)のところが非常に強調されております。

 抜粋して読み上げますと、企業の財務諸表は、企業が継続能力を有していることを前提として作成されるが、企業の継続能力に関する情報に関しては、現在の我が国では、特別のルールに基づく開示及び監査は求められていない。この点について、我が国においても、企業の継続能力に関する情報が一層重要になっており、諸外国の例を踏まえ、その開示及び監査の基準を早急に整備することが必要であるとの意見が多かったということでございます。いわゆるゴーイング・コンサーン情報と言われているものがこれであると思われます。

 また、企業の継続能力に関する情報の開示というと、企業の破綻か存続かという極端な状況での情報の開示が想定されるようであるが、むしろ、企業経営に関わるような将来のリスクを、早い段階から、監査を経て開示することが重要であるとの意見があったということでございます。

 従いまして、ここでは一口に、企業が単に倒産をするかどうかという意味ではなくて、その継続に関わるような情報を、幅広く、監査という点から捉えてはどうかという観点からの御意見であったと思われます。

 ただし、企業の継続能力に関する情報の開示は、これが企業活動や経済全体に大きな影響を与えかねないことに、十分配慮すべきであり、拙速な対応は問題であるとの意見もあった。

 すなわち、企業の存続が危ぶまれるというような情報は極めて重要な情報でございますので、当然当該企業に直接影響が及ぶということは言うまでもありません。従いまして、監査人の判断が他の判断と比べると極めて重大な判断になるのではないか。従いまして、慎重にといいますか、そういう判断をする根拠なり基準といいましょうか、そういうものを十分に検討をしていく必要があるということでございます。

 なお、この点につきまして、現在の監査基準では、特記事項という欄が設けられておりまして、その書き方につきまして、あるいは内容につきまして特に特定はされておりませんが、最近の例におきましては、幾つか特記事項に、会社の存続に関わる事態がある場合には、その会社が財務諸表に記載した事項を監査報告書にも記載しているという事例がございます。具体的には今は省略をさせていただきます。

 それから、(3)でございます。仮に形式的には会計基準に違反していないように見えても、経済実態を反映していない場合は、適正意見を出した後に企業が破綻した例が見られるという状況に照らし、より実態を踏まえた監査意見を述べるべきとの意見が多かったということでございます。

 これは、会計基準と経済実態との乖離がある場合には、会計基準を直すのかどうかという問題がまずあろうかと思います。しかしながら、会計基準というのは、一般的に、例えば企業は継続をするという前提、あるいは標準的な取引なり、標準的な処理を念頭に置いて基本的には定められておりますので、経済実態が非常に変化した場合、あるいは企業が非常に特殊な状態にある場合、こういう場合を全て会計基準でカバーするということは、現実問題としても不可能かと思われます。その場合には、監査の方で会計基準を形式的に守っているということでいいのかどうか。まさに実態との乖離がある場合には、何らかの対応を監査の方で行う必要があるのではないかというような趣旨の御意見が多かったということだと思います。

 それから、「2.監査の体制及び手続きの充実」につきましてでございます。

 ここは(1)に、最低限期待される水準や監査人の責任の範囲を、監査に当たってのルール等により、明らかにしておくことは、監査が社会の期待に的確に応えるためにも、また、監査が適正になされたかを事後的に検証するためにも重要であるとされております。

 これはまさに監査基準、監査手続の明確化でございます。関係審議会のところには公認会計士協会も入っておりますが、これは実務指針等も含めて、広い意味での監査のルールを整備をしていく必要性があるということでございます。

 (2)は実務指針ですので公認会計士協会でございますが、(3)は、どちらかといいますと、監査の体制ということもありますので、公認会計士協会、あるいは場合によっては、個々の監査法人の中でどのように体制をさらに充実をさせていくかということが問題になって、御指摘があったということでございます。

 それから、3ページ目でございますが、その中で一つの問題といたしましては、監査の規模、これは個々の契約でございますので、特に審議会でルールを定めるということはないかと思います。監査役との連携、この辺は場合によっては監査手続の中で検討される可能性もあろうかと思います。監査役だけではなくて、他に監査なり検査というものとの関係も同様でございます。

 それから、マル3マル4マル5は、基本的には、監査法人の中でどのように体制を整備するかということでございます。マル6も同じでございます。

 それから、(4)でございますが、これは監査報告書についてでございます。企業の実態をよりよく反映する、そのような記載事項を考えた方がいいのではないかという形。特に、定型的な監査報告だけでいいのかどうかというような御意見があったということでございます。ここは監査の方では監査報告基準というところに関わろうかというふうに考えます。

 それから、4ページでございますが、(7)でございます。大企業に対する監査は、複雑多岐にわたるので、個人の公認会計士が単独で実施することは困難であると考えられる。

 これは基本的には、監査をする立場の方の問題でございますので、公認会計士協会が対処するということでございますけれども、監査基準の中としては、現在、組織的な監査ということが言われておりますので、当然お一人でやるというのは、規模の問題もありますが、そもそもそういうことは監査基準の中では考えられていないという点には、この点も関わりがあるということになろうかと思います。

 それから、残りのところをざっと御説明をいたしますと、この後の部分は監査基準には直接触れるところは少ないということでございますが、5ページの「3.監査法人制度の改善」につきましては、監査法人としての制度がどうあるべきか。諸外国では有限責任の形態というものがあるということでございますので、このような点につきましてもワーキング・グループで御指摘があったということでございます。

 それから、6ページの「4.社会に対する説明」。これは、公認会計士監査に対する信頼を高めるため、社会に対して十分な説明をしていくことが必要ではないかという点でございます。

 これにつきましては、基本的には、公認会計士協会が自らの責任で社会に説明をしていくことが求められるわけでございます。

 ただ、(2)にございますが、監査報酬等、監査人に関する情報の開示を行うことについて、企業のコーポレート・ガバナンスの向上に資するのではないかとの意見があったとなっております。

 これは監査人に関する情報でございます。今、当然、監査報告書には監査をした方のお名前が記載をされて、サインを課せられているわけでございますけれども、それ以上の監査に関する情報をどのように出していくのか。これは公認会計士の方から自ら出すのか、あるいは監査基準の方で、監査に際して出すというんでしょうか、監査自体に関する情報の開示というのが必要なのかどうかというところは、検討の範疇に若干入ってくると思われます。

 (3)は、これは個別の事案の監査の内容について、公認会計士協会の方でいろいろ情報を蓄積するとか、その改善の方策を考えるということが必要ではないかという御指摘でございます。

 それから、7ページでございますが、これは「公認会計士の質及び数の充実」ということで、まさに公認会計士という資格の問題についての御指摘でございます。

 ごく簡単に御説明をいたしますと、(2)につきましては、試験制度は何らかの問題がないか。

 (3)は、試験に通って公認会計士になった方についても、その後に十分な研修等が必要ではないかというような御指摘がございました。その中には、公認会計士の登録を

更新制にするべきではないかというような御意見もあったということでございます。

 それから、試験自体ですが、試験の内容についても、実務に即した面を重視していくべきではないか。この辺は公認会計士審査会等の課題、検討範疇ということだと思います。

 それから、8ページ目、最後でございますが、「日本公認会計士協会の役割」ということで、自主規制機関としての日本公認会計士協会が、さらに積極的な役割を果たすことが必要ではないかという点でございます。

 この辺はまた後ほど公認会計士協会の委員の方からも御説明があろうかと思いますので、割愛をさせていただきますが、この報告書にまとめられている点というのは、基本的に、現在、内外で、公認会計士監査について、いろいろなレベル、あるいは種々の観点から御指摘なり、問題があると言われているところが大体網羅されているのではないかというふうに考えております。従いまして、今申し上げた事項から、今度は企業会計審議会で内容を詰めるべき点について、今後、御審議をいただくことになるものというふうに考えております。

 非常に足早で申し訳ございませんでしたが、以上で、簡単に最近の状況の御説明を終わります。

○脇田部会長 ありがとうございました。

 ただいま御説明の中でございましたように、この審議会で取り上げていく「監査基準の一層の充実」という審議事項、その前提となりました資料であり、かつ、それぞれ今御指摘もありましたように、関係審議会として、特に当第二部会を指定されている事項がございます。今後の審議の中で、これらの指摘された御意見を踏まえて、また論点整理の中で生かしていきたいと思いますので、どうぞ委員の皆様には、よろしくその資料を御参照いただきたいと思います。

 それでは、続きまして、日本公認会計士協会が現在の監査の状況につきまして、また、いろいろな問題点等につきましてどのように取り組まれてこられたか、この点につきまして、公認会計士協会常務理事であられる友永委員から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○友永委員 友永でございます。お手元に資料1、資料2という、綴じ込まれていない資料がございますので、これに沿って御説明させていただきたいと思います。

 私、監査基準委員会担当の常務理事でございまして、協会の会務全般にわたる提言に対する対策等というところで、全て御説明できる立場ではございませんので、そこら辺のところは御了承いただいた上で、説明させていただきたいと思います。

 まず、資料1ですが、これが平成9年4月24日に出されました、公認会計士審査会からの「会計士監査の充実に向けての提言」への対応状況ということになっております。これは、その提言に対しての対応状況、平成1112月3日現在までの対応状況等について記載しております。もう一つの資料、資料2の方は、今御説明がありました、ワーキング・グループの主要な論点に関わる検討項目等への協会対応ということで、特に検討項目、先ほどの御説明の資料の中に「公認会計士協会」というふうに書かれている部分について、公認会計士協会の内部で、関係役員が集まりまして対応策を検討し、分担を明らかにして、その期限を決めて審議を開始しているということでございます。

 それでは、まず資料1に基づきまして、全体的な対応状況について御説明させていただきます。

 まず、提言の項目の第1の項目、「高度化する監査上のニーズに対する積極的対応」

ということで、御提言の内容といたしましては、高度化した企業活動に対し不正経理の抑止に貢献すべく積極的対応が望まれるというものでございました。これに対しまして、協会では、監査の重要な実務指針として、17の監査基準委員会報告を公表してまいりました。特に不正、違法行為につきましては「内部統制」、あるいは「監査上の危険性と重要性」「不正及び誤謬」「違法行為」といった実務指針でその対応を明らかにしております。また、現在、監査基準委員会では、報告書第3号「経営者による確認書」の見直しを行っておりますが、不正、違法行為等に関わる事項を含めていく方向で検討中ということでございます。

 第2番目の提言の項目、「監査役・内部監査との相互補完」とういことでございますが、監査基準委員会報告第15号「内部監査の整備及び実施状況の把握とその利用」を平成10年3月に公表いたしております。会計監査人、監査役及び内部監査部門は有機的に相互連携し、それぞれが得意とする分野などを分担して監査を行い、その結果について意見交換する方向で検討を進めていくのが適当という考えでおります。日本監査役協会とは連携して定期協議を持っております。

 それから、コーポレート・ガバナンスに関する商法改正問題については、積極的に対応していきたいというふうに思っております。

 続きまして、第3項目の「監査を義務づけられていない企業の内部統制整備等への貢献」ということでございます。これは非常に広い分野が対象になりますが、ベンチャー企業の育成といったようなことも含まれておりまして、経営研究調査会という部署で、ベンチャー関係の支援ですとかいった問題についての研究を進めておりまして、二つの研究報告を出しております。

 ページをめくっていただきまして、中小企業等投資事業有限責任組合への監査導入に向けての研究報告も作成しております。

 また、広い意味でのアシュアランスサービスの研究を行い、将来の業務拡大に対して対応しようということをしております。

 環境監査につきましては、2本の経営研究調査会報告を出しまして、これは実際に実務に運用されつつございます。

 4番目の論点としての「監査の品質管理基準の整備と実務への反映」ということでございますが、監査の品質管理基準として、まず、監査基準委員会報告第12号「監査の品質管理」、それから、銀行等監査特別委員会報告の第5号「銀行等金融機関監査の品質管理の関する実務指針」を作成いたしまして、平成9年7月に公表しております。これらにつきましては、平成9年12月から平成10年1月にかけて全国統一研修会を開催し、周知徹底を図っております。

 また、平成10年7月の第32回定期総会において会則を変更いたしまして、監査の品質管理レビュー制度を導入いたしました。この品質管理レビュー制度は、日本公認会計士協会自体がレビューを行うといったものでございます。

 品質管理レビューを実施する際にレビューアーが遵守・実施する「品質管理レビュー基準」及び「品質管理レビュー手続」を平成11年3月に定めまして、平成11年4月より品質管理レビューを開始しております。この9月までに63監査事務所のレビューを終了しております。

 第5番目の「監査実務指針の体系的整備」ということでございますが、監査基準委員会報告書を第1号から第17号まで、「中間監査」まで公表しております。

 現在、監査基準委員会では、「監査報告書」、「財務諸表監査の目的」、「ゴーイング・コンサーン」、「サービス・オーガニゼーション」等の検討を行っておりまして、これらが公表されれば監査実務指針の体系的な整備は一応完了するものと考えております。今後は、公表済みの実務指針の見直しを行い、さらに充実したものにするとともに、新たな課題にも対処していく予定でございます。

 実務指針につきましては、監査基準委員会以外にも、業種別監査委員会、情報システム委員会等でそれぞれ実務に有益な指針を整備しております。

 金融機関の自己査定に対する監査体制等について充実を図る必要があるという御提言の内容に関しましては、銀行等金融機関監査特別委員会で1号から5号まで、「海外支店監査」「内部統制の有効性の評価」「デリバティブ取引の監査手続」「資産の自己査定に係る内部統制の検証と貸倒償却及び貸倒引当金の監査」、それから、「品質管理に関する実務指針」と、予定した全ての実務指針を公表しております。

 第4号の「自己査定」につきましては、早期是正措置導入後の環境変化に対応して見直しを行いまして、平成11年4月に改訂をしております。

 また、金融監督庁とは監査と検査に係る種々の問題について定期的に意見交換を行っております。

 次に、「外部の専門家の活用」についての実務指針を整備する必要があるという御提言に対しまして、監査基準委員会報告書第14号「専門家の業務の利用」を平成10年3月に公表いたしました。不動産鑑定士、弁護士等の活用は既に行われておりますけれども、金融商品に係る時価会計、あるいは退職給付会計導入後にも対応し得るものとしてこれは作成されております。

 7番目の提言項目といたしまして、「監査報告書の情報提供の拡充」ということで、発行体の存続に重要な影響を与える事象について国際的に標準的な枠組みによる投資家への情報提供を進める必要があるということに対しましては、監査委員会研究資料第1号「企業継続能力の取扱いに関する海外の状況の調査と我が国への制度導入上の課題」という研究報告を平成9年12月に作成しております。

 監査基準委員会では、ゴーイング・コンサーンにつきまして検討中でございます。

 二重責任の原則等監査責任の範囲についての明確化、監査手続に関する具体的な記載、内部統制状況等に対する評価等についても検討を進める必要があるということでございますが、これについては、現在、「監査報告書」について審議をしておりまして、この内容について検討中ということでございます。

 8番目の提言項目といたしまして、「監査法人・会計士の監査に対する事後的審査の実施」ということで、これにつきましては、先ほど申し上げました「監査の品質管理」に基づいて、レビューをする品質管理レビュー制度を平成10年の7月の総会の会則変更により導入し、平成11年4月からレビューを開始しております。

 また、監査問題特別調査会という組織で建設業等に係る会計及び監査上の問題点を調査し、平成11年3月に中間報告を公表、その後さらに外部の学識経験者等の意見を徴した上で、この9月に最終報告「監査問題特別調査会報告」を公表しております。

 9番目の御提言、「継続的専門教育制度の実施」、早急な実施が求められるということでございますが、これについては、平成9年7月の総会での会則変更を受けまして、平成10年4月から実施しております。CPEは現在は協会の監督下における自発的参加方式ということで行っておりますけれども、会員は履修結果を年2回協会に申告することになっております。平成10年度の参加率は約70%と、所期の目的を達成できているというふうに認識しております。

 「会計士界の活動に対する開かれた議論の推進」ということでは、インターネット上のホームページ、それから、スポークスマンコーナー等において迅速な記者発表、それから、外部の学識経験者等を交えました監査問題協議会等での議論をいただくということをしております。

 監査の品質管理レビュー制度におきましても、品質管理審議会を設置いたしまして、モニタリング機能を監視していただくということをしております。

 それから、会計・監査上の実務指針を作成する場合には、論点整理、あるいは草案を公開草案として公表いたしまして、外部の関係者から御意見をいただく、それを踏まえた上で作成するということで、透明性の確保を図っております。

 以上が全体的な公認会計士審査会の提言に対する対応状況でございます。

 続きまして、資料2を御覧いただきながら、先ほど御説明がありましたワーキング・グループの主要な論点に関する検討項目等への協会の対応ということをお話し申し上げたいと思います。

 まず、先ほどのゴーイング・コンサーン、企業経営に関わる将来のリスク、企業の継続能力に関する情報の開示のあり方及び監査基準等の整備という問題、1.の(2)に対応する事項でございますが、これは監査基準委員会が協会の意見の提案の用意をいたします。これについては、企業会計審議会の検討状況に合わせて、基準の公開後、速やかに実務指針を公表できる体制をとりたいというふうに思っております。

 2ページ目にまいりまして、2.の(1)でございますけれども、監査人の責任範囲等の明確化ということで、これについてはこの第二部会で御審議があるということでございますが、監査基準委員会が同様に、審議状況に合わせて検討していきたいと思っております。

 それから、公認会計士協会での実務指針の整備、これも同様に、監査基準委員会が担当させていただきます。

 それから、(3)のマル1でございますが、ここにGプロジェクトというふうに書いてございますけれども、名前がちょっと長いんですが、「我が国企業の財務情報の信頼性回復のための対応策プロジェクトチーム」というプロジェクトチームができております。ここで国際的に信頼の置ける監査ということで、監査の人数や日数等、監査の規模の拡充の必要があるのかないのかということを議論しておりまして、これにつきましては、平成12年の6月末ぐらいに結論を出したいということでございます。

 マル2の監査役との連携を一層強化するということは、監査担当常務理事が担当でやっております。これも同様に、平成12年6月末までに検討をし、平成13年3月期決算から対応できるようにしたいと思っております。

 マル3マル4マル5は、専門家の利用の状況、あるいは審理体制がどうか、あるいは関与社員の交替制の問題でございますが、これは品質管理レビューが既に4月から行われておりまして、レビューアーによる各事務所のチェックが行われております。そこら辺の実態を踏まえた中間報告をこの12月末までに作成するということでございます。

 経営者レベルでの不正の摘発のための方法を整備する必要がないか。これについては、監査基準委員会での「不正及び誤謬」の実務指針の見直しという形で対応したいと思っておりますが、国際監査基準委員会の方、IASの方での見直しが現在行われておりまして、この予定が平成13年6月という予定になっておりますので、できればタイミングを合わせていきたいというふうに思っております。

 次のページの(4)、これは監査報告書の問題でございます。これも同様に、監査基準委員会が担当し、この審議状況に合わせて実務指針を作っていくというふうに考えております。

 (5)の各法人から監査の品質管理に関する内容を、マニュアル等の形で文書化したものを提出し、管理及び監督する必要があるという御意見。これについては、実際の品質管理レビューで監査マニュアルはじめ各種の資料をチェックしておりますので、12月末までの中間報告で明らかになるというふうに考えております。

 (6)の監査以外の業務に係る利害得失等の検討、業務範囲のあり方につきましては、公認会計士制度改革プロジェクトチームが現在検討を行っております。

 それから、(7)の単独同一監査人の継続的監査に係る問題、個人の公認会計士が単独で長期間実施することの是非ということについてですが、これは職業倫理プロジェクトチームが、現在、倫理規則についての再公開草案を出しております。これは平成12年、来年の5月の理事会承認をし、7月の総会で承認をしたいというふうに考えております。

 それから、品質管理レビューでも、それぞれの個人の事務所についての状況がどうなのかといったことについて、12月の中間報告に盛り込もうということでございます。

 それから、監査法人制度の改善の問題でございますが、有限責任形態の採用など、監査の専門化、高度化に対応した監査法人制度のあり方ということで、これは公認会計士審査会で御審議いただくことではございますが、協会としての意見を公認会計士制度改革プロジェクトチームで作成するということにしております。

 それから、4番目の品質管理レビュー結果の情報開示、これは品質管理レビューチームが平成1112月末までに中間報告を出すということにしております。

 それから、監査人に関する情報開示という問題につきましては、公認会計士制度委員会。

 検討期限等のところに書いてあります問題は、これは(3)の問題でございまして、個別事案について、必要に応じて具体的な監査の状況を開示する、あるいは監査手続の透明性の向上や監査のあり方についての改善のためにそういうことが必要ではないかという御意見に対しましては、先ほど申し上げた建設業における問題についての特別調査会報告を出しておりますが、そうした社会案件化した事案についての審議と、それから、社会に対して公表をするという、調査会規則上、そういうことができることになっておりますこの特別調査会でそういったものを調査・研究した上で、それについての公表をしていきたいということでございます。

 それから、綱紀案件につきましては、綱紀担当常務理事が、確定後、公表できるのかどうかということについて検討した上で、12月末までに明らかにするということでございます。

 それから、5番目でございますけれども、試験制度に関しましては、公認会計士制度改革プロジェクトチームから協会の意見を提出したいと思っております。

 それから、継続的専門研修制度の改善、特に、自発的参加ではなくて、義務づけの必要があるのではないかという御意見に対しましては、現在、継続的専門研修制度協議会において議論をしておりまして、この12月末までに常務理事会協議としてその案を提出することになっております。

 それから、試験、研修内容の改善につきましては、CPE担当でこの12月末までに内容を明らかにすることになっております。

 それから、最後のページ、公認会計士協会の役割というところで、品質管理レビュー等による適切な規律の確保ということ、これは品質管理レビューチームの中間報告で明らかにしたいと思います。

 綱紀案件につきましては、先ほどの綱紀案件の方の検討を待ちまして12月末まで、監査業務審査会においての検討についても同様になっております。

 それから、最後の標準監査報酬制度の見直しにつきましては、監査報酬プロジェクトチームで議論をすることになっております。

 以上、大変長くなりましたが、御報告申し上げました。

○脇田部会長 詳細に御説明いただきまして、ありがとうございました。

 それでは、多賀谷課長補佐及び友永日本公認会計士協会常務理事より御説明をそれぞれのお立場でしていただきました。

 この御説明を受けまして、ここでしばらく意見交換をさせていただきたいと思います。本日は第1回ということでございますので、なるべく委員の皆様方全員から御発言を頂戴したいと思います。

 そこで、時間は限られておりますけれども、順次御発言をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。大変僣越でございますけれども、私の方から御指名をさせていただきまして、まず、万代委員から御発言いただければありがたいと思います。いかがでございましょうか。

○万代委員 私、監査については、今から20年ほど前に大学の講義で1回勉強したぐらいの知識しかございませんで、この審議会で勉強させていただこうというふうに思っております。ただ、個人的には、ゴーイング・コンサーンについて興味を持っております。会計基準そのものは、私は、性善説に立っているんだろうと思うんですね。それをうまく受けて、今度は監査基準の方が、性悪説と言うと言葉は悪いですが、本当かいなというふうな観点から見ていくのが監査基準だろうというふうな認識で、少しゴーイング・コンサーンについて、これから勉強させていただきたいと思っております。

 以上でございます。

○脇田部会長 ありがとうございました。

 それでは、順次、御指名いたしません。どうぞよろしくお願いいたします。

○高山委員 私、今回、幹事という立場で参加させていただきますが、私も十数年、監査の実務に携わってきた関係上、監査基準ないしは監査準則等につきましても、実際の実務の中で適用しておる立場の中で、いろいろ経験したこともございますし、疑問に思ったことも多々ございます。今回、こういう形で参加させていただくいい機会と思いまして、今後もいろいろな先生方の御意見をお伺いしながら、私なりの考えも少しでも発言させていただければいいかなと。また、万代先生同様に、私自身も勉強させていただきたいなというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

○脇田部会長 ありがとうございました。

○梅山委員 銀行で監査を受ける立場でございますので、監査基準という観点から余り物事を考えておりませんので、今後、幹事として積極的に参加させていただきたいと思っております。

 銀行の場合には、御存知のように、銀行法でディスクロージャー制度が定められておりまして、銀行の決算、それから、開示というものが制度的に促されております。そういうものが制度的に促されていないところで、どういった形で監査法人なり監査基準というものを通じて、企業側もできるだけリスクの情報を開示して、できれば監査報告書のところでサポートするという形が私としては望ましいのかと思いますので、監査を受ける立場から、気がつく点をこれから意見をさせていただきたいと思っております。

○脇田部会長 藤田委員、いかがでございましょうか。

○藤田委員 以前、私、ここのワーキング・グループのところに参考人で出させていただきまして、そのときには、商社、三井物産の、特にドイツにおける実務経験で意見を述べさせていただきましたけれども、今回は監査役の立場で、監査役と会計監査人の関係、連携強化という観点で意見を述べさせていただきたいと思います。

 今日は特に何も詳しいことは申し上げませんが、一つだけ、日頃感じておりますことは、新しい会計制度が、形式よりも経済実態を重視する形になっております。これは特に、内部で日頃、経営を見ている監査役の意見を聞いてもらうのが非常に有効ではないかというふうに思っております。連結の範囲の問題にしましても、特に税効果の問題にしましても、実務指針でもいろいろ経営の意見というのは重視する形になっておりますけども、その一環で、監査役の意見も聞く、あるいは監査役としても非常に大事なところで、お互いに持ちつ持たれつの関係がありますので、そういう点で、今後意見を述べさせていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

○脇田部会長 ありがとうございました。

 それでは、よろしかったら、どうぞ、補足していただければと思います。

○友永委員 友永でございます。今回のこの審議に臨時委員として参加させていただきまして、できるだけ公認会計士協会の意見を積極的に述べさせていただきたいと思っております。特にゴーイング・コンサーンの問題につきましては、公認会計士審査会の方のワーキング・グループでの御審議のときに、私も参考人としてお話しいたしまして、皆様の御議論を少し拝聴する機会がありました。

 将来のリスクを開示するという開示基準がまずあって、それから監査がついていくんだろうというところで、私、この第二部会、監査に関する事項ということで伺っておりますけれども、ゴーイング・コンサーンの問題につきましては、具体的な開示の基準というものをまずお作りいただいて、特に、会計士の判断ではなくて、やはり一般に全体的に納得のいく、例えばリスクのあることについて、そのリスクがあるということだけではなくて、経営者の方がどういう対策をとろうとしているのかという御意見も含めた開示をしていただく。その中で、企業の存続可能性に重大な影響があると思われる部分について、会計士がそれを見ていくという、そういった関係であるだろうと思っておりますので、ぜひその開示基準の部分をお願いしたいと思います。

 それと監査報告書につきましては、諸外国の監査報告書と、現在、私どもの作成している監査報告書は相当違いがございまして、特に、二重責任の原則について触れる部分が現在ございません。それから、具体的に我々の実施している鑑査手続がどういうものかということについても、もう少し記載をすべきだろう。

 それから、正当な理由による継続性の変更の2号限定の問題についても、我が国特有の部分がございまして、いろいろと海外の、英語の監査報告書、あるいは財務諸表に対する誤解を生む原因になっておりますので、そこら辺も広く御検討いただければというふうに思っております。

 ありがとうございました。

○脇田部会長 ありがとうございました。

 須田委員、いかがでございましょうか。

○須田委員 相変わらず全くの素人の立場からで、思ったことを幾つか意見として述べさせていただきます。

 まず、会計基準をいろいろ見ていまして、過去を評価することから、だんだん将来を評価していくということに変わりつつあるなと。今までも出ていましたけど、将来を評価するというのは、例えばいろいろ金融商品にリスクがあるよということとは別に、企業自体の将来を評価するというのは非常にリスキーなものを含んでいて、いかに客観的かといっても、経済状況は全然変わってしまうことなので、どの程度人々にこういったリスクのある部分を出せるんだろうかというのが、これから見ていきたいなと思う第1点です。

 それから、監査人がどれだけ責任を持つかということをいろいろ考えてみまして、我々が大したことないところでちょっとしたことを監査することがあるわけですけど、そのときに一体どこまで、出てきた数字を監査するのか、あるいは一番最初の領収書から監査するのか、合っているかどうかまで監査するのかということがあったものですから、そういうことがあると、責任といったときに、具体的に監査人の責任って一体どのレベルまであるんだろうか。特にこれから将来を評価するということになったら、ますます……。私は、きちっと責任をとってもらうということが監査結果の評価はすごく高まる。もちろん開示も大事ですけど、責任があるんだぞというところがすごく大事だと思っていますから、そうすると、彼らの責任の範囲というのはどうなるんだろうか、これもなかなか難しいなというふうに思いました。

 あとは、私が全然素人だから、伺いたかったことなんですけれど、今、日本の監査のやり方が欧米とどう違っているのかというのが余りよく分からなくて、それから、日本の会計基準について、欧米が文句を言っているということを聞いたことがあるんですが、その会計基準自体についても、こういうことで日本の基準は問題だとか、監査のやり方、表示等についてクレームがつくというようなことがあるのでしょうか、それは質問としてあります。

 以上です。

○脇田部会長 ありがとうございました。

 友永委員、今の須田委員の最終の問題について、いかがでございますか。

○友永委員 監査基準の問題として考えますと、先ほど申し上げたように、現在検討中のゴーイング・コンサーンはない、これは非常に大きな違いだと思います。それ以外の部分では、大体のものは網羅してきたつもりでございまして、もちろん小さな差異ですとか、制度上の問題から生ずる差異というのはあると思いますけれども。ただ、より幅広いといいますか、厚いといいますか、そうした監査実務指針にしていかないといけないという問題がございますので、引き続き検討していきたいとは思っておりますけれども、私の考えでは、ゴーイング・コンサーンの問題をカバーすれば、それほど違うところはないというふうに考えております。

○脇田部会長 ありがとうございました。突然に御指名して、失礼いたしました。

 またこの点はこの部会の中でも順次検討させていただきたいと思います。

 続いて、安藤先生、いかがでございましょうか。

○安藤委員 まず、私、確か、公認会計士審査会の中に設けられた会計士監査に関するワーキング・グループのメンバーにいたような記憶があるんですが、そのときにも出ましたことですけども、本日、友永委員からも、資料2について、公認会計士協会の中でどういう対応をしているかという御報告がありましたけど、正直言って、私がワーキング・グループのメンバーであるときは、ある人とも話しましたけど、果たして公認会計士協会は対応し切れるんだろうか、パンクしちゃうんじゃないのかなというようなことを話し合った記憶がございます。ですけど、よくやっておられるなというのが実感でございます。ぜひ精力的にやっていただきたい。それから、必要があれば、外の協力も大いに仰いでやる必要があるんじゃないかなと思います。

 それから、第2点は、先ほど多賀谷補佐からありましたけど、ゴーイング・コンサーン等の問題に関連して、例えば企業会計原則等の一連の会計基準で全ての企業の状況に対応するのは限界がある。従って、監査でそこを補うんだというような流れなんですけど、私、会計原則とか会計基準を長い間眺めてきた立場からしますと、本当にそれでいいのかなと。つまり会計基準でカバーし切れないところは監査でやる、確かにそれはアメリカ的な行き方かもしれませんけども、先ほどの多賀谷補佐の発言の後、ずっと考えていたんですけど、企業会計原則の一般原則の一に、真実性の原則というのがあるんですよね。ちょうどイギリスのツルー・アンド・フェアビューは、テキスト化されている会計基準の上位に位置して、会計基準で対応し切れないのはあれでやるというアナロジーから言いますと、企業会計原則の一般原則の一を、従来の解釈を変えて、イギリス型のツルー・アンド・フェアビューを言っているんだというふうにすれば、一般原則の2以下はノーマルな、あるいは貸借対照表原則、損益計算書原則、それは通常のゴーイング・コンサーン状態の基準を言っているんだと。それよりも超越するというか、その上位に立つのが真実性の原則なんだというふうにやれば、会計基準に限界があるという解釈は変えられるんじゃないかな。つまり会計基準がノーマルな状態だけ言っているんだというのは、ちょっと寂しい気がいたしまして、そういう気がいただきました

 それから、3番目に、これは脇田部会長に盾突くわけじゃありませんが、全員当てるというのはメリットとデメリットがあります。特に、議事録が公開されるんですよね。そうすると、何も言わないと恥ずかしいから、苦し紛れに何か言うという人も出てきますし、私はこれはちょっとクエスチョンということを申し上げたい。

 以上です。

○脇田部会長 1番、2番ございましたけれども、3点目につきましては、確かに、今日は第1回だと思いましたので、御発言を促させていただいたというふうに御解釈いただきたいと思います。これからのところでは十分配慮いたします。ありがとうございました。

 引き続きまして、伊藤委員、お願いいたします。

○伊藤委員 今日は第1回目ですから、みんなにいろんなことを言っていただくという点においてはいいんじゃないかと思いますので、これからの会議に全てこういう考え方でやるわけじゃないということを前提にお話をさせていただきたい。

 私は企業の経営に携わっている者という点において、そういう視点でこの会にいつも臨んでいるわけなんですけど、たまたま私、今回のこの監査のチームに加えさせていただいたんですが、まずもって、お愛想を言うわけじゃないんですが、公認会計士協会は大変よくやっておられると思うんですね。この前の実務指針のときもそうだったと思うんですが、あれだけの膨大な資料を、大変な時間の中でやられるというのは大変なことだと思っています。

 ただ、ここからは私の知る事実なんですが、ただそれでいいのかということなんです。つまり我々の企業から見ると、会計数値に関しては、証券取引法に基づいて、公認会計士さんにチェックをしてもらっている。ちょっと長くなって恐縮なんですけれども、企業経営というのは、先を読んで、リスクをある程度抱えつつ経営をやっていく。我々はリスクをミニマイズして、いかにリターンを大きくするかということが経営だと思っているわけです。

 従いまして、それには何も法律を破るようなことをやるつもりはないんですが、絶えずリスクと利益というものはいろんなところで調整行為が起こってくるわけで、そういった点についての会計上の問題点を、公認会計士協会が、この監査というものを、企業会計上妥当なものに基づいて、かつ、そこでの将来の判断もある程度理解をしてもらってやっていただくようなことが望ましい。つまりこれからの日本の企業というのは、国際的に絶えずボーダーレス・エコノミーの中で、しかも、マルチメディアがあるわけですから、瞬時に情報が均一化されるわけですから、その中で経営をやっていくとなりますと、宮島先生とこの前議論したことにだんだん戻ってくるんですが、そういう中で監査のあり方というものも、何を考えていただくかというと、やっぱり資本市場にまず目をつけていただいて、資本市場で問題が起こっているような企業がどうして公認会計士の監査ができておるのかというようなことがないような状態にしなきゃいけないというふうに私どもは望んでいるわけです。

 そのために我々も、まずは企業会計の原則なり、あるいは監査基準なり、その運営なりというものを考えていくべきじゃないか。つまり国際的に通用するものであり、しかも、資本市場において後から問題が起こらないという、その2点がベースじゃないかと私は思うんです。そういう観点で、ぜひこれから議論をさせていただきたいと思います。

 たまたま私、公認会計士協会に頼まれて、ピュアレビューの委員をさせていただいたりしておりますし、今度また監査委員会ですか、そちらの方にも入ってほしいと言われておりますので、私はそういう観点で今回の議論をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げたい。

 以上です。

○脇田部会長 ありがとうございました。

○園委員 園でございます。

 監査法人の代表者委員という立場におりますので、この難しい、また、急激に変化する経済情勢の中で、クライアントにゴーイング・コンサーン・リスクが出たときに、いかに会計監査人の方にもリスクがあるかということは身をもって感じておりますので、当然ではありますけれども、このテーマは大変身近、かつ重たいテーマだと考えております。

 現在は、いろいろ経済事象の中で、今まで想像もしてなかったようなことが起こって、そのたびに会計士も含めて問題が取りざたされるんですけども、基準が余りにも明確でないというか、現在まで想定してなかったことが多いために、どこまでが経営側の責任、どこまでが会計の責任、監査の責任ということから始まって、どうもはっきりしない。非常に困難な状況が起こってくるということが現実にあると思いますので、ここで今まで取り上げられてきたようなテーマを解明していくことは、大変難しいことではありますけども、これはもうやらざるを得ないことだと思っております。

 そして、経営側のディスクロージャーに対する責任、そして監査に対する責任というのが、基準を明確にする過程で少しでも明確になり、そこでコンセンサスが出てくることによって、また、投資家の方たちも、自己責任ということが本当に根づいてくるのだろうと思います。今のところどの責任も余りはっきりしなくて、事が起こると大騒ぎという状態だろうと思いますので、折角こういうところに出席する機会をいただいておりますので、一生懸命考えたいと思います。

○脇田部会長 ありがとうございました。

○林委員 若干長くなります。私、企業会計審議会の委員になりましたのが、記憶が正しければ、確か97年の6月だったと思います。その前の年から、経済のグローバル化、あるいは企業の実態の変化に合わせて、大きく企業会計の基準を変えていこうという問題提起をこの企業会計審議会がされたと思うんですね。連結主体にしていこう。税効果会計の導入とか、キャッシュ・フローあるいは支配力基準、さらには年金会計とか、非常に大きなテーマを約3年間議論してきて、海外からは、不思議な国の不思議な監査とか、あるいは粉飾大国日本とか、大変な痛烈な批判を浴びてきた部分があるんですけれども、大きなテーマにこの企業会計審議会が取り組んできて、3年という短期間でほぼ8合目から9合目まで来たと私は思っているんですね。そういった意味で、私が企業会計審議会の委員になる前の方々の御努力も含めて、ここまでは大変いいペースできたんではないかというふうに評価しております。

 問題は、残る課題ですね。今日、脇田部会長が御説明になりました二つの点。第二部会では、ゴーイング・コンサーンを視野に入れて監査基準をきちっとやっていこう。第一部会では、減損会計をやっていこうと。この二つをしっかりと議論して、いい方向を出せば、アメリカの基準を上回る、すばらしいものになると私は思っています。ですから、そういった意味では、粉飾大国日本とか、あるいは不思議な国の不思議な会計なんていう、米欧ジャーナリズムの痛烈な批判も一蹴できる、そういう体制が整っていくという意味で、非常に重要な審議になるんじゃないかという認識を持っております。

 最後に申し上げますが、監査基準を整備すること、これは常務理事もいろいろ御説明、論点整理もされて、あるいは多賀谷課長補佐も説明されて、そのとおりだと思いますが、その前の、哲学といいますか、物の考え方といいましょうか、監査する場合に、有価証券報告書を作る場合に、疑わしいものがあった場合はこれは通さないということを基本に監査をしていくことが、何よりも重要ではないか。従って、そこには企業側が注記を付けるのか、注記を付けられない場合は限定意見を付けていくというような方向を目指して、議論していくべきではないかというふうに思っています。

 加えて、今日ここに御出席の企業の皆さん方は非常にいい決算をやっていらっしゃるんですが、そうはいっても、相当の部分の企業はまだまだ、経営者の監査に対する重要性の認識が相当甘い、薄い。結果として、公認会計士、会計監査の方にものすごく負担がかかっちゃうという構図になっているんじゃないかというふうに思っておりまして、その辺を、この議論を通じて大きく変えていく原動力になればいいかなというふうに思っています。

 長くなりましたが、すみません。

○脇田部会長 どうもありがとうございました。

 加藤委員、いかがでございますしょうか。

○加藤委員 加藤です。

 先ほどの須田委員の御質問に私の方からもちょっと補足させていただきたいんですが、御質問の中に、日本の監査基準に対する欧米からクレームはないのかという御質問があったんですが、友永委員の方から、ゴーイング・コンサーン、継続企業についての面で違うという御返事がありまして、それはまさにそのとおりだと思うんですね。ですから、基準そのものとしては大きく違うのは、多分ここだけじゃないかと思うんですが、実は、つい最近、話題になっています、いわゆるレジェンド問題という、日本の会社が日本の会計基準で作った財務諸表に、日本の監査基準で監査されたものが英文になって海外で使われているということに対して、特定の注記を監査報告書の中に入れて、この財務諸表は日本基準で作られたものであり、日本の監査基準で監査されたものであるという、わざわざその注記を入れるというようなことが起きて、実際に行われているんですが、この文章の中に、日本の監査基準及び日本の監査実務に従って監査されたものであると、わざわざ「監査実務」という表現を入れるようにという指示がビッグ5の方からきているんですね。ということは、監査基準だけでなくて、監査実務、プラクティスにおいても日本は違うんだという認識を欧米の人が持っている節があるんですね。実際にそうなのかどうかということは、日本の監査のプラクティス、やり方というものを欧米人が本当に理解しているのかどうか、疑問があるんですが、ただ、残念ながら、今日の話の中にも何回か出ています外形的なもの、例えば日本の経済力に比較しての公認会計士の数であるとか、あるいは監査の日数とか、そういうものでもって、多分、表面的に見て判断しているんだと思うんですね。ですから、その辺は今回のいろんな提案の中にもありますので、この辺も含めてきちんと対応しないと、欧米からは外形だけで判断されてしまうというところがあると思います。

 それから、第二部会における私の要望というか、意見として二つあるんですが、一つは、私も大手の監査法人に属しているんですが、現在の監査のやり方は、いわゆるリスク・アプローチと言いまして、これだけ企業が大きくなって、複雑になってきたときに、のべつくまなく全部監査するというわけにいかないので、リスクのあるところを重点的に監査をするという、効率的な面を考えて監査しているんです。

 こういう考え方は欧米の方からもともと来たもので、日本の大手の監査法人も採用していると思うんですが、実は、アメリカのSECの方では、果たしてリスク・アプローチというものが十分なのかということについて、今、調査をしているところなんですね。ただ、現実問題、これだけ複雑で、コンピュータを使って運営している大規模の会社を全面的にやるというわけにいきませんから、実務面ではある程度リスク・アプローチをとらなきゃいけないと思うんですが、十分な監査かどうかということからしますと、リスク・アプローチをとりつつ、かつ十分な深度のある監査をどのようにしたらできるのかということを、やはりここで御審議いただければと思います。

 それから、もう一つは、私、公認会計士としては言いづらいことなんですが、監査基準の見直しをこれからしていって、非常に優れた監査基準なり、いろんなルール、規定ができると思うんですが、そうはいっても、最終的に、限界というものもあるんですね。特に会社の内部統制システムであるとか、会社の手続、承認制度とか、そういうフォーマルなものを外れたところで、会社の経営者が意識的に不正とかいろんなことをする。しかも、ちょっと言いづらいことなんですが、仮に、意識的に会計士をだますというようなことをしたとすると、どんなに立派な監査基準ができても、どんなに立派に審査体制その他をとっても、発見しづらいところがある。しかし、現在の世論は、それとは関係なく、結果責任ということを非常に強く言っておりますので、私ども非常に苦しい立場に立たされるんですが、その場合は、今までの報告の中にもありましたけど、コーポレート・ガバナンスとか、あるいはコーポレート・カルチャーという、会社の経営者側のより優れた考え方、体制の下で、会社と監査人とが両方優れて初めて車の両輪で、監査というものも機能していくじゃないかと思いますので、ぜひこの辺も御審議いただければと思います。

○脇田部会長 大変貴重な御発言をいただきまして、ありがとうございました。

 引き続いて、内藤委員、いかがでございましょうか。

○内藤委員 内藤でございます。

 けさ、私、大阪から飛行機で飛んでまいりますと、非常に今日は天気がよろしゅうございまして、富士山がくっきりはっきり見えたんですね。ところが、東海地方はいつ地震が起こるか分からないと言われて20年ぐらいたった、そんなことを考えながら、今日はとにかく天気が良くて、こういうことを透明性と言うんだなというのを実感しながら飛んでまいりました。臨時委員として、初めてこういう場に出させていただいて発言ということですので、多少緊張しながら言わないといけないんですが、今、いろいろな点も御指摘ありましたので、それに対して少し意見を言わせていただきたいと思うんです。

 まずは透明性を高めるとか、それから、グローバルな基準に我が国の基準を合わせるということで、急激にディスクロージャー制度が変わってきてございます。ゴーイング・コンサーンの問題についても、アメリカは88年の基準の改正で整備されましたし、それから、イギリスは93年でしょうか、ドイツに至っては96年に、ゴーイング・コンサーンの問題に関する開示とか監査の問題というのは一応決着がついている問題。それを我が国は、99年、もう2000年になろうとして、これからタッチするということですので、今日の日経新聞では、6月ぐらいを目処に基準の改革がなされるようなことが記事として載っていたんですが、できたら、なるべく早く議論を進めていってほしいなというのが、一つ感想としてあります。

 その中で、まずゴーイング・コンサーンの問題について、総会の方で、監査基準での見直しというんですか、その対応をしなさいということが部会長の方から御説明があったわけですけども、ゴーイング・コンサーンの問題は、先ほど友永先生からも御発言がありまして、ほかの先生からも御発言があったと思うんですが、会計基準の問題としてなぜこれを取り上げないのかというのが、私のまず一つの疑問なんですね。それは、国際監査基準の第1号の財務諸表の表示というんですか、開示、その中のパラグラフの222328か忘れましたが、経営者は、ゴーイング・コンサーンの問題があるときには、これを注記事項として必ず開示しなければいけないという規定が盛り込まれましたですね。じゃ、この点について我が国の基準は対応しないのかということがまず一つです。

 それから、ゴーイング・コンサーンの問題を監査上扱うというときに、公認会計士の先生方の責任の問題とも兼ね合いまして、経営者の方々がゴーイング・コンサーンについてどう考えていらっしゃるのかという判断、その判断に対して公認会計士はどのような判断を持つのか、その二つの判断がディスクローズされないと、投資者の方は判断がそれこそできないんじゃないか。そういった意味で、監査だけでこれを対応するというのは非常に片手落ちに近いんじゃないかなというふうに考えます。

 さらに、もっと申し上げますと、アメリカでゴーイング・コンサーンに関する監査人の意見といいますか、警告情報といいますか、説明事項として開示されているケースが多々あるわけですけども、経営者の側からとれば、我が国でそういう開示ができるのか。アメリカではするわけですね。その根本的な差異があるんじゃないかということなんですね。

 それは具体的には、アメリカの場合は、自己の業績が悪くなってきますと、すぐに破産法に申請を出しまして、11章か7章かの適用のいずれかを申請するわけですけども、我が国で言っている会社更正法に当たるのは第11章の適用申請なんですね。その適用申請をいたしますと、それが認められたら、フレッシュ・スタート・リポーティングという名称で言われていますけども、債務の大部分が免除されて、新たにスタートする。しかし、ディスクローズは継続して行われているわけですね。ですから、日本のように、とことん悪くなってから、だめだから会社更正法を適用するというようなところで、経営者の方々が何か開示をするというのは非常に難しいんじゃないか。それに対してアメリカの場合には、気楽にと言ったら怒られますけども、割と制度的にやりやすい状況があって、そして初めて開示があり、そして監査でその説明事項で述べているというような状況をちゃんと踏まえておかないと、監査で幾ら会計基準で開示しなさいというふうに決めたところで、監査人が一方的な責任を負うだけに陥るんじゃないか。

 そういう意味では、もっと広く開示制度そのものを、本当につぶれるまでじゃなくて、危なくなったときの開示をどうするんだと。あるいは、今日、東証の方もいらしていますので、少し悪くなるといいますか、ゴーイング・コンサーンに問題があると、上場廃止になってしまうというような基準じゃなくて、マザーズもできたことですので、そちらに移ることができるとか、何かそういうようなことも含めて、あるいはこれは法務省関連だと思いますけども、倒産法の整備の場合における情報開示のあり方をも含めて、これは総合的に考えないと、監査基準のところだけいじっても、結局は何もならないんじゃないかというふうに思いますので、少なくとも情報開示の方での基準には、これは絶対検討してほしいな。その上で監査はどうするんだということでなければ、これは意味がないんじゃないかなと、そんなふうに考えております。

 それから、監査報告書の情報提供機能についての改革ということがございまして、先ほど安藤先生の方からも、真実性の原則といいますか、会計原則、基準に従っているだけの判断ではだめで、そのことについて御意見があったように思うんですけども、ただ、これは公認会計士の方々に聞かないと分からないんですが、現実の問題として、公認会計士の方々の判断が、会計基準に従っていればそれでいいんだという御判断になっているんじゃないかというような批判があるんではないかということだと思うんですね。そうじゃなくて、もっと実質的な意味での判断が含まれた上で、適正に関する意見を述べるというような表現を、監査基準上、考えていかなければならないんじゃないかなということについて、私は賛同したいと思います。

 最後に、先ほど日本公認会計士協会の友永先生から御説明がありまして、ゴーイング・コンサーンに関して、監査基準委員会の方でもう検討が進められているということなんですが、どの程度検討が進められているのでしょうかということを最後に伺いたいと思います。

 以上です。

○脇田部会長 ありがとうございました。

 今御指摘いただきました特に1番の問題につきましては、各委員からもお話がございますので、情報基準、つまり会計基準との関わりということについて、今御発言があったということをここで一つの問題点として考えさせていただくということにさせていただきたいと思います。

 それから、最後の友永先生への御質問がございましたので、よろしくお願いいたします。

○友永委員 企業会計審議会の審議開始を待っておりまして、今、監査手続、具体的にどんなことをやっているのかとか、そういった基本的な情報収集をやっております。また次の部会には何らかのものを持ってこられるようにしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○脇田部会長 ありがとうございました。

 それでは、内藤先生、よろしゅうございますか。

○内藤委員 結構です。

○脇田部会長 それでは、山浦先生、御発言ください。

○山浦委員 山浦でございます。

 これまで各委員から出された御発言、大体重なるところがありますので、できるだけ重ならないところでお話ししたいと思うんですけども、現行の監査基準、それから、公認会計士審査会の二つの提言、報告、これについて、私自身ずっと関与してきた関係で、特に会計士協会の方の対応については、非常に積極的にやっていらっしゃいますので、これについては敬意を払っております。

 少なくとも国際的なマーケットに通用するようなディスクロージャーであるために、会計基準とコーポレート・ガバナンス、それともう一つ、監査の信頼性が必要だと思っておりますので、こうした折、監査基準等の見直しについて、審議会の方で立ち上がるというのは本当に時宜を得たものだと思っております。むしろ遅過ぎたきらいもあるぐらいじゃないかと思うんです。

 この中で、先ほどから問題になっておりますゴーイング・コンサーンの問題について、先ほど友永委員の方から、二重責任を原則を徹底させるというお話で、一歩踏み込んだ議論かなと思っております。少なくとも監査基準だけで対応できる問題なのか。場合によってはやはり、今、内藤委員からも御発言があったように、第一部会との連携の下でディスクロージャーの基準、そして監査の基準、両方が相まってこの問題が解決できるんではないか、そういったアプローチが一つ考えられるわけです。監査基準だけでこの問題を対応できるかどうか、ある意味では私は疑問に思っているわけ

で、その点についても少し柔軟性を持って対応していただきたいと思っております。

 もう少し大きなお話で申しますと、ゴーイング・コンサーン問題に限らず、今、実は、監査判断そのものが、パラダイムの変化と言ってもいいぐらいに大きく変わっておりまして、これまでは、加藤委員の方でお話があったんですけども、少なくとも大監査法人にはもしかしたらそうかも分からないけれども、監査人にはレベルがありまして、あるレベルの監査人では非常に形式的な判断に陥ってしまっている。それで責任が足りるとしているレベルがありますし、そうしたレベルをもう少し上げるためにも、監査基準で何らかの指針性を出すのは必要だと思っています。

 金融機関に限らないんですけども、特に金融機関の債権分類等については、やはり監査人の実質判断が必要だ。また、第一部会で恐らく議論されるでしょうけども、固定資産の減損についても、将来の収益価値等、こういった非常に強い実質的な判断を会計士自身が監査人として求めるられる。そういう一連の動きというのは、まさに監査判断そのものが実質判断の時代に入ってきているということで、そのための、例えば監査技術的な側面の見直しというのはやはり必要ではないかと思います。

 それから、当然監査報告書の記載事項等も、例えば先ほど安藤委員からお話がありましたように、私自身はエスケープ条項と言っておりますけれども、明確な基準で示されていないもので対応せざるを得ないときに、何らかの形で監査人が独自の判断、独自の適正表示の判断をする、そういうための責任を全うするというか、ある程度監査人責任を限定するための条項も必要ではないかと思っております。

 いずれにしても、これらは第二部会のこれから立ち上がりの中で議論することだと思うんですけども、少なくともゴーイング・コンサーンに限らず、監査基準全般を、あるいは準則全般を一回棚卸しをして、そしてその中で不適切な問題、あるいは不十分な問題はないか、これを見直す必要があるんじゃないかと思っております。

 それから、もう一つ、折角、東証の方がおいでですので。今回のマザーズなんかもそうですけども、監査とは保証水準が違う会計士の関与の仕方というか、これについて、もし、この審議会で対応できなければ、例えば会計士協会等が独自に対応せざるを得なくなると思うんですけれども、こうした問題も、ある程度審議会の方でポリシーを決めておいた方がいいんじゃないかと思っております。

 大体気がついたところは、以上です。

○脇田部会長 詳細に御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。これからの審議の中で生かさせていただきたいと思います。

 どうぞ。

○新原東証監理官 誤解があるようなんで申し上げておきます。私、東証の職員ではありませんので。東証監理官という肩書ですけども、大蔵省の金融企画局の人間です。先ほどもどなたか、東証からというふうに言われたので、あっ、私のことだったのかと思いましたので、念のため申し上げておきます。

○脇田部会長 どうもありがとうございました。新原監理官に御発言いただきました。

 それでは、河野委員、いかがでございましょうか。御発言いただければと思います。

○河野委員 私、この分野は必ずしも専門家というわけでございませんのですけれども、金融監督庁という立場では、検査・監督の現場から、皆様御承知のとおりでございますけども、いろいろな問題が指摘をされ、また、私ども自身としても考えておりまして、ただいま山浦委員から御指摘のありました債権分類の問題もございますし、最近では、損失先送り商品でございますとか、ともかく非常にこの問題は重要になってきているというふうに感じておりますので、ぜひいろいろ勉強させていただきたいと思っております。

 なお、海外当局とのやりとりの中でも、日本のこういう監査に対する信頼性をこの段階で早く確保をしておくことが極めて重要であるということ、これもまた感じておりますので、先ほど来いろいろ御指摘のあった点全て私どもも問題意識を持っております。ぜひ立派な成果が得られますようにお願い申し上げたいと思います。

○脇田部会長 ありがとうございました。

 続きまして、那須委員、いかがでございましょうか。

○那須委員 私のような経験の少ない者がここに呼んでいただいたという理由を少しを考えていたんですが、多分、経験をたくさんお持ちの方が、落としどころはきちっと落としていただけると思うので、逆に私は、幅を広くして意見をどんどん言って、そんなこともあるのかというようなことが出せればいいのかなと思っていました。

 公認会計士をしておりますので、ちょっとレベルの低い話になってしまいますが、この問題はまさに私の生活がかかっている。ただ、生活がかかっているとはいえ、必要のないものをお金をもらってやるというの、それも寂しい話であって、会計というインフラの一つのファンクション、会計処理ですとかディスクローズですとか、コーポレート・ガバナンスもそうだと思うんですが、そういう中に監査というファンクションがあるとは思うんですけれども、日本の監査のファンクションがきちっと存在意義が見出せなければ、それはもう全く意味のないことであって、今のままやっていていいのかなというと、そうではないんじゃないかなと。少なくともアメリカなどの海外から突き上げを食らって、ぐらぐらっといっているような気がしますので、これを機会に、我々の位置づけというか、そういうものをきちっとできればいいのかなと、そういうふうに考えておりました。

 企業の方はもちろんいらっしゃいますし、会計士の我々の先輩もたくさんいらっしゃいますが、ちょうど間に立って、現場にいるのは私なのかなという気がしますので、生々しい話もしながら、お役に立てればと思っております。よろしくお願いいたします。

○脇田部会長 那須委員には御発言いただきましたけれども、それでは、渡辺委員、いかがでございましょうか。

○渡辺委員 渡辺でございます。

 私はもともと、今も同じようなことですが、企業財務の調査・研究をやっておりまして、会計ですとか監査というのはおよそ素人であります。お話があったときに、私はそういう難しいことは分からないからと申し上げたんですが、難しいこと分かっている方はたくさんいらっしゃるので、ユーザーとして、今の監査の問題がどんなふうに見えるのかというところから、自由に何でも言ってくださいと言われたので。

 どうも今の雰囲気からすると、失礼に当たるかもしれませんが、自由にちょっと言わせていただきますと、会計基準というのは、言ってみれば、ストライクゾーンをどうするかという問題だと思います。ストライクゾーンはかなりいろいろ決まってきたんですが、ユーザーの方から見ると、ストライクゾーンに来たときにちゃんとストライクと言っているのかどうかという雰囲気といいますか、疑問がまだあると思うんですね。ストライクゾーンはちゃんとしているんだけども、審判がいろいろ考えて、ここでアウトと言ったら試合が終わってしまうとか、この選手はもう1回打たせてやりたいとか、どうもそういうことを考えているんじゃないかというふうに思われていると思います。実際はそうでないということかもしれませんが、少なくとも今、世の中では、どうもストライクが来てもボールと言っているみたいだというふうに思われていると思います。ですから、信頼の回復ということを考えると、いや、今までちゃんとストライクと言ってきたんだというのであれば、それはきちんと納得できる形で示す必要がありますし、いや、これからは違うんだというのであれば、はっきりと変わったんだということが分かるようにしないと、こういう決算が出ているけれども、これはボールもまじっているんじゃないのかなというふうに人は思うように思います。

 そういう意味では、私もコーポレート・ガバナンスを少しかじっておりますが、アカウンタビリティーというのは、もともとアカウンタントですから、どうも世の中の見方は、アカウンタントがアカウタブルでないという雰囲気があると思います。ですから、これをなくしていくことがこの委員会でお話が出るんではないかというふうに思ってまいりました。そういう意味では私は中身の監査の仕方というのは全然分からないんですけども、インセンティブの問題とか、何かあった場合のサンクションの問題ですとか、そういうところで、なるほど、これからは多分、ストライクが来たときにボールと言う審判はいなくなるだろうというふうにすることが必要ではないかと思います。

 それから、もう一つ、専門的な部分で、こういうところで発言すると、何だ、何も知らないというのがばれてしまうのかもしれませんが、ゴーイング・コンサーンというお話が随分あって、その中身の難しさは私にはよく分からないんですけれども、税効果会計というのが始まったんだから、少なくともその部分については、企業の存続を判断されて、将来利益が出て、税金が返ってくるというふうに決算されているものと思っていたんですが、それとはまたちょっと別の、もっと難しい問題があるということなんでしょうか。もちろん、利益が出ても倒産しないとは限らないわけですから、黒字で倒産する企業もありますけれども、世の中で考えている税効果の受け止め方と、今伺った議論と何かちょっと違うような感じがいたしました。

 以上です。

○脇田部会長 ありがとうございました。

 皆様方には御発言をいただきましたけれども、部会長代理の宮島さん、いかがでございますか。

○宮島部会長代理 皆さんのお話を聞いていまして、僕は法律家なものですから、どうしても最終的には責任の問題というところにはね返って、先ほど園先生がまさにおっしゃっていたように、責任がはっきりしないのに、監査への要求ばかり強まってくる。企業側にとっても、逆に、責任がはっきりしないのに、開示の要求ばかり強まってくるというような、じくじたる思いが皆さんおありだというのはよく分かりましたし、僕もお聞きしていて印象を持ったのは、やっぱりゴーイング・コンサーンというもの、それから、実態を踏まえた監査意見だとか、それから、経営上の意見、こういうものを責任の観点でいうと、果たしてどういうふうに捉えられるのかなという、非常に難しい問題があるなということを、今日、勉強させていただきました。

 ただ、アメリカで公認会計士がそういった事柄についても監査するからということで、会社の経営機構、監督機構がまるっきり違う日本で、果たしてそのままうのみにしていいものなのか。取締役会自体の監督があるし、それから、監査役の業務監査というものがあるときに、公認会計士が果たしてどこまで口を出していくべき問題なのか。そんなことがちょっとありましたものですから、日本の企業としての考え方というのも少し含めて考えたらいかがかなというような印象を持ちました。もちろん世界的な流れがあるのに、日本だけ孤立するのも具合悪いですから、その辺をうまく加味しながら、いい基準みたいなものが考えられていけばなと、そんなふうに考えております。

 以上でございます。

○脇田部会長 ありがとうございました。

 それぞれのお立場から、大変貴重な御意見を伺うことができまして、これからの審議の中で、本日の御発言、とりあえずは記録されているところを私ども十分読み直しまして、整理し、そして生かすと申しますか、論点として、次回の資料、あるいは今後の審議事項の中で整理をしてまいりたいと思っております。

 特に二つほど申し上げますと、ゴーイング・コンサーンのことにつきましては、各委員から、特に第一部会との関わり等が御議論になっております。この点はここでは議論の場としてこの第二部会で取り上げてまいりますので、その結果、注記も必要であればそういう意見を出して、第一部会等との議論ということにもなってまいりますので、若杉会長とも今後御相談させていただきまして、企業会計審議会としてどう取り扱うかという方向も考えてまいりますので、その点御了承をいただきたいと思います。

 それから、私、伺っておりまして思いましたけれども、実は私、前回、平成3年の監査基準、実施準則、報告準則の改訂作業に幹事として加わらせていただきましたけれども、そのときから時間がたちまして、あのときには実質的な内容を公認会計士協会に実務指針という形でお願いするという方向がとられてまいりました。監査手続等が、監査実施準則第2、通常の監査手続というところが削除されたわけでございますけれども、それはそれといたしましても、いわゆる実質基準と申しますか、監査基準、あるいは実施準則、報告準則を含めての、より具体化された、ルール化されたものがもう少し目に見える方法でないのか。それが先ほど須田委員もおっしゃっておりましたような、欧米諸国との監査の違い等について、目に見えない部分、そして先ほど加藤委員がおっしゃいましたように、例えば投入される監査人員数とか監査の日数だとか、そういったことに反映するのかと思いますけれども、より目に見える形での監査というものを日本の監査は示す必要があるんだろうというふうに、皆様方の御発言をお聞きしながら私は思いました。

 繰り返しになりますけれども、今後の審議の中で、本日の御指摘、あるいは御意見、御発言の趣旨を生かして、整理させていただきまして、備えさせていただきたいと思います。

 それでは、そのほかに御発言はございませんでしょうか。

 本日は第1回の部会でございましたので、私から御発言を促すという形をとらせていただきました。次回からは私は交通整理という係に徹してまいりますので、交通整理に困るほどの、自動車の渋滞に見まがうような御発言をしていただきたい。どうぞ御自由に御発言いただくようにお願いしたいと思います。

 それでは、ほかに御発言もないようでございますので、定刻にもなりましたので、この辺でこの会を閉じさせていただきたいと思います。御協力ありがとうございました。

 なお、今後、関係者及び専門家の方々からのヒアリングを行いたいと思っております。

 次回の第二部会は、年を越します明年の1月の28日(金曜日)午後1時から開催いたしたいと考えておりますので、皆様方にはどうぞ日程等の御調整をお願いしたいと思います。詳細につきましては、改めて事務局から御連絡いたします。

 本日は、お忙しいところを誠にありがとうございました。

               午後3時1分閉会